狩人になりたいって言ったら思ってたのと違った   作:アウリオン

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もうラーメン作って愛想笑い浮かべるのは飽き飽きだ


10話

 

真っ白な空間

 

けれど最初神と名乗るやつと会った場所とは違い寒くて、うっすらと山が見える

 

「さて、この辺りでいいだろう」

 

彼女は少しだけ寂しそうに言う

 

「本当にいいのか?」

「頼むよ」

「だがもしもの時は殺してくれなんて」

 

ここに来る道中に俺が彼女に頼んだことだ

 

「いや、いいんだ。結局は狂って死ぬか君に殺されるかだ。ならば君に殺された方が何倍もいい」

「そうか・・・」

 

会って間もない俺にこれだけ気にかけてくれる彼女は本当にいい人(?)なのだろう

 

 

もし上手く事が運べばここで彼女と暮らすのもいいのかもしれない

なんて事を考えられるほど心に余裕が生まれたのはやはり一重に彼女のおかげだろう

 

「それじゃあそろそろ頼むよ」

 

「あぁ・・・」

 

 

龍蝕蟲が俺目掛けて飛んでくる

 

 

(思ってたより平気か?)

 

そう思っていた数秒後に

 

「っ!」

 

激しい痛みに襲われた

 

「っあ!アアアアア!」

 

「大丈夫か?!」

 

「アアアアアアアアアア!!」

 

両肩や前足首、失った右目に激痛が走る

 

「アアアアアアアア!」

 

「不動!?おい!」

 

少しずつ痛みが引いていく

 

「うぁ・・あぁ・・・」

 

まだ少し痛む

 

「不動?おい、大丈夫か?」

 

「あ、あぁ。まだ痛むが大丈夫だ」

「そうか、だが・・・その、なんというか」

「?なんだよ、上手くいったんだし喜んでくれてもいいじゃないか」

 

「いや、その、肩や目から出てるその氷のようなものが気になって」

 

なんですと?

 

「皮膚を突き破って出てきたものだからつい、な」

 

そういわれて痛かった場所を見る(前足首だけだが)

 

「なんだこれ」

 

(そういえば狂竜化したモンスターを倒したらなんとか結晶とか出たけどアレか?)

 

「凄く痛そうだな、本当に大丈夫か?」

 

「ま、まぁ少し痛いけど少しずつ痛みが引いてるしじきによくなるさ」

「なら良かったよ」

 

本当によかった

けれど本当にウイルスが去ったかはわからない

けれど少しだけ、こうして彼女と感動を分かち合いたい

それくらいなら許してくれるだろう

 

 

 

けれど、人はそれを許さなかった

 

 

 

 

「今だ!放て!」

 

 

 

 

 

無数の矢が彼女を襲う

 

 

「アテナ!」

 

「来るな!逃げろ!不動!」

 

 

 

 

何本もの矢が刺さる

 

 

「アテナ!」

 

 

 

「黒のジンオウガだけ殺せ!青の方は生け捕りだ!」

 

 

 

 

(なんで)

 

 

 

大剣使いがアテナを襲う

 

 

 

(なんだよこれ)

 

 

 

「ぐっ!こいつ強い」

 

 

 

(なんだよこれ!)

 

 

大剣使いに襲いかかる

 

 

 

(なんだこれは!)

 

痺れが俺を襲う

 

 

(罠か!くそ!)

 

 

 

「とどめだ!」

 

 

「アテナアアアアアアアアアア!」

 

「不動、すまんな」

 

「あぁ・・・」

 

「さよならだ」

 

 

「アアアアアアアアアア!!」

 

 

痺れ罠が解ける

けれど遅い、もう少し早ければ彼女は

 

 

「アアアアアアアアア!!」

 

「な、なんだこいつ!」

「捕獲命令が出てる!殺すな!」

「で、ですが!」

 

(許さない、許さない許さない許さない!絶対に許さない!)

 

「くそ!今回は一旦退くぞ!」

 

(逃がすか!)

 

 

「ふ、不動・・・」

 

「アテナ!」

 

急いでアテナの元に向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

「アテナ・・・」

「不動・・・」

 

俺の

 

「俺のせいだ。あいつらは俺が狙いだった」

 

俺のせいで

 

「俺がここに来なければ君は傷つかなくてすんだ」

 

彼女が

 

「ごめん、俺のせいで」

「違うよ、不動」

 

「これはね、私の不注意で力不足だ。だからね、君のせいではないんだよ」

「違う、俺が、俺のせいで・・・」

「不動」

 

「そこまで自分をせめるな」

「でも」

「それなら二つほどお願いしてもいいかな?」

「お願い?」

 

「あぁ、お願いだ」

「あ、あぁ」

 

「ならば私を喰ってくれ」

「なっ!」

「私を君の糧にしてくれ」

「そっ、それは」

「頼むよ、これでは無駄死にだ。けれどね、少しでも君の糧になれるなら私は満足だよ」

「そんな、俺は」

 

「もうひとつはね、少しでも私の事を思い出して悲しんでくれ」

「え?」

「少しの間でもいいから私を思い出して、そして悲しんでくれ。それだけで私は救われる」

「アテナ」

「お願いしてもいいかな?」

 

「あ、あぁ」

 

「ありがとう、君は、雪は好きか?」

「アテナ、もう喋るな」

「私は、好きだよ。いや、すきに、なっ、た」

 

「アテナ、頼むから、もう」

 

「君に、会えた、この、雪が、私は・・・」

 

「アテナ・・・」

 

「ありがとう、つまらない、生涯だったが、最後の方は、たのし、かっ」

 

「アテナ?」

 

「・・・」

 

「アテナ?おい、アテナ!」

 

「・・・」

 

「うそ、だろ…アテナ」

 

俺は一人になったのか

 

「アテナ・・・」

 

 

 

 

雪は嫌いだ

 

 

 

 

 

(アテナ、君の願い叶えるよ)

 

 

 

 

雪は

 

 

(二つ目の願いはきっと)

 

 

 

大嫌いだ

 

 

 

(ずっとずっと、いつまでも思い続けるのだろう)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

どこまで歩いたのか

 

 

あのあと俺は彼女を喰った

 

体の色が少し黒くなり夜のような色になった

 

龍蝕蟲と超電雷光虫は仲良くやっているようで紅と蒼の電気を操れるようになった

 

体つきも逞しくなった

 

 

けれど心の穴は塞がらず、寧ろ自分が少し彼女の面影があるせいで余計に広がった気がする

 

(アテナ)

 

彼女はいない、何処にも

 

 

(ここは?)

 

気が付いたら天空山のような場所についた

 

 

(アテナ、もう一度だけでいいから会いたいな)

 

この景色も、山の険しさも全部無色だ

 

(ずっと、この痛みと付き合っていくのかな)

 

思わず笑う

 

過ごした時間はあんなにも短かったのに、こんなにも辛い

 

(きっと、恋でもしたんだろうな。)

 

 

ドビゴ




ドビゴ消えねえ
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