ゲームキャラのメイドにTS転生した   作:おおは

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ゴブリン、レベルアップします

俺達は草原をどんどんと奥へ進む。

 

その間にもゴブリンはたくさん襲ってきたが、前列が活躍し結局俺達の出番なく終わっている。

 

「見ごたえはあるが暇だなぁ」

 

こんな感想が思わず出てしまう。

 

隣にはずっとメイドが付いてくれているが、特に表情を変えていない。

 

何があったら表情を変えるのだろうか?

 

有り余った思考でそう思っていたときだった。

 

「ギャギャッ!」

 

再びゴブリンの声がして前を向くと、そこにはいつものゴブリン。

 

しかし、姿は大きく異なっていた。

 

「何だ?革鎧……?」

 

現れたゴブリン達は何と革製のものと思われる鎧を纏っていたのだ。

 

しかも手には棍棒ではなく石製の斧など。

 

驚く俺に、隣のメイドがさも当たり前であるかのように悠然と言った。

 

「どうやら進んだことで、敵のレベルが上がったようですね」

 

それを皮切りにして、装備を纏ったゴブリンが勢いよく襲い掛かってくる。

 

前列とゴブリンが接敵し、武器のぶつかる音が響く。

 

「くッ……!こいつら前よりも攻撃が鋭いぞ!」

 

前列で戦う人々が苦渋の表情をしながら叫ぶ。

 

ガキャ、ガキャと前まではしなかった鎬を削る音。

 

やがて前線で止め切れなくなったゴブリン達が俺達へ向かってくる。

 

その勢いのよさに少し足が竦む。だが剣道の相手よりは下なはずだ。

 

そう思い込んで一度深呼吸し、俺は家から持ってきた刀をすっと抜いた。

 

隣ではメガネの男が若干ビクつきながらもナイフを取り出している。

 

「丁度いい。俺のレベリングの糧になってくれ」

 

襲ってきたゴブリンが俺目掛けて石の斧を振り下ろす。

 

確かに先ほどよりも動きは洗練されているようだが、所詮まだまだ。

 

鍛え上げた神経でそれを避け、刀を振り上げる。

 

一瞬肉を断つ気持ち悪い感覚が走ったが、ゴブリンは悲鳴を上げる間もなく霧となって消えた。

 

代わりに輝く小さな宝石のようなものがコツ、と地面に落ちた。

 

それを拾い上に掲げると、キラリと光った。

 

「これが魔力核か……」

 

父さんが見せてくれたものよりも一回り大きい。

 

俺はささやかな達成感に満たされた。

 

左右ではメガネの男が必死な様子でゴブリンにナイフを刺している。

 

前を見ると、ゴブリンがこっちに石斧をヨロヨロと振り回しながら向かってきている。

 

俺は刀を正面に構え、それを迎え撃った。

 

 

☆     ☆

 

 

何体か倒していると、どこか急に体が軽く・強くなる感覚があった。

 

一瞬頭が混乱したが、思い当たりステータスバーを開く。

 

するとレベル欄が1から2になっていた。

 

これがレベルアップか……

 

実感がイマイチ湧かないが、体が少し軽くなったのは間違いない。

 

思ったより簡単に上がったな。

 

そう思っていると、声がかかった。

 

「どうですか?魔力核は」

 

振り返ると、例のメイドがいた。

 

そういやメイドの方にも何匹か向かっていた気がする。

 

だが無傷で何も表情が変わっていないので気のせいだったのだろうか。

 

「そっちはどうだったんだ?」

 

試しにそう聞いてみると、メイドは「それがですね……」と不意に手のひらを広げた。

 

「……は?」

 

そこには、両手一杯の大量の魔力核があった。

 

いつの間にそんなに集めたのか分からないほどの数だ。

 

「思ったより背後の敵数が多くて困りました」

 

「背後……?」

 

俺達の背後――最後列の俺の後ろはただの草原が広がっている。

 

「はい。ずっと背後をついてきている敵共がいましたので排除しておきました」

 

「は?そんなのいたか?」

 

俺は歩いている間後ろにも気を配っていたが、そんな気配はなかった。

 

証拠に、俺の周囲にやつらもメイドに反論している。

 

「私もいなかったと思いますが……」とメガネの男性が。

 

「おったら怖いわ。冗談よしこちゃんやで」と糸目の若い男性が。

 

しかし、メイドは反論されても一向に気にしないといった様子だった。

 

だがもし背後にも敵―――ゴブリンだろうが――が本当にいたなら……

 

底知れない違和感を感じ、俺の背中を冷や汗が流れる。

 

「おい、そいつらは装備を付けていたのか?」

 

「はい。確か同じく革製のものを付けていたと思いますが」

 

それを聞いた俺は先頭の方へ視線を向ける。

 

苦戦していたものの今は既に決着が付いたようで、魔力核の回収をしている。

 

……絶好のチャンスだった、知能があるゴブリンにとっては。

 

ゾッとする感覚。

 

「おいッ油断するなぁ!」

 

だがそう叫んだ時にはもう遅かった。

 

「「ギャギャギャ!」」

 

そんな声が辺りから響いたかと思うと、何もなかった空間から突如としてたくさんのゴブリンが現れたのである。

 

「なッ――――――!」

 

周りが驚愕の表情を浮かべる。

 

現れた大量のゴブリンは全員が銅製の鎧を纏っており、斧ではなく銅剣を手にしている。

 

彼らは罠にまんまとハマった俺達に対し完全に勝者の笑みを浮かべていた。

 

「一体今のはどこから?!」

 

「まさか、あれが新しく存在が確認された魔法か?!」

 

一同が険しい顔をしながらナイフなどを抜く。

 

中には、覚悟を決めた表情で腰から拳銃を抜いている者もいた。

 

そしてゴブリンの最後列に、一体のゴブリンが現れる。

 

そのゴブリンは大層派手なローブを纏った、不気味な存在だった。

 

 

―――――――ゴブリンウィザード、レベル4。

 

魔法と知能に長けたゴブリンの副将だった。

 

 

 

 




ゴブリンって群れると強いっていいますよね

話の順番相談だぜ☆

  • 蓮(様)の妹を先に出せ!
  • 聖剣手に入れるのが先だ!
  • 魔王が先だろ!
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