魔女ノイナイ魔女裁判   作:テラウラ

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ラベンダーの咲かない夏 Part3

「……びしょびしょだ」

 

大雨に打たれずぶ濡れのまま、私は地面を見下ろして呟いた。

 

それは夜に降った雨のせいではない。

 

 

発端は、朝のナツミの提案だった。

 

「みんなの親睦を深めるために、ゆる野球やるでー!」

「ゆる野球?」

 

私は朝食のベーコンを頬張りながら聞き返す。

 

「みんなでグラウンドでゆるーく野球やろーって話や。

 塁間も短めで、三回制で!」

 

ナツミはそう言って、目をきらきらさせながら周囲を見回した。

 

「わたくしは構いませんわよ。腕がなりますわね……!」

「私野球のルール詳しくないんだけど……」

「あたいも運動苦手~」

「あたしも~」

 

乗り気なダイヤとは対照的に、リンリ、ヤヒメ、ハイジは揃って微妙な顔をしている。

 

「そ、そこをなんとか……!

 ポムちゃん誘ったんやけど、早速断られてもうて……」

 

ナツミが必死に頼み込む。

 

「ポムちゃん、野球帽被ってるから野球好きかなーって。

 一緒にみんなで野球やって、ちょっとでも元気出してもらおー思たら、断られてもうて……」

 

そう言ってがっくりと肩を落とす。

どうやら冗談半分ではなく、ナツミなりに本気でポムのことを気遣っていたらしい。

 

「それでもせっかくやから、仲良くなるって意味でもみんなで野球やろーって思たんやけど……」

 

落ち込み混じりの言葉に、場の空気が少しだけ和らぐ。

 

「あぁ、なんかみんな仲良し作戦とか言ってたしね。別にいんじゃない?」

「……まぁ、そういうことだったら別に……構わんけど。

 でもあたし運動苦手だよ……?」

 

リンリとハイジが、しょうがないなと言った風な視線をナツミに送りながら言った。

 

「私も得意じゃありませんけど……参加するくらいなら……!」

「……一番ボールが来ないポジションをお願いするわ」

 

イリスとノクスがそう言うと、ナツミは首をぶんぶんと振る。

 

「全然! 全然ええよ! 了解や!

 運動苦手な子は、それぞれバランス良くチームに振り分けるから!

 とりあえずウチとダイヤちゃんがリーダーで分かれて、ええ感じにするから!」

 

「わたくしがリーダーですの? まぁ、悪い気はしませんが……」

 

「ウチとダイヤちゃんは魔法的にも強すぎるから、それぞれ分けとこ思て。

 ほな、運動苦手な子、挙手~!」

 

そして手を挙げたのが、イリス、ヤヒメ、ミサ、ハイジ、ノクス、ライトの6人だった。

 

「結構おるな……」

 

ナツミが思わず漏らすのも無理はなかった。

 

最終的にその6人を3人ずつ振り分ける形で、

ポム以外まさかの全員参加による6対6のゆる野球をやることになったのだ。

 

チーム分けは、ナツミチームが、私、イリス、マリー、ハイジ、ライト。

ダイヤチームが、シロ、リンリ、ヤヒメ、ミサ、ノクス。

 

ルールは三回制、守備位置は投手と捕手、一塁、二塁、三塁に外野が一人。

魔法の使用は一人一回まで。わりと何でもアリのゆる野球。

 

「じゃ、一応全員の寿命視るね。

 あ、死なないからって怪我しないとは限らないから、過度な球とか禁止!」

「あくまでもゆる野球やからな、ゆる。ダイヤちゃん頼むで」

「なぜそこでわたくしですの!?」

 

ハイジがそう言って、万が一の事故防止のために全員の寿命を視る。

 

「……はい、大丈夫」

「じゃあ……プレイボールや!」

 

 

──以下、試合の模様はダイジェストでお送りする。

 

 

「! 当たった!!」

 

シロの打ったボールはピッチャーナツミの横、三塁側の足元をころころと転がる。

ぱっと顔を明るくさせたシロは何故かバットを持ったまま三塁へ全力で突進する。

 

「ぎゃああああ!?」

 

三塁を守っていたハイジが悲鳴を上げて慌てて逃げる。

 

「逆やで~シロちゃーん!」

「……え?」

 

ナツミは笑いながら拾ってそのまま一塁の私へと送球し、シロはアウトになる。

 

 

──スパァン!

 

魔法は一回切りで常には使えないとはいえ、魔法無しでもかなりいい球を投げるダイヤ。

それもかなり良いコントロールをしている。

 

「はっや……!?ミサ大丈夫……?」

「……最初は捕るの難しかったけど、練習して慣れた。あとストライク」

 

リンリが思わずキャッチャーのミサを心配するほどの投球だった。

 

「ライトさんとキャッチボールをして肩を温めてましたので、絶好調ですわ!」

「ちょっとライト何やってんのー!」

「ふふ、敵に塩を送っちゃったかしら♪」

 

ハイジのツッコミにも余裕そうに笑うライト。

 

 

「ぜ、全然当たりません!?」

 

バットを振るというよりバットに振り回されているイリス。

 

「イリスちゃーん、バントやバント!」

「こ、こうですか……!?」

 

ナツミの言葉を聞き、腰が引けつつもバットを構えるイリス。

だが無情にも、ダイヤの球はその構えたバットのわずかに上をすり抜けていく。

 

「これで三振ですわね。またの挑戦、お待ちしていますわ」

「うう……次は棒に当てます……!」

 

イリスは悔しそうにしながらも、どこか楽しそうだった。

 

 

「ナツミちゃ~ん、これあり~?」

 

ヤヒメが、どこから持ってきたのか分からないおもちゃのバットをぶんぶんと振っている。

 

「う~ん……まぁバットやし、ギリあり!」

「ありがと~。普通のバット重くて~」

「でもそれ全然飛ばんで~?」

 

そう言いながら、ナツミはひゅっと甘い球を投げる。

すると──

 

──パァン!

 

子供がおもちゃの剣を振り回すように振られたバットに当たった球は、

かなりの速さで跳ねながらとナツミの横を抜けていく。

 

「うっそ……!?」

「当たった~」

 

そのままのんびりとした動きで一塁へと向かう。

 

「【物質強化】……!?」

 

私は思わず呟く。

 

「なるほど。強化されていて硬い、尚且つおもちゃ特有の軽さも備えていて

 鋭くて早いスイングが出来るというわけね」

「そんな難しいこと考えてないよ~? 軽くて振りやすかっただけ~」

 

ライトの言葉に、一塁ベースの上でヤヒメは首をかしげる。

 

とんだ伏兵がいた……。

 

 

ノクスがバッターボックスへ出てくると、それを見計らったようにライトがマウンドへ上がる。

ライトはナツミに何か囁いてから、そのままナツミは捕手に回った。

 

ライトの一球目は……球は速くなく、70キロ前後。

ノクスはそれをじっと観察するように見送る。

 

次の球もほぼ同じ軌道……今度はノクスはバットを振り、当てる。

わずかにコースが甘くなり、三塁線の外へ切れてファウルになる。

 

おそらく次でノクスに完全に分析され、きれいに打ち返されるだろうと誰もが予想していた。

 

三球目の前、ライトはポケットに指を入れる。

ナツミはその動きを見逃さなかった。

 

次の瞬間、小さな正方形の紙がライトの指先に現れる。

 

「――封印、解除♪」

 

――バァンッ!!

 

空気を裂くような衝撃音と共に、ミットが大きく跳ねた。

 

「っ……!?」

 

ノクスの目がはっきりと見開かれる。

 

「痛っつ~! ストライク、バッターアウト!

 ナイスやで~ライトちゃん!」

「ありがとうナツミちゃん、よく捕ってくれたわ。

 ……ふふ、やっとノクスちゃんに一泡吹かせられたわね♪」

「い、今のは……?」

 

私がライトに尋ねる。

 

「試合が始まる前、ダイヤちゃんに『魔法を使って投げてみて』ってお願いしただけよ。

 この紙をグローブに添えながらね」

 

と、【封印】の紙を取り出す。

 

「【身体強化】の魔法が乗った剛速球という物体・現象を封印して、それを取り出した……?」

「正解♪ダイヤちゃん、快く投げてくれたわ」

 

私の言葉に、楽しそうにライトは答えた。

 

「なっ……それでキャッチボールを申し出たんですの……!?」

 

ダイヤはわなわなと震えている。

 

「……してやられたわ」

 

ノクスの悔しそうな表情に、ライトは満足げに笑った。

 

(ライトちゃん、めっちゃノクスちゃんに対抗意識燃やしてたんやな……)

(自分の魔法、ここまであけすけに晒すほどだし……)

 

私とナツミは顔を見合わせて呟いた。もちろんライトには聞こえないように。

 

 

打席はナツミの番。ダイヤの投げる球の癖も少しずつ掴んできているらしい。

ナツミは呼吸を整え、軌道に合わせてバットを振った。

 

──カン!

 

球の芯を捉え、打球はぐんぐん伸びて、外野を守っていたノクスのすぐ手前に落ちる。

 

「しゃあっ」

「……っ」

 

ノクスはすぐに反応し、転がる球を拾い上げると迷いなくダイヤへ送球した。

速度は速くなく、ノクスの投げる球ではダイヤまでは届かない距離だ。

 

「ノクスさん、しかと受け取りましたわ!」

 

だがダイヤは一歩前へ出て、送球を途中で受け取ってそのまま体勢を整える。

そしてミサがミットをしっかりと構えているのを見て、ここ一回きりの魔法を使う。

 

――ビュン!!

 

空気を切り裂くような剛速球が一直線にホームへと向かう。

 

──スパァン!

 

乾いた音と共に、ミサが確実にそれを受け止めた。

 

ちょうどその瞬間、ホームインしようとしていたライトが動きを止める。

 

ミサが一歩踏み込んでライトにタッチし、小さく呟く。

 

「……アウト」

「……やるじゃない♪」

 

ナツミは一塁で立ち止まってホームを見ながら叫んだ。

 

「ライトちゃんどんまいやでー!」

 

「ふう。リベンジは……できたみたいですわね」

「……ええ。ありがとう」

 

ダイヤとノクスは静かに笑った。

 

 

このアウトで、ナツミチームは1点、ダイヤチームは2点の三回裏ツーアウト。

この回が最終回で──打席は私の番。

 

ナツミは自分自身を指さしてから、

私に『とりあえず振れ』とばかりに、軽くスイングの真似をしてみせた。

 

(……なるほど)

 

私が打って塁に出るか、内野を抜ける程度で良い。

その瞬間に【時間停止】の魔法を使って、一塁からホームまで一気に走って同点に持ち込むつもりだろう。

『塁間短めで』って言ってたのはこのためか……。

 

「ダイヤ~、ナツミ魔法使う気だよ~」

「ええ、忠告感謝ですわ」

 

一塁のリンリがダイヤにアドバイスをする。

ナツミをけん制する素振りを見せながらも、次の瞬間には私へと意識を戻す。

 

――ビュッ。

 

内角低め……思わずバットを止めたくなるコース。

 

「……ボール」

 

ミサの声が淡々と響く。

 

続く二球目。

 

――シュッ。

 

今度は外……しかもほんのわずかに遠い。

 

(……露骨に打たせる気、ないな)

 

三球目。

 

ダイヤは少しだけまたナツミをけん制する素振りを見せてから、

わずかに呼吸を整えてから──投げる。

 

(来る……)

 

私はバットを握り直し、思い切って振る。

 

――カン!

 

芯は外れた──が、ボールは内野と外野のちょうど境目へ転がる。

 

「っし!」

 

ナツミが一塁で笑ったと思ったら──ナツミの姿が消える。

 

次の瞬間、既にナツミはホームイン直前だった。

ボールは外野のノクスの手にあり、どう考えても間に合わない。

 

そしてナツミはそのまま悠々と歩いてホームベースに足を下ろした。

 

「はい、同点ー!」

 

ナツミは両手にガッツポーズを作る。

するとノクスはダイヤへと送球し、ダイヤは迷いなくミサへと送球した。

そしてミサがそれを捕り、ミットをナツミへと当てる。

 

「……アウト。ゲームセット」

「……へ?」

 

ナツミがきょとんとしている。

 

「ミサちゃ~ん、いくらなんでもそれは通らんで~」

 

冗談めかして笑いながら言うナツミに、

ミサは無言でちょんちょんとホームベースを指さした。

 

すると──ホームベースの上、ほんの1cmほどが氷で覆われていた。

気付かれにくいようになのか、表面にはご丁寧に少しだけ土がかけられている。

 

「な、なんやこれ!?」

「ナツミが踏んだのは"氷"。ベースには触れていない」

 

淡々と言うミサの言葉を聞いた数秒後……。

 

「いやいやいやいや! さすがにズルいて!!」

「【凍結】の魔法を使ったのはこの一回きりだから」

「見えへんように土被せてたの、悪意あるて!!」

 

なんだか揉めているような雰囲気に、両チームのメンバーがわらわらと集まってくる。

 

「ミサさんは何もルールを破っていませんわよ?」

「でもこれ、走塁妨害じゃないかしら?」

「いえ、今回提示されたルール上では何も問題はないはずよ」

「ホームベースがある位置を踏んだんだし、ホームインって扱いでは?」

「そのベースに触れてないんだから無効じゃない?」

 

意見が真っ二つに割れ、今にもスクラムが始まりそうな雰囲気だった。

だんだんと収拾がつかなくなってきている。

 

するとハイジがぽつりと呟く。

 

「なんでも良いけど、そろそろ一時間経つから……。

 なんか雲行きが怪しくなってきてるけど、

 それ以上の身の安全は保障できんよ、あたし……」

 

その言葉を聞いて、ナツミが何かを閃きにやりと笑う。

 

「せやなぁ、一時間経つもんなぁ。

 じゃあ乱闘になる前に、こっちも最終兵器を出そか……。

 マリーちゃーん!」

 

そう言ってナツミはマリーを手招きする。

 

「はーい!」

「ごにょごにょ……」

「わかったー!」

 

その直後──

 

 

──ドザァァアアアア!!!

 

 

いきなり土砂降りの雨が降り注ぐ。

叩きつけるような大量の水がグラウンドを一瞬で飲み込む。

 

「うわっ!?」

「うおおおおおい!!」

「ちょ、ちょっと!?」

「……マリー!?」

 

地面は一気にぬかるみ、全員がずぶ濡れになりながら慌てて屋根のある方へと駆け出す。

大雨に打たれながら、ナツミは満面の笑みで両手を広げて……。

 

「悪天候により! 5回まで行ってへんから!! ノーゲームや!!!」

 

──そう高らかに宣言した。

 

 

 

「……びしょびしょだ」

「でも楽しかったね~!」

 

シロはそう言って、くしゃくしゃになったハンカチを取り出して顔を拭いた。

 

「風邪引いたらどうすんのよもう」

「とりあえずシャワー浴びよ~」

 

リンリとヤヒメは濡れた髪を絞ってから部屋へと歩き出す。

 

「汗も流せて、乱闘も止めれて、マリーちゃんも天気の練習できて、一石三鳥や」

「えへへ~」

「……ゴネて同点か、ゴネが通らず負けかをノーゲームに出来たんだから、一石四鳥ね」

 

ミサが皮肉たっぷりに返す。

 

「全く……予備の紙を置いてきて正解だったわね」

「抜かりないな……」

 

やれやれと言った風のライトを見て、思わずぼそりと私は呟く。

 

「……出来れば、最後までやり切りたかったですわね」

「そうね。決着はつけたかった」

 

ダイヤとノクスはほんの少し沈んだ表情をしていた。

 

「でも、楽しかったです……!」

「まぁ、そうだね」

「……楽しかったのは、否定しない」

 

イリスの言葉にリンリとミサが同意する。

 

本当なら――

あの魔法で存分に活躍できたはずのポムも

一緒に参加できていれば、もっと賑やかだったかもしれない。

 

そんなことをふと思ってしまう。

 

(……次があれば、かな)

 

時計を見ると、時間はちょうどお昼時だった。

 

「いっそ大浴場行こうかなあたし」

「私はシャワーでいいわ」

「そのまま昼ごはんやな」

「着替え、急がないと~」

 

濡れた服のままみんな三々五々に散っていく。

 

勝敗はつかなかったけれど、親睦を深めるという目的は達成できたはずだ。

そう思いながら、私は濡れた髪を押さえて自室へ向かった。

 

 

「……ところで、カンチョーの返答はまだですの?」

「今のところは音沙汰無しね。今日に限って見かけもしないわ。

 いつも無駄に飛び回っているくせに」

「隠れてんちゃう? よっぽど都合が悪いことなんかな」

 

昼食のために食堂へ向かうと、既にシャワーを浴びて着替え終えた面々がいた。

 

「マキちゃ~ん! 一緒に食べよ~」

「うん」

 

その面々に混じって食事をしているシロがこちらに向かって手を振る。

私は昨日に続いてまたもやカレーが載ったトレイを持ってシロの隣に腰を下ろす。

やっぱり夏野菜カレーよりも普通のカレーの方が好きだ。

 

「ポムちゃんも参加すれば良かったのに~」

「そうですわね。午後からはわたくしが遊びに誘いましょうか」

「あ~ダイヤちゃんでもどやろなぁ。朝ウチが野球誘ったときは、

 『ナツミが一人で訪ねて来るの怖いからドア開けたくない』って言われてもーて……」

「まぁ魔法的に分からんでもない」

「なんでやねん!?」

 

リンリの一言に即座にツッコむナツミ。

どうやらポムは想像していた以上に参っているようだった。

 

「では、二人以上で訪ねればよろしいのではなくて?

 どなたか一緒に来てくださる方はいませんこと?」

 

とダイヤは言い、みんなの顔を見回した。

 

「私遊びに行きた~い。マキちゃんもどう?」

 

と、シロがダイヤと私の顔を交互に見る。

 

「うん、全然良いよ。一緒に行こう」

 

ポムのことも気になっていたので、断る理由もなかった。

 

「ゲストハウスって三つあったよね。ポムってどこに泊まってんの?」

「正面から見て、一番右の『地精の間』だよ~。両隣に挟まれてるの、何となく嫌なんだって~」

「自分の泊まってるゲストハウスの隣に誰か泊まられるのも嫌ってこと? 相当参ってるね……」

 

リンリが肩をすくめて言った。

 

「ウチがまた行っても怖がらせるだけかもしれんしな、三人とも頼むで~」

「テレビあったし、何かゲームとか持っていこうかな」

「あ、それ良いね~。娯楽室のゲーム持ってこ!」

「たまにはインドアも悪くないですわね」

 

そんなやり取りをしながら、私はカレーを食べ終えてトレイを片付けた。

 

 

ダイヤ、シロ、私の三人で、ポムが泊まっているというゲストハウスにやってきた。

インターホンを押すと、元気のなさそうな声色のポムが出た。

 

『……何?』

「ポムちゃーん、遊びにきたよ~! ゲームも持ってきたの!」

「良かったら一緒にやらない?」

「食堂のデザートも持って参りましたわ~。みんなで少しだけ……いかがかしら?」

『……』

 

少しの沈黙のあと、カチャリ、と音がしてドアがわずかに開く。

チェーンがかかったドアの隙間越しに見えたポムの顔は、かなり疲れ切っているようだった。

 

「……三人?」

「私とマキちゃんとダイヤちゃんで来たよ~」

「デザートはプリン。みんなで食べよ」

「……」

 

すると、少しの沈黙のあとにチェーンが外され、ドアがゆっくり開かれた。

 

「……じゃあ、少しだけ」

「ありがとう」

「お邪魔しまーす!」

「失礼いたしますわ」

 

私たちはゲストハウスに入る。

 

中はさほど変わっておらず、小さな丸椅子が持ち込んであるくらいだった。

 

「プリン、冷蔵庫に入れておくね」

「娯楽室にあったゲームだよ~。なんか見たことないソフトもあるね~」

「……うわ、これ懐っつ。よくやってたな~……」

「わたくし、ゲームはあまりやったことありませんの……良かったら教えてくださる?」

「……うん、これかなりやり込んでたから」

 

そう言うと、ゲーム機をテレビに繋げてソフトを差し込む。

ゲームの起動音と共に、画面いっぱいに色々なキャラクターたちが映し出された。

 

「この何%っていうのが吹っ飛びやすさで……ステージの外へ落としたら勝ちって感じ」

「なるほど……体力制ではないのですわね?」

「そうそう……まぁ、適当にボタン押してても技出るから」

 

そう言いながらポムはキャラクター選択画面で迷いなく一人を選ぶ。

 

「(……すごい使い慣れてそうだな)」

「私このキャラにしよ~」

「わたくしはこの力の強そうなゴリラにしましょうか」

「……ふふっ」

 

ダイヤの言葉に思わずポムが笑う。

 

「じゃあとりあえず、四人対戦で」

「よ~し!」

「負けませんわ~!」

「……」

 

ポムはゲーム開始のカウントダウン画面を真剣に見つめている。

そしてゲームが開始した直後──

 

「ちょ、早っ!」

「う、動きが全然違いますわ!?ああっ、わたくしのゴリラが!」

「吹っ飛ばされたー!?」

「あ、その場所危ないよ」

 

その隙にポムのキャラクターが画面内を縦横無尽に動き回り、連続攻撃を叩き込む。

気が付いたときにはポムだけが一機も減らさないまま、私たち三人はボッコボコにされていた。

 

「あ、圧倒的すぎる……」

「……ごめん、最初は手加減なしでやろうかなと思って……」

「確かに手加減はしてほしくはないのですが、流石に勝てる気がしませんわね……」

「じゃあ次は残機3、アイテム有りで3vs1でやろう」

「良いね~!」

 

そこからしばらくはvsポムという名のレイドボス戦が始まった。

 

「シロ! 遠距離から飛び道具お願い!」

「おっけー!」

「ダイヤ! Bボタンで腕回して溜めてて!」

「了解ですわ!」

「まずはシロから……」

 

ポムの低い声と共に、シロのキャラがパンチで吹っ飛ばされる。

 

「は、はやすぎ……!?」

 

連続で畳みかけようとしてるところを、私がアイテムを持って割り込む。

 

「……!」

「……よし、もうちょい!」

 

タイミングを合わせてアイテムを投げつけると、

待機していたダイヤゴリラの方へとポムのキャラが弾き飛ばされた。

 

「……あっ、やば」

「ダイヤ!」

「ウ゛ゥ゛ン゛!!(重低音)」

 

パンチがポムのキャラにクリーンヒットし、場外へ吹っ飛ぶ。

三人とも残り一機のギリギリのところで、ようやくポムの残機を削ることができた。

 

「ダイヤちゃんナイスー!」

「これは……なかなか気持ちいいですわね……!」

「……こっからは一切喰らわん」

 

ポムはそう宣言し、その言葉通りに残った一機を三人まとめて容赦なく吹っ飛ばしていった。

 

「け、結局ポムの独壇場だったな……」

「でも、一機倒せたよ!」

「成果としては上々ですわ!」

 

ポムはリザルト画面を見つめながら、ふっと肩の力を抜いた。

 

「……ふぅ」

 

 

「次はどのゲームやる~?」

「これとか、面白そうですわ」

「……それ、やったことない」

「じゃ、やってみようか。私はやったことあるよ」

「やろやろー」

 

次はレースゲームをやることになったのだが──

 

「これは、得意なやつかもしれませんわ!」

「お~ダイヤちゃん速ーい!」

「……コ、コントロール効かない……」

 

ダイヤが一位でフィニッシュし、続いて私、シロ。

そしてほぼ周回遅れでポムが最下位を走っていた。

 

「……」

「あ、ポムちゃん! 逆走になってるよー!」

 

ポムは少し不貞腐れた様子でコースを逆向きに走り始める。

 

(いたなぁ、拗ねて逆走しだす友達……)

 

懐かしい光景に私は思わず苦笑する。

だがその様子を見て、ダイヤがポムに向かってぴしゃりと言い放った。

 

「ポムさん。最後までやり切るべきです。

 いくら結果が悪くとも、「最下位」と「リタイア」には天と地ほどの差があるんですの」

 

一瞬、ポムの操作が止まる。

 

「負けた、というのは──戦った、という証なのですから。

 途中で投げ出すと、その証すら残りません」

 

「……」

 

逆走していたポムだったが、

その言葉を聞いてくるりと向きを変え、正しいコースへと戻っていく。

 

「……完走、する」

 

その言葉通りにポムは最後まで走り切った。

 

結果は最下位だったが──

ゴールの演出が流れた瞬間、ダイヤが拍手をする。

 

「素晴らしい走りでしたわ!」

「……ありがと」

「どういたしまして。次は勝ちを狙えばよろしくてよ」

 

少し照れた様子のポムに、ダイヤが返す。

 

「次はショートカット教えるよ」

「……頼む」

「マキちゃん、私も~」

「ちょっと、それはズルではありませんこと!?

 わたくしも初心者ですわよ!?」

 

ダイヤの抗議も虚しく、次のレースはそのままスタートした。

 

だんだんと操作に慣れてきたポムが無駄のない走りで見事に一位を取ったり。

 

「……いける」

「おおー! 今の完璧じゃない!?」

「や、やりますわね!」

 

逆に、ものすごいアイテム運に恵まれたシロが

よく分からないまま一位になったり。

 

「またキノコ出たー!」

「シロ、なんかずっとアイテム強くない!?」

「運も実力のうち、ですわね……」

「納得いかん……」

「やったー!」

 

順位はめちゃくちゃで勝敗も安定しない。

けれどその分、部屋の中はずっと賑やかだった。

 

 

「……うわ、もうこんな時間」

 

腕時計を見ると、18時30分。

ゲームに没頭している時の時間の溶け方は凄まじい……。

 

「ご飯時ですし、そろそろお開きにいたしましょうか。

 ポムさん、ご一緒にいかが?」

「……いや、冷蔵庫にいっぱいあるからいい」

「たしかに、プリン置く時ちょっと置き場所に困るほどギュウギュウだったな……」

「たまには一緒に食べようね~」

 

シロがそう言うと、ポムは小さく頷いた。

 

「……また、機会があれば」

「約束ね!」

 

「じゃあ、今日はここまでだね」

「お邪魔しましたわ」

「また来るね~!」

 

ポムは少しだけ迷うように立ち尽くしてから口を開いた。

 

「……今日は、楽しかった」

 

「私も」

「うん!」

「ええ、同感ですわ」

 

ドアが閉まる直前、ポムは一度だけこちらを見て軽く手を振った。

 

「さて、食堂に参りましょうか」

「あ、私娯楽室にゲーム戻してくる~」

「あら、そうですわね。一応共用のものみたいですし」

 

娯楽室にゲームを戻したあと、食堂へ向かおうと部屋を出たとき、

売店にハイジとイリスがいるのが見えた。

何やら怪訝そうな顔をして何かのグッズのようなものを見ている。

 

「……どう思う?」

「え、ええと……買いは、しません……」

「だよね……」

 

「何やってるの?」

 

私がそこへ声をかける。

 

「あ、マキ。これ……どう思う?」

 

そうしてハイジが指さした先には、

カンチョーを模した電子ペットのようなものがずらりと並んでいた。

 

「な、なんですの……この妙にセンスのない物体は……」

「あ、カンチョーが昨日言ってたヤツじゃない?」

「……あぁ、なんか電子ペットが何だの言ってたな……」

 

どうやらリモコン操作で動いたり光ったりする仕組みらしい。

頭を撫でても録音されたボイスがいくつか流れるみたいだ。

 

ハイジが試しに頭をそっと撫でる。

 

『はぁ……今日も残業ですねぇ……』

『今月は春闘です……』

『おちおち休憩も出来ません……』

『残業代、出ませんねぇ……』

 

喋るたびにカンチョーの顔が青く光り、やけにブルーなボイスばかりが流れる。

 

「こちらまで気分がブルーになってきますわね」

「誰が欲しがるのこれ?」

「さぁ……?」

 

すると突然、

 

『絶対に許さんぞ虫ケラども!

 じわじわとなぶり殺しにしてくれる!!』

 

「うわっ!!」

 

急に顔が赤く光り、迫真のボイスが流れる。

 

「び、びっくりした……。レアボイスか……?」

「いい加減キレたんだろうね、職場環境に」

 

そう言いながらハイジは無言で思いっきり頭をなでなでしまくる。

 

『ファー……ブルスコ……ファー……』

「……」

『ファー……』

「……」

 

するとハイジが突然カンチョー人形の首元のあたりを横から思い切りチョップする。

 

『モルスァ』

 

そんな言葉を残しながらカンチョー人形はすごい勢いで飛んで行った。

 

「ハイジ!?」

「いやなんかキモかったから……」

 

壁に当たって床に転がったカンチョー人形から、中の黒い四角の端末のようなものが出ている。

 

「あ、壊れた……」

「カンチョー、それ150万円って言ってたよ……?」

 

その言葉を聞いた途端、ハイジがカンチョー人形のように青い顔になる。

 

「ひゃ、ひゃくごじゅうまん!?冗談でしょ!?こんなのが!?」

「いや、あのトリが勝手に言ってるだけだと思うけど……」

 

その瞬間──

 

『……経費で落ちません……』

 

床に転がったままの瀕死のカンチョー人形がかすれた声で呟いた。

 

「しゃべった!!」

「今しゃべりましたわよ!?」

「止めて下さい! 心臓に悪いです!?」

 

みんな反射的に後ずさる。

 

『……減価……償却……』

 

最期にそう言い遺し、カンチョー人形は二度と喋ることはなかった。

 

「……」

「……」

「……見なかったことにしよ」

 

「そうだね……」

「それに賛成だ……」

「ですね……」

「うん……」

「ですわね……」

 

みんなの意見は驚くほど一致していた。

 

ハイジはそっと割れた人形と黒い端末をカウンターに置く。

 

「……食堂、行こっか」

「うん……」

「早く行きましょう……」

 

 

さっきのことは忘れようと、

私たちは示し合わせたように足早に食堂へ向かった。

 

中へ入ると──

 

なんとそこにはカンチョーがいた。

 

しかもすでに何人かに囲まれ、何やら普通に会話をしている。

 

(た、タイミング良すぎだろ……)

(み、みんな、さっきのこと黙ってて……! お願い……!)

(承知しましたわ……!)

 

アイコンタクトだけで即席の沈黙同盟が結ばれる。

 

「……というわけで、『生物室』にはあまり近づかないようお願いします。

 あ、それと……空丸マリーさん、昨日は雨、ありがとうございました。

 ……何故か今日の昼頃にも降っていましたが」

 

そう言い終わるとカンチョーは、

話は済んだと言わんばかりに翼を広げて羽ばたいて食堂を出て行った。

 

私たちはそれぞれ夕食をトレイに盛り、

先ほどまでカンチョーと話していた面々の近くに腰を下ろす。

 

「さっき何の話をしてたの?」

 

私が尋ねるとライトが答えた。

 

「昨日ノクスちゃんがカンチョーに訊いていた件よ。

 【魔女】のことは教えられないけど、【魔女化】についての詳細なら教えられる、って。

 スマホの項目に追記すると言っていたわね」

 

その言葉を聞いて、私はスマホを確認すると──

 

 

 

【魔女化】

魔法少女が強いストレスによって異形へと姿を変えることを言います。

 

魔女化による精神的な症状の特徴として、強い殺人衝動や被害妄想、自我の喪失などがあります。

 

身体的特徴として、異形化があります。

魔女化による異形化はまず指先から始まり、爪が伸び、手、腕、肩へと広がっていきます。

その変化が胴体に達した時点で、異形化は全身へと波及します。

頭部が変質する頃には下半身にも変化が及び、最終的に足先にまで至ります。

 

魔女化による異形化が始まると、『不死性』を獲得します。

 

魔女化が進むと、自身の元々持っていた魔法がより強力なものになります。

 

 

 

「まぁ、だいたい予想していた通りね。

 大まかな部分は初日にカンチョーが言っていたことと同じ。

 細部までは伏せられていたけど……」

 

ライトは静かに言葉を発す。

 

「【魔女を殺す薬】について具体的な説明はなかったけれど……。

 この魔女化についての説明を見る限り、用途はほぼ限定されるわね」

「どういうこと?」

 

シロが首を傾げて尋ねると、ライトは答える。

 

「もし犯人が魔女化してしまったら……不死性があるから処刑できないでしょう?

 そのために【魔女を殺す薬】なんてものを用意したんじゃないかしら。

 そしてその説明書きをノクスちゃんに見つけられてしまった……そういうことじゃない?」

 

「不死性……カンチョーがちらっと言ってたやつか……」

 

私はカンチョーの言葉を思い出す。

 

『そもそも、犯人が"不死性"を持つ魔女となった場合も想定済みでして……。

 そういった場合の"措置"もちゃんとございますので、ご心配には及びません……』

 

(それって、この薬のことだったのか……)

 

「……それで、『生物室』がどうって……?

 あのさっむい部屋だよね……」

 

ハイジがおそるおそる尋ねる。

 

「……影津アテナの遺体を保管しているから、むやみに立ち入らないように、ですって」

「……」

 

ハイジが言葉に詰まる。

いや、それだけじゃなく……その場の空気が一段と冷える。

 

「遺体は特殊な箱に入れられて、見た目は生前とほとんど変わらないほどだったわ。

 殺菌や、エチレンガスを除去するオゾン発生装置も備えている……らしいわね」

 

「え、見たの……?」

 

「さっきカンチョーから注意されるよりも前にね。

 魔女を殺す薬とやらがないか探している最中に生物室を覗いてみたら、

 そこにアテナちゃんの遺体が安置されているのを見つけたの」

 

その言葉を聞いて、シロがぽつりと呟く。

 

「……あの部屋、そういうことだったんだ……」

「……遺体安置所……」

 

初日にシロと一緒に見た部屋のことを思い出す。

 

「……ふぅ、食事中に話すことじゃなかったわね。

 まったく、空気の読めない九官鳥よねぇ」

 

ライトが少しでも落ち込んだ空気を和らげようとぽつり呟く。

 

「……あのトリが空気読めたことなんて無かったからね」

「それな」

 

私の言葉にハイジが間髪入れずに同意する。

 

「やはり吹っ飛ばしておいて正解でしたわね」

「そうだね……」

「なんのはなしー?」

 

ダイヤとシロの言葉にマリーが反応する。

するとハイジが慌てた素振りを見せる。

 

「あ、ちょっと! しーっ! しーっ!!

 ここ食堂! 人多いから!」

「……はっ!」

 

ダイヤがはっとして慌てて口を押さえる。

 

「……何のことかは分からないけれど、

 聞かなかったことにしておきましょう♪」

「た、たすかる……」

 

そんなやり取りの中で、

さっきまで張りつめていた空気はようやく元に戻り始める。

 

私は改めてトレイに目を落とし、

少し冷めかけたスープをもう一口すくった。

 

 

 

 

(今日は大浴場に行こうかな)

 

夕食を終え、部屋に戻るとふとゆっくり湯に浸かりたい気分になる。

 

(シロ誘お)

 

スマホでシロにメッセージを送ると、すぐに返ってきた。

 

『いくいく~』

 

メッセージを受信すると同時にインターホンが鳴る。

 

(はや……)

 

ドアを開けると、そこにはもうタオルを抱えたシロが立っていた。

 

「準備ばんたーん!」

「用意良すぎでしょ」

「えへへ~」

 

その笑顔を見て、

さっきまで胸の奥に残っていた重たい感覚が少しだけ薄れた気がした。

 

今日は何も考えず、ただ湯に浸かろう。

 

そんなふうに思いながら私はシロと並んで歩き出した。

 

 

「ふぅ……」

「ぶくぶく……」

 

湯気の向こうでシロがわざと口まで沈んで泡を立てている。

私はそれをぼーっと見ながら、肩までお湯に浸かった。

ふと、ゲストハウスの中の事を思い出す。

 

(ゲストハウスって、シャワーとかお風呂無かったよな……。

 ポム、お風呂どうしてるんだろ)

 

流石にずっとあのまま入ってないってことはないだろうし、

気を見てホテルに戻っているのかもしれない。

 

「マキちゃーん、のぼせてない~?」

 

シロがこちらを覗き込んでくる。

 

「ん、大丈夫。ちょっと考え事してただけ」

「考え事しながらお風呂入ると、のぼせやすいんだよ~?」

 

そんなことを言いながら、シロはまたぶくぶくと沈んでいく。

 

(一人で部屋から出るの怖いから行けてないとか、ないよな……)

 

……いや、あの様子を思い出すと全く無いとも言い切れない。

ポムのお風呂事情が急に心配になってくる。

 

(明日、一緒にお風呂行こうって誘ってみようかな。

 あと……またゲームもしよ)

 

そんな他愛のない予定を胸に浮かべながら、

私もシロの真似をして、ぶくぶくとお湯の中へ身を沈めた。

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