魔女ノイナイ魔女裁判   作:テラウラ

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私のすべてが0になる Part3

ハイジが残りのページをぱらぱらとめくるが、どこまでいっても真っ白だった。

本当に三日目で飽きたらしい。

 

「……まとめると、この日記を書いた人物は運営側の内通者で、

 私たちの中に紛れ込んでいる可能性が高い。

 私たちがコロシアイをすることを望んでおり、それに干渉しているような行動も窺える。

 そして何らかの方法で、私たちの魔法の詳細もあらかじめ把握している。

 ……これがあなたの言っていた"運営側に繋がる情報"ということかしら?」

 

ノクスは気を取り直すようにカンチョーに問いを投げかける。

 

「……」

 

カンチョーは少しの間沈黙する。

そして、こちらの顔を順番に値踏みするような素振りをしたあと答えた。

 

「……ええ。まぁ、そう受け取って頂いても構いませんよ。

 少なくとも、私が皆さんにこの研究所を調べるよう勧めた理由の一つではあります」

 

その言葉に、思わずみんなはお互いの顔を見回した。

 

「じゃあやっぱり……この中に、運営側の人がいるってこと……?」

 

シロは不安そうに呟く。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!

 今更この中に内通者がいるなんて明かすの、どう考えても不自然でしょ!

 私たちを疑心暗鬼にさせて、仲間割れさせるための罠なんじゃないの?」

 

リンリがまくし立てるように声を荒らげると、

カンチョーはやれやれとでも言いたげにため息を吐き、羽を下げた。

 

「あなた方が信じようが信じまいが、どちらでも構いませんので。私に詰められても困ります。

 今の私の頭にあるのは、さっさと施設案内を終わらせて、

 少しでも昼休憩の時間を確保したいということだけです。

 ……あ、もう正午回ってますね……」

 

そしてわざとらしく羽をすくめるカンチョーに対し、ノクスは追及を緩めない。

 

「じゃあ、この魔女の本はどういう意図で置いているの?

 日記と筆跡を照らし合わせると、ほぼ一致するわ。

 もはや同一人物が書いているとしか考えられないけれど」

「……えー、それはですねぇ……」

 

途端にカンチョーの顔が微妙に歪んだ。

日記について話していた時とは明らかに違う、なんとも歯切れの悪そうな顔だ。

 

「……なんや、急に気まずそうなツラになって。

 そっちの本は何か都合の悪いことでも書かれとるんか?」

「明らかに、日記の内容の方が重要そうなのにね……」

 

ナツミとシロが顔を見合わせ、カンチョーの不審な態度に疑惑の目を向ける。

 

「……ま、良いじゃないですか、そちらの魔女の本については。

 皆さまを楽しませるための、ちょっとした小噺のようなものだと思っていただければ」

「……やっぱり、お前らが置いてたんだな」

 

私が睨むと、カンチョーはあからさまに話を打ち切るように資料室の出口を羽でさす。

 

「それよりも、先ほどの"監視室"と違ってここは今後も自由に出入りして頂いて構いませんので。

 資料の精査や考察などは、施設の案内がすべて終了してから存分にやっていただいても?

 いい加減、そろそろ案内を再開したいのですがねぇ」

 

「……私は今すぐにでも解読したい資料が山ほどあるのだけれど」

 

「いつでもここに戻って来られるのでしたら、

 一旦最後まで全体を見て回ってからでもよろしいのでは……?」

 

「せやな。どうせ一時間や二時間粘ったところでどうにかなる量ちゃうしな」

 

「んー……ま、他の場所にも手がかりとかあるかもしんねーし」

 

イリス、ナツミ、ハイジの言葉に、ノクスは少し考えたあと、渋々といった様子で頷いた。

 

 

◇化学室

 

「では続きまして、こちらが化学室です」

 

カンチョーが化学室の扉を開ける。

 

中へ足を踏み入れると、微かに薬品めいた独特の匂いが鼻をついた。

 

壁際には医務室で見たような薬品棚があり、

部屋の中央には大小さまざまな分析機器のようなものが設置されていた。

 

複雑な配管が接続された箱型の装置や、透明なケースに覆われた精密機械……。

ここまで設備が揃っていると、もはやどこかの大学や研究機関にある最先端の実験施設といった印象だ。

 

「薬品類には不用意に触れないでくださいね。危険なものもありますので」

「誰が好き好んで触るかいな……」

 

薬品棚を羽で指すカンチョーに、ナツミが引きつったような顔で呟く。

だがノクスは早速、棚に並ぶ薬品のラベルを一つずつ確認し始めていた。

 

「んーやっぱり慣れないわね、こういう医務室とかの化学系のにおい」

「私も……苦手だな」

 

リンリも置かれた器具を興味なさそうに眺めながら呟き、私も同感だと小さく頷いた。

 

そんな中、イリスだけが突然ぴたりと足を止めた。

 

「……!」

「イリス? どしたの急に固まって」

 

ハイジが首を傾げるが、返事はない。

 

イリスの視線は、化学室の最も奥まった一角に設置された、

周囲の分析機器とは明らかに毛色の違う装置へ釘付けになっていた。

 

それは重厚な金属製の筒を中心とした、何とも奇妙な機械だった。

およそ二、三メートルほどの太い円筒の周囲を無数の配線や配管が取り巻き、

一定の間隔で取り付けられた円環状の部品が、筒全体を覆うように連なっている。

 

「……なんだ、あれ?」

 

私が呟くより早くイリスは吸い寄せられるようにトコトコと歩み寄り、装置の前へとかがみ込んだ。

 

「こ、これは……!

 次世代高輝度ハドロン衝突実験装置……!?

 まさか、これほどまでに精密に小型化されているとは……!」

 

装置の架台に取り付けられた仕様書を見たイリスが、今まで見たことがないくらい目を大きく見開く。

 

「……なになに? 何それ?」

 

シロがぽかんとする。

 

すると待ってましたと言わんばかりに、イリスが勢いよく振り返った。

 

「粒子を光速近くまで加速させて衝突させることで、物質の根源的な構造を解析する装置です!」

「……へぇ~(棒)」

「なるほど……超伝導磁石によるビーム集束系を極限まで縮小し、

 陽子衝突モードと重イオン衝突モードの双方に対応させているのですね……!」

「……はにゃ?」

 

イリスはハイジやナツミの反応などお構いなしに、装置の側面へ顔を近付ける。

その目は爛々と輝いている。

 

「これは素晴らしいです……!

 実物と比較すれば極めて小規模な実証模型に過ぎませんが、

 この設計思想を大型加速器へ応用できれば、

 ヒッグス粒子の自己相互作用や稀崩壊過程の精密測定はもちろんのこと、

 標準模型を超えた新物理の探索──さらにはクォークグルーオンプラズマの熱化過程や、

 低スケール量子重力仮説に基づく極微小ブラックホール様事象の検証にまで、

 全く新たな可能性を切り拓けるかもしれません……!」

「…………」

 

次々と飛び出す単語の羅列に、私とシロは口を開けたまま呆然と立ち尽くすしかなかった。

 

「……マキちゃん、今の分かった?」

「……ブラックホールがどうたらって部分しか耳に残らなかった」

「私も!」

「むぅ……お二人とも、もう少し科学のロマンに興味を持っていただきたいものですね……」

「っていうか、なんでンな大層ものが化学室なんかにあるのよ……。

 明らかに置く場所間違えてるでしょ……」

 

私とシロのやり取りが聞こえていたらしく、イリスは心底残念そうに眉を下げた。

リンリも怪訝そうな顔で装置を見つめる。

 

「ですが、本当に美しい設計です。

 これほど小さなスケールで、ここまで加速器としての構造を再現しているなんて……」

「……勝手に起動させるのは止めて下さいね。かなりの電力を消費してしまいますので」

「はいぃ~……」

 

愛おしそうに装置へ視線を戻すイリスに、カンチョーが釘を刺すように注意する。

 

「でも動くんだな、これ」

「ええ。模型とはいっても、単なるハリボテではありません。

 規模こそ小さいですが、実際に粒子を加速させて衝突実験を行うことは可能ですよ」

「へぇ……」

 

カンチョーからそう説明されたところで、やっぱり私には凄さがピンとこない。

一方、イリスはその言葉だけでまた目をキラキラと輝かせていた。

 

「実際に……!」

「ですから起動させないで下さいね」

「し、しませんってばぁ……!」

 

その会話を断ち切るように、部屋の反対側からノクスの声が響いた。

 

「ねぇ。この薬品棚のビンはどういったものなの?」

 

私たちが振り返ると、ノクスは壁際に設置された薬品棚の前に立っていた。

棚は大きく三つに区切られており、それぞれに『A』『B』『C』と書かれた札が付けられている。

 

Aの棚には栄養剤やサプリメント、プロテインなどが並んでいた。

Bの棚にはいかにも化学室らしい試薬類がずらりと並んでいる。

ノクスはCの棚を指差していた。

 

「えー、Cの棚には劇薬や致死性の毒薬など、特に取り扱いに注意が必要なものをまとめています。

 ビンごとに薬の性質などがラベルに書かれていますので、ご参考までに」

「ど、毒薬……!?」

 

私は思わず上擦った声を上げてしまう。

確かにCの棚には、AやBの棚よりも明らかに厳重そうな容器が並んでいた。

 

「……これ、他のものより随分と分かりやすく危険表示されているわね」

「ああ、それですか。その中でも特に危険な毒薬ですね」

 

ノクスがガラス越しに薄い水色の液体の入ったビンを見つめると、カンチョーが棚の前まで飛んでくる。

 

「特にって、具体的には?」

「皮膚へ少量付着した程度ですぐどうこうなる類ではありませんが、

 体内へ入ると非常に危険です」

「体内……?」

 

シロが不安そうに聞き返す。

 

「吸い込んだり、口や鼻から摂取したり、傷口などから入った場合ですね。

 即効性が非常に高く、短時間で致命的な状態になります」

「……う」

 

私は思わず瓶から少し距離を取った。

 

「なので、絶対に飲食物へ混ぜたり、空気中へ散布したり、

 液体を染み込ませた布などを人の口元へ押し当てたりしないようにしてください」

「…………」

「…………」

「……なんで今、具体的な使い方みたいに説明したん?

 殺し方の例にしか聞こえへんかったで」

 

ナツミがじとっとカンチョーを見る。

 

「い、医務室にはそのような物騒なものは無くて安心していたのに……!

 このままにしておくのはまずいですよ!」

「せやせや危ないて。今すぐ全部ほかすで!」

「……いえ、捨てたところで機を窺って必要とあらばまた補充するだけですよ。

 それに、薬の原料にもなるものも混ざっていますので勝手に破棄するのは止めて下さい」

 

慌てるイリスとナツミを制止するようにカンチョーはぴしゃりと言い放つ。

 

「別に、そこまで騒がなくてもいいんじゃない?

 誰かが本当に使ったなら後から見れば分かるでしょ。

 封が切られてたり、中身が減ってたり、そういう痕跡が残るんだから」

 

そんな中、リンリは腕を組みながらCの棚を眺めていた。

 

「あー……なるほどな。まあ、たまに状態を確認しとけばええん……か?」

 

ナツミも少し落ち着きを取り戻し、改めて棚を見る。

 

そして『【不死】の魔法持ちは余裕そうで羨ましいのぅ』とハイジがぼやくと、

それを皮肉と捉えたのかリンリがハイジを手で軽く小突いた。

 

「ですが、毒があるということが分かってるだけでも、まだ良い方かもしれませんね……。

 何も知らないまま誰かに使われるよりは、よっぽど警戒できますし……」

「うーん、言われてみればそうかも……」

「……確かに、その通りだね」

 

イリス、ハイジ、シロはまだ不安を拭いきれない表情のまま、小さく頷いた。

ノクスはCの棚へ視線を走らせながら、静かに口を開く。

 

「じゃあ、少なくとも今の段階での配置と残量はしっかり記憶しておいた方がいいわね。

 万が一、何か変化があればすぐに見抜けるように」

「わ、分かった……ちゃんと頭に叩き込んどく」

 

ハイジが引き締まった顔で力強く頷いた。

 

「……じゃ、そろそろ化学室はよろしいですかね?

 はぁ、ようやく最後の区画を案内出来ます……やれやれですねぇ」

 

カンチョーは露骨に疲れた様子で化学室を出ると、そのほとんど正面にある扉へと向かった。

 

 

◇前室

 

【挿絵表示】

 

「ここが『前室』です。この建物の中心部分にある区画の一部、と言ったところですかね」

 

私たちはカンチョーに続いて中に入る。

 

そこには、これまでの部屋とは違って設備らしい設備がほとんどなかった。

あるのは壁際にぽつんと置かれたソファや観葉植物くらいだ。

白を基調とした簡素な内装も相まって、まるで病院の待合室のような空間だった。

 

室内には、いま私たちが入ってきた扉の他に出入り用らしき扉が一つ。

そして奥の区画へ続いているらしき自動ドアが一つ。

その自動ドアの左側には、小さなモニターが壁に埋め込まれるように取り付けられている。

 

「この前室は、奥にある『最奥室』へ向かう為の、いわば玄関のような場所です。

 特に何をするという場所でもなく、これといって何かが置かれているわけでもありません」

「わざわざ建物内にこんな部屋を作るだなんて、その最奥室というのはよっぽど重要なのかしら?」

「そうですね。まぁですが、奥へと続くドア自体には特にカギなんかもなく、誰でも自由に出入りできますよ」

 

ノクスの問いにそう返したカンチョーは、自動ドアへ近付いていく。

 

「このモニターはどこに繋がってるの?」

 

シロが自動ドアの左側に取り付けられたモニターを指差して尋ねた。

 

「もちろん、この先の最奥室です。インターホンみたいなものですね。

 この前室側から呼び出しボタンを押すと、最奥室側へ通知されます。

 そして最奥室にいる方が通話ボタンを押して応答すれば、

 こちらの画面に最奥室側の映像が表示され、

 ビデオ通話のようにお互いの顔を見ながら会話ができます」

「ふーん……」

 

シロが興味深そうに画面を覗き込む。

そんなシロを気にするでもなく、カンチョーは自動ドアの前に降り立つと、機械音を立ててそのドアは開いた。

 

 

◇空気清浄室

 

「そして、ここが空気清浄室です」

「空気清浄室……? 何のための部屋なんだよ」

 

開かれた自動ドアの先には、細長い通路のような空間が伸びていた。

壁の左右には、大きさの違う無数の吸気口らしき格子が並んでいる。

まるで巨大な空気清浄機の中に入り込んだかのようだった。

 

そして細長い一本道の通路の奥には、さらに次の区画へ続く自動ドアが見える。

 

「ここは文字通り、空気を清浄するための部屋です。

 壁に大掛かりな除染装置が設置されていますね。

 この先の、『毒ガス室』から出た有毒ガスが外部に漏れないようにするためです」

 

カンチョーは通路の先の自動ドアを羽で指す。

 

「……あのさ、地図見た時から気になってたんだけど、その"毒ガス室"って何なんよ。

 今までずっとツッコむの我慢してたんだけどさ……」

 

ハイジが空気清浄室の入口まで後ずさりながら眉を寄せて尋ねる。

 

「こちらも文字通りです。室内に毒ガスを散布させるための部屋ですよ」

「よし帰る」

 

ハイジが迷いなく空気清浄室を後にしようとする。

 

「ちょっ……待ちなさい!」

「離してリンリ! あたしにはまだ買ったまま積んでる未プレイのゲームがいっぱいあるんだよぅ!

 それと邪道王子★むちむちプリンスがぁ!」

「大丈夫ですよ。今はこの中央区画の全ての物騒な機能がオフになっていますので。

 間違っても毒ガスが散布されるなんてことはありません」

 

カンチョーが呆れたように言う。

 

「……ほんと?」

「本当です。施設案内中に皆さんをまとめて毒殺してどうするんですか」

「お前らやったらやりかねんから聞いとるんやろ……」

 

ナツミがじとっと睨む。

 

「……じゃあ、念のため私から行く」

 

私はそう言って、空気清浄室の奥のドアへと歩いていく。

 

「あっ……そうしてくれると助かります」

 

カンチョーの横を通り過ぎ、私がドアの前に立つと、こちらも自動的にドアが開く。

 

「ひぁぁ!?」

 

ハイジが空気清浄室の入口まで後ずさり、半ベソでこちらの様子を窺う。

だが、私が部屋に入っても特に何も起こる気配がない。

 

 

◇毒ガス室

 

私は改めて部屋の中を見回す。

 

空気清浄室よりもひと回り広い、正方形の空間。

何より目を引くのは、四方八方の壁際にびっしりと設置された、

飛行機のジェットエンジンを思わせる装置だった。

 

「……これが、毒ガスの散布装置か?」

「はい。最奥室側から操作することで、好きなタイミングでこの部屋に毒ガスを散布したり、

 ほかにも空気清浄室側から侵入してきた物体を感知し、自動的に散布する……

 といった、セキュリティに特化した設定にすることも可能ですね」

 

私に続いて部屋に入ってきたカンチョーが説明する。

 

「ちなみに、散布時には有毒ガスが漏れ出るのを防ぐため、

 毒ガス室の前後の扉は自動的にロックされます。

 毒ガスの散布後、毒ガス室自体の除染が終了するまで、ロックは解除されません。

 散布時間はおよそ15秒で、除染時間は45秒といったところですかねぇ」

「……随分物騒ね。……みんな、大丈夫みたい」

 

カンチョーに続いてノクスが部屋に入ってくる。

 

「うう……なんだか毒ガスの残り香のようなものがまだ残っている気がしてきました……」

「ちょっとイリス……ほんとに気分悪くなってくるから止めなさいよ」

 

不安げに口元を押さえるイリスに、リンリが露骨に嫌そうな顔をする。

 

「何にせよあんまり長居したないで……あれ? ハイジちゃんどこ行った?」

 

振り向くと、ハイジは空気清浄室と毒ガス室の境目で半分だけ顔を覗かせていた。

 

「来なさいよ」

「し、しんじゃうううぅぅ!」

 

ずるずるとリンリに腕を引かれ、ハイジも毒ガス室へ強制的に収容された。

 

「だ、大丈夫みたいだよハイジちゃん。変な匂いもしないし……」

「うぅ……でも、急に誤作動とか起こしてガスがブシャー!! って出てきたら……」

「そん時は息止めながら出ればいいじゃない」

 

しれっと言うリンリに、カンチョーは思い出したように口を挟む。

 

「あ、それについて補足なんですが……。

 最奥室側で散布する毒性物質を設定すると、この装置が散布時にそれを超微粒子化し、

 強力な毒性のエアロゾルとして室内全体へ行き渡らせる仕組みになっています」

 

「へ?」

 

「ですので、単純に口や鼻を塞いで息を止めるだけでは一切防げませんよ。

 鼻や口の隙間だけでなく、目などの粘膜からも侵入しますので。

 完全に防ぐには、宇宙服レベルの装備じゃないと無理ですねぇ」

 

ばたばたと暴れるハイジの腕を掴んだまま、リンリはげんなりとした表情を浮かべる。

 

「……そもそも、何のためにそんな部屋があるの?」

「それは、次の部屋とセットで説明致します。

 この毒ガス室だけを見ても、本来の用途が分かりづらいでしょうから」

 

ノクスが問うと、カンチョーは毒ガス室のさらに先にある自動ドアを羽で指す。

 

「またロクでもない部屋なんじゃないでしょうね……」

「まぁまぁ。さ、ずいっと。ずずずいっと奥へどうぞ」

 

カンチョーが自動ドアへ近づくと、すっと扉が開いた。

 

 

◇パネル室

 

その向こう側の部屋を見た瞬間──

 

 

私は思わず足を止めた。

 

部屋自体はこれまでと同じ、白を基調とした正方形の空間。

天井は4メートルほど上にあり、

その天井付近に空気清浄室のものほど大型ではないが、細長い吸気口が左右の壁にあった。

 

だが何よりも私の目を引いたのは──

 

 

 

部屋の床だった。

 

 

 

全体の床が、三×三の九つの正方形のパネルに分割されている。

 

 

 

 

(私は──)

 

 

 

 

 

(この床を見たことがある……?)

 

 

 

 

 

「……ッ!」

 

目の奥が焼けるようにじくじくと痛む。

 

「ここは、まあ"パネル室"とでも言いましょうか」

「なんやこれ、どういう部屋なんや?」

「地図に描かれてた四角形って、この部屋の床のことだよね」

 

一枚がおよそ二メートル四方の大きさのパネル床を、ナツミとシロが足で踏みながら言う。

 

「このパネル室は、一つ前の毒ガス室と同じ──」

 

 

「拷問のために使われていた部屋です」

 

 

そのカンチョーの言葉に、みんなの動きが止まった。

 

「最奥室で設定することにより、特定のパネルに高圧電流を流すことが可能となっております。

 昔は毒ガスやら電気やらで拷問するために使われていたんですね。

 これらの部屋はその名残です」

「ごごご拷問!?」

「電流やてぇ!?」

 

シロとナツミはほぼ同時に、パネル室入口のマス目が無い床へと飛び退く。

 

「……一体誰を、何の目的で拷問していたの?」

 

ノクスが鋭い眼光と共に質問を投げかける。

 

「…………」

 

カンチョーはぴたりと動きを止めた。

 

そして少しの沈黙を挟んだあと、静かに話し始める。

 

「……この島に無理矢理連れてこられた、魔法少女たちです。

 拷問によって極限の精神的苦痛と肉体的苦痛を与えて強制的に魔女化を促し、

 その過程でその少女が持つ【魔法】をより強力なものへと変化させるためです」

「……えっ」

 

頭がずきりと痛む中、その言葉に私は思わず声を漏らす。

 

「そ、それって……まるで今の私たちのことですよね……?」

「ちょ、ちょっと……冗談よしてよ……」

「……一体誰がそんなことをしていたの?」

 

イリスとリンリの顔がみるみると青ざめる。

その中で、ノクスは更に踏み込んだ質問をする。

 

 

 

「……"魔女"ですよ」

 

 

 

「……魔女……?」

 

 

「……しかし、それももう遠い昔の過去の話です。

 月日が流れるにつれ、この拷問施設の周囲にも様々なものが拡張、増設されましてねぇ。

 セキュリティモードが新たに追加されたり、先ほどご覧いただいた宿泊部屋が増設されたりしたわけです。

 何にせよ、今すぐこの部屋で皆様方を拷問するような予定は一切ございませんので、ご安心ください」

 

そう何事もなかったかのように言い捨てながら、

カンチョーは三×三のパネルの先にある、まるで銀行の巨大金庫のような金属扉の前へと舞い降りた。

 

「ま、魔女とか拷問とか、いきなり次々とそんなこと言われても困るんだけどぉ……?」

「そ、その拷問された方々は、その後どうなったんですか……?」

 

ハイジが怯えた声を上げ、イリスが青ざめた顔で恐る恐る問いかける。

 

「さあて、何せ随分と昔の記録でございますので、私どもも詳しい末路までは把握しておりません。

 拷問ののち、見事魔法が開花、あるいは強化された暁には、

 魔法の更なる研究のために実験台にされたり、軍事利用のために兵器として売却されたり、

 あるいは──」

 

カンチョーはこちらを一瞥し、言葉を濁す。

 

「……ま、私が知ってるのは、それが何度も繰り返されてきたことと、

 実験台となった者の魔法の影響で、島の中で季節が分かれてしまったということくらいです。

 では、そろそろ最後の部屋をご案内してもよろしいですかね?」

「……」

 

カンチョーは厳重な扉の右横に取り付けられたボタンを羽で指す。

だが、皆は一様に口を閉ざしていた。

 

私はその中で、さっきよりも強い頭の痛みに襲われていた。

 

 

(……ぐ……っ!!)

 

 

 

なにか

 

おもいだしたくないことを

 

おもいだしそうな

 

 

 

 

 

 

『痛い』

 

 

『痛い』

 

 

『痛い』

 

 

 

 

『熱い』

 

 

『熱い』

 

 

『熱い』

 

 

 

白い衝撃が私を襲う。

 

蹂躙のあと、また黒い世界に戻される。

 

そんな光景が私の頭の中を掠めては消えていく。

 

 

 

 

「……マキちゃん、大丈夫……?」

 

すぐ隣からシロの声がした。

 

「……っ、……う……ん」

 

私は顔を上げようとする。

けれど膝が震えて上手く身体に力が入らない。

 

「……マキ、しっかり。

 あんな胸糞悪い話を聞かされたら、気分が悪くなるのも無理はないわ」

 

ノクスも私の様子に気付いたらしく、近くまで歩み寄ってきた。

 

「大丈夫か? マキちゃん、肩貸そか?」

「いや……平気だ」

 

私は頭痛を振り払うように頭を振る。

 

(……今のは何だったんだ。

 ただ気分が悪くなっただけ?

 それとも─)

 

「……では、最奥室の扉を開けますよ」

 

私の思考を遮るようにカンチョーが口を開いた。

そして扉の右横にあるボタンへ添えていた羽をそのままぐっと押し込む。

すると少し間を置いて、巨大な金庫の蓋を思わせる分厚い扉がこちら側へ向かってゆっくりと動き始めた。

 

「おっそ」

「えらい重そうな扉ね……」

 

ハイジとリンリが少しずつ開かれていく扉を眺めながら呟く。

 

「実際、かなりの重量と密閉性がありますからねぇ。

 このパネル室にも一応、空気清浄機は備わっているのですが、

 先ほどの空気清浄室ほど強力な性能ではありませんので。

 毒ガス室から漏れたものが最奥室にまで流れ込んでこないよう、厳重な扉になっております」

 

カンチョーが説明している間にも、じわじわと扉が開かれていく。

30秒ほどで外開きの巨大な扉はようやく完全に開き切り、その緩慢な動きを止めた。

 

扉の向こうに広がる空間を全員が覗き込む。

 

 

◇最奥室

 

「こちらが本日最後のお部屋となっております」

 

まるでホテルのベルスタッフのように、羽を広げてカンチョーは入室を促す。

私はゆっくりと中へ足を踏み入れた。

 

「……ここが、最奥室……」

 

部屋自体は今までと同じ、白を基調とした無味乾燥なデザインだった。

入って真正面の壁際一帯には大きな操作盤のようなものと、モニターが一つ埋め込まれている。

その手前、壁から少し離れた位置に、重厚な執務机とワークチェアが置かれており、

まるで社長室や執務室のような雰囲気だ。

 

インテリアとして、観葉植物や棚、隅には掃除機や消火器などもあった。

キッチンやトイレなども備わっており、一見すると不自由のない部屋に見える。

 

だが──その整った家具や備品の配置とは対照的に、

部屋のあちこちには大きな段ボールが積みあがっている。

 

「……何か、引っ越し途中なのかな? って感じの散らかり方だね……」

「そうね、最奥室だなんて仰々しい名前の割には妙に生活感あるわ」

 

シロとリンリが部屋の中をきょろきょろと見回す。

私も二人と同じ印象を抱いていた。

 

中央の執務机とは別に、部屋の入口のすぐ横の壁際にも机が備え付けられている。

その机には卓上コンロや茶葉、コーヒーのパック、菓子類。

作りかけのプラモデルに、接着用らしきアセトン、ラッカー塗料……。

 

さらには、色とりどりのブロックで組み立てられた小さな兵隊らしき人形まで置かれている。

それも完成品ではなく、その周囲には使われなかった黄色いブロックが何個か転がっていた。

 

「うわ……あたしのPC部屋のサイドテーブルくらい汚ぇ……」

 

雑多な物で埋め尽くされた机の上を見ながらハイジが呟く。

 

そしてその机の壁には、小さなモニターが取り付けられていた。

 

「……あ、もしかしてこのモニターでさっきの前室と会話するの?」

「はい、その通りです。ここで応答すればお互いの顔も確認できますよ」

「なるほど……」

 

シロは小さなモニターと、その真下の机を見比べる。

もし前室側と通話することになれば、

この散らかり放題の机の上まで、普通に画面へ映り込みそうだった。

 

「……見渡す限りでは、どれも生活用品ばかりね」

 

ノクスが段ボールの中身を確認する。

私も横から覗き込むと、中はインスタント食品や菓子類、娯楽用の小説や漫画本などが詰め込まれていた。

 

「誰かがつい最近まで、ここに住んでいらっしゃったのでしょうか……?」

「……うん。今の今までここに居たって印象だ」

 

イリスの言葉に私も頷いて同意する。

 

まるで、ついさっきまでここで生活していた誰かが、ふっとこの部屋から姿を消したような──

そんな不気味な生活感が、部屋の中を支配していた。

 

「……えー、では。最後の部屋の説明だけしておきましょうかね。

 ここは先ほど案内した宿泊部屋と同じく、普通の生活部屋みたいなものです」

「いやどこが普通やねん!?この部屋入るまでに何個扉ある思てんねん!」

 

しれっと言い放つカンチョーに、ナツミが容赦ないツッコミを叩きこむ。

 

「元々、この部屋から毒ガス室やパネル室で行う拷問のシステムを制御していただけですからねぇ。

 昔は首塚や処刑場だった場所に、今では普通に住宅地が立ち並んでいるようなものですよ。

 まぁ、あんまり気にしないでください」

「その割には現役バリバリで人殺す機能残ってるじゃないのよ……」

 

リンリが呆れたように言う。

 

「ちなみに、パネル室の設定なんかはそちらの操作盤から行います。

 セキュリティモードに切り替えると、そこで『パネルの順番』を設定できるんですよ」

 

「パネルの順番……?」

 

カンチョーが操作盤に取り付けられたモニターを羽で指しながら説明する。

 

「セキュリティモードにすることで、パネル室にある九枚の床パネルを、

 この制御盤であらかじめ設定した特定の順番で踏まなければ、

 踏んだパネルに即座に高圧電流が流れる仕組みにすることも可能なのです」

 

画面には、さっきのパネル室を真上から見下ろしたような図が表示されている。

 

 

ゴール

 

⑦⑧⑨

④⑤⑥

①②③

 

スタート

 

 

「『スタート』が毒ガス室側。『ゴール』が最奥室側の扉ですね。

 詳しい設定方法はこちらから確認できますので」

 

そう言ってカンチョーが画面端の液晶を押すと、モニター上に説明文が表示される。

 

 

『①・②・③のパネルのいずれかを始点に、お好きな順番でルートを設定してください。

 次に設定できるのは、最後に設定したパネルの上下左右に隣接するパネルのみです。

 同じ数字のパネルを二度以上設定することはできません。

 ⑦・⑧・⑨のパネルのいずれかを設定すると、そこでルート設定は終了します』

 

 

「設定が完了した時点で、セキュリティモードは作動します。

 以降、何者かが設定された順番とは異なるパネルを踏むと、

 これまたこちらで設定しておいた数値の電流が踏んだパネルに流れ、

 パネル室の出入り口も自動でロックされる仕組みです。

 違うルートを通ると即、人間が黒焦げになるレベルの電流を流すことも可能ですよ」

 

「え、えーっと……? つまりどういうこっちゃ?」

 

パネルの設定画面の説明を見て、ナツミが眉を寄せる。

 

「ものすげー簡単に言えば、スマホのパターンロックみたいに

 下から上まで一筆書きで線を引けってことじゃね?

 そんで、順番間違えたら電流ビリビリ……」

 

要領を得ない風のナツミに、ハイジが数字の表示されたパネルを指でなぞるように言う。

 

「概ねそういうことですね。

 最も単純なもので、②→⑤→⑧や、

 複雑なもので、①→④→⑤→②→③→⑥→⑨、のような感じです」

「……なるほどなぁ」

 

ナツミがようやく仕組みを理解し、納得のいったように呟く。

 

「もっとも、あくまでもこちらはパネル室でのセキュリティ。

 これに加え、手前の毒ガス室でも連動してセキュリティが作動する仕組みです。

 空気清浄室側から入ってきたものをセンサーが感知すると、

 毒ガス室の前後出入り口の扉をロックし、

 その後、自動的に設定された毒ガスを室内へ散布します」

 

「じゃあ……毒ガス室とパネル室の二重のセキュリティってこと?」

 

シロが恐る恐る尋ねる。

 

「はい。万が一、宇宙服などで全身を防護して毒ガス室を突破したとしても、

 その後には高圧電流のパネル室が待ち構えているというワケです」

「もう"人間ぶっ殺しゾーン"とかに名前変えたら?」

 

ハイジが遠い目をしながら言う。

 

「散布する毒性物質はこちらから注入してください。対応しているのは液体状のもののみですよ」

 

カンチョーは操作盤の右横に取り付けられた、

容器と充填口が一体化したユニットを羽で指し示す。

 

「こ、ここに毒を入れるのですか……」

 

イリスが露骨に嫌そうな顔をする。

 

「セットされた液体を散布装置側で微粒子化し、毒性エアロゾルとして室内へ噴霧します。

 先ほどの化学室なんかにあったものなんかがオススメですね。

 数百mlからでも散布でき、毒性によっては十分致死量となりますよ」

 

カンチョーは冗談めかしながら言う。

 

「そしてセキュリティモードを解除するには、こちらのボタンを押し込んでください。

 これを押すと、現在の状態のように毒ガス室の自動散布とパネル室の電流機能がオフとなります」

 

カンチョーは操作盤の左端に備え付けられた赤いボタンを翼で軽くぽちぽちと押してみせた。

 

「……なんでこんなに厳重なセキュリティなんだよ」

 

「オーナーが暇潰しで勝手に改造してしまったんですよ。

 元々はただの拷問用の毒ガス室と電流室だったんですけどね。

 後になって『せっかくなら侵入者対策にも使えるようにしよう』と、

 センサーやらロック機構やらを付け足していった結果が今の形ですねぇ」

 

「暇潰しでセキュリティガチにすんなや……。

 そんな暇人の元に誰が好き好んで訪ねて来んねんな」

 

ナツミが呆れた声を漏らす。

 

「セキュリティ重視なら、パネル室の全部の床に電流流せば良いだろ。

 何でわざわざ一筆書きの順番なんて回りくどい仕様にしてるんだよ」

 

「消費電力の問題でしてねぇ。床全体に致死電流を流すとなると、

 施設全体のヒューズが飛んでしまうらしく……。

 やむにやまれず、このようなセキュリティになったらしいですよ」

 

「行き当たりばったりすぎるだろ……」

 

私の質問に、カンチョーはやれやれと言った風に羽をすくめる。

 

「で、では、九枚すべてのパネルを、踏まれた時だけ通電させる設定にすれば良かったのでは……?」

 

イリスがおずおずと手を挙げて言う。

 

「それでは、侵入者だけでなく最奥室にいる者まで閉じ込めてしまいますからねぇ。

 そのため、最奥室側からの脱出を考慮して、その方式は取りやめになったんですよ。

 セキュリティモードを維持したまま最奥室から外へ出たい場合や、

 万が一、セキュリティモードそのものを解除できなくなる不具合が発生した場合などに備えて、

 非常用の脱出手段が用意されているんですよ」

 

「え……その脱出手段ってなんなん?」

 

ハイジが尋ねる。

 

「簡単ですよ。設定されたルートと"逆順"にパネルを踏んでいくだけです。

 例えば、入口側から②→⑤→⑧が正解ルートとして設定されている場合、

 最奥室側から脱出する際は、⑧→⑤→②と踏めば電流は流れない、というわけです」

 

「でもさ、それでパネル室を抜けてもその先には毒ガス室があんじゃん。脱出できなくね?」

 

「毒ガスの自動散布が行われるのは、あくまでも空気清浄室側から侵入された場合のみ。

 一方で、パネル室側から毒ガス室へ入った場合には、その自動散布は作動しませんので」

 

ハイジの疑問にもカンチョーは淀みなく答える。

 

「つまり、外から最奥室へ侵入しようとする者には毒ガスが作動する。

 けれど、最奥室から外へ脱出する者には作動しない、ということね」

 

ノクスが静かに整理する。

 

「はい、その解釈で問題ないですよ。

 最奥室にいる側を守るためのセキュリティですからね」

 

すると、ノクスは冷ややかな眼差しでカンチョーを睨む。

 

「……随分と懇切丁寧に教えてくれるのね。

 普通なら、わざわざ私たちに教える必要のない情報でしょう」

 

「それはもちろん──私の上の者も、次の殺人が起きるのを待ち望んでいますので。

 殺人の引き金になりそうな設備や道具については、いくらでも案内、説明する所存です」

 

「……っ」

 

「……それに私は基本的には、

 犯人となる魔女にとって不都合となる情報については、可能な限り閉口する次第でございます。

 ですので、どうぞ思う存分コロシアイを行ってください」

 

あまりにも悪びれないその物言いに、みんなは言葉を返すことができずにいた。

 

「……ふぅ、疲れました。

 これにて施設の案内は終了です。お疲れ様でした。

 あとは、この部屋のことをもっと詳しく調べるなり、他の部屋を見て回るなり、

 ホテルに戻るなり、各々ご自由になさって下さい」

 

カンチョーは部屋に置かれていた時計に視線を移す。

 

「……あ、もう13時……昼休憩が……」

 

そして、しょんぼりとした様子で最奥室から飛び去っていった。

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