【お知らせ】憑依転生者南雲ハジメの青春記録。   作:無気力キャルちゃんマン

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クリスマスプレゼントです。


ネタ 嘘予告 エリドゥの戦い

 調月リオは焦っていた。

 

 天童アリスをエリドゥに誘い込み、先生率いる抵抗勢力を打倒すれば目的は完遂される。そのあと一歩のところまで進めることが出来たのに、抵抗勢力によって最後の砦であるアバンギャルド君が破壊されてしまった。

 

 飛鳥馬トキとアビ・エシュフも未だ戦える状態ではない。

 

 どうする? どうする? 

 

 思考がループする。合理性を重視し、不確定要素を可能な限り排し、バックアッププランもいつくか用意していた。そのすべてが想定を上回る敵戦力によって意味を為さなくされている。こんなことがあるはずがない。あっていいはずがない! だって私はこのために……!

 

 敗北を待つだけだった時間に意味があるとするならば、それはきっとこのときのためだろう。

 

 調月リオは身動ぎしたときに、ポケットの中に物が入っていることに気付いた。

 

 それは今の今まで存在すら忘れていた()()。事を起こす前に()()()から贈られた謎のスイッチだった。

 

「どうしようもなくなったとき、諦める前にそれを押せ」

 

 そう言われ投げ渡された物だったが、どうせロクでもないと思って思い出しもしなかった代物。しかしこうしてポケットに入っているのは、調月リオ自身にも把握できない感情のせいか。お守り代わりのつもりだったのか。だから最後に思い出してしまったのか。

 

 認めたくない感情を持て余し、調月リオは――キレた。

 

「貴方の想定通りだとしても私はっ……!」

 

 もはや自棄と紙一重の激情のまま、震える指先がそのボタンを押し込んだ。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

『上空から飛行物体接近! 注意してください!』

「”みんな上から何か来るよ! 気を付けて!”」

 

 先生の言葉を受け、戦闘態勢を解いていた生徒たちは瞬時にポジションを固める。

 

「ようやく終わると思ったのに~!?」

「ハッ、上等じゃねぇか! いくら来ようとぶっ潰すまでだッ!」

 

 気勢を上げる美甘ネルだが、大多数の生徒は「疲れたから勘弁してください」といった表情をしていた。

 

 緩んだ空気を締め直し、上空から飛来する衝撃を、腰を落として受け流す姿勢を取る。

 

 ドガーンッ

 

  アバンギャルド君の真横に落ちた流星は、土埃と地面の破片を巻き上げ、衝撃の突風が生徒たちの間を駆け巡る。アバンギャルド君ごと覆い隠す粉塵を辺りに漂わせ、飛来した物体は今一時その正体を不明瞭にさせた。

 

「何か聞こえない……?」

 

 しかし才羽ミドリの一言が正体の一片を暴く。

 

 煙の中を注視すると、大きな影が高速で行ったり来たりを繰り返している。その度にガシャン! やらウィーン! やら、どこか聞き馴染みのある機械音を発し、その影を変化させていった。

 

 調月リオではない。彼女は合理性の塊故に、そういう弱点になりそうな機械駆動部分を装甲で覆い隠し、単体で完成された装備を好む。こんな()()()()()()()みたいなロマン要素を残しておくはずがない。

 

「……まさ……か」

 

 いる。そんなロマン溢れる装備を好みそうな男が一人。

 

 正体を隠す謎のヴェールが晴れたとき、そこにいたのは飛来した物体ではない。

 赤い装甲、大型化した肩部、左腕に6門×6の大型ガトリング、右腕にぶっとい杭付きの回転式弾倉。

 

 それは巨人だった。――というか古い鉄だった。

 

 頭部のない巨人(リーゼ)は、背後にあるアバンギャルド君を背面のアームで持ち上げ、自身の頭部に叩き込んだ。効果音にするとブッピガァン! するとガラクタになっていたアバンギャルド君が時間を巻き戻したように新品同然に変わる。

 

 アバンギャルド君拡張パッケージ アルター・リーゼ

 

 頭部をアバンギャルド君と装甲で覆い、神代魔法マシマシにした最終兵器が、先生たちに牙を剥いた。

 

「おいこれぜってぇアイツが作ったろッ! 反則技使ってんじゃねぇよ、リオォッッ!!」

「私ではないわ」

 

 ホログラムで現れたリオは、かわいそうなほど目が泳いでいた。

 

 一方先生は何も言わなかったが、「カッコいいなぁ……!!」と目をキラキラさせていた。

 

 

 

 

 おしまい




 続きません。本編で完全版になるかは未定。
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