OP:Tommyheavenly6「Heavy Starry Chain」
深夜の高台。そこでは1組のカップルが喧嘩していた。女の方はブランド品を身にまとい、男の方はどこかだらしなさそうだ。
「アンタ、浮気してたんでしょ。私がいながら最低ね!」
「フン。お前こそ!俺の金でブランド品買いやがって!」
どっちが悪いかをひたすら言い合いしている。決着がつきそうにない争いの中、謎の影が2人の間を通過した。
「ちょっと!?何よ今の!?」
「お、俺が知るかよ!」
瞬間、2人の意識が失われる。影は地面から姿を出した。影の正体であるエビルの爪の先には、血が着いていた。
♣♣♣
学校に行く前、僕は門番に会いに来ていた。昨日遭遇した少女のことを報告する為だ。
「咲良が自発的に会いに来るとはね」
「不本意だけどね」
僕はため息を着くと、昨日の夜にあったことを話した。門番は神妙な顔つきになる。
「その少女に、エビルを強化するカード、、、」
「僕はその少女の奥にはまだ強大な敵がいると睨んでる」
僕がそう言うと、門番も頷く。どうやら、門番もその可能性に気がついたのだろう。この人はこう見えて切れ者なのだ。
「でも、この報告のおかげで、彼を呼ぶ口実ができた」
「彼?まさか、、、」
「あぁ。冥府の蛇さ」
『冥府の蛇』その言葉を聞き、僕はため息をつく。あの男は苦手だ。迫り来る強敵、苦手な男との共闘。考えることが多すぎて、僕は頭痛がするのだった。
♣♣♣
午前中はいつも通り眠くなる授業を受け、先生からの質問に答えることの繰り返し。正直学校生活は面倒の塊だ。
「その割には、毎日来てるよね?」
「出席稼ぎだよ。最初のウチに学校行っとかないと今後のこと考えると、僕が苦労するんだよ」
ゼリー飲料を一気に流し込む。空鈴サンは卵焼きを僕に渡す。僕はそれを受け取り、口に入れる。
「今日はちょっと塩味強め?」
「うん。どれが好みかなって。どう?」
「もう少し甘い方が好みかな」
僕は正直に感想を言う。空鈴サンはエビルのことを少しだけ知っているが、僕の事情の全てを話してない。
「今日こそ話してよ!前の怪物のこと!」
「やだね。空鈴サン、僕はそういうの抜きでキミと友達になりたいんだよ」
これは僕の本音。せっかく仲良くなれそうなのだ。エビルとか死神とかでこの人を困らせたくないのでね。
「後は、あそこの田井中サンもだけど」
「あぁ、ヒメは、、、」
その田井中サンは他の女友達と昼ごはんを食べていた。そういえば、僕が空鈴サンを誘った時、田井中サンはサムズアップをしていた。
「ヒメったら////」
「どしたの?」
「え!?いやぁ!?なんでもないよ!?」
「、、、変なの」
変に慌てる空鈴サンを見ながら、僕は残りのカロリーブロックを食べるのだった。
♣♣♣
放課後になり、僕はこの街の見回りをする。この街は年々、進化するので地理を覚えていないと困るのだ。ふと、目の前にお面をつけた子供が現れる。子供は僕にメモリーカードを渡す。
「サンキュ」
子供は目の前から消えた。僕はため息を着くと、路地裏に入る。
『遣いを見たのは久々だな』
「ホント。あれビビるんだよなぁ」
僕は貰ったメモリーカードをハルバに指す。ハルバにメモリーカードに内蔵された指令がダウンロードされた。
『男女の悪意に反応するエビルアリ。直ちに殲滅セヨ』
「はぁ、、、よりによって男女狙いかよ、、、」
『男女関係には少なからず悪意が籠る。エビルが湧くのも仕方ないな』
ハルバの言う通りだ。人間関係っていうのは善意だけで成り立つものばかりではない。必ずしも悪意がある。今回はそれが男女関係に限られているのだ。
「あー、メンドイ」
『仕方ないだろ。本来お前はこの管轄にいてはいけない死神だからな』
ハルバに言われて少し納得した。そういえば規律破って本来なら立ち入り禁止だったのを思い出す。
「ま、仕事が出来ればそれでいいや」
そう思い直して僕は見回りを続けるのだった。僕はエビルを狩る死神なのだから。
♣♣♣
夜になり、僕は悪意の濃度が濃い場所へ向かう。悪意といってもただの悪意ではないが。
「恋人のケンカを望むのってなんかやだなぁ」
『お前位の歳の若者がよくリア充爆発とか言うじゃないか。お前さんは違うのか?』
「うーん。これに関しては言語化がムズいなぁ」
人間関係は簡単に言語化できるものではない。それは過去の自分が証明してるのだ。だから今回のエビルは面倒かもしれない。
『おっと。着いたぜ咲良』
ハルバが案内したのは陽炎街の中でも観光スポットになっている高台。こんないかにもな場所に悪意とかあるのか?そんなことを考えていた時、誰かから声を掛けられる。
「ここは意外と喧嘩してるカップルが見られるんだよ」
声をかけてきたのは今のところ1番仲がいいクラスメイトの空鈴サンだ。
「どうしてここに?」
「ここから見る景色が好きでさ。あ、別に喧嘩してるカップルが好きってことじゃないよ!」
「知ってる。前にも来たことがあるから」
僕は元々この街にいた事があるので、この高台のことも知っているのだ。それに、この高台は、、、
「でも、今日はタイミングが悪いみたい」
「え?どういうこと?」
「こういうこと」
僕は空鈴サンの喉元にナイフを向ける。空鈴サンは驚き、僕に何か言葉を発しようとする。僕は空鈴サンを睨む。そして空鈴サンに指で腕輪の画面を見るよう合図を送る。
『ヒステリック風に演技して』
それを見た空鈴サンは驚くが、すぐに行動を起こした。
「あ、あなた!私にこんなことしていいと思ってるの!?」
『ふっ。先にふっかけてきたのはお前だろ!それに、お前のことは首から下しか興味無いしな』
「むっかー!そんなこと言うならとっとと殺しなさいよ!」
「あぁ、そうだね。でもその前に」
僕はナイフを逆手に持ち替え、地面に突き刺した。すると、影からエビルが現れた。
「お前を倒してからね」
エビルは驚いたような表情をして、僕と空鈴サンを見ているのだった。
♣♣♣
エビルを倒すためとはいえ、2回も空鈴サンを巻き込んでしまった。それに対する謝罪は後からするとして、まずは目の前の相手だ。
『コイツは見た目こそ低級と変わらないが、影潜りは低級よりも素早いぞ』
「なら、初っ端から本気だしますか」
僕はベルトを取り出し、腰に当てた。
ベルトは自動的に僕の腰に巻かれる。
『グリム_スタンバイ』
僕の頬と手のひらに痣が発現する。そして僕はホルスターからカードを1枚取り出し、挿入した。
『ラビット』
ベルトから待機音が流れる。僕は指をポキリと鳴らしてから軽くストレッチをし、ベルトのレバーを引いた。
『グリムアップ』
「変身」
僕の姿が黒のモヤに変わり、その上に胸部アーマーと肩のアーマー。そしてウサギのドクロを模した仮面が装着される。
『ラビットグリム』
ドクロの頬にある痣が怪しく光る。空鈴サンは僕のこの姿を見て驚いているようだ。
「始めようぜ。今宵は死神の時間だよ」
僕は剣を構えるのだった。
♣♣♣
エビルが影に入ろうとするが、僕はエビルを斬りあげると、エビルが打ち上がる。僕は追い討ちをかけるようにエビルを斬る。
『****』
「すごいのは能力だけか、、、」
核の場所はわかってる。こんな面倒な戦いは早く終わらせるべく、核に向かって剣を突き刺そうとすると、
「!?」
何者かが僕に突進してくるので、僕はそれをかわす。どうやら、同じ特徴を持ったエビルみたいだ。
「2体いるなんて聞いてないよハルバ」
『オレサマもだ。こりゃどういうことか門番に詰める必要があるな』
そういった時、背後に気配を感じたので、振り返るともう1体が攻撃を仕掛けて来たのでそれをジャンプしてかわす。
「3体、、、どうなってんの?」
すると、3体が融合し、1体のエビルになり、見た目も素体のエビルを細く、素早さに特化したような形態に変わる。
『***ケ ハ イ***』
「なるほどね。コイツら元々1体だったのか」
剣を構えると、エビルは僕から背を向け、街並みが広がる方向へと影を潜り、移動を開始した。安全だと認識した空鈴サンがこっちに来る。
「逃げやがった」
「どうするの?守条くん」
「コケにされたんだ。殲滅するさ」
僕がハルバを軽くなぞると、ゲートが現れ、そこから1台のバイクが出現する。
「お前に乗るのは久々だよ」
『制御はオレサマに任せろ。咲良』
僕はバイクに跨り、エンジンをふかして、高台を飛び降りるのだった。
「ここ、結構高いのに無茶するなぁ、、、」
そう言ってた空鈴サンの声がギリギリ聞こえた。
♣♣♣
エビルが街中に降りて行った原因はわかってる。おそらく街中の何処かから悪意を察知したのだろう。死神よりもエビルの方が悪意の感受性は高いのだ。
「いた。あそこか」
『ナニ?わかったのか?』
「察知しなくてもわかる。2台先の車のカップル。揉めてる上に男は煽り運転してる。器用なことにね」
死神になったお陰で上がった視力の先で見た光景だ。僕はバイクを飛び降り、バイクの前の車の上に乗る。そして剣を銃に変形させ、カードを挿入した。
「チャージカウントお願い」
『了解』
チャージが終了するまでにエビルが出てくるのを祈る。おそらく車の中で2人を襲うはずだ。
『チャージ終了まであと5秒』
その瞬間、エビルの姿が見えた。
『チャージ完了』
「核は?」
『首だ。一撃で決めろ』
「オッケ」
僕は銃の引き金を引く。エネルギーが籠った弾丸がエビルに向かって放たれ、エビルの首筋を撃ち抜く。
『グリムシューティング』
エビルは断末魔をあげることなく、消滅した。それを確認した僕は車の上から飛び降り、並走しているバイクに飛び乗り、そのまま走り去るのだった。
♣♣♣
〜ヒナside〜
守条くんがバイクで戻ってきて、ドクロの仮面を纏った状態から見慣れた守条くんの姿に戻る。
「あれ?ベルト外さないの?」
「予期せぬとこで不意打ち喰らったから、、、ね!」
守条くんが何処かへとナイフを投げる。そのナイフは銃弾によって弾かれた。影から女の子の声が聞こえる。
「あら、よくわかったね」
「アンタの独特な殺意は覚えやすかったよ」
守条くんは剣を構える。私は彼から離れた。もしかしたら戦いが始まるかもしれないからだ。
「そうだね。今日は戦いに来たの」
月光で姿が明らかになる。謎の面をつけており、黒のワンピースを纏っている。そして右手にはメリケンサックと銃が合体したような武器を持っている。少女は武器にカードを挿入する。
『エビル_スタンバイ』
少女の口元に牙の痣が発現する。それを見て守条くんが驚いていた。
「それって、、、」
「そ。アナタ達死神と同じ痣だよ。」
そして彼女は銃口を押し込み、離した。
『エビルチューン』
「決行」
怪物のシルエットが彼女の背後に現れ、彼女に覆い被さる。すると、彼女がシルエットと同化する形で変わり、怪物をスクラップにしたような見た目に変わる。
「私はエビルライダー。エビル達の番犬。そして死神に対して処刑を決行する者」
そう言って彼女は銃を構える。守条くんは銃を剣に変形させ、構えを取るのどった。
3度目まして