曇り顔が見たくて死んでみたら、結構大変な事になっちゃったって話 作:せみふぁいなる
評価乞食したら色がつく量を貰えました。アイエェ……?まさかそこまで行くとは思ってもいなかった……。
これは、せめて一度は更新しないと……という事で、急遽小話として1700字程度のスーパー短編を書き上げました。急ぎ足で書いたので、何処か至らない箇所があるやもです。
彼らの日常風景を見てやってください。
宜しければ是非、お気に入り・感想・評価・ここ好き等お願いします。
「……もう、また怪我をなされたんですか? 一応聞きますが、今度はどんな理由です?」
ギルドハウスの玄関。
腕を腰に当てプンプンと怒ってますアピールをする、聖職者だとは分かるが普通のシスターとは違う格好をした女性がいる。
白をメインとし、儚さや神々しさを同時に感じさせるその衣装は、一目で只者では無いと相手に思わせる。
フワフワとしている長いブロンドヘアは、夜空に浮かんでいる星さえも嫉妬してしまいそうな程綺麗だ。
全てを見通すような透き通った蒼眼は、目が合った人の心をスグにでも奪い取ってしまうだろう。
そんな彼女と対面しているのは、お察しの通り颯斗だ。深い傷はあまり無い様子だが、それでも血がそこかしこから出ている。
しかしそんな怪我をしておきながらも、颯斗は何故か笑顔で女性の会話相手を務めている。
この程度の怪我なぞ慣れているとでも言うように、まるで痛みを感じさせない素晴らしい笑顔だ。
実際慣れているのだろうと言うのは想像に難くない。
「あはは……怒らないでくれるなら……」
「場合によりますね」
「そうですよねー」
これは怒られるやつだな、と颯斗は察した。
もうこのやり取りも両の手では数えられない程している。彼の経験からの勘である。
「とは言っても、いつも通りなんですけどね……。今日皆で受けた依頼、魔物の情報が間違ってたみたいでして。予想以上に強い魔物が出たので、死に物狂いで敵視を取り続けたらこんな事に……」
颯斗は
敵の敵視を取り続け、迫り来る攻撃を代わりに受ける……要するに、タンクを担当しているという事だ。
少しでも合法的に自分が怪我をする為、皆の役職を決める際にこれだけは誰にも譲らないと断言し、無理やり勝ち取ったポジションである。その時の迫力は、気の強い陽奈でさえも気後れしてしまう程であった。
さて、そんな彼の
「────アウトです。リビングに行きましょうか。……今日こそは、分かって頂きますからね……?」
当然、死刑宣告だった。
一方で、その依頼へと一緒に行ったメンバーは。
「あれ? はやちは? 今日の事で、一言言ってやろうと思って探してるんだけど……」
「今“聖女様”にお説教して貰ってるわ。皆で逃げればいいのに、『放置したら周辺に被害が出る』なんて言って立ち向かったおバカさんが悪いのよ」
私達の気も知らないで……と独り言を零す陽奈。
口を尖らせてブツブツ言う陽奈に、綺羅が苦笑いを返す。
少しして、多少落ち着いた様子の陽奈に“そういえば”と綺羅は言う。
「……ひなち、聖女様って普通護衛とか居るものだよね? なんで私達と“会う時だけ”は一人なんだろ……」
「──“偶然”じゃないかしら? 私は“そういう事”にしてるわ。颯斗以外は気付いてると思うわよ。でも、颯斗の悪癖を直すためには人数が居るし、ね……」
わざと“偶然”の所だけ強調して言われ、綺羅はやっと察する事が出来た。
必然の偶然を、聖女様は作っているのだろう。それも、毎回タイミングが丁度いい所からして、どうやってかコチラの状況を把握しつつ。
護衛の目を盗むのも大変だろうに……と綺羅は思いつつも、納得する事は出来たようだ。
「あー、ね。……じゃあ私もそういう事にしておく! ねっひなち、私も聖女様に混ざって来ていい?」
「勿論よ。というか私も行くわ」
少し楽しそうな足取りでリビングへと向かう二人。普段心に傷を付けられている分、お叱りターンになった際に颯斗へ言いたい事を全部言えるからだろう。
颯斗の足の破壊が確定した瞬間であった。
仮に足が壊れても、絶賛颯斗を笑顔で圧し殺さんとしている聖女様ならすぐ治療出来る。
今日一日中、彼は苦しむ羽目になりそうだ。
しかしそれでも、自分の怪我によってメンバーの曇った顔を見れた颯斗は笑顔を絶やす事は終ぞ無かった。
“予想以上に強い魔物が出てきた依頼”も、果たして本当に颯斗は見破れなかったのか?本当に“偶然”だったのか?
……もう分かりきっている事だろう。
魔物はどちらなのだろうか。
職場で書き上げました。色がついてから書き始めましたが、これ書くのにすらも2,3日程費やしています。時間が無い……。恐らく月末までにもう1話上がるかと思います。上がらなかったら申し訳ないです。
聖女様の衣装、颯斗の血が付いたら洗濯に苦労しそう。
それと、もう少しで一度颯斗君の命が断たれます。