ゲームキャラのメイドにTS転生した   作:おおは

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無双、一方で暗躍します

「ギャギャギャ……」

 

ゴブリンのサブリーダーを任された優秀なはずのゴブリンウィザードは内心驚愕していた。

 

勿論、罠は無事に成功した。

 

危うくやられる所だったが、すんでのところで魔法を発動することができた。

 

発動したのは、強力な範囲型の睡眠魔法。

 

効果はかなりのものだが、発動までに時間がかかるのが欠点だった。

 

だが発動すれば勝利は確定する――――――そう思っていた。

 

「ふむ、まさかこのような方法で逆転するとは……」

 

襲ってきた人間達が皆倒れ伏す中、メイド服を着た少女だけは悠然と立っていた。

 

童顔で可愛らしさの残る、されどその視線はゴブリンウィザードに死を連想させる。

 

加えて虎の子の魔法が効かなかったことに、ゴブリンウィザードは思わず後ずさった。

 

だが切られた傷も深い。早々にイレギュラーを片付けなければ、死ぬのはほぼ確実にゴブリンウィザードの方だ。

 

「ギャギャッ!轤弱h縲∫ゥコ豌励°繧臥㏍縺医?√◎縺ョ蟋ソ繧堤樟縺励↑縺輔>」

 

言葉を唱え、炎の玉をこれでもかと生成する。

 

それを不気味なメイド目掛けてドンドンと撃ち放った。

 

だが――――――

 

「何ですかこれは。ハエみたいですね」

 

メイドは鬱陶しそうな表情をしながら、まるでハエを叩くかのように迫った炎の玉を手で叩き落としたのだ。

 

「ギャギャ――――――ッ!」

 

ゴブリンウィザードはローブ越しに目を見開いた。

 

――――生成した炎の玉は、先ほどの人間達を散らしたはずのものだ。そのはずだ。

 

……選択肢を間違えたのかもしれない。瞬間に脳裡を過る言葉。

 

あるいは、最初から……

 

「それにしても、この丁寧語がずっと続くのも少々面倒ですね。ステータスバーで出ているこの自動変換スキルをどうにか……」

 

ゴブリンウィザードが滝のように冷や汗をかく一方で、メイドの少女は難しそうな表情をしながら空中に向かって何かをするような仕草を繰り返している。

 

……視線は既にゴブリンウィザードには向けられていない。

 

今なら逃げられるのではないか?ふと思った。

 

ゴブリンウィザードは一歩一歩、そろりそろりと下がっていく。

 

ここは平原だ。隠れる場所もない。

 

だがゴブリンウィザードには得意の魔法がある。

 

50メートルほど離れた瞬間、ゴブリンウィザードは必死に言葉を紡いだ。

 

「蜈峨h縲∫ァ√r髫?縺励↑縺輔>!!!!!」

 

スゥと、ゴブリンウィザードが姿を消す。

 

これは透明化などといった高尚な魔法ではなく、ただただ光の屈折率を変えるだけの迷彩魔法である。

 

無事に発動したことに安堵しつつも、消えているわけではないので、ゴブリンウィザードは我先に草原を駆けだす。

 

だが――――――遠くで地獄の始まりのチャイムが鳴った。

 

「―――よし、解除成功。じゃ、まずはゴブリン退治といきますか」

 

瞬間、ゴブリンウィザードは遠くから強烈な視線とプレッシャーを感じた。

 

 

★     ★

 

 

「敬語かからんね。いやー素って楽だわ」

 

いつの間にか増えていた謎スキルをオフにできた俺は気分良いいままゴブリンウィザードを追いかけていた。

 

どうやら魔法を使って姿を隠しているようだが、この体の目を持ってすればあら不思議くっきり見えるのだ。

 

やつは表情を更に歪ませて死に体で逃げている。

 

偶に苦し紛れの炎の玉を撃ち込んでくるが、俺にとってはテニスボールがノロノロと向かってきているのと何ら変わらない。

 

素手で叩き落としてやると、やつは更に焦った表情をする。

 

……楽しい追いかけっこだ。相手がどうかは知らんが。

 

ゲームとしてプレイしていたときもよく雑魚を追いかけ回していた。体の良いストレス発散である。

 

だがふとゴブリンウィザードの更に前を見る。

 

「……何かいるな」

 

ゴブリンウィザードが逃げていく方向、そこには巨躯のムキムキゴブリンが立っていた。

 

このダンジョンに入る前に絡んできたあの熊似の男をそのままゴブリンにしたような感じだ。

 

「ギャギャギャ!!」

 

ゴブリンウィザードが安堵の表情を浮かべて、そいつの後ろに隠れる。

 

「ギャギャギュゥ……」

 

巨躯のゴブリンは背中に背負っていた巨大な棍棒を取り出し、侵略者である俺に向かって構える。

 

このゴブリンは何ゴブリンなのだろうか、そう思い早速”鑑定”を使う。

 

〇情報

 

個体名:ゴブリンキング

 

レベル:5

 

称号:一階層のボス

 

装備:巨大棍棒

 

スキル:怪力

 

    暴走

 

レベル5。一階層のボスとな。

 

ゴブリンウィザードよりも一レベル高いらしい。まぁ俺にとってはどんぐりの背比べもいいところだが。

 

「だがこの体の簡単な実験には丁度いいかもな」

 

俺は棍棒という武器を持つ相手に対し、素手のまま堂々と前に立つ。

 

……恐怖心は、スキルのおかげかこの体のおかげか、吹っ飛んだ。

 

「ギャギャギュ!」

 

それを煽りだと感じたらしいゴブリンキングが筋肉を隆起させ、俺の伸長の二倍はあろうかというほどの巨大な棍棒を恐ろしい速度で振り下ろす。

 

対して、俺はただ右手を差し出す。

 

ドォォォン――――!

 

結果は果たして。

 

「ギャギュ―――ッ!」

 

ゴブリンキングが驚きの表情を浮かべる。

 

それもそのはず、やつが精一杯振り下ろしたはずの巨大な棍棒は、俺の華奢な右手の平で受け止められていたからだ。

 

「やっぱりレベル5だとこんな感じか」

 

やつが焦った表情を浮かべる。

 

大変気分が良い俺はここであることを思いつき、空いている左手をゴブリンキングへ向ける。

 

「記念に見せてやろう――――――カンスト、レベル700の魔法の威力を、な」

 

やつとは比較にならないほど多くあるスキルや魔法から、選んだのは、火球の魔法。

 

ただのゴブリンウィザードへの見せつけだ。

 

手の平に魔力が集まり、やがてそれが限界に到達した時。

 

「ギャ――――――」

 

辺りは灼熱と光で埋め尽くされた。

 

音さえも追いつかない。

 

やがて全てが収まった時。

 

「うわ、やり過ぎたか……?」

 

俺の正面一帯は、完全な焦土と化していた。

 

 

★     ★

 

 

「ギャギャ……」

 

全身に火傷のあるゴブリンウィザードが隠れ家の小さな洞窟の壁にもたれ掛かる。

 

何と彼は逃げ切ったのである。

 

魔力が底を尽いていたことが幸いし、あのメイドの魔力探知を奇跡的に掻い潜ったのもあった。

 

だが代償に多くのケガを負っている。死が目前に迫っている。

 

「ギャギャギャ……ッ」

 

必死にどうしようかと考えていた、その時だった。

 

「―――大変だったね、君も」

 

「―――ッギャッ!」

 

奥から突然声が響き、ゴブリンウィザードは慌てて振り返る。

 

「いやはや、勇者のお供にあんな化け物がいるなんて思いもしなかったよ」

 

スッと物陰から堂々と姿を現したのは、黒髪の少年だった。

 

やけにやつれていて、やせ細っている。

 

だが目は獣のように獰猛としていて、ゴブリンウィザードは思わず後ずさった。

 

少年の傍には、異形の姿。

 

巨大なフラフープを腕でクルクルと回すピエロのような恰好。

 

ゴブリンウィザードと同じ魔物だが、はるかに格上だ。

 

「ゲッゲッ」

 

ピエロが仮面でニタリと笑う。

 

それだけでゴブリンウィザードは全身が震えた。

 

「大丈夫大丈夫。そう恐れることはないよ。彼は移動能力特化だから本体は弱いんだ」

 

少年がニコリと笑いながら堂々と歩み、ゴブリンウィザードの前に立つ。

 

すると、少年はゴブリンウィザードの頭をガシリと鷲掴みにした。

 

「ギャアアアア!」

 

ミシミシと音が鳴る。

 

ゴブリンウィザードは魔力がないため力ある限り抵抗するが、少年はまるで万力でも持つかのように頭を掴んで離さない。

 

「大丈夫だよ、ただ君を僕のしもべにするだけだよ」

 

そう言った少年の手から、どす黒い魔力が溢れる。

 

直接頭に与えられたゴブリンウィザードは、張り裂けるような悲鳴を上げた後、急に大人しくなった。

 

それを確認した少年は、ゴブリンウィザードから手を離した。

 

「よし終わり。魔王のスキルは便利だね本当に。レベルが低くても上位の魔物をほぼ無条件で従わせれる。このままじゃんじゃん駒を増やしていこうかな」

 

満足気に頷く少年。

 

「じゃ後は回復を任せて、僕は作戦を練ろうかな……あのメイドへの、ね」

 

やがてその場には誰もいなくなった。

 




あれ?700?って思った方、補足しておきますね。
今はメイド服を着ているんですね。
メイド服(レベル+100) 
一話を読み返していただけると分かります。

話の順番相談だぜ☆

  • 蓮(様)の妹を先に出せ!
  • 聖剣手に入れるのが先だ!
  • 魔王が先だろ!
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