ゲームキャラのメイドにTS転生した   作:おおは

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窮地、メイドにとっては救地

「ギャギャギャ!」

 

ローブを纏った不気味なゴブリンが一言叫ぶと、銅製の鎧のゴブリンが勢いよくこちらへと向かってくる。

 

「おいおい!いきなりあんなレベルと戦えるのか?!」

 

先頭のメンツが冗談はよせ、といった感じに叫ぶが、返事をするものは誰もいない。

 

やがて文句の声も、戦闘が始まって鳴り始めた金属の衝突音で掻き消えた。

 

当然、俺達のところにも大量の武装ゴブリンが迫ってくる。

 

俺は根性で足が竦むのを我慢し、刀を構える。

 

冷や汗が背筋を流れ落ち、気持ちの悪い感覚だ。

 

ゴブリンが銅剣を振り下ろす。

 

……まだ剣筋は未熟だ。分かりやすい。

 

俺は刀でそれを受けた後、弾き返し、ゴブリンの伸びきった体を袈裟切りにする。

 

だが銅防具のせいで浅かったのか、ゴブリンは血を流しながらもまた剣を俺へと振りかぶってくる。

 

「ハッ!」

 

再びゴブリンに一撃を与える。今度は、防具の隙間を狙う形で。

 

決着。隙間を縫ったその一撃はゴブリンに止めの一撃となり、黒い霧となって消えた。

 

同時にコロンと落ちた魔石は、先ほどよりも一回り大きいものだ。ほんの少しだが。

 

「だが確実に奥に行けば行くほど強くなっている……!」

 

装具を付けたゴブリンはまだまだこちらへと向かってきている。

 

俺は深呼吸してから、再び相手に向かった。

 

 

★     ★

 

 

暫く経ち、俺はぜぇぜぇと肩で息をしながら辺りを見回す。

 

今までゴミのように湧いていたゴブリンはほとんど数を減らしている。

 

こちらの連中にも結構な被害は出たが、死傷者は出ていないのだ。

 

奇跡か、はたまた実力者が揃っているからか。

 

まぁ途中で発砲音が聞こえたので大方それだろうが。

 

後ろを見ると、メイドはいつも通りに立っている。だがその手の魔力核はどんどんと増えている。

 

……気にしない方がいいだろう。

 

俺は前を向く。

 

残りの問題は戦闘開始してから一切動いておらず、ずっと俺達を観察しているあのローブのゴブリンだ。

 

あれは他とは違う。俺の勘がそう告げいている。

 

「おっしゃ!あのローブのやつをやるぞ!あいつが恐らくあいつが指示している!」

 

一人がギリギリと弓を引っ張り、ローブのゴブリンへ向かって放つ。

 

ヒュン、と空気を鋭く裂きながら、凄まじい速度で向かう矢。

 

ローブのゴブリンのやつを貫くかと思われた、その時だった。

 

「騾溷コヲ繧医?∬誠縺。縺ェ縺輔>」

 

やつが訳の分からない言葉を紡いだと同時、矢はまるでブレーキがかかったように速度を落とし、やつの前でピタリと止まった。

 

……あり得ない。矢が速度を失うほどの距離が空いているわけでもないし、そもそもで減速の仕方が不自然だ。

 

「……魔法か。やはり、あいつは他のゴブリンとは違うようですね」

 

隣のメガネを男が神妙な表情で呟く。

 

魔法。それはこの世界にダンジョンやステータスバーが追加されると同時に現れた、未知の法則で構成されたもの。

 

言うのも何だが、ゴブリンが使えるのか。

 

「魔法ってのは、どれだけ分かっているんだ?」

 

「そうですね……これでも私は今回魔力核の解析担当の研究者になりましたが、未だほとんど分かっていません。そもそもで、魔法自体使える人がスキルという形で使えるこのグループの人達くらいですから」

 

「そうなのか」

 

「それに、つい先ほど獲得したスキル鑑定によると、あれはレベル4です。詳細はレベル不足らしく分かりませんが」

 

レベル4だって?思わず素っ頓狂な声を上げかけた。

 

今の俺達は俺がレベル2で、最高でも3である。

 

……不味いんじゃないか?

 

そう思っていると、先頭の男が再び叫んだ。

 

「よし!次はスキルを掛けて放て!」

 

弓の男が、再び弓を引っ張る。しかし、今度はその矢が淡い黄色に発光している。

 

パンッ!まるで爆発音のような音が響くと同時に、矢はまるで弾丸のような速度でやつに迫った。

 

だが、やつはそれでも薄気味悪い笑みを止めない。

 

「ギャッギャッギャッ!騾溷コヲ繧医?∬誠縺。縺ェ縺輔>!」

 

また謎の言葉が発されると、スキル強化された矢はやつのピタリと止まった。

 

いとも簡単に止められ、動揺する俺達に、やつは高笑いをしながら右手を空に掲げる。

 

「轤弱h縲∫ゥコ豌励°繧臥㏍縺医?√◎縺ョ蟋ソ繧堤樟縺励↑縺輔>」

 

また意味不明な言葉だ。

 

だが次の瞬間、やつの周りに野球ボール状の炎の球が出現した。

 

「ギャギャギャ!}

 

やつが腕を振ると、炎の玉が弾丸のごとく俺達に迫って来る。

 

「避けろ!」

 

勢いよく飛んでくる玉を何とか避ける。

 

避けた玉は後ろの地面に当たり、ボンッと小さな爆発音を鳴らす。

 

小さいが、人を殺すには十分な威力だ。

 

思わず息を飲む。

 

魔法を使う相手は、どうしたらいい?

 

俺は冷や汗が流れるのを感じながら、必死に思考を回す。

 

魔法……詠唱……タイムロス。

 

そうか……!詠唱の時間が必要ならば、近距離戦は苦手なはずだ。

 

「前のおっさん!」

 

「何だ!あとおっさんはやめろ!俺はまだ20後半だ!」

 

必死に炎の玉を避け続けている前の、リーダーらしき男に向かって叫ぶ。

 

「恐らくあのゴブリンは近距離戦が苦手だ!」

 

「―――!そうか、なるほど!助かった!よし、先頭組は魔法に気を配りながら距離を潰すぞ!」

 

弓矢が放たれたのを皮切りに、何人かが勢いよくやつとの距離を潰しにかかる。

 

「ギャギャ!轤弱h縲∵峩縺ォ辯?∴縺ェ縺輔>!」

 

焦ったような表情をしたやつが再び何かを唱え、炎の玉を更に増やし打ち出す。

 

だがそれらは華麗に避けられ、どんどんと距離が縮まる。

 

「おらッ!」

 

剣の間合いまで近づけた一人が、鋭い横薙ぎを放つ。

 

やつは動きが鈍く、それを避けられない。

 

「グギャアアアア!」

 

やつは悲鳴を上げながら、後ずさる。

 

まだ霧になっていないが、致命傷だ。追加の攻撃をしなくても直に霧になる。

 

勝てそうだ。

 

思わず肩の力が抜け、息を吐く。

 

――――その時だった。

 

「なッ……」

 

突然、全身の力が抜け、俺は膝を付く。

 

何だ、何が起こった。視界が霞む。

 

倒れ込みそうなのを踏ん張り、まだ生きているはずのやつの方を見る。

 

「どう、いう、ことだ……?」

 

目に映った風景果たして。

 

倒れ伏す仲間達と、満身創痍ながらも仁王立ちし高笑いするローブを纏ったゴブリン。

 

「遨コ豌励h縲∫擅逵?繧剃ソ?@縺ェ縺輔>」

 

やつが紡ぐのは意味不明な言葉。だがそれを皮切りに眠気が恐ろしいほどに襲ってくる。

 

「まさか……これも魔法なのか……!」

 

こういうタイプのものは考慮していなかったが、後悔先に立たず。

 

明滅する視界。

 

俺の意思に反して、体は傾いた。

 

地面へ倒れる、かと思われたが、最後の感覚は何かに支えられるような、温かい感覚。

 

「……大丈夫でございますか?」

 

ああ、既視感があるなぁ――――――

 

そこで俺の意思は途切れた。




更新遅れてすみません。
昨日更新予定だったんですが、友人に誘われ京都の淀に観光()に行ってました。

急ぎで作ったので、誤字等あると思います。
誤字があった場合は報告していただけると幸いです

話の順番相談だぜ☆

  • 蓮(様)の妹を先に出せ!
  • 聖剣手に入れるのが先だ!
  • 魔王が先だろ!
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