新・超A級小姓 アインクラッドを往く   作:渚カエデ

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第2層での冒険が始まりました。

今回は新キャラが2人登場します。


第5話 強化失敗騒動

ランマル視点

 

 

 

アインクラッド第2層主街区【ウルバス】は、直径300メートルほどのテーブルマウンテンを、外周部だけ残してまるごと掘り抜いた街。いわばお椀の底にある街という(おもむき)だ。

風景といい、街区BGMといい、なんだか牧歌的な雰囲気を感じるな〜。

穏やかな風が吹くこの街で僕たち5人……僕、ルナさん、レインさん、アストルフォさん、フィリアは休憩するための宿屋を探していた。

フィリア「さっきまでの殺伐とした雰囲気から、急に牧歌的な層……少し温度差を感じるけど、いい街だね。」

レイン「そうだねフィリアちゃん。私もこういう層好きかも」

ルナ「そういえばこの街……NPCレストランで牝牛(めうし)型モンスター【トレンブリング・カウ】のミルクを贅沢に使用した【トレンブリング・ショートケーキ】が名物らしいよ。まあけっこう高いらしいけど」

アストルフォ「え!?そうなの!?」

ルナ「うん。」

フィリア「いいじゃん、それ!」

レイン「食べたいな〜」

へえ〜……。アインクラッドって各層ごとに名物のグルメとかあるんだ。僕も甘い物には目がないから気になるな〜。

ルナ「けっこう高いらしいから、レベリングついでに(コル)稼ぎでフィールド行こうか」

アストルフォ「いいね!行く人手挙げて!」

手を挙げたのは僕以外の4人だ。

レイン「あれ?ランマルくんは行かないの?」

フィリア「ランマル、甘い物好きだよね。」

ランマル「僕はこの街を探索したいから……後で行くね。」

ルナ「わかった。行くときにはメッセージ送ってね」

ランマル「はい!」

僕と4人は一旦、別れた。

 

 

 

僕が街中を歩いていると、向こうの方から声がする。

???「ねえ!アタシの武器!4回連続で強化失敗しちゃったじゃん!どうしてこうなっちゃったの!?」

声のする方に行くと、そこには露天商みたいに絨毯を広げて、武器を陳列棚に並べている簡易的な武器屋があった。

どうやら女性と武器屋さんが揉めているらしい。女性の横にはウェーブがかった髪の人が立っている。

ランマル「すみません、何かあったんですか?」

僕が声をかけると2人がこちらに向く。2人のうち、ウェーブがかった髪の人の顔が見えると、僕は言葉を失った。

なぜなら、その人の顔がルナさんと瓜二つだったからだ。

???「どうしたんですか?」

ランマル「あ、すみません……友人と顔が似てたんで……ところで、何があったんですか?」

???「うん、この子が武器屋さんに剣の強化を依頼したんだけど、4回連続で失敗しちゃって……」

ランマル「そうだったんですか……すいませんが、貴方の名前を教えてください……仲裁に入りたいので。」

???「ありがとう、ボクの名前はリュンヌ。片手剣使いだよ。横にいる子はストレア」

ランマル「ありがとうございます。僕はランマルといいます。ではリュンヌさん、ストレアさん……詳しいことを聞かせてください。」

リュンヌ「うん、ストレアが武器の強化をこの人に依頼したんだけど、なんか4回連続で失敗しちゃったみたいなんだ。それで……」

ランマル「そうだったんですか……」

うん……流れはこんな感じか。

①ストレアさんが武器強化を依頼

②鍛冶屋プレイヤーさんが強化

③強化失敗

④4回連続で失敗

⑤ストレアさん怒る。

……という訳か。

でもプレイヤーの鍛冶屋さんが持っているハンマー……たしか第1層のNPC鍛冶屋さんが使う【ブロンズ・ハンマー】よりも要求スキル数値が大きいんだよね。

つまり、彼は強化成功率が高い鍛冶屋さんのハズ……

そうじゃなきゃこの街で鍛冶屋さんなんてできないしね。

キリト「どうしたんだ?」

ランマル「あ、キリトさん」

騒ぎを聞きつけたのか、キリトさんとアスナさんがやってきた。

ランマル「武器強化が4回連続で失敗して、依頼者がそれに対して怒ってるんです」

キリト「そうか……」

彼は絨毯横の棚を見ている。そこには武器の種類ごとの強化成功率が書かれた張り紙が張られている。

キリト「そこのキミ!」

ストレア「ん?なに?」

キリト「たしかに怒りたくなる気持ちはわかる。でも、今になっちゃ仕方ないじゃないか?」

ストレア「仕方ない?この剣!けっこう頑張って手に入れたんだよ!そんな剣をこの人は4回連続で強化に失敗しちゃったんだよ!」

ストレアさんが指さす剣【アニールブレード】は強化試行上限数が8回だ。

多分、NPC鍛冶屋さんに+4まで強化。そこからは成功率が下がるからプレイヤー鍛冶屋さんに依頼。そして4回連続で強化失敗になった結果、試行上限数に達した(アニールブレード)は数値がプラマイゼロになったまま二度と強化できなくなってしまったってことか。

キリト「たしかにそのアニールブレードはもう強化できない。でもアニールブレードのクエストはまだできるから、そこでまた入手すればいいと思う。」

リュンヌ「そうだよ、ストレア。ボクも手伝うからもう1回クエスト行こう。」

ストレア「……わかった。」

ストレアさんが落ち着いたタイミングで、黙ったままだった鍛冶屋さんが声をかける。

鍛冶屋「あの……ほんとに、すいませんでした。次は、ほんとに、ほんとに頑張りますんで……あ、もう、ウチに依頼するのはお嫌かもですけど……」

ストレア「……こちらこそ一方的に怒鳴っちゃってすいませんでした……今思うとアタシも頭に血が登っちゃって冷静な判断が出来なかったんだと思います。本当にごめんなさい。」

ストレアさんも頭を下げる。この人もちゃんと謝れるタイプで安心した。

鍛冶屋「あの、こんなことじゃお詫びにならないと思うんですが……その、ウチの不手際で強化できなくなっちゃったアニールブレード、もしよかったらですけど、8000コルで買い取らせて貰えないかと……」

ストレア「あ、ありがとうございます。」

アスナ「これで一件落着ってことね。」

キリト「ああ。」

リュンヌ「ありがとうございます。確か貴方がたは……キリトさんとアスナさんでしたっけ……?お礼にポーションをお二方(ふたかた)にあげます。受け取ってください。」

キリト「いや、それはキミたちで使ってくれ。俺たちはただ面倒事を解決しただけさ。」

リュンヌ「すいません……ありがとうございます。あ、せっかくですからフレンド登録しませんか?ここにいる5人で。ストレアは大丈夫?」

ストレア「いいよ」

キリト「わかった」

アスナ「ええ。」

ランマル「はい!」

僕たちはリュンヌさん、ストレアさんとフレンド登録した。

ストレア「ありがとうございました。キリトさん、アスナさん、ランマルさん。」

キリト「当然のことをしただけさ。あとさん付けと敬語はなしでいいぞ。」

アスナ「私も同じよ。」

ランマル「僕もです。」

リュンヌ「はい、ではまたいつか会える日を楽しみに待ってます。」

ストレア「また会おうね〜」

彼ら2人は雑踏の中に消えていった。

ランマル「キリトさん……またお世話になりました。ありがとうございます」

キリト「アインクラッドでも人は助け合うもんだろ。当たり前のことさ。」

アスナ「そうね、私たちが助け合いの精神を忘れたら、この世界の攻略なんて夢のまた夢だから。」

ランマル「そうですよね。」

キリト「俺たちは次のクエストに行くから、またお別れだな。頑張れよ」

ランマル「はい!」

キリトさんたちも雑踏の中に消えていった。

そうだよね。現実世界もだけど、助け合いの精神こそが人間社会を支えていくモノだと僕は信じたい。

 

 

 

狩りを終えて、戻ってきたルナさんたちと【トレンブリング・ショートケーキ】を食べている間に僕はルナさんに質問をする。

ランマル「あの、ルナさん」

ルナ「どうしたのかな?」

ランマル「ルナさんって……双子なんですか?」

僕からの質問を聞いたルナさんは少し考えこんでから言う。

ルナ「……俺には双子の兄弟なんて居ないはず。」

ランマル「そうなんですか。すいません、リアルのことを聞くのはマナー違反でしたよね。」

ルナ「俺はそこまで気にしないから大丈夫だよ。」

ランマル「ありがとうございます。」

ルナ「でも、突然そのことを質問してきたのはどうしてかな?」

ランマル「実は……今日、街中でルナさんと似た顔の人と出会ったんです。名前はリュンヌさんです」

ルナ「リュンヌ……フランス語で月という意味だよね。なんだか親近感を感じる。」

ランマル「今度、会えるといいですね。」

ルナ「ああ。」




キャラ紹介2

ストレア
CV 三澤紗千香
片手剣使い→両手大剣使い
この世界のストレアはAIではなく人間。しかもご令嬢。
本名は須藤怜愛(すどう れいあ)
天真爛漫な性格で、キリトより1歳年上の少女。

リュンヌ
イメージCV 日野まり
片手剣使い。
ストレアとコンビを組んでいる人物。ルナとは顔が瓜二つで声も少し似ている。果たして、ルナとリュンヌの関係性は……

この中で1番、活躍シーンを見たいキャラは誰ですか?

  • ルナ
  • リュンヌ
  • レイン
  • ストレア
  • フィリア
  • ランマル
  • アストルフォ
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