シスターフッドの生臭神父はパンツが見たい。   作:誰か

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生臭神父はエロ本借りパクされてた。

 

「ほれ、古代語の辞書。図書館から借りてきた。」

「ありがとうございます!」

「コハル、ここはどうやって解けばいい?」

「わ、私!?……あっ、ここはこの下に90度になるように線を引いて……」

“うん、小テストの点も着実に上がってる!”

 

 補習授業部合宿……皆の点数も少しずつではあれど確実に前進している。一週間……厳しいノルマだが、挫けずにみんな懸命にやっている。最近コハルやアズサがちょっと点数上がるだけで目から熱いものが込み出してきた…………いかんな。俺のキャラなら股間から熱いものをせり上げないといけないのに。

 

「あっ、コハル。もう一つ聞きたい。」

「ん?えっと、この問題は……」

「コハルも知らない問題か?」

「えっと……確か参考書に載ってた気がする。ちょっと待って……」

 

 そう言ってコハルはバッグから本を弄る……そして、コハルの手でバッグから飛び出してきたのは……

 

「んしょ!」

「?」

「!」

「!?」

 

 R18と堂々と書かれた薄い参考書……じゃなくて、エロ同人だった。いや、なんで補習にこんなモン持ってきてんだよ……

 

「この参考書に書いてあるのか?」

「うん!このさんこう……」

「なるほど、確かに参考書だな。保健体育の。」

「……うわぁぁぁぁ!?なんでぇ!?ちょっ!?キヨト取らないでよぉ!」

 

 いや俺が聞きたいよ。なんでこんなもんがバッグの中に入ってんだよ。うわっ……しかも中身結構ハード……つか、俺前この本読んだな。

 

「あらあら♡ずいぶんな参考書ですね♡というかエッチな本ですね♡」

「お前の趣味は知ってるつもりだけどまさかここまでとはな……」

「うるっさい!!!なんで私の趣味知ってんのさ!!」

「お前にエロ本勧めたの誰だと思ってんだよ。」

「アンタだったわねぇぇ……!!!」

“おぉ、衝撃の事実。”

 

 コハルはワシが育てた……と言いたいが実際はなんか勝手に育っていった。うん、どうしてここまで育ったんだろうね……うん。……つか、コレよく見たら……

 

「そもそもコレ俺の本だな。」

「うえぇっ!?」

「っ!?」

「間違いなく俺のだな…………この本非売品でブラックマーケットで違法スレスレの取引して手に入れた奴だから……」

“何してんの!?君何してんの!?”

 

 馬鹿野郎お前、俺は俺の癖に合うエロ本を買うためだったら神にも悪魔にもなってやるわ。舐めんなよ。

 

「そ、そう!!キヨトが没収されたのを私が回収して……」

「……でもこれ確か前に押収管理室に行った時にコハルに賄賂として渡そうとした奴の一冊だったな…………アズサ。コハルのバッグの中まだ似たような本入ってる?」

「あぁ、さっき取り出した拍子に2冊ほど落ちたものを回収した。」

「何してんの!?何してくれてんの!?」

 

 アズサの手には似たような内容の本が2冊……間違いない。前にコハルに渡そうとしたエロ本だ。あの時はハスミに襲われていつの間にかなくなってたからどっかで落としたかハスミが処分したと思ってたが……

 

「……まさかコハルが借りパクしてるとは。」

「人聞きの悪い事言わないで!?そもそもあんたが私に渡したんでしょ!?」

「まぁそうだけど……そんなに欲しかったのか?いやしんぼめ、欲しいなら普通にあげるけど。」

「いらなぁぁぁぁい!!違うし!これ普通に返そうとしてただけだしぃ!」

 

 いやぁ、駄目だ……やっぱ面白いわコハル……!!

 

「キヨトさん♡後で私にも貸してください?」

「いいぜ。どっちがいい?」

「コハルちゃんのオススメはどれですか?」

「なんで私に聞くのさぁぁぁぁ!!!てか、なんでこういう時だけあんたらはそんな連携できんのよぉぉ!!」

「?」

「は、ハナコちゃん、キヨトさんその辺で……」

 

 いやぁ、ついつい……にしてもよく3冊も持ち込めたな。コハルは半べそになりながらバッグを探す……

 

「うぅ……もうないわよねぇ……うわぁぁぁぁ!まだあったぁ!」

「お前どんだけ持ち込んでんだよ!?なんで4冊も持ち込めたよ!?気づけおバカ!!」

 

 なぁんでそんなにたくさん持ってきたかなぁ!?

 そしてコハルのバッグから出てきたのは……エロスティックカーニバルと名された本……あっ。

 

「これも俺のだ。」

“ねぇ全部君のじゃん!?ぜーんぶ君のじゃん!!”

「いや、でもこれは入り込んでるのはおかしいぞ?これハスミに押収されて管理室行きになってたはずだ。」

「コハルちゃん?まさか……」

「取ってない!取ってないってぇ!……前にキヨトがこの本を狙って正実に乗り込んできたことがあって、念のため取られてないか確認のために取り出したの……多分ほっとしてその時……」

 

 あぁ、ちょうど同じタイミングだったしな。だから4冊紛れてたのか……だからって4冊て。ちょっとした買い物帰りですよそれ。

 

「お、重くなかったんですか?」

「薄かったからあんまり邪魔にもならずに……」

「恐ろしいのはこれらの出元がほぼ一人からである事ですよね。」

“キヨト……”

「いいだろ?思春期男子高校生だぜ?持ってる方が茶目っ気あるだろ。」

“この量は茶目っ気じゃないよ。唯のマニアだよ。変態だよ。”

「俺は変態じゃねぇ。仮に変態だったとしても変態と言う名の神父だよ。」

 

 ……つか、偶然とはいえ押収が紛れてるのってどうなんだろ。

 

「うーん……押収品となると早めに返した方がいいと思いますが……」

「数が合わなくて騒ぎになる前に、最後の一冊だけでも返しに行ったほうがいいかもしれません。……その……持ち主のキヨトさんには悪いのですが……」

「別にいいぞ。もう戻らないと思って新しいの買っちゃったし。」

“君やっぱりなんかおかしいって。”

 

 いやぁ、結構気に入ってたからついね。安くはなかったけどそれなりの価値はあったよ。

 

「うぅ……確かに……でも、今から?」

“なら、一緒に行く?コハル。”

「えっ、先生と……?」

「そーだな。先生と一緒にいきゃお小言も言わねぇだろ。」

「う……うん……」

 

 そうして、コハルは先生と共に正義実現委員会の部室へと向かうことになり、その間も俺達はちょっとした勉強を続けていたのだが………

 

 

 

「キヨト。」

「あん?」

「あの本は結局なんなのだ?」

「……………………男の夢さ。」

「男の、夢?」

「お前もいつか分かる日が来るよ。」

 

 正直に話して布教するかかなり迷ったが……流石にチェリーを通り越したチェリーにエロ同人を叩き込むのは気が引けるの騒ぎじゃなかったのでやめた。

 

 


 

 

 

 

 

 その日の夜、俺は先生に部屋に呼び出された……ヒフミと入れ違いで。まあ、何の話かはわからないが……先生側からもわからないことが多いのだろう。

 

 俺が部屋にはいると、先生は何時もの表情とは少し違う……少し目を細めた大人の表情をしていた。

 

“やぁ、キヨト。呼び出してごめんね?”

「あんたみたいな美人さんに夜中に呼び出されるって、健全な男子としちゃちょっと期待しちまうんだけど……そういう感じでもなさそーだな。」

 

 すると、先生は軽く頷いていくる……

 

「……何が聞きたい?」

“聞きたい事、と言ったら全て……なんだけど。一番聞きたいのは君の立場、かな。”

「……立場、ねぇ。」

 

 先生も大分複雑な立場だからな……ミカにもナギサにもいいように使われて、同情するぜ。

 

「難しいが、少なくともトリニティやゲヘナの転覆なんて馬鹿な真似は考えてないって話は言えるな。……エデン条約の話は?」

“ナギサから聞いたよ。”

「そっか……あれな。俺にとっては夢のような話だったんだ。」

 

 理由も無く長年いがみ合い噛みつき合ってきた2つの学校。それが、多少強引の手とはいえ手を結ぼうとしている。それは、俺にとっちゃ目標へ一歩駒を進める為の足場としても、とても喜ばしい事だったんだ。

 

 これで、前例が作れる。たとえ仲良くまでとは行かなくても、いがみ合いに組み合っていた学校が手を結ぶことができると…………俺達トリニティの祖先が犯した蛮行を正す事ができると。

 

“蛮行?”

「トリニティってのは幾つかの学校が集まってできた学校だ……この辺はナギサかミカあたりに深く聞け。纏める際に相当な揉め事もあったらしい。多くの血が流れたと……俺はガキの頃から教わったよ。」

“血……って。君は……”

「俺には昔から継いできた家業があってな。死んだやつを弔って墓に入れる。それが浅木家の使命だ。」

“…………!?”

「何人も墓に入れてきたよ。そいつらが幸せだったのか不幸だったのか、俺が言えることはなんにもねぇ。死んだ奴にやれることなんてのは、死体を綺麗にして手厚く弔って逝ってもらう事だけだ。きっと、トリニティがトリニティとなる前からやってたんだろーな。」

 

 ……今でも墓に入れた奴らの名前はしっかり覚えてる。その顔も、忘れたことはない……既に魂がこの世から消え去り、まるで物のような表情になっていても……だ。

 

「詳しく聞きそびれてたが……ナギサは俺の事、なんて言ってた?」

“……『ティーパーティーでも手が届かない情報網を持つシスターフッド。その右腕でもあり、一番何をやらかすのか分からない人。友人として信頼しているが信用はできない。だからミカと相談してキヨトを監視も兼ねて補習授業部のポストに置いた』……って。”

「ははっ!まぁはたから見たら俺何考えてるか分かんねぇの筆頭だからな。俺もぶっちゃけ自分でも何考えてるのか分かんねぇ。」

 

 でも……たった一つだけ言えることがある。

 

「俺はトリニティを守る事なんて考えてねぇ。最悪トリニティって形がなくなっても、そこで生きてる奴らが幸せ、笑って暮らせればそれでいいと思ってる。一つ言えるのは、俺が動いてるのはシスターフッドの命でも何でもない。俺として動いているだけだ……それが例え、人が言う様に『トリニティの裏切り者』と揶揄される様な事でもな。」

“キヨト……”

「俺は裏切り者なんてこの補習授業部()()居ないと思ってる。詳しい話はミカに聞け。俺を言いくるめてここに送り込んだのもアイツだ……俺はそろそろ行くぜ?」

 

 俺はそっとドアノブを手をかけようとすると、先生に呼び止められる。

 

“待って。”

「ん?」

“キヨト、君は何がしたいの?”

「……前にも誰かに言ったけどな。俺は『何も無かったことにする』……それだけが目的だ。いい加減どいつもこいつも慣れない策謀なんて真似させたくねぇんだよ。良いだろ?青春だぜ?…………それに………」

“……それに?”

 

 不意に頭によぎるのは、いつの日か隠れて行った……死んだとされたセイアの弔いの時の話。正直、セイアとはミカやナギサや他の奴等ほど仲が良かったわけではない……が、少なくとも友達と言えるくらいの距離はあった。

 

 勿論、セイアが本当は生きていて、今は別の場所に身を隠している……と言うのは聞いていたが、それを聞くまで……初めにセイアが死んだと聞かされた時は、気が気ではなかった。

 

 そして、本当は生きていると知らされた時は、本当に嬉しかった……それでも、偽装で葬式をした時にはなんだか居所が悪い気分になったよ。

 

「……こんな馬鹿みたいな小競り合いしてる内に止めとかねぇと。俺の仕事が増える羽目になるからな。」

 

 友達の葬式なんて、誰が取り仕切りたいものか。

 俺はそう言って、そっと部屋をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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