実は『東方代神主』という名前の小説を一度、二話まで投稿していたのですが、ストーリーなどが個人的に気に入らなかったので、設定を再構築し、新たな『東方代神主』として投稿することにしました。(旧東方代神主は現在非公開です。)
一、博麗神社の朝
神主の朝は早い。
といっても神主らしい仕事があるわけでもなく、境内の掃除をしたり朝食を作ったりするくらいである。
で、朝食を作っているとうちの神社の巫女がその匂いに誘われて起きてくる。
「あっ、おはよう。珍しいわね、朝食から魚なんて。」
「たくさんの魚を紫がくれたからね。まだまだたくさんあるから残りは干物にしようと思ってるよ。」
「あ〜、あの胡散臭い妖怪も粋なことをするじゃない。」
「胡散臭いって…ま、まぁ確かにそんなところもあるけれど…」
そんな会話を俺とかわしているのはこの博麗神社の巫女『博麗霊夢』
裏表のない性格で、いつもやる気なさそうにしており、他人(妖怪なども含む)に対しての興味もそんなにない、浮世離れした少女だ。
そのため冷たい人間と思われがちだが、そんなことはない。
友人などとはとても親しげに接しており、情に厚い性格なのだ。
ただ、それを表に出そうとはしない。
このツンデレさんめ!
そんなことをいっている俺は『博麗想馬(そうま)』
別に名字が博麗なだけで霊夢とは家族とかではありません。
博麗神社の神主をやっている半人半妖の化物です。
なぜ神主なんかをやってるのかはいろいろな理由があるのだが…今は語らずにしておこう。
「胡散臭い奴は胡散臭いのよ!もう全てが胡散臭さでできてるような妖怪じゃない。スキマ妖怪なんかじゃなくて胡散臭い妖怪の方がわかりやすいわよ。」
「そこまで言わなくても…」
「誰が胡散臭いって?」
突然後ろから声が聞こえ、振り返ってみるとそこには噂の妖怪、
「どうも皆さん、妖怪の賢者『八雲紫』です。大体の方は知っているでしょうね。」
「あんた誰に話しているのよ。」
「秘密よ。」
「ね、やっぱり胡散臭いじゃない。」
「胡散臭いな。」
「なんで相馬まで冷たいのよ?」
「紫が胡散臭かったから胡散臭いと言っただけだ。」
「はぁ〜、あなたも結構性格キツイわね〜」
「いや、紫の胡散臭さに比べれば…」
そう言った瞬間紫の表情が笑顔になった。
だが俺にはわかった。それが笑顔でないことが。
「ちょっとこっち来なさい。」
「えっ、紫?何をするつも…いだだだだだd」
紫は俺の体を軽く持ち上げ、見事にバックブリーカーを決めた。
まぁ、紫があの笑顔の時はろくなことがない事ぐらいわかってたけどね。
ちなみにこのバックブリーカーはもう数十回食らっている。
霊夢が紫のことを怒らせたりしても、なぜか俺がきまってバックブリーカーされる。世の中は理不尽だ。
「あ、紫お得意のBBB(
「あら、霊夢?あなたもくらいたいかしら?」
「私は遠慮しておくわ。」
「いだだだだだだだだd…いつ解放してくれるんですかぁ?!」
「まだダメよ。」ギリリリリ…
「ぎゃああああああああああぁぁぁぁぁ!!」
ーー朝の神社に一人の男の叫び声が木霊した。
◇
その後BBBから解放された俺は朝食の準備の続きをしようとしていたのだが、
「私も一緒に食べさせてもらってもいいかしら?」と紫が言ってきたので断りきれず、追加で作ることになった。それは別にいいのだが…
「なんで一家大集合しているんですか…」
紫の側では紫の式である『八雲藍』と藍の式である『橙』が俺の作った朝食を食べていた。
「らんさま、やっぱり想馬さんの作る朝食はおいしいですね!」
「そうだねぇ、こんな美味しい朝食が食べれるなんて私たちは幸せものだ。」
「でもわたしはらんさまと一緒に朝食を食べられることが一番幸せです!」
「ち、ちぇえええええええええええええん!」
「こんなところで家族愛を確かめ合わないでちょうだい。大体そっちが突然押し掛けてきたのに。」
「あっ、霊夢さん失礼いたしました。」
「らんさま、鼻血が出ていますよ。」
なんだかテンションの高い式たちとそれを冷たく見つめる霊夢を横目に、俺は正面に座る紫と優雅に朝食をとっていた。
紫だけが朝食を食べに来ることはよくあるのだが、八雲一家が大集合することは滅多にない。
しかも大集合する際は藍が事前に知らせてくれるのだが…
ちなみに、大集合の際は朝から腕を振るっていろいろなものを作るのだが、今日は知らせがなかったので白米と焼き魚と味噌汁(残念ながら油揚げは入っていない)という質素な献立である。
だけど大喜びしているからよかった…のかな?
「どうやらうちの式たちはよっぽど朝食を頂けることがうれしかったようですね。でなければあんなにはしゃいだりしませんよ。」
「それはどうも。」
「あら?御機嫌斜めかしら?」
「そりゃあ突然押し掛けてきて朝食を食べさせろといい、そのうえ大はしゃぎときましたから。」
「許してちょうだい、あの二人は1週間ぶりの再会だからテンションが上がっているのよ。」
「なんでしたっけ?マヨヒガとかいう所に、橙は住んでいるんですよね?」
「そうよ。そこで式としての実力を上げるために修行を積んでいるのよ。全く成果がわからないけれど。」
「なかなか辛口ですね。それも愛ゆえにってところでしょうか。 」
「あらあら、そう見えますかね?」
「で、要件はなんですか?朝現れたのは何か特別な用があったからですよね。」
「あら?お見通しでしたか。」
「あのくらいの会話はいつもしているので、それに反応して出てきたとは考えにくいんですよね。」
「あなたたちの印象が変わりましたわ。」
「紫が胡散臭いのは曲げようのない事実だからしょうがない。」
「博麗の二人組はハッキリ言いますね。では、本題に移させてもらいます。」
そう言いながら紫がこちらにやってきて小声で話し始めた。
「あなたに吸血鬼異変のことをお話しましたよね?」
「あ、あの幻想郷の歴史の中で最悪ともいえる大異変のことですよね。」
「そのとおり。あの異変で幻想郷は大きな被害を受けました。そのため、これから幻想郷では単純な暴力ではない新しい戦いのルールを設けようと思います。」
「えっ?それってどんなルールなんですか?」
「暴力ではなく、攻撃の美しさや戦闘の技術面を重視した、人と妖怪、いえ、それ以外の全てのものが守られるルール。- スペルカードルール -です。」
知ってた。
その話がされることはわかっていた。
実は俺はいわゆる『幻想入り』を果たした人間だ。今は半分妖怪だが。
だが俺の幻想入りは前世の記憶を引き継ぐという形のものだった。
知識、この世界『東方project』のことなどははっきりと覚えているのだが、どうにも自分が以前どんな人間だったのかは思い出せない。この脳内思考的に前世は男だったのではないかと思っているが、何かがモヤモヤしている感じがしてならない。
おっと、話を戻そう。
俺は『東方project』という世界の知識を持っている。なのでこれから起こることなどは大体分かる。吸血鬼異変といえば、紅魔館メンバーが幻想入りした際の大戦争のことだ。
ちなみに俺が幻想入り?というか目覚めたのはこの異変の後だ。
しかもこの異変については紫からも多くのことは話されず、原作でもほとんど語られなかったので詳しいことが全くわからない。ちなみに俺は霧の湖近くの森で目覚めたのだが、周りはまさに荒れ放題という感じであった。木々がなぎ倒され、大地は削れ、ただ湖と真っ赤なお屋敷がそこにはあった。いや、それだけだけではない…
おっと、これ以上語るのはまた今度にしよう。俺は話をずらす程度の能力でも持っているのか?
もう二回も『おっと、』を使ってしまった。
で、紫がこのことを話してきたということは、
「で、それを広めるためにここへ頼みに来たと。」
「大体はそんな感じです。スペルカードルールを定着させるために
ですよね。これが紅霧異変というやつですな。やはり紫は一枚かんでいたか。この異変からスペルカードルールが実用化されていくんだよね。まぁ、霊夢がやる気になってくれるかが問題だが、原作でうまくいっているので大丈夫であろう。
「紫のことだから、どうせ拒否権は認めていないだろうし、なんとかやってみますよ。」
「それはどうもありがとう。異変は大体1ヶ月後に起こるからそれまでに霊夢を鍛えておかないといけないわね。」
「そうですね〜、修行嫌いの霊夢がきちんとやってくれますかね〜」
そういいながら霊夢の様子を見る。式たちと何やら言い合っているようでこちらのことは頭にないようだ。
「霊夢は天才だからすぐに覚えてしまいそうだけどね。」
「それは同感です。」
このあと滅茶苦茶修行した。
霊夢のメンタルポイントは0を振り切ってマイナスまで行ってしまったであろう。
だが、紅の霧が幻想郷を包み始めると霊夢のやる気はマックスになった。
さて、紅霧異変の始まりだ!
早速紅霧異変でございます。基本的に旧作の絡みはございません。もしかしたら書くかも知れないですけど。
博麗想馬や八雲紫の出会いなどは紅霧異変編が終わったら書こうと思います。