引きこもりだった少女の暗殺教室   作:赤坂六梃

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地元の時間

 

2年ぶりに帰ってきた京都の街は変わってなかった。

暗殺修学旅行2日目、私達は殺せんせーと回る時間になるまで班行動をしていた。

 

「ユッキーの日程表はどこにいったんだろうね?」

「バックには入れてたはずなんだけど...」

 

この旅行が始まる前に殺せんせー自作の栞とは名ばかりの辞書を貰い、それをまとめていた日程表をユッキーがどこかに落としてしまったらしい。

 

「ま、こういう時は楽しむのが1番!いったん忘れてパーっとみんなで楽しもう!私のことは京都先輩とよんでね!」

「はいはーい!京都先輩!ここら辺で有名な甘いお店はどこですか!!」

「ふふん、いい質問ですね...ババン!!ドンターン!!ココ!!」

「ずいぶん楽しそうだね」

 

おっと、久々の地元だからかテンションのレバーおかしな方向に行ってしまったがまあいい。

ついた場所は京都一と言われている、生八ツ橋カフェの営んでいる老舗の『やっちゃん』というお店だ。

 

「このお店はね───「ヨツハーーーーーーー!!!」ぐえっ!!!」

「「四葉ちゃん!?」」

「だ、大丈夫!?」

 

紹介しようとした矢先、体に衝撃が走り倒れてしまった。こんな事をするのは一人しかいない。

 

「やっぱりヨツハや!!元気かーーーーー!!!」

「耳死ぬって!!ちょっと、離してー!!」

「いやん♪ヨツハのいけず...たぁ!?」

「朽葉、いい加減にしなさい、彼女が困っているよ」

 

仕方ないなあ、と漏らしながら離れる彼女は桂朽葉、『やっちゃん』を経営している店長さんだ。

そしてそれを嗜めてくれたのは、副店長の木佐貫愛紗さん、この二人とはずいぶんと長い付き合いになる。今回の旅行で帰る事を連絡したらサービスすらから来なさいと言われたためやってきたのだ。

たが、まさかタックルされるとは思わなかったけど...

 

「いらっしゃいませ!ヨツハのクラスメイトさん達だよね?」

「『やっちゃん』へ、おいでませ〜!」

 

━━━

━━

 

「おぉ〜!!これが生八ツ橋!!」

「ごゆっくり〜!」

 

朽葉がテーブルへとそれぞれが頼んだものを持ってくると、仕事があるからとそそくさと出ていってしまった。

 

「あむ...!!うまっ!」

「ほんとだ、美味しい」

「はぁ〜、これこれ!コレだけで京都旅行はさいこうだよ〜!」

「でしょでしょ!!」

 

なぜ四葉が誇らしげなのかはよくわからなかったが一同はこの京都ならではの小腹を満たし終えると、そろそろ殺せんせーとの約束の時間だと会計を済ませて外へとでると二人が見送りにきてくれた。

 

「あの、すっごく美味しかったです!」

「それはよかった〜、また機会があれば食べにきて。サービスするからさ!」

「はい!ご馳走様でした!」

「朽葉ちゃん、愛ちゃんありがとね!!」

 

四葉が改めてお礼を伝えると、二人はどこか愛おしそうに彼女をみて抱きしめた。後ろのみんなに聞こえないように三人は身を寄せ合う。

 

「...またいつでも帰ってらっしゃい」

「...うん」

「じゃあ、またね」

「今日はありがと...」

「いいのよ、あなたのお母さんには借りがあるもの」

「ちゃんと生きるのよ?」

「......うん」

 

二人は今にも泣きそうではあったが彼女にそれを感じさせまいと、抱きしめる力を強めるが四葉はそれを黙って受け入れる。しばらくすると力は弱くなり、またねと言葉を交わし彼女は笑顔で二人の抱擁から抜け出した。

 

「みんな、行こ」

「何話してたの?」

「秘密!!」

 

なにそれ〜と、渚達と笑い合う四葉を眺める二人の表情はどこか心配そうに見ていた。

 

「まだどこか無理してるわね」

「...忘れられないよ、あんな事件」

 

すっかり遠くへと行ってしまった四葉の背中を二人は、どうかあの子を救ってあげてほしいと願う。

一方で四葉はそんな祈りをつゆ知らず、観光を再開していた。

次の目的地へと向かう途中で杉野が愚痴を言うように口を開く。

 

「やっぱさ、京都に来た時ぐらい暗殺のこと忘れたかったなー」

「そうだよね、なんか地元でこんな事されるのはちょっと複雑ではある」

「やっぱり?いい景色だしな、暗殺なんて縁のない場所でさぁ」

「それはそうでもないよ?」

 

すぐそこに答えはあると、道を曲がるとそこには一つの墓跡があった。

 

「やっぱり地元なだけあって知ってるんだね」

「坂本龍馬ってあの?」

「あ〜、1867年、龍馬暗殺「近江屋」の跡地ね」

「そそ、有名だよね〜、あとね近くに本能寺もあるよ?当時と場所ズレてるけど」

「鳴海さんは行ったことあるの?」

「全然、歴史とか興味ないし」

「その割には詳しいね?」

 

ピクっと一瞬だけ四葉の顔が引き攣った、けれど彼女はそんな事はなかったかのように話を続ける。

 

「...お父さんが好きだったんだ、よくここに来ては目を輝かせて子供みたいに解説してくれてた」

「だからやけに詳しいんだ」

「ちなみにここら辺は暗殺の聖地と呼ばれているよ、知名度が低い事件や有名なやつまで」

「なるほどな〜、言われてみればこりゃ立派な暗殺旅行だ」

「鳴海さんがいるなら栞いらなかったかな?」

「持ってきたの?」

「うん、必要かなって」

「真面目だね〜」

 

四葉も最初は持ってこようとしていたが、あまりのデカさに断念して今は家の床へと雑に置かれている。

ある程度のスポットを回ると、次は人通りのない裏道へと足を踏み入れた。

 

「へー、祇園って奥に入るとこんなに人気がないんだ」

「ここらは一見さんお断りの店多いからね〜」

「そうなの、四葉ちゃんがここは目的もなくくる人は少ないからって」

「ここならピッタリじゃない?」

「じゃあ、ここでけってーい!」

「──ホント、なんでこんな拉致りやすい場所歩くかねえ?」

 

四葉達が盛り上がっていると前と後ろから下卑た顔をし制服を着た数人が来てはあっという間に彼女達を取り囲んだ。

 

「なにお兄さん等?観光ってわけじゃなさそうだけど」

「男に用はねー、女置いておうち帰んな」

 

そう言った瞬間、カルマが頭を掴んでは仕掛けて一人を倒し渚とここならケンカしても問題ないと会話している裏で四葉はめちゃくちゃ焦っていた。

 

(ちょっと起きて!!私はこう言うの専門外!ちょっと!?)

 

ドサっとカルマが隣へ倒れ込むと後ろにいた高校生の一人に掴まれてそのまま車へと放り込まれてしまった。

 

(うわ...最悪)

 

2年ぶりに帰った地元でまさか攫われる事になるとは思いもよらず四葉は起きてくれなかったもう一人の自分に舌打ちをした。

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