「15話 魔女はドロップしてしまった!」と「
この話が「16話」となります。
「ウェヒヒヒ。まさかおじいちゃんから教わった技が役に立つなんて」
祖父からも、いまでは役に立たない古流の技と言われていたが、なんと異世界では役に立ってしまった。
むろん、肉体強化と反射神経強化のおかげもある。
「ウェヒヒヒ。まさに芸は身を助ける」
しかし、思った以上にその型は
異世界の小弓はそれほど質は良くない。
矢速は現代のアーチェリーなどから比べたらかなり遅かったのも幸いした。
なお、推しのアイドルの前で披露したことはなく、もっぱらモニター前で孤独に披露されていた。
「あ、大変」
胸に挟まった矢を取り出すと、矢の先には
これは羽斑が、胸の谷間に潜んでいる時の筒で、それが
決して、豊満な胸で挟んで防いだわけではない。
「ウェヒヒヒ。防御魔法とか作りたいな。
『びっくりした……』
羽斑は小さな身体を、ぷるぷると震わせながら
比較的冷静で、かつ無機的な性格の羽斑でも、自分の居場所が矢で貫かれて驚いたようだ。
「ウェヒヒヒ。渡したナイフ、なかなかの出費。本当に罰金だ、これ」
しかし、遺産のほとんどは親戚の成年後見人が行っているため、大きな引き出しや買い物は問題視され───。
「ないか。なるべくなら、関わりたくないって人だし。わ、私もだけど。ウェヒヒヒ」
社会的に成功しているが……いや、成功しているからこそ、
多少の散財ならば、見て見ぬふりをするだろう。
気を取り直し、
一本、罰金代わりに渡してしまったため、追加購入の申し込みだ。
文言は、無難に「とてもいいナイフだったので、友人にもプレゼントします。どうか追加で購入させてください」という内容を丁寧に記したものだ。
会話は苦手でも、手紙やメールの文面はとてもよく書ける。
テンプレを利用できるから。
たまにAIをつかって、書いてもらうこともある。
外付け会話補助AIとかあればいいのに、などと夢想する
「ウェヒヒヒ。あの森は、森をダンジョンにした中では一番出来が良かったのに……」
しかし、残念ながらその途中、森を所有する領主の私兵と遭遇してしまった。
普段、深い森の中心部に侵入することはないのだろうが、さすがに異変に気が付いて領主が派遣したのだろう。
なお森の名前は多数あって絞れないため、ラドヴィライティス公爵所有の森と呼称するほかない。
「大局では予定通り。……だけど、私が介入しにくい」
魔物化した動物たちと、その危険性を認識した国。
魔物は深い森から出て行かないし、普段は問題ないはずだ。
しかしリスクを無視して領主や国が本腰になると、一気に駆逐されるかもしれない。
「ダンジョンコアがある限り、まだ魔物が発生するからいいけど、一歩進んで一歩下がるの繰り返し……。きっと国も疲弊する……」
討伐側に大きなリターンがあればよいが、そうでないと兵が損耗するだけである。
かといって、大きなリターンがあっては、ちょくちょく討伐されることになってしまう。
「手を出させないようにするか、それとも……」
まだ魔法が普及していない現状では、魔物の死骸を魔法や魔法の道具の素材にするなどできない。
「う~~~~ん、どうしようか。ひとまず情報。周囲の確認をしてみよう」
森は東京二三区を軽く超える面積を誇り、ラドヴィライティスの六割を占める。
ラドヴィライティスという領主が住まう町は、それほど発展していない。
しかし、ラドヴィライティスの居住区は、ほぼ大田区一つが収まるほどの面積だ。
つまり、ラドヴィライティスの家と城と庭とそれらを支える施設は、領地の一割を占める。
というか、大田区って東京二三区の一割弱もあるんだ、羽田空港のせいか? と
「ウェヒヒヒ。さすが大陸。規模がでかい」
短期的には、移動手段の確保。長期的にはインフラの供与などを、視野に入れた方がいいだろうと脳内ToDoリストにメモした。
一応、
さきほどの森でも、数所へ出現できるだけだ。
東京二三区の五か所だけ、と言えばその間の移動距離の長さが理解できるだろう。
「ウェヒヒヒ。まさか異世界に自転車を持ち込むわけにも……」
異世界をママチャリで移動する自分の姿を想像し、「ないな」と
「……ゴーレムを移動用に?」
昨今のファンタジーで、どんな形でもゴーレムとして稼働させられるほど、超越者から貰ったゴーレムコアと演算装置は万能ではない。
人型から逸脱していくにつれ、パワーも挙動の精密さも欠けていく。
しかし、候補としてはありだ。
搭乗ロボットのようにはできないが、肩や頭に乗るなど可能だろう。
「まずは試作してみよう」
夕食前に済ませてしまおうと、