曇り顔が見たくて死んでみたら、結構大変な事になっちゃったって話   作:せみふぁいなる

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GWですね。人によっては木金に有給を取って優雅に休んでいた、なんて人も居るのでは。

今回いつもより早く書き終えました。褒めて下さい。
そしてこの執筆速度が保つように是非応援してください。具体的に言うと、お気に入り・評価・感想・ここ好きで。

是非お願いします。モチベの維持に繋がります。




“イレギュラー”は付き物。

 

 

 

 数多の木によって出来た影に紫の霧が合わさり、まるで“立ち入った者は絶対に帰さない”と、そう宣告しているような雰囲気を醸し出している。

 

 先程まで彼らが居た活気に満ちた明るい街とは正反対の、ジメジメと空気が湿っており暗さしか感じない場所。オマケに、何故かここに来るまで吹いていなかったハズなのに、入った途端思わず身震いしてしまうような冷たい風が彼らの肌を撫でる。

 長く居ると確実に“殺られる”と、誰しもがそう考えてしまうような()()()()()

 

 ──そう、ここは話に出ていた()()()()

 そこに現在『トラブラー』一行は赴いていた。

 

 

「うぅ、怖……。ウチ、こういうの無理なんですけど……」

「大層な名前に負けない場所ね。……この霧、吸っても問題無いのよね?」

「はい。僕の()()で確認したので問題は無い……はず、です。一応事前に少し瓶に採取して、拠点で吸ってもみてるので……」

「なら大丈夫そうね」

 

 仮に現代にあったとしたら、心霊スポットとして噂になったり、挙句には自殺スポットにまでなってしまいそうな……そんな、本能から危機感を感じる雰囲気だ。

 到底今が昼だとは思えない暗さをしている。

 

「うぅ……入口からちょっと入ってこんなんなのに、はるちの()()センサーがこの森の奥だって言ってるんでしょ……? ……や、やっぱり帰ったりって────」

「出来ねぇぞ。気合い入れろ」

「やぁぁぁぁだぁぁぁぁぁ…………って、置いてかないでよー! 許してぇ!」

 

 まるで子供のようにブンブンッと頭を振って駄々を捏ねるが、メンバー達は容赦無く奥へ進む。それに気付いた綺羅は、慌てて走り先頭を歩いていた颯斗の背中へと抱きつき、事なきを得る。

 ──と、同時に、仲間意識を持っていた梨花をジトっと睨む。

 

「りかちはなんでそんな平気そうなのさ……ウチと同じ怖がりなんじゃないの!?」

「? いや、私は割とこういうの大丈夫ですよ。前世でも友達に結構盾にされてましたし」

 

 寧ろなんで同じだと思ったのか、と首を傾げる。

 彼女の仲間意識は、どうやら一方通行だったようである。

 

「うわーん! 裏切り者めぇ!」

「え、えぇっ?」

「梨花後輩、気にしなくていいわよ。早く先に進みましょう」

「あはは……。綺羅さん、我慢出来ないなら手でも繋ぎます?」

「……つなぐ……」

 

 どうぞ、と出された手を涙目で取る綺羅。ギューっと力を込めて握るが、それでもまだプルプルと震えているのは、感じている恐怖故か、手を繋いでいる事による羞恥故か。

 真相は彼女のみぞ知る所である。

 

 

 そしてそんな様子の彼女を見る颯斗の目は、とても優しげである。こんな大事な時でも笑顔を崩さないのは、リーダーが動揺していては周りにそれが伝播してしまい、不安にさせてしまうからか────。

 

 ────()。全然そんな事はない。内心では“こういう顔もこれはこれで……()()、だな……”とか考えている。

 いつも通りだ。親の顔より見た心境。もっと親の心境見ろ。もう散体しろ。33-4。

 

 

「綺羅さん、警戒はちゃんとしてくださいね? ここはもう敵陣のど真ん中なんですから。それに、この森には強い魔物もわんさかいるんですよ? “死”なんて直球な名前が付いてる訳くらい分かりますよね? 僕達の未来がかかってるんですからしっかり────」

「分かった、分かったからやめてよはるち、警戒自体はちゃんとしてるからぁ……。ただ怖いものは怖いんだよぉ……」

 

 「うぅ、耳も心も痛いよ……」と胸を抑えつつ歩く綺羅。

 心なしか、彼女の周りの霧だけ少し色が濃い。

 

「なら良いんですけど……。颯斗さんも、あんまり甘やかさないでくださいよ?」

「善処します」

 

「ダメそうだな、こりゃ」

「ダメそうね」

「でしょうね」

「それでこそ先輩です!」

 

 何だかんだで結局いつもの調子になった一行はこれ以降油断せず、しかし明るく森の中を歩いて行く。

 

 

 暫くそうして歩いていると、突然遥輝の様子が変わる。

 その表情は至って真面目。何度もこの様な事を体験しているからか、少し慣れて恐怖は余り感じていない様子だ。

 

「ッ……皆さん、止まってください。恐らく“上位の魔物”です。数は1匹、2時の方向です。────陣形はいつものでよろしくお願いします」

「「「「「──分かった」」」」」」

 

 なるべく静かに、この場にいるメンバーにだけ聞こえる声で簡潔に伝える。

 それを聞いた5人は、すぐさま立ち位置を“いつもの”と言われる場所へと変える。

 

 颯斗と大牙は先頭、それをフォローできる二列目に綺羅と陽奈。三列目に梨花と遥輝が。

 “上位の魔物”は、魔物の中でも上澄み。魔物だからと侮っていては一瞬で()()()()()()

 

「────ッ、来ます!」

「しゃあッ! 行くぞリーダー! 怪我だけはやめてくれよ!」

「難しい相談です!」

 

 遥輝の言葉を合図に、茂みから目が緑に燃える狼が飛び出してくる。

 軌道は直線的だが、圧倒的に速い。

 

 突進にタイミングを合わせ、大牙は大剣を振り抜く。その大剣は()()()()()

 しかし、その程度で殺られるなら“上位”と言われる程強くは無い。

 

「なっ、コイツ! ()()()()()()!?」

 

 魔物側もタイミングを合わせ、大牙の大剣を牙で抑える。

 そのままグググッと大牙と魔物は押し合い、まるで鍔迫り合いのように力比べになる。

 強靭な牙と大剣がギャリギャリと不快な音をたて、折れる様子も無く火花が飛び散り拮抗する。

 

 

「──俺を忘れてもらっちゃ困ります!」

 

 

 が、大牙一人なら魔物相手での力比べは大いに不利だが、彼らはチーム。

 

 逆に好機だと颯斗が剣を全力で魔物の急所目掛けて突くが、魔物は殺気に敏感だ。気配を察知すると大牙の大剣をそのまま受け流して離し、自慢の速度で避ける。

 

 

 そうしてそのままバックステップで距離を取り、暫く颯斗達を観察したかと思うと──────背を向け、魔物は撤退し出した。

 

 

 予想外の動きに、思わず全員フリーズしてしまう。

 このままどちらかが戦闘不能になるまで続くだろうと思っていたのにこれだ、それも仕方が無い。

 

 

「…………は?」

「……気配が遠ざかって行く? 遥輝君、()()()()()はどうかな?」

 

 そう颯斗に聞かれた遥輝はハッとし、言われた通り能力の発動に集中する。

 

「…………探知距離外に遠ざかりました。恐ろしい速さですね……どうやら本当に撤退したみたいです」

「……えっ!? 折角久しぶりに先輩にバフかけれると思ったのに!」

「なんでだ? 俺との力比べもあっちの方が全然勝ってたぞ」

「……まぁ、はやちが怪我をしなかっただけマシ?」

「それはそうね」

「そんな人がいっつも怪我してるみたいな……」

 

「「「「「してる」」」」」

 

「ハイスミマセン」

 

 

 一瞬の攻防だけして何故か撤退して行った魔物に、疑問を覚えるメンバー達。

 すぐに茶番を始めてしまったが。切り替えが早いのは良い所であり悪い所でもある。

 

 

 遥輝が探知内に敵が居ない事を伝えると、武器を納め全員また歩き出す。

 

 

「それにしても日沢先輩、なんで魔物は逃げちゃったんでしょう?」

「…………様子見? もしくは慢心していた? 上位の魔物っていやに賢いから、中々分からないのよね……」

「──今回の相手と関係していて、俺達の偵察を任されていた……とか、案外あるかもしれないですね」

「ありそうですね……颯斗さんの言う通りだったとしたら、逃したのはかなりマズイかも……」

 

 無くは無いだろう颯斗の言葉に、全員の表情が強張る。

 

「……取り敢えず、進みませんか? 先輩方。敵陣のど真ん中に入るのは承知の上だったんです、この為の複数のプランですよ! なんなら立ち止まってる方が危険です!」

「……それもそうだよね! 進まないと始まらないよ! りかち、良い事言うじゃん。裏切り者って言ってごめんね!」

「いえ、それは気にしては無いんですけど……」

 

 明るく振る舞う二人に影響され、メンバー達に段々と活気が戻っていく。

 

「……まぁ、そうね。梨花後輩の言う通りね」

「警戒レベルは上げるけどな」

「当然ですね」

 

 

 そんな中、足を動かしつつも颯斗は考え事をしていた。

 

 完璧な展開を作る為に、全員への報告の後彼は誰にも言わず事前にこの森を調査していた。勿論、対象の人物の事も。

 

 しかし、その時には()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 弛まぬ努力(不純な動機)の末、彼の魔法技術はかなりの物となっている。そのレベルは最早賢者と言ったっていい。

 

 そんな彼が作ったオリジナル魔法である、“森全域への魔力探知”に()()()()()()()()()、これは異常と言う他無い。

 確かに、颯斗のミスであるという可能性も当然ある。あるが、ここまで人生をかけて用意周到にする彼がそんなミスを犯す可能性というのは、限りなく0に近いのだ。

 

 “あの魔物は一体?”という、これからの曇らせへの“不穏分子”に、とにかく考えを巡らせていく颯斗。陽奈はそんな颯斗の異常に気付いているようでチラチラと颯斗を見るが、今言っては折角二人が作ってくれた空気が無くなってしまうと声をかけられずにいる。

 

 

 これだけの熱量。曇らせに執着しなければ、彼は恐らく世界で初めての英雄側の『問題児』として知られていただろう。才能の無駄遣いだ。

 

 「そこに愛はあるんか?」と問われれば、「多分、部分的にそう」としか答えられない。

 

 

 彼の思惑を知らないギルドメンバー達は、徐々に“終わり”へと足を運んでいく──────

 

 

 





早く殺したい……あぁ、間違えました。早く曇らせたいですね(満面の笑み)
こんな下手くそな戦闘描写要らないから早く曇らせろって方が多いと思います。でもあと少しだけ我慢して頂けませんか!
過程は大事と存じます!

勿論その時は自分の持つ最大限の表現をさせて頂くので!

正直この量ですら各キャラクターの呼び方とかが曖昧になってしまってるので、間違ってたりしたら遠慮なくぶん投げてください。涙を流して謝罪しながら修正致します。

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