街の片隅のそこまで大きくない一軒家。ここを2人で拠点として使ってるらしい。
…男女二人きり!?いやもしかしてそういうこと!?
「あの、お二人って付き合ってたり…」
「してないぞ?」
「何言ってるの?」
あ、ほんとに何言ってんだって顔された。でも、えぇ…?邪推するでしょこんなの…
「現実逃避してるつもり?その様子だと、ほんとにすぐ死んでたね。」
「同じく、だな。逃げたくなる気持ちはわかるが、今は向き合う時だ。」
そう言われ、頭をガツンと殴られた気持ちになった。
あぁ、そうか。これは
「…はい、おっしゃる通りです。すいません。」
今、この場は現実なんだ。
「まぁ、いきなり知らないところに出ちゃった…って感じなのかな?そうだと考えると仕方ないと私も思うな。」
「そのレベルではないだろうな。もしかすれば、文明としてこちらの世界が劣ってるというのもあるかもしれんな。」
「あ、そっか。こっちの方が優れてる、とは限らないか。」
二人が、少し寄り添ってくれているように感じる。二人の優しさが身に染みると共に。
自分の異物感が、際立つように感じた。
「あの、ありがとうございます。説明の場を設けて頂いて。」
「む?気にする必要は無いぞ!こちらがそうしたいと思ったからそうしてるのだ。」
「それに、さっき言ったみたいにそっちの世界についても聞きたいしね。あ、あとそんなに固くならなくていいよ?」
「ありがとうござい…いや、ありがとう。」
おそらく俺は凄まじく幸運なのだろう。こんなにいい人達に助けられて、世界について説明を受ける。もしかしたら帰れるのかもしれない。でも、それまでの間はこの世界で生き続けるんだ。だからこそ
「改めて、お願いします。ここは、どんなところなんだ?」
しっかりと、向き合わないと。
「ん、よし。いい顔になったね。覚悟を決めたって顔」
「このほんの短い時間で腹を括ったか。俺も見習うべき姿勢だな、それは。」
そこから、二人の説明が始まった。
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「まず、この世界はインフィムっていう世界。特徴としては…魔法がこの世界の色んな所を回してる。次に…」
「え、魔法があるんだ…」
「…そっちの世界、魔法無いの?」
「あぁ、うん。魔法は存在しないものって扱いだな。」
「だからごく稀に驚いている者がいたりするのか…いま腑に落ちた。」
魔法、か。夢があるようで、この人達にとっては現実の事象なんだろうな。信じられないけど、信じるしかないだろう。
「話の腰折っちゃったな。後で纏めて質問も聞くしするから、色々話し合おう」
「あ、ごめん。」
「いいよいいよ、じゃあ続き。次はそっちの世界。こっちではニールって呼ばれてるね。で、稀にこっちに迷い込む人が居る。その人の事を私達は『ニールの民』って呼んでる。」
「まぁ、お前のような奴のことだなセイイチ。」
「で、なんですぐ死ぬって言ってるか。理由はこっちじゃ科学が嫌われてるからだよ。」
だからあそこで科学について聞かれたのか…!あまりにも罠すぎる。こんな中世風の世界見たら、そりゃ出来る人ならこっちの世界の技術を再現しようとするよな…
「これに関してはそっちが悪いって聞いてるよ。なんでも、昔『ニールの民』が火薬を使った武器を作り出して国家転覆を狙ったんだってさ。」
「それは…嫌われるのも仕方ないな…」
「あぁその通り。だが、技術を嫌うのは俺は違うと思うのだがなぁ…」
「また逸れるからその話はあとね。まぁ、そんなことがあったから今まで科学は発展せずに魔法が発展した。だいたいはそんな感じ。」
なるほど…先人たちが余計なことをしてくれたのか。クソッ、あとの事も考えてくれよ…いや、考えたからこそ…なのか…?
「次にこの街についてだな。この街はルイナリア。我らセイワの冒険者達の最前線。ここで俺たちは古代文明の遺物を探したり、モンスターを相手取ったり…まぁ色々な依頼を受けて暮らしている。」
「だいたいそんな感じだね。…じゃ、質問タイムだね。じゃんじゃん聞いてね?」
「…え、この街の説明それだけ?」
「これに関しては後でしっかり街を歩きながら話す。話だけを聞くより実際に見て回った方がわかりやすいだろう。」
俺がわかりやすいようにの配慮、か。ん?ということは…
「この後も、付き合ってくれるのか?」
「当然だろう。困っている者を困ったままにはしておけん。」
「当面の宿とかもいるしね。代わりにここ使ってってもいいよ。そのかわり、そっちの話をいっぱい聞かせてもらうからね?それが対価。」
…ほんとに、いい人達なんだな。それにディーナさんは多分、俺の罪悪感を減らそうとしてくれてる。だから対価とか言ってるんだ。本当なら、それだけじゃ足りないだろうに。
「ありがとう、ほんとに助かる。」
「何度も言うが気にするな。…といっても、気にするのだろうな、お前は。さぁ、気になった所を質問するといい。」
しかし気になった所、か。沢山あるから何から聞こうか…。これを聞いとくのは今のうちか…?
「科学が昔、俺の先人がやらかして嫌われてるのはわかる。多分その流れで、俺たちが好かれてないんだろうなってのもなんとなくわかる。」
「そうだな。残念なことにな。」
「なんで科学は、まだ嫌われてるんだ?当事者でもないし、今はほとんど使われてないんだろ?」
その言葉に、1人は困った顔をして。
1人は、嫌悪感を顕にしたのだった。
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