しっかりと怒られた後、一時間目、二時間目と授業が進んだ。
毎分毎秒と眠気が襲いかかってきたが3回に1回は耐えることは出来た。
生粋の引きこもりである私が、だ。この時点でもう既に褒められるべきだったけどタコの先生...殺せんせーは最初こそ注意してくれていたのだが4回目辺りになると「先生の授業はつまらないですか!?」「そこまで露骨だと泣きますよ!?」とか、何故かあっちがめちゃくちゃダメージを受けていた。
正直、本当にこの人は地球を破壊するのだろうか?...人?
「んー!」
「あっ、起きた...よかった、鳴海さん早く着替えた方がいいかも」
「着替える?」
「うん、次体育だよ?」
体育か、引きこもりの私には厳しいかもしれない。マラソンなんて言われたら死ねる。ボクかオレに変わろうかな?いや、あの二人も私と同じタイプか。
はあ〜、とため息を吐いて観念した私はジャージへと着替える。
「ありがと...えっと」
「カエデ、茅野カエデ!よろしくね、鳴海さん!」
名前を知らないと察してくれたのか向こう側から名乗ってくれた。
こんなにもドストレートによろしくと笑いかけてくれる人は久々なので少し戸惑いながらも返事を返した。
「よ、よろしく、カエデ?」
「なんで疑問系?そのままでいいよ!」
「そ、そっか。私も四葉でいいよ」
「うん!四葉ちゃん!」
なんだろう、心が少しぽかぽかした。
早く早く!そう急かされて私はすぐに着替えたのだが...
「ダメだ、もう疲れた」
「嘘でしょ!?」
「わ、私のことはいい...先に行くんだ...」
「ひょっとして体育苦手?」
「苦手というより運動神経がないんだよね...」
こういうのは専門外だ、生憎人には向き不向きが...
言い訳を言おうとしていたがカエデに手を取られて引っ張られた。
「ま、待って走るとかだったらほんとに死ぬ!」
「あはは、大丈夫!走らないから」
「ほ、ほんと?」
「ほんと!」
と、疑心暗鬼になりながらも体育の授業が始まった。
そして目の前で行われた体育の授業は私の知っているモノとは別の何かだった。
「ナイフを正しく振るように!!どんな体制でも姿勢を崩さない!!」
いち、に、と掛け声をかけてナイフを振る光景がそこにあったからだ。
おかしい、私のイメージと大きくかけ離れている、なんで???
ちなみに私は初めてという事もあって見学だ、やったね!
「あの、なんでナイフ降ってるの?サバイバルでもするの?」
「なんでって、アイツを殺すためだろ」
指の先には殺せんせーがいた、つまりみんなは殺せんせーを殺すためにナイフを振っているらしい。
物騒すぎないかな!?
「えっ!な、なんで殺すの!?」
「は?」
「え?私がおかしい感じ?」
「殺さなきゃ地球が終わるんだぞ?しかも殺せれば百億貰えんだぞ、説明されてないのか?」
「いや、俺は君に説明したが」
百億に地球が終わる、おかしくなりそうな言葉の羅列に情緒が破裂しそうだった。
男の子と話していると、やってきたのは体育を担当している鳥間先生だった。
「せつ...めい?」
「君は「面白そう」と言っていたが」
「へ?あ、あー!」
ようやく合点がいった。
アタシめ、説明してくれたっていいじゃないか!!なにか聞いた?って聞いた時、行けばわかるわとか言ってたよね!?チットモワカンナイヨー!!
「えっ、じゃああのタコのアレは着ぐるみじゃないって事!?」
「なんだと思ってたの!?」
「私と同じシャイキャラなんだ、とか思ってたのに!裏切りものーー!!」
「にゅや!?先生が悪いんですか!?」
キミはシャイじゃないだろう、そんな声が聞こえたが今は無視。
とりあえず、あの殺せんせーについてはアタシからしっぽりと聞くとしてだ。
一旦色々と誤魔化して、その場を収めると鳥間先生から私の力が見たいとナイフを渡されて一対一で向かい合った。
「当ててみろ」
「どこでもいいんですか?」
「当てられるならな」
余裕の表情を彼は崩さなかった。
まるで私の攻撃など当たるわけがないと言わんばかりだ。
舐めやがって...後悔させたらぁ!!
「えい...あっ」
「「「「「「「あっ」」」」」」」
転ぶ勢いで突っ込むとちゃんと転んで、ちゃんと顔から落ちた。
「お、おい!大丈夫か!」
心配して、鳥間先生は私に駆け寄ってくれて起こしてくれた。
その隙に私は右手で持っていたナイフを彼の胸元に当てた。
「なっ!」
「これは
「いや、君の勝ちだ」
「え、いやいや!流石にダメですよ!騙し討ちなんてゴミカスです!クズです!!切腹します!!」
「とんでもない!今のは素晴らしい暗殺でした!」
必死に弁明していると、顔に二重丸の模様を描いた殺せんせーがそこにはいた。
「失せろ、モンスター。今は俺の授業だ」
「おやあ、さては鳥間先生悔しんですかぁ〜?」
図星か否か鳥間先生は対先生ナイフを振ると殺せんせーはどこかへ消えた。
早くて見えなかった、あのスピードが私にもあれば時間ギリギリまで家で寝ていられるなあ、なんて事を考えていると先生から「鳴海さん」と呼ばれる。
「は、はい!」
「騙し討ちなんてよくない、と言ったがコレは暗殺だ。やり方はどうであれ殺せば勝ちだ。正直当てられると思ってなかった」
「...あはは、体力ない私がやれそうなのはコレかな〜って」
必死に誤魔化すために、あたかも自分が考えて実行したかのように私はペラペラと嘘を吐く。
「次は騙されないがな」
「で、ですよね」
ヤバいなんか火をつけてしまったかもしれない。
ひょっとしたら次はボコボコ確定。あーあ、どうしてくれんのほんとに。
次に震えて現実逃避をしていた私だったが授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、現世へと戻ってきた。
「今日はここまで!」
「「「「ありがとございました!!」」」」
烏間先生が職員室へ戻ったのを確認すると、私はみんなに取り囲まれてしまった。
「鳴海さん凄かったよ!!」
「烏間先生にナイフ当てた人初めて見たよ!!」
「やっぱり鳴海さんってすごい人?」
「か、カツアゲですか?」
「「「「違うわ!!褒めてんだよ!!」」」」
...違うの?
新参者がイキってんじゃねえ!ってな感じでしばかれると思ったけどどうやら違ったようだ。
そういえば、カエデにはしたけど他のみんなには自己紹介してなかった気がするな。
「えっと、改めまして鳴海四葉です。四葉って呼んでください」
こうして、私は沢山の友達を得た。