拝啓、俺です。浅木キヨトです。
今俺は普通にゲームをやってたんです……フ◯ミコンのシャーロックホームズってゲーム。探偵物なのに市民のNPCに話しかけたら連続ヒットで即死するんですよね。
…………探偵でアクションやるってある意味コナンの先駆けですよね、やっぱファミ◯ンはすげぇや。
まぁそんなのは余談で……何を話したいかと言うと……
「ねぇキヨト〜。そのゲームそんな面白い?」
「面白くはねぇよ。クソゲーだクソゲー。」
何故か当たり前のように言える入り浸るこの聖園ミカって俺以上のボンボン娘をどうにかしたいって話です。何コイツ、何この前意味深な発言してきたくせに普通に俺の家来てんの。鋼のメンタルすぎるだろ。
つか最近頻度多いぞ、俺が居たら3日に一回家来るじゃん。仕事しろよ仕事。ナギサ可哀想だろ。
「……そんなクソゲーをなんでやってるのさ。しかも古いやつだし。」
「いやお前、今でこそ何でもタイパタイパ言うけどね。ゲームなんて本来無駄を楽しむものだよ、人生と同じで。」
「いや、でも今はもっとこう……ストーリーが良いゲームとかグラフィックが良いゲームとかあるじゃんね。」
「いやぁ、でも最終的にこういうゲームに落ち着かない?」
「落ち着きはしないかな☆」
あぁそう……しかし、よく人の家の冷蔵庫漁れるなコーラ普通に取り出しやがって……つーかお前をお姫様扱いしてる信徒がみたらすげぇ顔されるよ。今ジャージ姿だもん、お姫様じゃなくてただの部屋着のズボラな女の子だもん。
……いや、そこじゃ無ぇや。いろいろ突っ込みたいところはあるが今日は我慢だ……聞きたいことだけ聞こう。こいつどんな神経でここまで来たのか、どんな神経であんな事言ったのか……その意味を確かめねぇと。
「ミカァ。お前……この前俺に耳打ちしたセリフ。ありゃどーう言う意味だ?」
「……ん〜?」
――キヨト。私と一緒に、アリウスを
それは確かにミカが俺の耳元で囁いたセリフ……アリウスとは、かつてトリニティに存在した分校である。トリニティが統合される際に反発を起こし……当時の生徒会であるユスティナ聖徒会――シスターフッドのルーツ――に弾圧された。
彼女達がまだ生きて何処かに潜伏しているのは疑いようがないが、まだ大きな行動は見れない。起こるのはこれから……だろうか?
それは兎も角として……ミカの発言には引っかかる点がある。アリウスを助けるとはどういう意味なのか?それに三年ばかしの付き合いだが、ミカがお世辞にもアリウスに対してそう言うセリフを吐くとは思えないのだ。
どこか興味なさげと言うか無関心と言うか……それは、もはやこのトリニティの大抵の人間がそうなのであろう。アリウスなんて知らぬだろうし、知ろうともしない。過去に自分達のルーツがどれだけ血を流してこの学園を作ったのか……それを知識として得れても、実感することはないだろう。俺も含めて。
……それから1週間は経っていたが……結局、その話はサクラコにも、ナギサにも相談できずにいた。トリニティの事を考えるなら、おおっぴらとそんな事を語ったミカを放置するのは……明らかな反逆、外道の行為だ。しかし、それでも俺は声を上げられずにいた。
「アリウスを助けようってお話?えっ!受けてくれるの!?」
「受けねぇよ。ただ、なんであんな事を言った意味がわかんねぇって話だよ…………お前、まさかアリウスと……」
「しーっ!お口チャックして☆それはクライマックスまでのお楽しみ。」
「ふざけてんのかお前。」
こいつ……何処まで本気でやってんだ?こんなミカ初めてみたな……なにを考えてんだよ。
「だって、キヨト君はアリウスをどうにかしたいって思ってるはずだよね?……だから誘ったの。助けようって。」
「……お前、そもそも何で俺がそんな事言われて素直に受け入れると思ってんだ?俺がそのセリフ出汁に強請ったり、ナギサやサクラコや他の奴等に垂れ込むとは思わないのか?」
「ん〜、だって……キヨトは
脳ミソ腐り果ててるのだろうか。全くもって理由になってないぞ?俺が憐れみと義憤だけで何処とも知らん奴のために何かする奴だとでも思っているのか。
「……ねぇ、キヨト。シスターフッドが元はユスティナ聖徒会がルーツなのは当然知ってるよね?」
「あっ?急に何の……」
「君の家系は代々、そのシスターフッドで葬儀屋として活動してたんだよね。」
突然人の家のことをペラペラと語り出すミカ……その姿に、なにか俺は嫌なものを感じていた。まるで、手のひらで転がされているような嫌な感覚だ。
「……なんで、そんな事してたんだろうね。葬儀はそこに弔う死人が居なきゃ成立しない。でもそれが成立する事はキヴォトスでは珍しい。」
キヴォトスの生徒は丈夫だ。本当に滅多な事じゃ死なない……であるからこそ、キヴォトスでの人死にはとても強くのしかかる……噂では外の世界の人間では1日で16万人亡くなっているらしい。キヴォトスではあり得ない数字だ。数字を10分の1にしても過剰に感じる。
それだけ、キヴォトスで生徒の死はイレギュラーな物なのだ。
では、何故俺の一族はそんな毎年僅かしか出ない生徒を弔っていた?それが継承されるほどのノウハウを何処で得た?何故継承させた?
「つまり、それが自然と役割化するほど、沢山死人が出た時期があったって事…………君達のルーツのユスティナは、拷問だって平然とするような組織なんだよね?そりゃ、いくら丈夫でも亡くなる子はたくさん出てくるよね。」
人が何度もした嫌な想像を平然とほじくり返してくる。デリカシーは何処へ置いたのやら……踏み込まれた言葉に自然と舌打ちがでそうになる。
「ねぇキヨト。分かるでしょ。君の祖先が弔ってきた亡骸に……いや、弔うと言うよりも……文字通りの
「想像ですげぇ嫌な言い方するじゃん。」
「そりゃそんな大昔の事。核心的な事言えるわけないじゃんね☆」
一理はある……どんなに精巧な言い伝えでも。人は結局、経験したこと以外は言伝でしか知る事ができないのだから。いや、かりに経験したとしても、何がどんな真実なのか…………それは、誰にもわからない。
「……兎に角そのゴミの中に、アリウスだって当然入ってる事を。キヨト君は分かってたはずだよね?」
「……予感、程度だ。そんな最悪な事は想像してねぇ。」
嘘だ。少しだけ想像してみた事はあるが……気分悪くなったんでやめた。まぁそれはさて置いて……実際、アリウスをこのまま反逆者として、或いは忘れさられる物にしていいのか……と言うことは考えた事は何度もある。手を伸ばすということも考えた。
だが、届かなかった。届かせる手段すら分からなかった。
どんな言伝を届ければいいのかも分からなかった。誰かと協力していいのかすら分からなかった。頭がどうにかなりそうだった。
「キヨトは
「俺がそんな殊勝なタマに見えるか?」
「酔狂だとは思ってるよ。でなきゃトリニティの落ちこぼれ拾ってシスターフッドに暴力装置の名目で保護する事も、アビドスに自分から首を突っ込む真似も、ただの享楽主義じゃ出来ないでしょ?」
好き勝手言いなさらぁ……
「そもそも、何がしたいんだおまえ。」
「言ったじゃん。アリウスを助けたいの☆」
「嘘をつけ。目的はそれじゃねぇだろ。」
「てへっ☆」
「それに、お前要するに俺にトリニティ裏切れって言ってるようなもんだろ。誰が……」
「別に私と組めって話じゃないよ。」
支離滅裂な言動なんだが……どういう事?
「別にアリウスと一緒に手を組もうって、そんな話じゃない。………この前トリニティに編入生が来たの。」
「……珍しいな。つまりそれが……」
「そう、アリウスの子……名前は白洲アズサ。アリウスでも元は腕利き集団のアリウススクワッドの一人。」
またとんでもねぇのが出てきたなおい。厄介事を超えた厄介事じゃねぇか!?
「君にはその娘を見張って、守ってほしいの。お目付け役と言うか、そんなの?」
「なんで俺がそんな真似を。」
「トリニティに編入したアリウス生徒……それはきっと、2つの学園をつなぐ架け橋になるはず。」
……こいつ本当にミカか?なんだろう……お前からそんなセリフ出てくるのが想定外すぎるんだが……いや、内容的にはまぁ間違ったことではないが、なんだろう。違和感が……
「いや、そーだとしてもなんで俺に。」
「一番信頼できるのがキヨトだから。事、こう言う事においては……」
「ナギサが可哀想にもほどがあるんだが……」
「ナギちゃんももちろん信頼してる。けど、いざアリウス生徒が潜り込んでるって聞いたら、何をその娘にしでかすか分からないし。もう目星をつけて補習授業部って名目で押さえつけようとしてるし。」
既に首根っこ抑えられてるじゃねぇか。大丈夫なんかそれ……
「私にも私の目的があるのは否定しないけど、君は君の目的の為に、私を利用すればいいの。もし私のやりたい事が気に食わないなら………全力で止めて見せれば☆」
「……ミカ、お前。」
要するに……アリウスを単純な敵として終わらせたくないなら、その転入生とやらと上手くやって和解できる土台を作れって話か。俄然なんでそんな話を俺にしたのか分かんねぇが……少なくとも、問い詰めて答える感じじゃなさそうだな。飽くまでもアリウスを助けたいでしらを切るつもりらしい。
つかコイツ大丈夫か?明らかに可笑しいぞ……若干支離滅裂な発言しかしてねぇし……まるでヤケにでもなったみたいな……
「まぁ、そのアズサちゃんが入る補習授業部に、私が口添えしてキヨトも関われるようにするから……よろしくね☆」
「丸投げじゃねぇか。」
「あははっ!まぁまぁ……お互いに、さ。
本当……勘弁してくれ。渡りに船とはいえ明らかな泥舟じゃねぇか。なんなら爆薬積まれた特攻船じゃねぇか……つか何この厄介ごとの山は。やめて本当に、生臭神父に何を期待してるのこいつは!?
「……んで。その補習授業部。つまりナギサが目をつけているやつには……他に誰がいるんだ?」
「えぇっと……君が一緒にアビドスに行ったってヒフミちゃんでしょ?正義実現委員会で君によく絡まれてるカワイソーなコハルちゃん。それと……
「おい待て、ハナコだけなんかおかしかったぞ!?」
「あんな奴元からおかしいじゃんか☆」
「お前そんなハナコ嫌いなの!?おなじピンク髪のロングなんだから仲良くしろよ。」
「はっ?無理☆」
先が思いやられることこの上ないんだが………本当、なんでこうなったんだろ。
そんな会話をし終え、ミカが帰った後の話だ……俺はおもむろにスマホを取り出して、ある人に連絡をつけようとする。履歴から探すのは救護おっぱいの名前……と、すぐに見つける。
「……もしもし団長?俺、キヨト。セイアまだ生きてる?……オッケ。怒鳴るな、聞き方が悪かった。まだ無事か?……いや、息してるならまだ良い。……気になっただけだ。早く戻ってもらわねぇとヤバいことになる予感がしたからな。」
本当、なんでこうなったのかな。
アリウスなんてどうでも良いと言えたら楽だったのかね。
どっかで誰かの何かしらを停められたらも少しマシにはなったのかね。
人ってのは出来る小さな事を一つ一つ片付けなければ何も成せないって話を聞いたことがある。良くしていきなり自分にできること以上をやれば、必ず破綻すると。
……キヴォトスは、そんな自分にできる事以上をする奴らばっかりだ。俺も含めて、な。
……あーあ、エロ本読んで寝よ。
浅木家……祖先はユリスティナ聖徒会ゴミ処理係。アンデルセンでありながらウォルターでもあったわけです。そんな感じです。
キヨト:
ミカ:色々あって本編より若干メンタルガッタガタお姫様。