曇り顔が見たくて死んでみたら、結構大変な事になっちゃったって話 作:せみふぁいなる
遅くなりすぎました。1ヶ月はあかん(あかん)。
宜しければ是非、お気に入り・感想・評価・ここ好き等お願いします。前回評価乞食したら本当に一人してくれて大変に嬉しいので、懲りずに乞食します。
颯斗が無事に陽奈からの説教を逃れ、なんなら譲歩して貰えた翌日の事。
この日、陽奈から颯斗以外の
現状、颯斗の仲間と言える人は陽奈だけでは無いのだ。
陽奈を始めとして、颯斗と陽奈を“先輩”と呼び慕う『問題児』。
前世からの気質なのか、やけにギャルギャルしている『問題児』。
小心者だが勇気を出した時の行動力が人一倍な『問題児』。
真なる漢を目指して、常に自分を高め続ける事が趣味の『問題児』。
今の所、この5人が颯斗の仲間と言えるメンバーである。
他にも声を掛けたり、ギルドに誘ったりとした人達は居るのだが、そのほとんどから良い返事を貰うことは出来なかった。
このギルドに入るという事はつまり、“自分は『問題児』です”と宣言しているような物だ。寧ろ今5人も集まっている事が奇跡と言えるだろう。
そんな数少ないメンバー達は、『問題児』の中でも突出して変人だと言える訳だが……実の所、そこまで特殊な性格をしている訳でも無い。
ただ少し、各々が過去に颯斗にこんがりと頭を焼かれただけなのだ。性格や常識面で言うなら、むしろ真面目である。
そんなこんなで、『問題児』の中でも実は割と真面目どころを確保出来ているのが、ギルド『トラブラー』のリーダーである颯斗という訳だ。
ギルドハウスの会議室として使われている部屋。召集が掛けられてたった10分で、それぞれがここに集合した。
部屋の中心に置かれている円形の机。それを囲むように置かれた6つの椅子に、先述したメンバー達が“颯斗を除いて”集まり座っている。そして、その全員が額にシワを寄せ、難しい顔をしている。
「……こうして集まっても、結局いつも通り答えは出ないのね……」
「いや、だってよ……ありゃ強情とかいう次元じゃないぜ? 陽奈さんには申し訳無いが、そんな約束したって絶対またやらかすしな……」
「分かってるわよ……。はぁぁぁ、どうしてなのよぉぉぉぉ…………」
どう話し合っても解決策が出ないためか、とうとう陽奈は机に突っ伏した。「うぅぅぅあぅあぅあぅあぅあ〜〜〜〜」と呻き声のようなよく分からない声を発しながら、体を揺らす。
彼女の精神的疲労はもう限界な様子だ。
隣の女の子が「日沢せんぱ〜い! 正気に戻ってくださぁい!」と更に肩を揺らす。
「り、りんかこーはい。分かった、分かったから揺らさないで……気持ち悪くなってきた……」
顔を青くして口を押さえる陽奈。
どうやら被害は心の問題だけでは無く、胃にも広がったらしい。
さて、こんな事になってまで一体何を話しているのか。
颯斗の自分を犠牲にする事を躊躇わない生態を何とかするため、彼ら彼女らはこうして集まり話し合う場、“自己犠牲を止める会”を結成した。
もうお分かりだろうが、とどのつまりこの名の通りの議題について話し合っているという事である。
「でも本当に
黒髪の男の子が溜息をつき、大牙と呼ばれた男に心の底から同意する。
……癖で合ってはいる訳だが。
「そこが
金髪の女子は陽奈と同じく机に上半身を投げ出し、手をパタパタとさせている。
……颯斗の目的を考えると、悪い所でしか無いが。そんな事を知らずに見ると、人の為に自己犠牲を躊躇わない、とんでもないお人好しに見えるのだろう。
彼の演技力には脱帽である。
先程金髪の子が話したように、今まででこの会は14回開かれている。
しかし、出た案全てを試そうが颯斗が止まることは無く、寧ろ加速しているのでは無いかと全員錯覚するレベルだった。
もうこれ以上は出ていない案を探す方が難しい、と行き詰まり始めたその時。
「────あ、これなら……? い、いやでも……流石にこれは……」
「
「わっ! び、びっくりした……
はるちと呼ばれた少年が何かを思い付いたように呟いていると、気怠げにしつつ耳を澄ませていた綺羅がそれに食いつく。
グイッと近付いてきた綺羅の、着崩されていた服の胸部分から急いで目を背け、少年は綺羅を落ち着かせようとする。
「あはは、ごめんごめん。つい、ね? ……それでそれで? はるち、何を思い付いたの?」
「私も気になるわ、
「わ、私も聞きたいです!」
「怖がんなくていいんだぞ、遥輝。全員出した意見は尽く失敗してるしな!」
その場の全員が少年──遥輝に視線を向ける。
いきなり注目された事で少々緊張する遥輝だが、第12回の時にも同じような状況になっていた為、「同じ事だ」と気を持ち直す。
「いや、その……正直、絶対無い案なんですけど……」
「仮にそうだとしても、もしかしたら次の意見を出すための参考になるかもしれないわ。取り敢えずゆっくりでも良いから、話してみて?」
「うっ……分かりました。えーと、ですね……」
席を立ち、覚悟を決める遥輝。
今までも彼は感触のいい案を出してくれたからと、皆彼に期待の目線を浴びせる。
「──────えと、ギルドハウスの中に閉じ込めちゃえばいいと思うんですよ」
「採用ね」
「日沢先輩!?!?」
そうして飛び出した言葉は、監禁宣言であった。
それを即採用する陽奈に、梨花はもう一度肩を揺らして、今度こそ正気に戻すべきかと考える。
「先輩……今度こそ、私が治してみせますッ……!」
「やめてちょうだい。……いや、本当に」
手に緑のモヤモヤを纏わせ構える梨花から全力で離れ、部屋の隅へと移動する陽奈。
どうやら回復魔法もついでにかける気らしい。
「……はるち、それ────アリだね」
「待てコラ」
「あいたっ!?」
真面目な顔して「アリだね」と言った綺羅に大牙がチョップをかます。
そこそこな力でやったのか、綺羅は頭を押さえて頬を膨らませ、大牙にジト目を返す。
その目には少し涙が溜まっている。
「む〜、そんな力入れなくていいじゃん……本当に良いなって思っただけなのに……」
「それが良くねぇんだそれが」
「なんでさ! だってもう、閉じ込めちゃった方が早くない!? 別に手錠する訳でも無いんだし! ちょっと家から出れなくするだけだよ! 監視も置いて!」
「──ハァ〜……頭いてぇ」
「痛いのは私だよたいち!」
監禁では無く軟禁だったらしい。
しかしどちらにせよ、とんでも案には違いない。
大牙は頭を押さえながら、過半数がこの案に賛成では無い事を祈りつつも遥輝に話しかける。
「遥輝、一応聞いとくが……本気では無いよな?」
「えっ? あ、うん。自分で思い付いておいてなんだけど、流石にこれはな〜って思ってた所だよ」
「良かった、それが聞ければ十分だ」
肉体言語で話す事にはならなさそうで安堵する大牙。
そこに、なんとか梨花を説得して部屋の隅から陽奈が戻ってくる。
「はぁ〜……私もアリだと思うんだけどね……。こうでもしないと、止まらないんじゃないかなって……」
「その気持ち分かるよ〜ひなち〜……」
互いに席を立ち、抱き合い慰め合う綺羅と陽奈。同族を見つけて安心しているらしい。
最早この会議室からは、真面目な雰囲気は微塵も無くなっていた。
「その気持ちは分かるんですけどね……日沢先輩、即答で採用しちゃう辺り、絶対休んだ方が良いですよ……」
「まぁなぁ。あの手の爆発だって、どれだけ皆が心配したか……。ったくウチのリーダーは、とんだバカ野郎だぜ……」
「あの時は、
またまた溜息をつく大牙と梨花。
そんな憂鬱そうな二人に、おずおずと遥輝が話しかける。
「……ところで、会議の続きはどうします……? 僕が壊しちゃったような物だけど……」
「今日はもうお開きでいいだろ、これ以上案も出ないだろうしな」
「私も賛成です。日沢先輩も治ったみたいですし……」
それだけ言うと、大牙は“
梨花は、未だ抱き合っている綺羅と陽奈を剥がしに、もとい今日はお開きですよーと伝えに行く。
「最悪の場合は、本当に有り得る選択肢なのかも……」
遥輝は、真面目な顔でまたそんな事を考えている。
実際本当に止めたければ、倫理観や人道なぞ無視してそうするのが大正解なのだろうと、そう悟っていた。
尚、本人は監禁されても舌を噛み切ってリスポーン出来る為、意味は無い。
それを躊躇無く実行出来るであろう颯斗は、やはり化け物である。
全員焼かれてます。颯斗君は抜かりないなぁ……。
明日から15連勤なのでまた遅れると思います。すみません。