シスターフッドの生臭神父はパンツが見たい。   作:誰か

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生臭神父と御姫様

 

 ここはトリニティ、シスターフッドの保有するとある聖堂の地下にある訓練場。ここには、シスターフッド本来の姿…………ある種の武力装置としての役目を期待された者達が訓練に励む。とは言っても全員じゃない、あくまで俺と共に戦う一部隊のようなものだ……数もほんの二十名も居ない。

 

 それに、武力といっても万が一の保険……正義実現委員会や自警団ほど気合を入れて訓練をしているわけではない。俺こと浅木キヨトの仕事のなかにはこいつらの訓練をみるのも入ってる。

 

 とは言っても、俺は基礎を教えただけ、後はコイツラが勝手に火をつけあって強くなる。そもそもがシスターフッドでも取り分け血の気の多い奴の集まりだ……本当、俺の言うこと何も聞いてくれないもん()サクラコの命令は聞いてくれるのに……もうやめようかなこの仕事。

 

 まぁとは言っても、俺も一応任された人間……雑な事は教えていない。今日も俺が仕込んだ銃撃の『カタ』の練習の真っ最中……俺とサクラコはその訓練の様子を間近で見ていた。

 

「ガン=カタだ。……キヴォトスでの膨大な銃撃戦のデータ分析から生まれた戦法。敵対者が幾何学的な配置ならば、その動きは統計から予見できる。」

「……。」

「ガン=カタでは銃を最大限活用し、最も効果的な攻撃位置に立つことで最大のダメージを最大の人数に与えることができる。そして敵の銃撃は、データから位置と弾道を予測し回避することができる。」

「……。」

「ガン=カタの習得で攻撃能力は120%向上。たとえ、能力向上がその半分程度でも、ガン=カタを習得すれば敵にとって脅威の存在となる。」

「……キヨト?」

「どうしたサクラコ。」

彼女達がしてるのは訓練なんですか?ただの変な動きにしか見えないのですが……

「ガン=カタを変な動きだと貴様ぁっ……!!」

 

 こいつ許さねぇぞ!!!俺の一番得意な体術なんだが!?

 

「これを習得して何か強みがあるのですか……?」

「言ったろ、攻撃能力の120%の向上があると。敵の弾全部避けて自分の弾だけ当てられるんだから最強だろ。」

 

 ちなみに俺はガン=カタを映画を見て学んだ。あっ?そんなもんで戦いの技が身につくのかって?馬鹿野郎!!!男の鍛錬は飯と映画と寝ることだけで十分なんだよ!! 

 

「……ですが、エデン条約が締結されるのは今年……それに反対する者も出ています。水面下で何をしているか……その際に内政に影響があれば、このトリニティで動ける者は限られます。」

「その時に俺達の出番って話だろ?」

「えぇ、勿論。そんな日は来ないのが一番良いのですが……」

 

 エデン条約……長年に続くトリニティと犬猿の仲であり、双璧をなすマンモス校。混沌のゲヘナ学園との間に締結される条約。ETO(エデン条約機構)を設立しお互いの自治区での問題解決に当たる……と。

 

 まぁつまりは「お前ら喧嘩しだすと何するかわかんねぇから仲良くしろ」って条約だ。ちなみにこれの立案は連邦生徒会長……会った事はねぇが、いくらキヴォトスを総括する連邦生徒会と言っても無茶を言ってくれる。特にトリニティの方じゃ、ゲヘナ憎しの感情がつよい奴らばっかだ。

 

 ぱっと思いつく奴にはハスミとか……他にも俺の知り合いにも「何となく」って理由でゲヘナを骨の髄まで嫌ってる奴もいる。まぁ前と比べれば軽減されたと信じたいが……

 

「まぁ、安心しろ。少なくとも正実と比べて弱い……なんて言われない位には鍛えたさ。」

「……それならば安心ですが……」

 

 ……しかし、エデン条約。まだ少し先の話だし、何もないことを祈りてぇが。悪い方向に思い切りのよいバカってのはこのキヴォトスにかなり居るからな。良からぬ事……考えるような奴がいなきゃ良いが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 その日の夜。俺は部屋で先日買った段ボール4箱分の自慢のエロ本福袋の管理をしていた。当然学園内で売られてるわけもないので、ブラックマーケットに行って買ってきた代物だ。

 

 明日へのやる気チャージとして…………うおっ!?メルリー先生のキャラ相変わらずこのプロポーションたまんねぇな!!!!エッッッッッ!!!!!

 

 因みに俺の部屋はトリニティ内のアパート。シスターフッドの方の寮のほうが金は浮くが、流石に男が女まみれの共同生活所に住まう勇気はなかったからな。こうしてアパート暮らしだ。………嘘みたいに神父らしいことしてねぇな俺。……ん?

 

「……この同人誌のキャラ、すげぇ身に覚えがある……ピンク髪のロングヘアーに白い羽根のお嬢様?実在の人モチーフにしてるだろこれ……しかも発刊元トリニティの印刷所じゃねぇか……あぁ、しかも結構きついプレイのやつ……」

 

 別に俺は知り合いににてようがエロければなんでもいいけど、これ見つかるとヤバいな……

 なんか今外に気配が……すると突然玄関のチャイムが鳴り響く……誰だ?もう夜も遅いぞ?こんな時間に尋ねてくるなんて……

 

『ピンポーン『ピンポ『ピンポーン『ピンポーン』

 

 高橋名人ばりの十六連射すんじゃねぇチャイムで!!苦情くるわ!!

 

「聞こえてるよ!はい、どちら様……」

「やっほ〜☆キヨト〜!」

 

 

 玄関を開けると、そこに居たのはジャージを着てサングラスとマスクと帽子で顔を隠した少女……ひっそりと出る髪からはピンク髪な事がわかる。……というか、とても見覚えのある顔だ。まるでゲヘナ嫌いなトリニティの一派のホストの様な……

 

「久々だね!」

「……。」

 

 ……なんだ、ピンポンダッシュか。いたずらも大概にしてほしいな。よし、ドアを閉めて飯でも食おう。

 

「まっっっ!!私!変装してるからわからない?聖園ミカだよ!?」

「ちょっ、知らないっすね。帰って……ください……家はテレビ置いてませんから……ドア閉じるの邪魔しないでください……!」

「集金じゃないよ!!ほら!キヨトが私に力で勝てるわけないじゃんね!!」

 

 くっそ!ドア閉じようとしてんのにミカに開けられて全然閉まらねぇ!!こいつ力無駄に強すぎるんだよ!!そのうち鉄格子でも殴り壊すんじゃねぇか!?

 

「離せミカ……!!さっきっからドアがミシミシ言ってるんだよ!壊れるんだよ!!」

「じゃ、折るね♪」

「やめろ馬鹿!!前それやって大家にしこたま怒られたんだよ!」

 

 こいつは以前にもアポなしの俺の家に突撃して、今回のような問答の挙句、ドアをぶち破って入ってきた。正直すごい怖かったよ、今まで見たどのホラー映画よりも冷汗かいたな。あれは……

 

「もー!あれは私も悪かったから!だから二度とドア壊さないためにも…………中に入れて!ね?」

「帰れ!二度と来んな!!」

 

 こいつはたまーに俺の部屋にアポなし突撃かましたと思ったら人の部屋漁るわ飯食うわPCの検索履歴覗きまくるわでやりたい放題しやがる!!

 

「ふっ……ふふ……いいの?そしたらこの変装外して聖園ミカとして叫ぶよ?『シスターフッドの生臭神父の浅木キヨトに襲われる〜〜!』って!!」

「本当死ねよ!!直ぐ死ねよ!!!」

 

 きったねぇ!!こいつきたねぇ!!それがパテル派ホストのやり方かよ!?流石にヤバい……ほかの奴らでもヤバいけどこいつは特にヤバい!!友達にはナギサやセイアもいるし何されるか分からん!!

 

「………!!!………!!!!…………はい……入れ!!!」

「わぁい!おっじゃま〜☆」

 

 そう言ってミカはマスクとサングラスや帽子を脱ぎ捨てて部屋の中に突撃していく……本当、こいつ我儘すぎるんだよ。マジでいつかな泣かして――「キャァァァァァァァァァァ!?!?!?」ふぁっ!?なんで部屋入った途端悲鳴!?

 

「どうしたミカぁっ!?ゴキでも出た………」

 

 急いでドアを閉めて部屋に戻ったその瞬間、俺はあることを思い出した。俺がさっきまで何をしていたのかを……その片付けをしていないこと。

 

 ミカが意気揚々と入ったその部屋には…………俺の自慢のエロ本が大量に積まれていたのだ。そして、先ほど見て一番目立つように置かれていたのは、ミカと似てピンク髪のロングヘアーに白い羽根のついたお嬢様のエロ本……これはマズイ。

 

「な、な、な、な、なにこれぇ……?」

「…………何って、エロ本だが?」

「へ、へぇ……ここに書いてある子、わ、私そっくりみたいだけどぉ……?もしかしてぇ……私の事……」

「安心しろ、ある奴にトラウマを植え付けられたせいでもうピンク髪のロングヘアー相手じゃ興奮しなくなってきたから。」

「えぇ!?」

 

 そうだ、あれは去年の話……ピンク髪、ロングヘアー、淫乱……うっ、うら……浦和ハナコ……あばばばばばばばばばばば

 

「うっ……トラウマがががががががが……」

「何があったのさ!?」

「俺がアイツにエロ本なんて貸さなければ……!!俺もあいつもあんな事には……」

「本当に何があったのさあ!?」

 

 やめよう……下手に語るとこの小説がR18に飛ばされかねない。R15だって万能じゃないんだ。勿論貞操は無事だが…………本当に……本当に……やめよう、切り替えよう。

 

「…………これ片付けるからその後で菓子でも食うか……」

「えっ、うっ……うん……紅茶淹れようか……?」

「家に紅茶なんてねぇしそもそも俺紅茶嫌いだから。」

「じゃあコーヒー淹れようか?」

「コーラで良いだろ、どーせお前俺の部屋のポテチとゲーム目当てだろ。適当にやってろよ。」

「いやぁ、トリニティの寮だと人の目があるからね〜」

 

 ティーパーティの面々とは俺がシスターフッドでよくサクラコの付き添いや護衛としてついて行ってるだけあって、全員それなりに面識はあるが、ミカの方は1年の頃からの友人だ。……いや、腐れ縁と言ったほうが良いか?

 

「……お前も俗世に染まってきたよな。」

「ま、偶にはこう言うのも悪くないってね。」

 

 元々こいつはだいぶん箱入りお嬢様していたんだが、俗世に染まりまくった煩悩係数オーバー300の俺と出会ったのが運の尽きか、はたまたそう言う素質があったのか……最近は割と庶民的なものにも興味を示すようになっている。

 

 まぁ、それはどっちでもよいが……頼むから人家にアポなし突撃はやめてほしい。危ない、主にバレた時の俺の立場が。とりあえず、エロ本かたづけるか……

 

「んで、どーよ最近。ティーパーティの仕事は?」

「うーん?ナギちゃんも頑張ってるけど、まぁまぁこっちも大変かな?」

「エデン条約の件もあるしな……」

 

 と、俺が何気なくエデン条約の話をすればミカの目つきが若干変わる。

 

「そーだね……なんでゲヘナなんかと和平なんかしなきゃいけないんだか……」

「そう言うな、トリニティとゲヘナの関係は火のついた火薬庫と同じだ。いつ爆発するか分からんし、本当にゲヘナと全面対決になったら取り返しのつかない事になるからな……下手すればキヴォトス全体が揺らぐ。」

「……そりゃあマンモス校二つがぶつかればいろんな影響が出るけど、キヴォトス全体なんて……」

「その二つがぶつかってガバガバになった所を利用する奴も居る……って事だよ。悪い大人とかは、特にな。」

 

 実際それで学園の自治区取られたなんて話もよく聞くしな……砂漠の学園、アビドスとかな。

 

「……エデン条約に賛成なの?」

「俺は他の奴等ほどゲヘナを恨んじゃいない。恨みがあるとしても、このまま冷戦を続けるよりもよっぽどマシになるならそうしたほうがよいって思うだけだ。」

「ふーん……それは、シスターフッドの見解?」

「俺の見解だ。んな事より、ポテチパーティー開けしてやるからゲームしよーぜ。こんな所で友達と政治について語りたくねぇよ。」

「……そうだね♪」

 

 ……軽くそう答えるミカ。そのミカの瞳に、どれ程の野望が詰められていたのか……俺はその時、知る由もなく。ただ、ゲームの電源に手をかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと俗世に染まったミカが見たかった。
ジャージミカって良いよね。
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