「ここはどこだ……?」
俺は気づいたら真っ白な空間に立っていた。
……俺は直前までローブを被った謎のゴブリンと戦っていたはずだ。
よく分からないまま辺りを見渡すも、一面真っ白。
地平線さえずっと真っ白で、方向感覚は既に失った。
だが何故か不思議と安心感のある空間だった。
「―――漸くしっかりと話せるようになりましたね、勇者」
突然声が聞こえた。
振り返っても、見回してもその声の持ち主らしき姿はない。
ひどく清らかな女の声で、脳内に直接響くような感覚だった。
だがこの声には聞き覚えがあった。
「……前に夢の中で話しかけてきたやつか」
「そうです。私は女神コンセック。今あなたは気絶しているので丁度いいと思い話しかけました」
「本当に女神なのか?」
「今この会話をしているというのが何よりも証拠になると思うのですが」
……どこか温かく、不思議な声だ。
まるで母親と会話しているような気分になる。戦おうなんていう気は一切起きない。
女神というのはあながち嘘ではないらしい。
「それで、俺に何か御用ですか?」
「前にも言った通り、あなたは勇者に選ばれました」
前のは片言すぎて分からなかったが。
「ステータスバーに表示されている職業か」
「そうです。そして勇者という職業は唯一無二。あらゆる職業においてほとんど頂点」
目の前に半透明のバーが表示される。
そこには”勇者について”と書かれていた。
「勇者は魔物を滅ぼすための職業であり、魔物には常人の5倍の攻撃を与えることが出来ます。ただし、代償として人間には3分の一です」
「なるほど……」
「加えて、勇者には様々な特殊スキルが備わっています」
「どんなスキルなんだ?」
「今伝えることはできません。しかし、レベルを一つ上げられた報酬として一つだけスキルの開放をして差し上げましょう」
温かい声がそう言うと、俺の目の前が急に輝き始めた。
「―――ッ何だ?」
俺が戸惑う間にも輝きはどんどんと勢いを増していく。
思わず目を瞑ってしまう。
「――それではスキルを解放しましょう」
今度は脳内ではなく、目の前から聞こえた。
目を開くと、そこにはウールの衣装に身を包んだいかにも女神な美女がいた。
まるで世界を映すような透明な肌に、整った顔。そして何よりも輝く銀髪。
右手を掲げて、何かをブツブツと唱えた。
すると掲げた手のひらから淡い光が生まれ、俺を照らした。
思わず身構えるが、光は俺を温かく包んだ。
「さて、これであなたは新しいスキルを使うことができます」
女神は微笑むと、俺の肩をポンポンと叩いた。
「さぁ!では頑張ってレベルを上げてくださいね!」
何か急に馴れ馴れしくなったぞ……。
「因みにですが、最高レベルは600ですのでそれを目指して頑張って下さい!」
「600も?」
「はい。もう既にいらっしゃいますよ。レベル600の方は」
「早……」
一体どんなことしたらこんな数日で600までいくんだ。
チートでも使ってんのか。
「まぁ私でも600の方とは敵対したくないくらいですからね」
「そんなにヤバいのか……」
レベル1である俺がゴブリンを倒せるくらいだとすると、600なら地球でも壊せるほどじゃないか……?
思わず身震いする俺に、女神は微笑んで再び俺の肩をポンポンと叩いた。
「ひとまずあなたは魔王を倒すのが目標です」
「やっぱりいるのか、魔王」
「はい勿論。勇者がいるならば魔王という職業があるのは自明の理です」
魔王……一体どんなやつなんだ。
ふと思いついたイメージは40代くらいのちょび髭を生やしたイケオジ。
きっと父親のような風貌に違いない。恐ろしいことだ。
「魔王もまた、力を付けています。あなたが負けないことを祈っていますよ」
女神はそう言うと、俺に向かって手を振った。
「それではそろそろ目覚めの時間です」
「お、おい、ちょっとくらいは魔王について教えてくれても……」
「そうですね……職業魔王は魔物を操るスキルを持っていますよ」
操る……またとんでもないスキルだ。
「ではまた次の機会に」
俺の視界がグニャリと曲がり始める。
「因みにレベル600の方は案外身近にいるかもしれませんよ。あ、忘れていましたが、なるべく早めに聖剣を手に入れることをお勧めしておきます」
「!そういうことは最初に言ってくれ―――ッ」
叫ぶのを最後に、俺の意識は真っ暗になった。
「――あ、目覚めましたか」
次に視界に入ったのは知らない天井、ではなく自室の天井。
それと、例のメイドの声。
「ここは……」
「自室ですが?結局私達は撤退したんですよ」
「……そうか」
俺は首だけを動かして、隣に立つメイドを見る。
相変わらず何を考えているのか分からない表情をしている。
まさか、な――――――。
「お嬢様、お兄様が心配なのは分かりますが急にご帰宅なられると驚かせてしまいます」
一人のメイドが慌てたように言う。
相手は、西園寺家の門の前に立つ一人の少女。
「別にいいでしょ」
自慢のセミロングの黒髪を靡かせながら、素っ気なく言う。
「だって兄さんが倒れたって聞いて大人しくできるわけがないから」
少し気の強い感じのある目つきで門を見る。
「僕はやりたいように動くだけ」
あどけなさがまだ少し残る顔つきの少女の名は西園寺千尋。
例の兄の妹である。
はっはっは。可憐な妹だと思ったか?
残念。僕っ娘でした!
シュヴァーーry) (発狂)
※深夜テンションです
話の順番相談だぜ☆
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蓮(様)の妹を先に出せ!
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聖剣手に入れるのが先だ!
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魔王が先だろ!