オリ主ものですがオリ主は基本的に出てこないと思ってください。魔法少女や人類が殺されていく作品です。
2020年、世界各地にて後に魔獣と呼ばれる異形の化け物が大量に出現した。魔獣たちは不規則に現れる異界ゲートを通って出現してきており、各国は大打撃を受ける事となった。
現状の武器では魔獣相手に効果的な打撃を与える事が出来ず、人類は魔獣たちに少しずつ殺されていくのだと思われた。
しかし、日本にて魔法と呼ばれる不思議な能力を手にし、異界ゲートを通じてやってきた妖精と契約した魔法少女たちが出現したことで状況は一変した。魔獣相手に効果的な攻撃を出来る彼女たちは魔獣との戦いに挑み、2050年に魔獣たちが通ってくる異界ゲートの破壊に成功した事で終止符が打たれる事となった。
地球にやって来た魔獣たちが未だ世界中に存在するが最早脅威とは言えない状況にまでなっていた。そして、魔獣を退けて早5年。人類は復興しつつ新たな時代へと突き進む、はずだった。
日本にある魔法少女委員会総本部。その地下室では総本部内の主要なメンバー及びモニターから各地の支部長たちが会議を開いていた。魔法少女たちの大半が属するこの組織は人類の希望である彼女達をバックアップする事を役目とする彼らは魔法少女たちへの戦場での指示や情報伝達も行っていた。
故に、アメリカから送られてきた内容に急遽会議を開いていたのだ。
「どう思う? これは事実だと思うか?」
「事実、としか言いようがないでしょう。確認すればネット上でも同様の話題が上がっているようです」
「しかし、だとすれば益々信じられん。まさか東海岸が1日で壊滅するとは……!」
総本部長を務める東堂亘一はそう言ってモニターに移された映像を確認する。映像は1分程の短い動画であり、そこには上空に巨大な6角形の物体が蓋をするように飛来する姿だった。そして、それと同時に金色の空飛ぶ船が現れ、その下部より巨大な蟻のような生物が投下されたことで逃げ出したのか映像がブレた所で終わっていた。ネット上に上がっている動画はどれも似たような物ばかりであるがこの蟻や六角形の飛行物体がアメリカの東海岸を壊滅させたのは事実のようであった。
「事実確認はしたか?」
「ええ。現地の魔法少女が市民を逃がす傍らで詳細な情報を収集してくれています」
情報担当官の相澤美佐子が立ち上がり、話を始めた。
「東海岸はほぼこの6角形の物体に覆われており、その下部では黄金の空飛ぶ船が下部より巨大な生物を投下しています。
この黄金の船は明らかに積載できる量以上の巨大生物を投下しており、転移魔法のような物が使用されていると考えられます。
黄金の船、これをテレポーションシップと仮に付けますが表面装甲は硬く、“リバティ・ブレイカー”が破壊を試みましたが失敗に終わっています」
「“リバティ・ブレイカー”の攻撃が効かないだと!? 一体どれだけの装甲だというのだ……!」
会議に参加している者達が騒めくがそれも仕方のない事だった。“リバティ・ブレイカー”はアメリカが誇る魔法少女の第2位に位置する実力者であり、魔獣対戦中期から末期にかけて活躍した魔法少女だった。
彼女の魔法は身体能力を強化し、更に衝撃波を飛ばす事が出来るシンプルだが強力な魔法を使う事が出来た。それを駆使して彼女は齢19にしてアメリカで第二位の魔法少女に上りつめていたのだ。
そんな彼女が用いる攻撃が一切通じない。それは他の魔法少女次第だが大半の攻撃が通用しない事を意味していた。怪物を投下する輸送船は真っ先に撃墜しないといけない。でなければ怪物はどんどんと投下されて駆除が追い付かなくなるからだ。
「ところで、これらは魔獣とは違うのか?」
「はい。魔獣が放つ魔力が一切検知されていません。そのせいで初期行動が完全に遅れてしまったわけです」
「魔力がないのに魔獣並みの脅威の怪物か……。厄介だな」
今では当たり前となった魔獣を検知できる魔力レーダーは魔法少女や魔獣が発する魔力を探知できるのだが今回現れた怪物には通用しない事が分かったのだ。
「被害は現状ではどの程度まで広がっているのだ? 東海岸と言っても広い。現在分かっている詳細な情報が欲しい」
「……情報は錯そうしており確定で話せることは有りません。ですが、少なくともワシントン、ニューヨーク、更にはカナダオタワ近郊はこれらの存在を確認されています」
「東海岸主要都市はダメか……。それもアメリカどころかカナダもとなれば向こうの混乱は回避しようがないぞ」
「現在は市民の避難が優先で行われていますが一体どれだけの人が助かるのか……」
その時だった。モニターに映っている人の一人に誰かが近づき耳打ちをした。それをみたその人物は顔を青くしていた。
「……先ほど、モスクワ上空、つまり我々の頭上に同様の存在が出現した」
「何!? 大丈夫なのか?」
「分からん。だが、出現して僅か1分ほどでモスクワ全ての空が覆われたらしい」
その時、ザザ、とモニターにノイズが走り、通信が不安定になり始めた。
「どうした!?」
「……どうやら……通信妨害……もある……ようだ。気をつけろ……我々も……脱出を……」
「おい! 聞こえるか!」
「ああ……空が……飲み込まれている……。……まるで……地球……食われている……」
それを最後にモスクワからの通信が完全に途切れた。慌てて通信を再度つなげようと試みるがそのどれもが失敗に終わった。
アメリカに続きロシアの陥落。その事実はこの場の誰もを戦慄させる情報だった。
「……アメリカとロシアに救援を送るべきだ」
「いや、まずは情報を集める事が優先だ! あれがどれだけの脅威かは分からないが地球全体を覆う事が出来るのならばいずれ地表は暗い大地と化すぞ! その前に撃墜方法を調べなければ!」
「その前に投下される怪物の駆除が先だろ!」
ロシアとの通信途絶後、会議は紛糾した。誰だってこの非常事態に置いて最善の方法など分からないのだ。魔獣とは勝手が違う異質な敵を前に方針は二転三転し、これ以上決まる事はなかった。
———2055年。非常事態宣言が全世界に向けて発令。魔獣とは違う宇宙からの脅威が迫ってきている事が発表された。
———連合軍総司令部及び魔法少女委員会はこれらの存在を【プライマー】と呼称し、東海岸とモスクワを覆う6角形の物体を【アースイーター】と命名した。
———魔獣をほぼ駆逐した人類の次なる目標はこのアースイーターを撃墜し、空を取り戻す事にあるとされた。
これらの情報が広がると同時に全世界の魔法少女たちに緊急招集がかけられた。特にアメリカやロシアでは訓練中の新世代の魔法少女まで駆り出される事となった。
そしてロシアでは第一次モスクワ奪還作戦が発令された。連合軍10万人、ロシア所属の魔法少女200人が参加する大規模なものとなったがアースイーターにはどんな兵器も魔法も通用せず、次々と投下される怪物、蟻だけではなく蜘蛛に似た生物や蜂のような姿の巨大生物の並に失敗、壊滅することとなる。
連合軍だけでも死者は2万人、負傷者多数、魔法少女も50人が命を落とす結果となった。
この攻撃後、アースイーターはモスクワを中心に次々と宇宙より飛来し、その領域を拡大させていった。
更にその数日後にはロンドン上空にも飛来。ブリテン島の南半分を瞬く間に飲み込んでいったのである。その勢いはあまりにも早く、イギリスはまともな抵抗も出来ずに壊滅することとなった。
そこから半月後にはギリシャを中心とするバルカン半島にも飛来し、現地の連合軍と魔法少女は防衛に失敗し壊滅することとなった。以後バルカン諸国では防衛が出来ない為にドイツをはじめとする欧州諸国が救援に向かう事となった。
たった3か月ほどの間に人類は魔獣対戦時と同等の損害を出し始めていたのである。そして、これがまだまだ序の口に過ぎないことは誰の目から見ても明らかであり、人類は少しずつ絶望の中に沈み始めているのだった。