シスターフッドの生臭神父はパンツが見たい。   作:誰か

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生臭神父は流行りが分からない

 

 ……アズサはしばらく無言になった後、俺を見ながら少し迷った風に呟く。

 

「…………浅木キヨト。私はまだ君のことを完全には信頼できない。だが……」

「しっ……誰か来る。」

 

 俺は何かを言いかけたアズサをそっと静かにさせる……すると、廊下からコツコツと足音が響き……暗がりからハナコがその姿を現す。

 

「あらあら♡男女がこんな夜に部屋を抜け出して密会ですか?」

「嫌な言い方やめろ。俺もアズサも寝れなかったから話してただけだ。」

「あ、あぁ……どうにも寝付けなくてな。」

「……あら♡そうでしたか?私、てっきり間違いでもと……」

「間違ってるのはお前の頭だ。」

 

 ……しかし、ハナコか……こいつ話聞いてた風にはみえないが、まぁ仮に聞いていたとしてもこいつは勘も良いし話も合わせてくれる方だ。

 

 こっちが下手をやらなければ何もしてこないとは思うが……こいつ本当に食わせ物だからな。あんまり敵に回したくない。

 

「つかお前、最近どーした?1年の頃はあんな成績じゃなかったよな?答案見たけど名前すら間違ってたじゃねぇか。なんだ松永弾正て。」

「外の世界の偉人らしいですよ?」

「なぁんで外の世界の偉人を名前欄に書いてんだドアホ。」

 

 つかなんで松永弾正だ。茶釜に火薬詰めて城ごと爆死する気かお前。つか誰にも伝わんねぇよ!!

 

「……二人は仲が良いんだな。」

「えぇ、お互いの汎ゆる所を知り尽くしてます♡」

「変な事言うなよ?俺はお前の至る所知らねぇから。知ってんのは、お前が色ボケな事だけ。」

「そんな、誰が私をこんな風にしたと思っているんですか!?」

「俺でない事だけは確かだな。」

 

 こいつなんでこんな事になったんだよ、マジで日に日に悪化していってんだけど……えぇ、コレ俺のせいなの……?

 

「それじゃあ、私はまた見回りに行く。」

「大丈夫なんですか?」

「平気だ。5日間くらいなら寝ずに見回りができる。」

「余計不安になってきたんだけど俺。気張りすぎんなよ〜!」

 

 そうして、アズサはまた哨戒に出てしまった……少し早いかと思ったが、この辺りで目的と言うか、裏を曝け出すのが一番良い。後腐れがない……しかし、アイツも妙だったな。

 

 俺達トリニティはもっと恨まれていると思っていたが……なんと言うか、トリニティに対する憎しみとかよりも、もっと何かに足掻いている感じがした。

 

 ……やっぱり、俺も結局本の上の歴史だけで全て知った気になってるだけなのかもな。

 

「……。」

「……キヨトさん?」

「なんだ?」

「貴方はなぜそんなにトリニティに拘るのですか?」

 

 えぇ、急になんの話?

 

「なんだよ急に。」

「私が貴方の事をよく知っていると言ったのは……ある種本音です。分かりやすいですから、何を考えてるのかはすぐに分かります。そのうえで何があったのかは聞きません。」

 

 すっと真面目モードにスイッチするの強すぎるんだけど。何、怖い!!今から何が始まるの!?

 

「キヨトさん、いつの日かあなたは私に言いましたよね?やりたい事をやるべきだと……期待なんか応えたい時に応えればいい、と。」

「ん?あぁ……言った……けど……」

「……なら、貴方がいまやろうとしているのは、本当に貴方がやるべき事なんですか?」

 

 なんだこいつ藪から棒に……

 

「やるべき事……かは置いておいて、俺は別に誰かから頼まれたからやってる訳じゃねぇ。これは、俺が成したい事だ。」

「そう、ですか?」

「……んじゃ俺も寝るわ。体も冷めて眠れそうだ。」

 

 そう言って俺は立ち上がりその場を後にする……さぁて、明日も朝からだ。さっさと寝ちまおう……なんか最近いろいろ真面目にやりすぎて肩凝ってきたわ…………

 

 

 そう思いながら部屋に戻る最中……俺はひょっこりと部屋から顔を出した先生と鉢合わせる。

 

“あっ、キヨト!やっと捕まった!”

「どったん、先生?」

“ヒフミが皆が何を出来て何が出来ないのか知る為に模擬試験を作りたいって言って……手伝ってくれる?”

「わぁった、まかせとけ。」

 

 どうやら、まだ眠れはしないらしい……が、やる事があるのは良いもんだ。そもそもコレが元からの役割だしな。俺は少し眠気が出てきた目をこすって、そっと先生の部屋の中にはいるのだった。

 


 

 

“それじゃあ、試験。はじめ!”

「っ!」

 

 

 翌日……この日から補習授業部の本格的な対策授業が始まった。ヒフミが主体となって来週の第二次のテストに向けての気合を入れていた。

 

 昨日先生やヒフミが頑張って作った模擬試験。勿論この場の為に内容は初めにヒフミや先生が作ったものとはずらした問題だが……やはりみんな、心なしか以前より気合が入っている気がする。特にヒフミが。

 

 試験中、俺は邪魔にならないように小声で先生に問いかけた。

 

「先生、昨日何かあったのか?」

“少し、お話をしただけだよ。……ねぇ、キヨト。”

「あん?」

“キヨトは、知ってるの?この補習授業部が……本当は……”

「まぁ、直接聞かされた訳じゃ無いけどな。おおよそ察しはつく。」

“じゃあ、キヨトも……この中に、トリニティの裏切り者が居る……って?”

「な訳ねぇだろ。」

 

 少なくとも、裏切り者なんてだいそれた冠をつけられるやつは此処には居ない……俺はそう信じている。

 

“じゃあ、キヨトはなんで……?”

「その感じだと……ナギサからあらかたは聞いたんだな。アイツ、俺の事はなんて?」

“…………『きっと、遠からず何かを起こす人』って。”

 

 まぁ、そうだろうな。ミカは俺のことをうまいこと潜り込ませると言っていたが、普通ならそんなうまくいくわけがない。ナギサにとっては、俺も『何を考えているか分からない』人間なんだろーな。だから、こうしてうまく監視しやすくしたって所か。

 

 ……やがて、試験終了を知らせるブザーが鳴り、俺と先生は採点にはいる。結果は………

 

阿慈谷ヒフミ:68点 合格

白州アズサ:33点 不合格

下江コハル:15点 不合格

浦和ハナコ:4点 不合格

 

 

「……そうか。」

「……え?」

「あらまぁ。」

「コレが私達の現実です……このままでは私達に明るい未来はありません……この先一週間!私達が合格ラインの60点を超えるためには残りの時間を効率的に使っていかなくてはいけません!!」

 

 ヒフミ本当に気合い入ってんな。聞いてるこっちが身が入ってくるわ。

 

「まずコハルちゃんとアズサちゃんは1年用の試験ですので……私とハナコちゃんが勉強をお手伝いします!ハナコちゃん!最近何があったのかわかりませんが……1年の頃はよい成績だったんですよね?」

「あら?……それは、そうでしたけれど?」

「あ、あはは……ごめんなさい。ハナコちゃん、実は……」

「あぁ、俺がタレこんだ。」

 

 すると、ハナコはなんとも言えない表情で俺を見てくる……まぁいいだろ。許せ。一応ハナコが隠してるふうだったから迷いはしたんだが……ヒフミがあんなに真剣に現状を何とかしようとしてるところを見てると、ついな。

 

「キヨトさんったら……」

「わりぃな。」

「……兎に角。今はコレが最善の方法です!まだ用意の途中ですがほかの模擬試験も用意していますので、定期的に試験を図って皆さんの進捗を確認します!」

 

 本当、今日朝ヒフミ少し寝過ごしてたけどむしろよくあの程度で済んだなってくらい頑張ってたもんな。

 

「頑張りましょう!頑張ればきっとどうにかなるはずです!

“ヒフミ…!”

「……了解した。指示には従う。」

「わ、わかったわよ……!」

「昨晩だけでこんなに準備を進められましたね……」

「あっいえ……先生やキヨトさんも手伝ってくれましたから!」

「俺、ほぼ雑務とかの簡単な事しかやってねぇよ。」

“私も同じ。全部ヒフミの頑張りの成果だよ。”

「それだけではありません!なんとご褒美も用意しちゃいました!」

 

 おっ?それは俺知らねぇな!いいなぁ、そう言うの!きっと気合がはいると思う

 

「これです!よい成績を出せた人には、こちらのモモフレンズのグッズをプレゼントしちゃいます!」

 

 そうしてヒフミが出したのは、動物をモチーフにしたキャラクターのぬいぐるみ……一つにはブラックマーケットで買っていたあの鶏……ペロロ様とやらのぬいぐるみも見れた。つかこのシリーズモモフレンズ言うのか……

 

「モモフレンズ?」

「なにそれ?」

「……!!」

「あ、あれ!?最近流行りのモモフレンズですが……皆さんもしかしてご存知ないんですか?」

 

 流行ってんの?流行ってんのそれ?……考えてみたらなんか見たことあるようなないようなそう言えばアビドスのノノミって子も好きそうだったな。ニコライがなんたらって話で…………最近の流行おっさんわかんねぇっペ〜。

 

「何処かで見たような気も……」

「何このキャラ……カバ?」

「ちっ、違います!ペロロ様は鳥です!見てくださいこの翼と雄々しいクチバシを!」

「……目が怖い。それに名前が卑猥だし。」

「お母さんが思春期の子供に買ってきたらドメスティックバイオレンスの引き金になりそうだな……」

 

 いや、可愛くないとかそんな感じじゃないんだが……なんだこの……何?

 

「そう言えばヒフミちゃんとバッグやスマホケースにこのキャラがあしらわれてますね……たしか舌を出してよだれを垂らしてピクピク痙攣しながらもう許して……!と泣き叫ぶキャラだったと記憶してます。」

「もう後半が全部ひどいな。ちげぇよお前。このキャラは木でできた三角形の馬にロデオさせられながら泣き叫ぶってキャラクターで」

「アンタも十分酷いわこの淫猥コンビ!!!!」

「………。」

「あ、アズサちゃん?」

 

 すると、アズサはそっと置かれたぬいぐるみに近づき……顔を緩め目をキラキラさせながら叫ぶ。

 

「かわいい!!!可愛すぎる!!なんだこの……丸くてふわふわした生物は!表情が全く読めん!!」

「「「!?」」」

「さ、流石アズサちゃんです!」

 

 すると、ヒフミとアズサは完全にモモフレンズ談義と言うか……ヒフミのアズサに対する布教活動が始まった。

 

「なんだこのキャラは!首に巻いたら暖かそうだ!」

「この子はウェーブキャットさんと言います!実際に首に巻けるネックピローのアイテムが……!」

「これは!?この小さいのは!?」

「この方はMr.ニコライさんです!哲学的な事をいつも話しているのですが、今回はご褒美の一つとしてそのニコライさんが書いた善悪の彼方という本もご褒美の一つとしてつけてあります!しかも初版版!!」

 

 気合い入りすぎじゃねぇ!?

 

「これは……予想外と言いますか……」」

「嘘ォ……」

「まぁ、うん、本人達な楽しそうだから……良いんじゃね?」

 

 良かったな。良かった?うん。まぁ……楽しそうだから確実に良かったかな。うん……アズサも可愛い所あるんだな。やっぱアリウスだのなんだの抜かす前に年頃の女の子なんだなぁ…〜ってのはしみじみ思う……なんか変な目線になってきたな俺も。

 

「良いモチベーション管理だ!約束する、必ずや任務を果たしてあのふわふわした謎生物を手に入れる!!」

「はい!頑張ってください!!」

 

 しかし、こんなものまで用意してたとはなぁ……逆になんもねぇ俺が恥ずかしくなってきたな。

 

「…………んじゃあ、俺達からもなんか褒美考えとくか?先生。」

“そうだね!すぐには思いつかないけど、ヒフミやみんなが喜ぶものを用意しよう!”

「本当ですか!?」

「うふふっ!楽しみです!」

「……キヨト、変なものじゃないわよね?」

「コハルお前俺のことなんだと思ってんだ!?」

 

 こうして、俺たちの合宿が始まっていくのだった……

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