Fateの現パロだと思ったら全然ヒロアカだった。 作:ぜひもないよね!
斬られた、と思った。諦めの気持ちが先行していた。
「ッ!?」
すんでのところで血が口から勢いよく飛び出し、反動で体が刀の軌道上から消える。結果としてカラオケの部屋から吹っ飛び、レンガ造りの妙な場所へと着地したが些細な問題である。
(12時間ごとなら必要はないんじゃなかったのか…?)
唐突にやってきた倦怠感より目の前の敵。予測していなかった行動だったが、相手の殺気が緩んだおかげでなんとか体が動くようになる。
「…そう、だよね。マスターなら足掻くよね」
遠くから響く声。咳の勢いでここに来ているのはいささか違和感しかないがどういうことだろうか。模擬戦のときにできていた動きよりも全体的に底上げされている。
(考えられるなら病気のあれなんだろうけど…どれくらい上がったとかなんざ知らないっての)
詳しく考える暇など人斬りメイド相手には皆無。体に漲っている力の6割で斬撃を振り払い、投影した麻酔弾で眠らせようとする。
「甘いよ、マスター」
刀の間合いに入った瞬間に落とされるが煙が出るタイプの麻酔弾でとりあえずは時間稼ぎになる。
「…さぁね、っと」
上と下の両方に刀の切り込みを入れてどちらに行ったのかわからなくしてから上へと逃げる。どちらにせよ足音が鳴るけれど、抜刀術なら上を狙うときに大きくしゃがむからわかるだろうってこと。
(気休め程度なんだけどねぇ…)
この場所がどこなのかは知る由もないが、かといってこのまま追いかけっこするほうが無謀なのである。
「…どうなってんだいこりゃ」
音を消してまで忍び込んだ先はガチャガチャと関節同士がこすれ合う音が反響する和の廊下。あれだ、大奥イベントのイメージが一番近い気がする場所。
「土蜘蛛もいるし…」
果心っぽいけどTSは嫌なのでとっとと下へと逃げ帰りたい。そう思って元の切り込みを覗こうとすると女郎蜘蛛に囲まれる。
「…そりゃそうか」
奪い取った薙刀を勢いのままに斬りつける。関節を狙ったせいもあってか絶望的に音が出る。
(こんなでちゃ明らかに危険すぎる…!)
恐怖を抱えていればバラバラと何かが落ちる音で撹乱され、その音に関してはどうにかなった。問題はそれを展開してきたのが明らかにアサシンであるってことなのだが。
「…本当に私のマスターか?」
狙われる。どこから来るのかはわからないようにされる。頭のなかに出ている直感をフル活用する。
「…なんでこんなとこにいるんですかねぇ、荊軻さんや」
薙刀の端っこで短刀を受け止めて仕切り直し。音については最小限になるよう抑えつつ、廊下と近くにある部屋を経由して撒くことを考える。
(つってもここの地形なんて詳しく知らないから逃げの一手も怪しいけどな)
音の反響で分析しようとすれば彦斎が確実に気づいて斬ってくることは想像に難しくない。どうすれば迷っていると、意外なことにあちらから助け舟が出てきた。
「…別に私は安全だ。他のサーヴァントのほうは理性を失って下にいる彼女のような疑似バーサーカーになってしまう」
「…いいや、そういうアンタもバーサーカーなんだろ。そんな内部事情を知っている奴がマスター相手に殺しにかかるなんておかしい」
恐らくアサシンが敵とかそんなところだろう。ただ、少なくともわざわざ騙そうとするのは怪しい行動としてとらえられるだろう。
(近づいて殺すだけなら気配遮断して一撃で終わりなのにそうしなかったし…)
宝具まで使って追い詰めようとした、その速さを選んだ策の点で相手の出方が妙なのだ。
「とりあえず荊軻さんは気絶させる。仲間を呼ぶならよんでみなよ」
「…ふっ、舐められたものだな」
笑いながら突進してきた。アサシンならここで引いて次の機会を狙いに行くのが定石の動きのはず。
(てことは少なくとも誰か対立しているサーヴァントがいるな…!)
場所もわからない中で探しに行くのは悪手なのかもしれないが、ここから外に出る手段を探さなきゃならない。
「逃走逃走、っと!」
投影の個性でナイフを作り牽制で投げる。避けられるのを織り込み済みで薄暗い廊下の壁を蹴って逃げる。
なんでこんな目に遭わなきゃならないのか、とかは二の次。
味方を探すために逃げ回るのは。
どうにも、慣れていることではなかった。
…そして。
「よう、うなだれてるそこの兄ちゃん!辛いことでもあったんかい?」
逃げ込んだ先の部屋で、笑いかけてくる人物は。
「聞いた悩みはきっぱり解決─お前の見た目と瓜二つ!」
黒髪、制服、同じ身長、同じ目、同じ体格。
「藤丸立香…なーんて、名乗らせてもらおうか」
Q、彦斎に斬られていたあの二人は生きてるんですか?
「ぶっちゃけガッツがあれば耐えるだろ」
「麻婆豆腐の痛みに比べればなんともない」
チェイテピラミッド姫路城が終わるまではこんなQ&Aが続きます()
インターンどうしよう?
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