ゲームキャラのメイドにTS転生した   作:おおは

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どなたですか、そのメイド

「ふぅむ……」

 

広い書斎の中央、大きなデスクに肘を載せながら耽る男の姿があった。

 

そう、蓮の父であり西園寺家現当主、源三(げんぞう)だ。

 

彼は今、自身で作った冒険者組合のシステムについて考えていた。

 

ダンジョンから採集できる魔力核は莫大な可能性を秘めている。

 

それを国家ないし企業が買い上げることで魔力核を求め潜ってくれる存在、冒険者を作り出した。

 

だが現状、ある問題が生じていた。

 

ダンジョンごとに魔物の強さにバラつきがあったのである。

 

事前に予想はしていたが、入るダンジョンの強さが外見では分からないというのが冒険者たちの探検を著しく妨げていた。

 

いくら魔力核が金の塊であろうと死ねば元も子もないのである。

 

入ったダンジョンが実は即死級でした……というのは洒落にならない。

 

傘下の研究会社に識別方法を開発させてはいるが、まだもう少しかかるとのこと。

 

しかし、どうやら魔力というのが個人ごと・ダンジョンごとに僅かだが違うらしい。

 

それを転用すれば、冒険者登録の方法も確立できる。魔力をかざすだけで登録できるようになるのだ。

 

ダンジョンの発生による政治的変化などは内閣に任せるにしろ、冒険者組合はどうにかしなければならない。

 

「ひとまず魔力識別装置の開発を待つか……」

 

源三は軽い溜息を吐いた。そして引き出しから丸い宝石を取り出す。

 

「これは一体何なのだろうな……」

 

その問いかけに丸い宝石、魔力核は紫色に怪しく光って答えた。

 

コンコン。突然入口のドアがノックされる。

 

「……失礼します。旦那様、少しのお時間よろしいでしょうか?」

 

それは源三の娘、千尋の専属のメイドの声だった。

 

「……構わない。入れ」

 

いくつかの可能性をスキルで素早くなった脳に浮かべながら促す。

 

少ししてガチャ、とドアが開かれた。

 

「――――久しぶり、父さん」

 

「……ああ。元気だったか?」

 

専属メイドと共に入ってきたのは紛れもなく千尋本人だった。

 

記憶力の良い頭で詳細まで顔のパーツを覚えている源三にとっては本人かどうかの分別は簡単なのである。

 

「それで、今はどうなっているの?」

 

問いかけの返事をせず、千尋は逆に聞いてきた。

 

父親の心配はなしか、と源三は少し寂しくなった。

 

「現状ダンジョンなどはまだまだ未開の世界である、としか言えないな」

 

「そう……それで、僕の兄さんを行かせたんだってね。ダンジョンに」

 

「ああ。蓮は優秀なスキル、勇者を持っているそうだ。それを活用せずどうする」

 

「それで死んだらどうするつもりだったの?」

 

千尋の視線が鋭くなっていく。

 

源三は愛娘からのその視線に何とか威厳を保つ。

 

「……それは問題ない」

 

「どうして?」

 

「蓮には今優秀なメイドが付いているからだ」

 

「……?」

 

意味が分からない、といった様子で首を傾げる千尋。

 

丁度その時、ドアの前に二人、立っていいる気配を源三は感じた。

 

「……千尋、実際に見た方が早い」

 

コンコン、とドアが鳴る。

 

「父さん、少しいいか?」

 

蓮の声。源三がああと返事をすると、ドアがゆっくりと開かれた。

 

「……ちょっと話があるんだが――――って千尋?!」

 

源三の前に堂々と立つ千尋に目を見開く蓮。

 

それに対し千尋は嬉しそうに微笑んだ。

 

「兄さん、ただいま」

 

「あ、ああ……けど海外に行ってなかったか?」

 

「こんな世の中になったから帰ってくるのが普通だと思って」

 

「いや、まぁ確かにそうか……」

 

何とか納得する蓮。

 

すると千尋の視線が蓮から隣に立つメイドへと向かった。

 

「それで、それが兄さんの新しいメイドなの?」

 

「はい。蓮様の専属をさせていただいております、田中と申します」

 

不気味なほど綺麗なカーテシーを決める田中と名乗るメイド。

 

視線が合うと先に睨んでいたのは千尋であるはずなのに、全てを見透かされているような気分になってしまう。

 

しかし、蓮が一瞬メイドの方を呆れた表情で見たので千尋は何となく察した。二人の関係性を。

 

「……仲良いんだね」

 

「いや、そういうわけじゃないんだけどな……」

 

苦笑する蓮。

 

「優秀なの?」

 

「ああそうだな。父さん、本当にどこから雇ったんだよ」

 

蓮の問いかけに源三は微笑みで返すだけだった。

 

代わりと言わんばかりに千尋が口を開いた。

 

「じゃあ僕のメイドと一日交換してくれない?兄さん」

 

「え?」

 

「僕のメイドも優秀だから大丈夫だよ。ちょっと気になっちゃって」

 

言葉に詰まる蓮に千尋はズイズイと迫っていく。

 

助けを求めるように蓮は千尋の専属メイドへ目線を向けるが、彼女は目を閉じて一礼するだけだった。

 

流石に千尋と面識のない自身の専属メイドに頼むのはよろしくないと思ったのか、やがて蓮は頷いた。

 

「分かった。分かったから。……ただし、明日までだ」

 

「分かった」

 

そうして無事メイドの一日交換が決定した。

 

完全にハブられている源三は微笑むしかなかった。

 

 

 


 

 

 

「すみません。千尋様がご迷惑を……」

 

交換した夜、千尋専属だったメイドは蓮の傍にいた。

 

「大丈夫だ。俺がどうこう言うようなことでもないだろ」

 

「しかし……千尋様は何やら変な事をお考えのようで」

 

焦るメイドの一方で、蓮はゆっくりと屋敷の図書室から取ってきた武道関連の本を読んでいた。

 

「大丈夫だ。あいつは。数ミリ単位で正確に仕事をしてくるただの化け物だからな」

 

「……信頼されてるのですね」

 

微笑むメイドに蓮は何か嫌な誤解をされている気がした。

 

「ま、まぁ専属のメイドだからな。何考えてるか分からんけど……」

 

テーブルに用意された水を飲んで、蓮は再び一ページを捲った。

 

「取り敢えず俺は、あのダンジョンをクリアできるくらいに強くなるのが目標だからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




千尋ちゃんの書き方がイマイチ分らん。誰か教えてクレメンス(ガチ)

日常をつらつら書くのが一番得意だモンニ。戦闘描写は下手だから楽だわー()
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