ガレージの中は、まだ落ち着かない。
運び込んだ荷物を壁際に寄せ、最低限の通路を確保する。ここを拠点と呼ぶには、まだまだ時間が必要だ。
リオンは携帯型デバイスを起動した。
依頼一覧に目を通す。
ベイラム・インダストリーの依頼…企業の出方を伺うには、まずは企業の依頼を受けてみるのが一番早い。
簡素なブリーフィングが展開された。
《物資運搬ルートに居座る、ルビコン解放前線所属MT部隊の排除》
《本依頼は、独立傭兵向けに広く発信されています》
ブリーフィングの音声はほとんど聞いていなかったが、要はばら撒き依頼。
条件は緩く、説明はどれだけ真面目に聞こうが最低限だ。
どんな依頼だろうと、生きて報酬を得ることまでが私の仕事。
リオンは依頼を承諾した。
⸻
モンクスフードが起動する。
低い駆動音が、ガレージの空気を震わせた。
ハンガーが開き、外の冷気が流れ込む。
リオンは機体を前に出した。
⸻
《メインシステム戦闘モード起動》
警戒しながら指定区画に入ると、まず辺りをスキャンする。やはり反応があった。間違いなく解放前線のMT。数は多いが、それぞれ位置がばらけている。見たところ統率は甘い。
モンクスフードがビルの遮蔽に沿って動く。
まずはまとまっている三機、両腕のハンドミサイルが連続で放たれ、爆煙が地面を覆った。
隙を突かれたMTが反撃する間もなく破壊される。
確実に。無理に詰めず。反撃の隙すら与えない。
恐らく今の爆発の音でMT部隊は警戒するだろう。だが、見つかることはない。遮蔽に沿って敵の視覚外から攻撃する。
「これで…片付いた…?」
なんとか危険に陥ることもなかった。スキャンで確認した敵は全て撃破したはずだ。
だが、あまりにも上手くいきすぎている。居座っているMTがこれだけなら、わざわざ傭兵を使う必要もないはず……。
そう考えた瞬間、その考えはすぐに当たった。
完全に隙を見せていたモンクスフードが突如爆発と共に吹き飛ばされビルの残骸に叩きつけられる。
「ぐっ…!?」
視界に入ってきたのは四脚型MT。
しかも、二機。
「……なっ!?」
四脚MTの頭部から放たれた五連装ロケットが、地面を面で抉った。
衝撃で視界が揺れる。
すぐにクイックブーストでその場から距離を取る。その勢いのまま左から回り込もうとした瞬間、散弾がモンクスフードの装甲を叩く。
ショットガン。距離を取らなければ危険だ。
さらにもう一機。
右腕に装備された長い射程のブレードが、振りかざされる。ギリギリのところでジャンプで上昇し、ブーストでビルの残骸に隠れる。
ACより上位の兵器。
それが、二機。
正面からやれば私が先にやられるのは目に見えている。
リオンは遮蔽から飛び出すと一気に高度を変え、別の瓦礫の影に滑り込む。
滑り込む直前にミサイルを撃ち、視界を乱す。
ロケットが降り注ぎ、地形が崩れる。
自分の逃げ場が、少しずつ削られていく。
装甲の耐久も二機の攻撃をまともに受ければ持たないだろう。いくら耐久性に優れている自身の機体でも、最初の直撃を受けたことでもう耐えられる保証はなくなった。
弾薬残量には余裕があるものの、あの四脚MTの装甲を破るには連続的にダメージを与えるしかない。
だがそれでも、勝つ可能性は残っている。
ミサイルで片方を集中砲火する。一機の動きが止まるがもう一機はそれに気づかず接近してくる。二機の連携がずれた。
――今だ。
近づいてくる一機に接近。
ブレードの軌道を読み、左に回避し急接近し、ほぼゼロ距離で両肩のガトリングを一点に叩き込む。
この角度ならもう片方の四脚MTは仲間のMT諸共撃つしかモンクスフードを攻撃する手段はない。
モンクスフードはブーストで四脚MTから離れると同時にハンドミサイルを最後に撃ち込む。
ようやく一機の四脚MTの爆発した。
残り、一機。だが、こちらもそろそろ限界だ。
回避する余裕もなくロケットが直撃する。視界が白くなる。
それでも、前に出る。
最後のミサイル。
最後の集中砲火。
ショットガンが向けられるその直前。
モンクスフードがMTの右腕を蹴り、右腕を破壊する。
隙だらけの四脚MTにガトリングを浴びせると四脚MTは、動きを止めた。
⸻
静寂。なんとか勝った。
割に合わない仕事だ。
だが、ギリギリ生きている。
リオンは機体を反転させ、帰還ルートに入ろうとする。
その瞬間――
新たな敵性反応を検知する。
接近してくる反応は一つだけ。
識別は…不明。
リオンは操縦桿を握り直した。
――どうやらまだ、終わっていない。
ええっと、初めての戦闘パートでした。上手くできているかな?感想とかで教えてもらえるとありがたいです。