狩人になりたいって言ったら思ってたのと違った 作:アウリオン
「ガアアアアア!!」
「ギャアアアア!!」
ジンオウガが右腕を降り下ろす
しかしバックステップで避けられてしまう
ティガレックスが雪玉を飛してくる
ジンオウガは避けきれず右肩にくらう
(わかってはいたがやっぱ強いな)
ティガレックスが姿勢を低くする
(やっべぇ!)
だが体は思うように動かない
(一か八か!)
ティガレックスがとびかかる
ジンオウガは体のまわりに電撃を炸裂させる
「ギャアアアア!」
(仕留めるまではいかないか)
ティガレックスの体に赤い線が浮かぶ
(やっぱり怒った?)
「グアアアアアア!!!」
ティガレックスが吼える
そしてまた雪玉をとばす
(このままじゃじり貧だ!何か手はないか!?)
電気の玉をとばそうにも雪が降る中ではすぐに拡散して消えてしまう
(近づいてもあの速さについていけん!何か、何かないのか!?)
気付けばティガレックスがすぐそばにいる
(コレは不味い!)
そしてティガレックスの尻尾がジンオウガの顔面に炸裂し、吹き飛ばされる
(クソッ!意識が・・・チクショウ・・・)
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ーーーここは?
「おかえり!お兄ちゃん!」
「ただいま、桜」
ーーー俺の記憶、なのか
「あら、おかえり宗助」
「ただいま、母さん」
ーーーいや、違う
「どうだった?学校は」
「うーん、まあまあかな」
ーーーこれは"夢"であり"願望"だ
「ご飯もうすぐだから着替えちゃいなさい」
「はーい。ほら、桜も手洗ってきな」
「うん!」
ーーーこれは幸せな夢だ
「ただいまー」
「あら、お父さんも帰ってきたわね」
ーーー違う
「お父さんおかえり!」
「おぉー、ただいま」
「桜、早く手を洗っちゃいなさい」
ーーー違う、違う違う違う!
「今日のご飯はなんだ?」
「今夜はカレーよ」
ーーー違う!
こんなのは違う
俺の人生は、現実はこんなに優しくない
父は失踪、母は男をつくり俺らの前から消えた
妹は病死
俺はまわりから疫病神といわれ罵られて生きてきた
俺は・・・
違う、コレも違う
そうだ、"今"の"現実は"
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現実は残酷だ
真っ白な空と冷たく、白い地面
(走馬灯、ってやつかな)
「グルル」
死が、近づいてくる
(俺の現実はこっち、か)
幸せな夢をみた
(夢なら、いや夢だからこそ覚めてほしくなかったな)
動こうにも体がいうことをきかない
("救済"か、思えば大変だったな)
命を脅かされ、命を奪った
神は救済といい第2の人生を歩ませた
お世辞にも素晴らしいものではなかった
(けど、)
ーーーまたね!
(良い人生だった、かな)
「グアアアアアア!」
(さよならだ)
ドオン!
ティガレックスが居たところに
「グルル・・・」
"紅い"雷が疾った
ズン・・・ズン・・・ズン・・ズン・・・ズン
(漁夫の利ってやつか?わらえないね)
『同族か』
「」
(えっ?しゃべれるの?)
『話せないほど弱っているのか?』
(まて、落ち着けよ、俺!)
同族なら会話可能なのか?
とにかく物は試しだ
『あんた、なんのつもりであいつを殺したんだ?』
『お前が死にかけていたからな』
取り敢えず通じた
『そんな理由で?ここはあんたの縄張りじゃないのか?俺なんか助けてなんになる。それとも俺を』
『矢継ぎ早に喋るな、質問はひとつずつにしてもらえないか?』
『なんで、俺を助けた』
助けた訳じゃない
そう言われることをどこかで期待していたのかもしれない
『なに、同族に会うのは久しぶりだからな。だがお前と来たら死にかけではないか』
『無償の優しさってやつか』
『?』
『なんでだよ、なんで!俺はあんたをーーー』
そこまで言ったところで視界が揺れる
『っぐ!』
『取り敢えず私の住みかまでこい。なに、ここよりは温かい』
ジンオウガは取り敢えずついていくことにした
『さて、さっきの話の続きだ』
ジンオウガ亜種がきりだす
『私は永いこと同族に会わなかった。当然だ、"普通"のやつはこんなところに住めない』
俺は亜種に目を向ける
『同じ"異種"、とでも言うべきか。そういうやつらとは縄張り争いで殺しあった』
亜種は哀しげな目で語る
『だからな、少し寂しかったのかもしれんな。それだけだ』
ふたりの間に沈黙が流れる
しばらくして口を開く
『・・・俺はあんたを、あんたの言葉で言う"異種"を、殺すつもりできた』
『ほう?なぜ?』
『俺は狂竜ウイルス、いや、病気に掛かっている。それを治せる可能性があるのはあんたたちが飼っている蝕龍蟲だ。』
『そのために殺すと?』
『話が通じなければ殺すつもりだった』
『今はそのつもりはない、と?』
『・・・』
(なにをやってんだ、俺は)
こうも警戒心のない亜種に毒気を抜かれ、会話をして
殺すつもりで来たのにこうも心が揺れる
『だがな、蝕龍蟲をやるわけにはいかん』
『それは・・・俺が殺してでも奪うつもりだったからか?』
『違う』
なぜだ、こいつの考えがわからない
『私みたいな異種はともかくお前は"こいつら"を飼えるようには出来ていない。どうなるか保証できん』
こいつはなんてお人好しなんだ
殺すつもりできたやつの身を案じるなど
『迷惑はかけない。少しわけてくれるだけで良いんだ』
『話を聞いていたか?お前はーー』
『あんたこそ、話聞いてたのかよ』
『俺は病気だ。なにもしなくても"俺が俺じゃなくなる"。どのみち死ぬなら、俺は足掻く』
亜種はまた、哀しそうな目をして
『わかった、だが本当に死ぬかもしれんぞ』
『覚悟は出来ている
『そうか』
『だが今日は休め、疲れただろう』
『けどこれ以上世話になるわけには』
『さっきも言ったがな、私は寂しかったんだ。お前に会えて、話ができて嬉しいんだ。だから今日くらいここにいろ』
『ありがとう、ございます』
そうしてふたり身を寄せるようにして眠った
亜種はメス設定です