OP:Tommyheavenly6「HeavyStarryChain」
学校の帰り道、腕輪から鈴の音色が鳴る。こんなことをするやつはコイツしかいない。
「ハルバ。なんの用だよ」
『門(ゲート)に来いってさ。挨拶しろってよ』
「はぁ、、、そっちの都合で追い出したくせに、、、」
『行っておいた方がいい。ただでさえお前は上に目をつけられてるんだ。下手したら資格剥奪もしくは処刑だぜ』
「はぁ、、、めんどいなぁ」
僕は腕輪にメモリーカードを刺す。すると、腕輪から魔法陣が現れ、僕を飲み込んだ。
今から向かう先は、僕の嫌いな人達がいる場所だ。頭痛に耐えながら、会った際の文句を考えるのだった。
♣♣♣
『門(ゲート)』。死神が鍛え、学ぶ場所。そしてそこは『門番』が死神に『エビルの討伐』を依頼する場でもある。
「さ、顔を上げなよ。咲良」
「お久しぶりです。門番」
目の前にいるのは、僕よりも年下に見える少年。だけど、この人は僕よりも長く生きている年齢詐欺ジジイだ。
「何か失礼なこと考えなかった?」
「いえ。これから相談役を殴ろうと考えただけですよ」
門番に嘘は通じないから僕は正直に話した。門番は苦笑いする。
「君の気持ちもわかるけどね。だけど、今日は重要な話だから、それはやめてね」
そう言って門番は指を鳴らすと、場所が変わる。門番の傍には2人の老人がいた。
さて、僕は最初に嫌いな奴らに会うと言ったね。そう、僕の目の前にいるのが嫌いな奴らだ。
「よく来たな。モルテ」
「そりゃ命令口調で呼ばれたら誰でも来るでしょ」
老人1に対してそう答えると、周りから無数の殺気を感じる。
「それに、歓迎する気もないでしょ。こんなに僕を包囲して」
「当たり前だろう!貴様!なぜここを追放されたかわかっておるのか!」
「エビルを倒して、人を救った。それだけですけど何か?」
老人2はため息を着くと、僕に向かって怒鳴る。
「馬鹿者!人間に向かって発砲する馬鹿がいるか!当たらなかったから良かったものの!もし殺してたら」
「処刑ですよね?」
「、、、わかってるなら良い」
呆れたように言う老人2。僕の態度は変わらないってわかったのだろう。老人達は話を進める。
「ここ最近、エビルの出現率が上がっとる。モルテ、お主も感じとるはずだ」
「一応。最近の切断事件もエビルの仕業でしょ?」
僕が聞くと、老人達は頷く。そして、老人2は僕にメモリーカードを渡す。僕はそれをハルバに刺した。
『エビルパウダーによるエビルの増加。第三者による工作の可能性アリ。調査し、エビルを殲滅せよ』
ハルバが中に入っていた命令を読む。どうやら、これが僕の仕事みたいだ。
「やってくれるな?」
「はぁ、、、やりますよ」
どのみち、しばらくこの街に滞在するのだ。任務くらい受けてやろう。
「では、ここ、『剣の管轄』にて、再び死神として戦ってもらう。いいね?咲良」
門番の言葉に、僕は跪く形で答えた。こうして、僕は死神モルテとして、この街で戦うことになったのだ。
♣♣♣
〜ヒナside〜
昨日のことを思い出す。私を助けてくれた少年。少年が変身した戦士。少年は戦士のことを『死神』と言っていた。
「死神かぁ、、、」
「どしたのヒナ?変な夢でも見た?」
ため息をつく私を心配するようにヒメが話しかける。昨日のことを話そうとして、ふと思い出した。
『あ、今日のことは内緒ね。死神とかエビルとか誰も分からないだろうし』
私は何とか言い訳を考えた。
「う、うん。絵本で見た死神が襲いかかってくる夢、、、」
「ふーん。ヒナもそんな夢見るんだね」
それからヒメとたわいのない雑談をしてると、ヒメの元に1人の男子生徒が来る。
「ヒメちゃん!今日ヒマ?」
「はぁ、、、暇じゃないよ。今日も明日もヒナと2人で過ごすの」
そう言ってヒメは私の腕を組んだ。それを見た男子生徒は私に目を向け、嫌そうな目をする。
「へっ、こんな奴とか?やめとけよ。こんなブス」
その男子生徒の言葉を聞いたクラスメイト達が笑う。
「ちょっとアンタねぇ!」
「なんだよ。事実だろ?」
ヒメは男子生徒を睨みつける。こんな扱いをされることは慣れている。だから、私はなんとも思わない。そう思ってた時、
「みんなで寄ってたかって女の子の悪口大会。転校する学校を間違えたな僕」
言葉の主は私の隣の席にリュックを置くと、罵声を浴びせた男子生徒の足を踏む。
「で、この減らず口はどうしたら防ぐことができるんだい?」
少年、守条咲良くんは男子生徒を睨んでいた。
♣♣♣
守条くんは男子生徒を睨み続ける。男子生徒はどこかに行こうとするが、守条くんは踏んだ足を退けず、踏み続けていた。
「てめぇ、、、足どけろや!」
「どかしてみなよ。どうせ無理だろうけどさ」
守条くんはそう言うと、周りを睨む。見なくても分かる。さっきまで怒っていたヒメは、いつの間にか怒りが収まっていた。
「守条くん、、、明らかに怒ってる」
「う、うん。別に気にしてないのに」
私の言葉を聞いた彼は、ため息をついた。そして男子生徒にデコピンをした。
「痛ってぇ!」
「このくらいで勘弁してやるからとっとと失せなよ」
男子生徒は守条くんを睨むと、自分の教室に戻っていった。クラスメイトたちも、自分の席につく。
「気にしないのと、悲しいのを隠すのは別だよ」
「え?」
「悲しい時は、悲しいってさ。僕じゃなくても、田井中サンには言った方がいいよ」
彼がそう言うと、ヒメも頷いた。頬に暖かいものを感じる。ヒメがハンカチを差し出す。いつの間にか先生が来ていたが、先生はただその光景をずっと見ていた。守条くんはそのまま席につき、机に突っ伏すのだった。
♣♣♣
それから昼休みまで私にちょっかいをかける生徒はいなかった。隣にいる守条くんが怖かったからだろう。だけど、彼に話しかける人も減った。
「な、なんかごめんね」
「別に。誰かと仲良くなる為に学校に来てるわけじゃないし」
彼はそう言ってカロリーブロックを齧る。そういえば、昨日もそれとゼリー飲料だった。
「それで足りるの?」
「あんまりお腹すいてなくて」
そう言ってカロリーブロックを食べる。私は思わず弁当に入っている卵焼きを彼に渡す。
「食べなよ。これ、自信作なんだ」
「、、、ありがと」
守条くんは卵焼きを食べる。私は少し不安になった。本当に彼は美味しいと言うのだろうか?
「美味い。ちょっと元気出てきた」
「ほ、本当?良かったぁ、、、」
嬉しさの余り、飛び上がりそうになったが、何とか抑えた。昨日といい、今日といい、助けてもらったのだ。これくらい当然だ。私は弁当をかきこんだ。
「、、、私の存在忘れてない!?」
「あ、ごめんヒメ」
ヒメのことを忘れて。
♣♣♣
〜咲良side〜
僕は夜にしては明るい街並みを歩いていた。昨日は偶然空鈴サンを囮にできたけど、本来はそうはいかない。そもそも人間を利用するのは禁止なのだ。
『相談役が呆れてたぜ。問題を起こすなとな』
「あんな老人に怒られてもなんも思わないね。それよりも、ここら辺で間違いないよね?」
僕は周囲を見回す。ここは陽炎ビッグブリッジの下。かつてホームレス街があった場所である。
『ビシビシ感じるぜ。ここにエビルがいる』
「だろうね。僕も感じる」
僕は腰に『グリムバックル』を当てる。バックルから自動で帯が僕の腰に巻かれる。
『グリム_スタンバイ』
僕の右頬に三日月の。左頬と左手に桜の花びらの痣が発現する。
「ここにいるエビルの悪意と、、、殺気をね」
僕がある位置に目を向けると、そこから異形の爪が僕に向かって襲いかかる。僕はそれをかわした。
『****』
『奴は低級のエビルだ。放置しても構わないぜ』
「やだね。そう判断したら未熟な死神が死ぬ。僕は油断しないよ」
未熟者でも倒せる敵。そう聞いて油断して死んだ死神を僕は沢山知ってる。だから僕はコイツを侮ってはいない。
「ま、お前相手に油断もクソもないけどね」
僕はエビルの動きを見切り、かわす。エビルは攻撃が当たらないことに焦りを感じてるのか、動きが段々と単調になっていく。
「そして単調な動きには必ず隙ができる」
僕はその隙をつき、エビルに刃を突き刺した。エビルは悲鳴をあげ、消滅する。
『****』
「お仕事終わり。変身するまでもない」
ベルトを外そうとし、僕は剣を銃に変形させ、銃口を背後に向けた。そこにいたのは、謎の面をつけている少女。少女も僕に銃口を向けている。
「キミ、何者?人間じゃないでしょ?」
♣♣♣
僕が尋ねると、少女は動揺する間もなく答える。
「人に名前を聞く前に、貴方が名乗るのが礼儀じゃなくって?」
「ただの死神A。これで満足?」
「とりあえず満足してあげるわ。」
少女は銃を下ろす。それに倣い、一応僕も銃を下ろした。すると、アリスの傍らに低級のエビルが現れた。
「アリス。この子達の番犬」
アリスは1枚のカードを取り出すと、それをエビルの体内に入れた。
「そしてこの子達のアシスター」
カードを投入されたエビルは姿を変えていく。一瞬見えたカードの絵柄はネズミ。
『咲良。このお嬢さん、まるで死神みたいなことをしてるぜ』
「あぁ。こりゃ本気出さないとな」
僕はベルトのホルスターからカードを1枚取り出し、ベルトの中央のスロットに挿入。
『ラビット』
ベルトから待機音が流れる。僕は軽くストレッチをし、ベルトのレバーを引いた。
『グリムアップ』
「変身」
僕の姿は黒のモヤに変わり、そのモヤに胸部アーマーと肩アーマーが装着される。モヤは人型になり、ウサギを模したドクロの仮面が装着される。
『ラビットグリム』
ドクロにある痣が疼くのを感じる。まさか連日変身するとは思わなかった。ラットエビルは少し同様してるのか、その場から動かない。
「さぁ、始めようぜ。今宵は死神の時間だよ」
♣♣♣
先に飛び出したのはラットエビル。僕は敵の突撃に対して、バク宙しながら蹴りを当て、がら空きになった胴体に銃弾を浴びせる。
『サマーソルト。お前いつの間に』
「動画サイト見て覚えた」
素早く銃を剣に変形させ、相手が攻撃をする前に連続で斬りつける。 早めに決着をつけたいのもあったが、狙いはもう1つある。
『左胸だ。そこに核がある』
「オッケ。左胸ね」
僕はベルトのレバーを押し込み、レバーを引いた。そして右足の蹴りをラットエビルの左胸に当てた。
『ラビットグリムブレイク』
そしてラットエビルを蹴り飛ばす。ラットエビルは悶え、爆散した。
♣♣♣
変身を解除し、辺りを見回す。気がつくと、アリスと名乗った少女は消えていた。おそらく、戦っているところだけ見てトンズラしたんだろう。
『咲良。これまでの首謀者はコイツかもしれないぞ』
「いや、多分上にまだまだいるよ。アリスは部下に過ぎない」
そもそも、アリスが単独であのカードを生み出したとは思えない。それを作った奴、もしくは組織が裏にいるかもしれない。僕はため息をついた。
「こりゃしばらく旅に出れねーじゃんか」
『仕方ないさ。敵は強大だからな』
僕はこの場を立ち去る。これからの生活を考えると、面倒なことになりそうだと思うのだった。
2度目まして。リメイク2話目