MISSION INFO
ベルガ魔導炉襲撃
▪︎COMBAT ZONE:ステナグラード地上層外郭部
▪︎OBJECTIVE:目標設備
▪︎REWARD:40,000UC
▪︎DETAIL:拠点襲撃/施設破壊
・ステナグラードの主要エネルギー生産施設の襲撃。
・発電設備の破壊及び敵部隊の制圧。
▶︎SGLFオペレーター
あなた方に受けてもらいたい依頼がある。
作戦内容は……ベルガ魔導炉の襲撃。
先日貴殿らの一人とレティシアお嬢様、そして指導者と装甲貨物列車襲撃部隊の皆のおかげで警備部隊に甚大な被害を与える事が叶った。
第六隊長と第三隊長の死亡。
その知らせは人々に希望を与えるに足るものだった。
……元々ステナグラードは塔の下格差なく人々が平等に、旧文明の人々が遺した遺物と魔導の恵みを享受し、共に北部より来たる魔獣共に対抗するための都市だった。
それを奴らは外部よりやって来たに関わらず私物化し、本来塔の主であった王族を地下深くに追いやり、多くの人々を弾圧した。
許されざる蛮行だ。
奴らも、そして奴らに手を貸し当時の塔主を裏切った貴族を名乗る者共も許しては置けない。
今こそ我々が都市を取り戻さなければならない。
正義を示す時が来たのだ。
この作戦はその為に必要不可欠なものだ。
元々は都市に恵みを与えるための施設であったベルガ魔導炉は都市の防衛設備を稼働させ、奴らを守り我らに立ちはだかる障壁の一つとなってしまっている。
それを破壊する。
先人の遺した人々の為の施設、それを破壊する……心苦しい作戦だがやらないわけにはいかない。
あなた方の助力が得られることを願う。
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天をも貫く白き山脈。
その側面を削り作られた、今は放棄された鉄道路線。視線を下方に向ければ真っ白な大地が一望できる。
そんな危険な崖っぷちを駆ける俺らが跨るは鋼鉄の馬。橘重工によって配備された移動装置『スレイプニル』。
魔力によって稼働し、地上より最大4mまで浮遊する事が可能。足が無いにも関わらず高速での移動を実現する最新型の魔導バイクだ。俺はそんな空飛ぶ白馬にシアちゃんと2人、相乗りしていた。シアちゃんのおっぱいをシート替わりにして。
仕方がない。こうでもしないと俺は風圧で吹き飛ばされてしまうのだから仕方がない事なのだ。それはそれとして役得ではあるがな。
「ブリーフィングは覚えているわよね?」
「ん、問題ない……ドローンも、持ってきた」
ハローステナグラード!
絶賛作戦行動中のレイちゃんだ。
解放戦線はどうも本格的な反抗作戦に出るらしい。
目標はブリーフィングの通りベルガ魔導炉。
ステナグラードの外郭に位置していながらこの都市を支える重要なエネルギー供給源だ。
そこを叩けば現在都市で稼働している防衛設備を停止できると踏んでのことだろう。都市内部にも予備電源があるから全ては無理だろうが……まあ、ある程度の打撃を与えることができるだろうさ。
「130秒で有視界エリアに突入数する。警備部隊は瞬時に出てくると思え!」
「第五だろ?出てくるまでに15分はかかるんじゃないか?」
「油断するなよ。いつも通りやろう」
今回の作戦に参加するのは俺とシアちゃんだけではない。解放戦線の面々と彼らに協力する傭兵が幾人か参加する大規模な作戦だ。
同時進行で別の作戦も進められてるって話もある。本格的に解放戦線は都市を取りに行くつもりなんだろう。
第六と第三を落とし、更に橘重工からの支援を得られたとはいえ……それで警備部隊を抑えて都市を落とせるなんて考えは甘いとしか言いようがない。
が、俺はあくまでただの傭兵。
たとえ懇意にしてもらっているシアちゃんが解放戦線の指導者である『ジャスパー・ランフォード』の実の妹であったとしても注意を促す権限も理由もない。
……うん。びっくりしたよね。
シアちゃん幹部どころかもっとすっげぇお偉いさんだった。
ジャスパーの方は実際に目にして「ああ、こいつかぁ!」ってなったがシアちゃんはTS以前もあったことがなかったからな。全然気づかなかった。よくよく見れば目元とか結構似てるものだなぁ。
「いくつかのトラックが出入りしたって情報がある。敵も新型を使ってくると思え」
「橘の戦争屋共め。ま、指揮官は変わらねぇんだろ。バカに高いおもちゃ持たせたって意味はねぇ」
今作戦での俺の役目はいつも通りのサポートだ。
だが今回は直接魔法を使っての支援ではなく、先日手に入れた魔道具を使ってのサポートだ。
鳥型警備ドローン。
地下にて鹵獲した40㎝くらいの小型自律ドローンを改造した一品だ。偵察から機銃による攻撃、そして自爆特攻まで。多様な使い方ができるかなりの高性能。
重量の関係で今回は4機ほどしか持ち込んでいないが、例の不審者さんのおかげでかなりの数を鹵獲することができた。
俺は今回それを使用して戦場の情報を収集する。
オペレーター的な奴だな。
……コミュ障すぎて無理だろって?
簡単な情報伝達くらいできるが!?
そもそもコミュ障なのは俺じゃなくてこの魔女の体だ!あの夜俺を殺しに来たときはずいぶんと饒舌だったが、無理をしていたんだろうな。そう思えば可愛いものだ。
───っと、お客さんが来たようだ。
「……魔導反応、確認。南東より多数」
「来やがったな塔の犬ども!」
「予想よりずいぶんと速い出迎えだな」
「総員警戒!迎撃するわよ!」
「っ、まって……後ろからも」
前方より多数の魔導反応。
そして後方から巨大なモノが一つ。
「小型飛行戦艦!?」
「随分と豪華なお出迎えだな!」
「撃て撃て撃てー!」
後方から姿を現したのは鋼鉄の空飛ぶ船。
その装甲に描かれているのは警備部隊第五隊長のエンブレム。
銀色に光り輝く悪魔は、多数の砲台を乗せて此方を殲滅せんと迫りくる。
「第五隊長か………!」
「おっしゃここは俺に任せろ!」
「やるのかブラン!」
「カラス一匹この俺様があああああああ!!!」
「ブランがやられた!!」
「この人でなし!」
その装甲はいかなる攻撃も受け付けず、巨大な艦砲は一撃で人ひとり容易く消し飛ばす。
「レイ、弱点は!?」
「なぜ、私に………!?」
知っているわけがないだろうあんな化け物の弱点。
だがこのまま逃げ続けても消耗するだけ。じきに前方から迫りくるほかの警備部隊と共に挟み撃ちにされてしまう。
故に俺は必死に頭を回す。
そして思いつく。あのようなデカ物、それも船の形状をしたものであれば弱点は一つしかない。
「飛んで、イッちゃん………!」
それは艦橋。
大抵の船はそこをつぶせば燃料に引火しただかなんかの理由で爆発四散する。そう相場が決まっているものだ。俺が前世で見ていたアニメもそういう描写が多かった。
俺はドローン1号機、イッちゃんを起動する。
「どうするつもり!?」
「突っ込む………!」
「突っこ………え!?」
【傀儡】の魔法を使用して視界を同期。
操作権を獲得。
人とはかけ離れた動きが求められるが問題ない。
散々練習したのだ。今更失敗しない。
イッちゃんは俺の手から飛び立つ。
同時に俺の本体は目を閉じて、飛ばされないようバイクにしがみつくことだけを意識する。
イッちゃんの操作に集中するためだ。
いくら人型よりは獲得する情報量が少ないとはいえ負荷は少ないほうがいい。
俺は白い大地を眼下に空を飛び、そして小型飛行戦艦の艦橋と思わしき箇所へ向けて急降下。
次の瞬間強い光と轟音、そして衝撃波が俺たちの背中を襲った。
「うおおおおお!」
「よくやった小娘!」
「ブラン!お前の仇はとったぞ!」
「ほんと贅沢な使い方をするわねアンタ………!」
「まだ在庫ある……もんだい、ない」
「そういう問題じゃないでしょ!アレ一体売ればどれだけの価値が付くと………!」
狙い通り艦橋を爆破された船はその高度を落とし、爆発四散した。
「前方、くるよ」
「ああもう!」
だが一息つく暇もない。
前方からは俺ら同様、魔導バイクに跨った警備部隊の面々が姿を現す。だがそちらは問題ない。
「妹だけ格好付けさせるわけにはいかないわよね!」
「うわ………っとと……」
彼女は腰に差していた柄から先のない剣を抜き放ち、バイクの上に立ちあがる。
そして構え──焔が刀身を形成する。
俺同様、あの時の地下探査で彼女もまた新しい魔導具を獲得していたのだ。
それは耐火の布。
如何なる熱をも通さない、ただそれだけの効果でありながら彼女にとっては十分すぎるもの。
それを巻きつけた柄は彼女の魔導具"紅蓮"のデメリットを踏み倒し、常に使い続けられる強力な魔導具と変化するのだから。
「灰燼に帰せ!」
一閃。
変幻自在の炎の刀身は、彼女の身長の3倍以上の長さにまで一瞬にして伸び、全てを両断して見せた。
「おおおおおおおおお!!!」
「さすがお嬢!!!!」
「敵なしだぜぇ!!!!!」
「我らステナグラード解放戦線の前に障害物なし!!!!!」
「ふふん!」
いやテメェらもなんかしろや。
まあシアちゃんは褒められてまんざらでもなさそうだしいいけどさ………。
そうして俺たちは快進撃を続ける。
幅の狭かった崖っぷちの鉄道路線を抜け、目的のベルガ魔導炉が見えてきた。
────その時だった。
「───っ!よけて!!」
「どうしたよお嬢ちゃ────
瞬間、俺達の真横を並走していた傭兵が姿を消した。否、飲み込まれたのだ。
一瞬にしてその空間を削り取った一筋の光線に。
「……彼女の情報は間違っていなかったようですね」
視界を遮るほどの豪雪の中、サイレンは鳴り響く。
「腹立たしくはありますが……使命を前に私情を挟むのは正しくありません」
英雄の威光に焼かれたその目は、もはや人を映すことはなく。悉く全ては英雄の名誉を踏みにじる害獣としてしか映らない。
「獲物は罠にかかりました。各自配置へ」
信徒は嘆き、悲しみ、憤怒する。
全ては英雄のために。
英雄を信ずる己がために。
金も名誉も何もかも。
全ては英雄の物であり、英雄の為にあるべき物なのだから。
その輝きを穢す者は、何人たりとも許してはならないのだから。
「さぁ……汝の信仰を、そして自らの価値を証明するのです」
『信仰者』アルベルト・ヴィンターハイム
過激な信仰は止まる事を知らぬ。
それは英雄の死後も依然変わりなく。
信仰に迷いはなく、己が信ずる道を突き進むのみ。
しかし光に焼かれた瞳は真実を映さず、その道の行く末さえも見通せず。
信仰に目を奪われ、銃口を向けている相手が誰かすらもわからないままに、信者は己が正義を執行せんと引き金を引く。
【第五隊長】
ベルガ魔導炉をはじめとした施設防衛を担っていた。
第一隊長の命によって部隊の指揮権を奪われたうえ、ベルガ魔導炉を襲撃したレジスタンスに対する先鋒部隊とされたが、乗船していた小型飛行戦艦を撃沈され死亡。