シスターフッドの生臭神父はパンツが見たい。   作:誰か

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シフターフッドの生臭神父

 パンツが見たい。

 

 俺がそう思い始めたのは俺が15の頃だった。俺は所謂信心深い家系の出身で、幼い頃からトリニティ総合学園。そのシスターフッドへの所属が決められていた。敷かれたレールの上を走る人生というのは、楽ではあったが間違いなく退屈だった。

 

 その頃くらいからだろうか?俺は思春期と呼ばれる健全な青少年に育つための時期を迎え、様々な事に興味を持ち始めた……包み隠さずに言うとエロに興味を持ち始めた。

 

 勿論親や周りの人間はそんな俗な物は好かない。信仰的にもそうそう受け入れておらず、禁止こそされていないがかなりのグレーゾーン。俺は周囲の目を欺きながら様々なエロ本を買い漁り溜め込んでいった。たまにバレて全部燃やされた。

 

 そんな俺だから、女所帯であるシスターフッド……いや、このキヴォトス全体では肩身が狭く、欲を溜め込むばかりの生活をしていた。

 

 自宅で発散をしようとしても、何故か知り合いがこぞってやってきて飯をせがんで来る。いや、飯をせがむだけならまだ良い、たまに何の理由もないのに押しかけてくるのだ。同年代の信心深いシスターが、やがてトリニティの長を務めるであろう三人が、顔面凶器の正義感の強い乙女が、救護救護うるせぇおっぱ――医者が、毎日入れ替わり立ち替わりでやってくる。

 

 世の男からしたら羨ましい光景だろう。俺も悪い気はしない。むしろ嬉しい。最高だ。……だが、それとこれとは話は別。気を抜くタイミングが無いのはかなりきつい。

 

 秘蔵のエロ本の在り方がバレるなんてのもしょっちゅうだ。最近はパソコンにデータがあるのが主流だろうが、奴らデリカシーを投げ捨てているのか人のパソコンを平気で隠れて見てくる。勘弁してくれ。

 

 まぁ、そんなこんなで今日も【シスターフッドの生臭神父】こと俺、浅木(アサギ)キヨトはシスターフッドの神父として生徒の懺悔の声を聞いていた。

 

 

 

 

 

「……と、いうわけなんです!……ちょ、神父様聞いてますか!?」

「聞いてる聞いてる。まぁ、確かにそりゃあちょっと友達酷いなぁ……」

「分かってくれますか!?」

「分かる分かる、俺もどちらかと言ったら尻派だけどだからって胸が要らないって訳じゃな――――」

「何の話してんだアンタァッ!!!???」

 

 あー、うるせぇ。なんで態々休みの日に人のお悩み相談せにゃならんのだ……なんだよ友達と喧嘩したからってここで愚痴吐くなよ。

 

「あぅ……こっちは真剣に悩んでるのに!」

「真剣に悩むも何も、不満な所は分かってんだからそれ言えば良いだろ。本人に直接ぶちまけるほうがこんな所で愚痴吐くよりもよっぽど建設的だぜ?」

「ちょっ……それ神父が言って良いセリフなんですか!?」

「別にこんな生臭神父にそこまで誰も求めてねぇだろ。ほら、早く行け、お前で最後なんだよ。」

「さ、サイテー!!やっぱりマリーちゃんかサクラコ様が良かった!!」

「けっ。おら、早く行って友達と飯食って仲直りしろよ。」

「言われるまでもないわばーか!!」

 

 そう言って、壁の奥の少女は軽い足取りで走り去る……ふぅ。今ので最後か、漸く昼飯が食える。

 

 えっ?懺悔がこんなのでよいのかって?さっきも言ったが、誰もこんな生臭にそこまで期待してない。それに俺だって相手の雰囲気を見て考えてる。

 

 相手が本当に深刻な悩みを抱えてる時もあれば、ただ話を聞いてもらいたいだけってやつもいる。そういう奴には今ので十分だ、俺の時に悩み話に来るやつなんか大抵そういう奴らばっかだからな。偶にクレームが入るらしいが……その対応は俺じゃねぇし知らね(カス)。

 

 さぁ、狭っ苦しい懺悔室から抜け出して青空の下に繰り出した俺!!さて、今日は何処で飯を食おうか?……おっと、その前に……

 

「念の為教会に隠してたエロ本回収しとくか。今日大幅清掃するとか言ってたし……」

「へぇ……その俗本は……これの事ですか?」

 

 響く足音……現れるのは俺と同じ黒の修道服を着た銀髪の女性。手にはその清楚な出で立ちに似合わないピンクのやらしい色に、水着を着た女性が表紙に映る成人向け雑誌……

 

お、俺のイチャイチャパラダイスがぁっ!?

「神父が公衆の面前でそんなセリフ言わないでください、後生ですから。」

 

 彼女の名前はサクラコ……俺と同じくシスターフッドに所属する牧師。その気丈な見た目からあらぬ勘違いをされることもあるが、基本は親しみやすさを求める気の良い奴だ。俺の幼馴染……と言えるほど深い関係では無いが、まぁ同年学年なあって子供の頃からの知り合いだ。……とはいっても、さすがに今日のサクラコは威圧感が違うが。

 

「全く……神聖な教会にこんな物を隠すとは……相変わらず好きにやっているようですね?キヨト。」

「しょーがねぇだろ!?家に隠そうにもお前らが押しかけて回収するせいでマトモに見れる場所ないんだよ!!」

「そもそも見なければよいのでは?」

「馬鹿野郎コッチは純情な思春期男の子ぞ!?女の頭から爪先までエロスティックな姿をみたいに決まって――」

「焼却です。」

「あぁぁぁぁぁ!!!!サクラコォォォッ!!!」

 

 うぅ……やりやがったサクラコのやつ……俺のイチャイチャパラダイスをご自慢の浄化の織り手で蜂の巣にして燃やしやがった……鬼ぃ……悪魔ぁ……サディストぉ……!わっぴぃ……!!

 

「はぁ……こんな物必要ないでしょう?貴方は神に仕える神父なのです。このような真似は控えて頂かないと……」

「別に神だって性的欲求を持つなとは言ってないだろ、推奨してないだけで。グレーゾーンはセーフだ。」

「セーフじゃないからグレーゾーンなんです。」

 

 細かい奴だ、相変わらず真面目と言うかなんというか……いや、シスターフッドなんてそんな奴らばっかりか。俺が特殊なんだろうな……二世信者の辛い所だ。

 

「クソがっ……この間はツルギに取られて正実の保管庫送り、その前はティーパーティに直接没収。いつになったら俺はマトモにエロ本が見れんだよ。」

「そ、そこまでして見たいのですか……?」

「見たいね、見たい。見たいよ。」

 

 何度も言うが俺は男だ。この歳の男は性欲魔神だ、全員下半身で物を考えている(個人差あり)。であれば、エロ本の一つや二つみたいのは当たり前である。紙媒体でしか味わえない感覚というものもあるのだ。

 

「と、兎に角不健全です。今後もそう言った本を所有している所を見かけたら処分ですからね!」

「あ゛ぁ゛ぁ゛!!横暴!!悪魔!冷血女!シスターフッド!ハイレグ魔王!」

「なんですかハイレグ魔王って!?そもそもそんなもの履いた事ありません!」

「うるせぇ!なんかお前これから履きそうなんだよ!」

「どんな偏見ですか!?」

 

 ……っと、まぁコレが俺の日常だ。毎日毎日堕落しながら教会で過ごして、偶に悩みを聞いて、頻繁に来る色んな奴らと言い争い、毎日ブラリと外に出てはエロ本を買い漁る。そして燃やされる。

 

 夜にはアダルトサイトを見ては、何処からクラッキングされたのか翌日にはトリニティ中に情報が広まって俺は魔女狩りのごとく焼き討ちにされる。その後には決まって超天才(以下省略)からのメールに『m9(^Д^)プギャーwww』の煽り文が乗せられてくるのだ。

 

 そんな一般思春期男子高校生には生きづらくイキづらい世の中だが……まぁ、それなりに楽しく過ごしている。退屈はしない日々だ…………それはそれとして、早く普通にエロ本が見たい。めっっっっちゃパンツが見たい。合法的にパンツが見たい。

 

「ちょっ!?また変な事考えてるでしょう!?」

「俺ってレース入った派手な奴よりかは無地か少し柄かリボンが付いた位の若干地味めな位が好きなのよね。」

「何の話をしてるんですか!?話聞いてませんねキヨト!大体貴方はですね!」

 

 そんな事を考えながら、人が言うよりも感情深い同級生のシスターの話を右から左へ受け流すのだった。

 

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