Fateの現パロだと思ったら全然ヒロアカだった。 作:ぜひもないよね!
「すまない、本気で戦う」
ヒーローとの連戦で普通に勝てるわけないだろいい加減にしろ。
ということで荒野に佇むすまないさんを目撃した3戦目。速くも心のなかでは逃げ出したい気持ちとまだ戦えるという相反する気持ちがせめぎ合っている。
「すまない、これも試験なんだ」
こちらを見つめた瞬間、セイバーに相応しい速さでこちらへと迫りくる。並の人間なら一太刀食らってしまうようなソレは沖田さんに比べれば遅い。
(こんなところで役に立つとはねぇ…)
一応マグナムを3連射してから武骨な大太刀を取り出す。拙い太刀筋だがジークフリート相手の戦闘じゃどうせ作り直すから変わらない。
「お手並み拝見です、っと!」
剣術の基本を抑えたその動きに隙はない。筋力が弱い程度しか問題はないはずの速さ。
「すまない、壊してしまってすまない」
当然すまないさんは一撃を受け止めるごとに太刀をぶっ壊す。純粋な剣術以外にも普通に壊し始めている時点で勝てる気がしない。
「…どうしたものかねぇ」
クナイやらなんやらで牽制しても同様。上から攻めるにしろ下から這うにしろ戦闘そのものがハイスペックなので太刀打ちができない。
(時間稼ぎは正直圧倒的に俺のほうが不利になるんだよねぇ)
困ったものだなあ、なんてボヤくこともせず麻酔弾を正面から打ち込む。無理だと思いながら爆弾を作成して目くらましがてら爆発。
全部をムダにしつつ、それでもジークフリートから逃げる。もともと逃げるだけなら爆弾に後押ししてもらえれば簡単なのだ。
「すまない、効かなくてすまない」
「…つーか難易度バグり過ぎじゃね?」
いきなりセイバーじゃなくとも洒落になんないし弾幕とかの個性を正面から叩き潰される。搦め手がどうしても個性の関係で作れるものという範疇な以上、どうしても無理。
(控えめに詰んだ手札でどうしろと?)
とりあえず戦闘しないことには始まらないのでやってはいるが勝てる気がしない。奥の手でもあればまた違うのだが。
「すまない、倒してしまってすまない」
どんどんと即席のトラップを踏み砕かれる。荒野の時点で仕切り直しも不可能。カチカチと歯同士を合わせて噛み鳴る音が聞こえる。
「負けじゃねえ…!」
最後の抵抗と言わんばかりの炎。当然避けられるがそれを前提にして空を飛んでゲートを潜る。
結局、ジークフリートで終わりだったようで合格らしい。本来なら全員とやらせる5連戦の予定だったのだが、そうならなくてよかったと言うべきか。
(ふ、普通に死ねる…)
今もズキズキと痛む箇所をさすりながらとある女性の話し相手を努めている。慣れた手つきでリンゴとナシの皮をむき、コトリと置いている。
「…はい、お疲れさま。ジークフリート相手によくやったんじゃないかしら?」
つっけんどんな態度でジークフリートと戦ったことを褒めてくれるが、ここで調子に乗ってしまえばバルムンクされるので謙遜する。
「よくやったなんて冗談きついですってクリームヒルトさん…あんなの試験内だったから勝ったようなもんですし…」
まあまあと宥めつつクリームヒルトを警戒する。この人どう考えてもヴィラン側な個性と顔とクラスだけど…
(まあジークフリートとセットならこっち側になるのかぁ…)
悪役令嬢のような見た目ではないにしろ、落ち着いた黒い雰囲気なのはクリームヒルトにあっている。
「すまない、大丈夫かマスター」
「ジークフリート先生相手にあんなもん仕掛けるんじゃありませんでした…本当に」
「そもそもこの人が竜種の力まで解放してるのが悪いのよ。ファブニールの力に近くなればなるほど自我を失うって聞かなかった?」
呆れるようにクリームヒルトがたしなめているが、おおよその原因は彼女にあるとは思う。麻酔弾なんて象が昏倒するレベルなんだからな。
(ま、あえて言う必要もないだろうし)
夫婦喧嘩は犬も食わぬ。まだ何か言いたそうな二人の間をぼんやりと見つつ、自分の個性の伸ばし方を考える。
タイマンに対しての遠近戦の切り替え。あと咄嗟に逃げる場所が空中である脆さ。あくまで他のサーヴァントの借り物である武器しかない弱さ。
(とっさのときに使えない武術なんざ何の意味もないからな)
強く握りしめた拳は黒く染まり、どこか暴れたい衝動を抱える。もう体の療養はしなくていいはずだ。のそのそと脱皮するかのごとく体をねじり、ベッドから飛び出す。
「それじゃ、また明日!」
二人の世界の邪魔にならないように爆速で走り抜ける。軽く筋繊維が切れた音がしたが気にしない気にしない。
(途中で誰かと出会うのかな)
Fateみたいな出会いがあるとは思わないけど。
…なにかいいこと、あると良いな。
インターンどうしよう?
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