曇り顔が見たくて死んでみたら、結構大変な事になっちゃったって話 作:せみふぁいなる
文章力の無さ故、表現しきれない所等は各々で補完してくださると……(土下座)
追記:おかしい文をチョロっと修正
“
元々は現代日本で普通に高校生をしていた、健康的な青年だった。
その日も普通に授業を終え、普通に帰宅する。そのハズだったのだ。
しかし彼は、人間転生機としてすっかり名を馳せている『大型トラック』に轢かれることとなる。
本来なら轢かれるハズは無かったと言うのに。
「なんだ、あのトラック?! 歩道は車が通っちゃいけない場所だろッ……?!」
トラックの運転手は飲酒運転でもしていたのか、自分も歩行者だと言い張るように歩道の上を走り、そしてその鉄の塊は、とうとうその場に居た命を冷たい車体で押し潰そうとしていた。
颯斗だけでは無く、その隣で仲良く喋っていた女子生徒諸共……だが。
「────ッ!!」
思わず……とでも言うような、焦燥の混じった表情の颯斗が女子生徒を押し飛ばす。
颯斗にとってその瞬間は、とても長く、永く感じられる時間だった。
中途半端に優しい颯斗は、押し飛ばす寸前までの間で思ってしまったのだ。
“自分よりも、この人の方が生きている価値がある”、と。
“この人に生きていて欲しい”、と。
心の底から、そう思ってしまった……それ故の、咄嗟に出てしまった行動だった。
そのままトラックは颯斗に“だけ”無慈悲にも衝突し、そして被害者達の心と血肉を折る紅い薔薇を道端に咲かせる。
『痛い。どうなった、彼女は助かったのか。死にたくない。怖い。痛い、痛い、痛い────』と颯斗は思考し、激痛を感じながらもなんとか押し飛ばした女子生徒へと視線を向ける。
そうして自分から身代わりのような形となり死ぬ間際、颯斗がその永い時間の中で最期に見た光景は──次の生においての彼の行動原理となり得る、彼にとって最も美しい瞬間だった。
「──はやと、君……?」
暗く、しかし自分の血で紅色に染まっていく視界の中で。
へたり、と力が抜けたように座り込み、絶望の色を滲ませる彼女の顔を見た颯斗は────
(……あっ、その
──と。
死の直前にて、人の心が無い
──────────
(ん……ここは……? 俺はトラックに吹き飛ばされて、そのまま最期に“いい景色”を見て死んだはずじゃ……?)
そして一度目の生を終えた彼が次に目を覚ました時、目の前に見えた光景は決して死後の世界では無かった。
異様に低い視点、思い通りに動かない身体……そして何より、言葉を発しようとしても上手く発音出来ない“声”。
何が起こっているのか理解しようと、手を目の前に掲げグーパーと動かそうとした所で、ようやく颯斗は気付く。
(これ……赤ちゃんの手ってやつじゃ……?)
颯斗の視界に現れたのは、自分の記憶とは違う、弱く小さい、クリームパンのような手だった。
(……? いやいや、どういう事だ? 普通死んだら死後の世界に行くものだろう……!?)
当然、颯斗は混乱する事になる。
前世では陰寄りであった颯斗は、なんとなく既に自分の置かれた状況を察していた。
……察してしまったからこそ混乱する事となった。
それも無理はないだろう。あれはフィクションの話であり、実際に起こり得る訳がないと妄想しつつも切り捨てるタイプだったのだから。
しかし今こうして、自分がその二次元でしか有り得ないはずの状況に置かれている。
思わず声が出てしまうが、その声も「あー、うー」と、覇気のない言葉──もとい音へと変換されるばかり。
神の気分か、それとも何か
なんせ、神との会話等も無く、気付けばここに居たのだから。
しかし、そんな転生した直後の颯斗は、勝手に頭が把握していた自分に関する情報が一つだけあった。
それは、『この世界では自分は死んでも生き返る事』だ。
(これは……? ……いやいや、そんな事ある訳が無いだろ。人の命は一つしか無いんだぞ? そんなの常識だ。……いや、じゃあ今こうして俺が記憶を持ったままここに居るのは……?)
転生直後に、頭に直接流された情報に対して思わず自問自答する颯斗。
こんなに思考し、情報の整理をしている彼は、しかし傍から見るとただベビーベッドの上で手足を忙しなく動かしているだけの可愛い赤ん坊である。
そうして手足をワタワタと動かし、その内颯斗が辿り着いた一つの結論。
この結論が、将来の颯斗の周りを黒く染めていく事になる──。
(────何度死んでも生き返れると言うのなら、あの顔を何度でも見られる事になるのでは? なら、それに比べればこんな些末なことは思考するだけ無駄なのでは?)
──こうして、近い将来多くの仲間を、種族問わず曇らせる化け物が出来上がったとさ。
彼を転生させてしまった運命のせいです。あーあ。
見て!颯斗君が踊っているよ!可愛いね!
↓
貴方の代わりに傷を負った颯斗君は動かなくなってしまいました。
貴方と運命君のせいです。あーあ。
これを繰り返して行くだけのお話です。
あーゆーおうけい?
あ、あと明けましておめでとうございます。
今年も良い曇り顔を。