真・女神転生 縛りプレイサマナー   作:キノコの森

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キャラクターの名前を変更しました。
リリ→サクラ
ミミ→ツバキ
ノノ→ツツジ

変更した理由としては読んでいて分かりづらかったからです。
ご迷惑おかけしますが何卒宜しくお願い致します。


偶像盗撮Ⅰ

 ある曇った日の昼頃、探偵事務所にビジネススーツを着た男がやってきた。

 

「すみません、ここはユウキ探偵事務所で間違いはないでしょうか?」

「ええ、間違いありません」

「ご依頼ですか?」

「はい」

 

 事務所の深い緑のソファーへ座るように促し、俺はその対面に腰を下ろした。

 

「改めまして、当探偵事務所の所長をしているユウキと申します」

「私はアオベ・ヨナカ、職業はアイドルのマネージャーをしています」

 

 アイドルの事務所にはストーカー対策の部署などを自前で構えるケースが多い、少なくともうちのような従業員数が一桁の事務所に頼るような困りごとはあるのだろうか?

 普通なら冷やかしを疑うところだが、見た目の印象によるものなのか、内面から滲み出るものなのかは判断に困る。ただ、酷く疲れ切っていることだけは確かで、少なくとも冷やかしの類いには見えなかった。

 

「本日はご依頼とのことでしたが用件を伺ってもよろしいですか?」

「その前に聞きたいことがあるのですが」

「はい、なんでしょうか」

「……この事務所は悪魔に関する案件を受けるというのは本当ですか」

「ええ、本当ですよ」

 

 なるほど、バスターでもサマナーでも悪魔を退治する人間は高給取りだ。

 依頼料は1回百万単位でよほどの大手の企業でもなければ抱え続けるのは難しい。

 それを考えるなら俺の方に仕事が来ることも珍しくはない。ただ、少し引っかかるな。

 

「依頼を受ける前に一点お聞きしたいのですが、あなたが退治なさらないのですか?」

「わ、私がですか?」

「はい。あなたは見えていますよね」

「はい、私は見えていますが、なぜお判りに?」

「さきほど私の仲魔のほうに目線がいっていましたからね」

 

 自分のところにいる覚醒者を使わないのなら相応の理由があるはずだ。

 例えば、損失が確実に見込まれる厄介な依頼だからとかね。

 

「なにかできない理由でも?」

「いえ、自分はそのいわゆる落ちこぼれで、見えはすれどもというやつです」

 

 恥ずかしそうにアオベさんは頭をかく。

 武芸者のようなプレッシャーもないし、先ほど見た歩き方もサラリーマンのそれだ。

 呪いかなにかで弱らされたとしてもこうはならない。

 おそらく、本当に覚醒しただけの人なのだろう。

 

「そうとは知らず、失礼しました」

「いえいえ、もうあきらめた道ですし」

 

 一応アオベさんの話に嘘はないとしよう。

 相手が覚醒者なら悪魔なんていないとは言いださないし、弱いから仕事にケチをつけてくることもないだろう。

 悪くない。むしろ、いい依頼主になりそうだ。

 

「それよりも、依頼の話に移ってもよろしいでしょうか?」

「はい、お願いします」

 

 そう言って一枚の写真が差し出された。

 写っているのは顔が整っており、深い青色の衣装を身に包んだ女性だった。

 

「この子は私の担当アイドルのシノヤ・キョウコです」

「彼女は今事務所が絶賛売り出し中のアイドルなのですが、ネット上によからぬ写真が流れているのです」

「よからぬとは?」

「……口外しないようお願いしますね」

 

 カバンからまた新しく数枚の写真を取り出す。

 その取り出した写真には半裸のシノヤ・キョウコが写っていた。

 背景の写真を見るに更衣室だろうか、いろいろな角度でとられており中にはかなり接写しなければとれないようなものも紛れている。

 

「これおかしいですね」

「はいそうなんですよ」

 

 盗撮というのは基本的には設置したカメラによって行われる、ゆえに角度や場所は固定されている。だが、今回の写真のアングルはすべて別だ。

 背景のロッカーの色がすべて同じ色の緑だという点からも他の場所で撮った写真とは考えにくい。

 なにより、接写しなければとれないような写真が混ざっているのが奇妙だ。

 

「一応ですが、更衣室のチェックはしたんですよね」

「ええ、もちろんです」

「本人立ち合いのものと隅々まで調べました」

「しかし、それを嘲笑うかのように盗撮の写真がアップされました」

「もうこれは普通の犯罪ではないと思い事務所に直談判しまして」

「そうしているうちにこの事務所に」

「これは悪魔の仕業ですよね」

「その考えは正しいと思います」

 

 おそらく悪魔を使った盗撮だろう。

 こういう姑息極まりないことをさせるのも古典的な悪魔の使い方だ。

 このレベルの悪事をする悪魔ならレベルも低いはず、アタリ依頼だな。

 

「となると依頼は盗撮犯の確保ですか?」

「それが最善なのですが、無理なら盗撮を防ぐだけでもお願いできますか?」

「分かりました、依頼料のほうはお見積りでこれぐらいになりますが大丈夫でしょうか」

「はい、こちらでお願いします」

 

 

 

 依頼を受けてから数日経った。

 俺は仕事で使用する道具一式を詰めたバックを背負い待ち合わせのファミレスにいた。

 

「お待たせしました」

「いえ、5分前ですし大丈夫ですよ」

 

 少し遅れてアオべさんがきた。

 

「すみません、道が混んでいたもので」

 

 そう言って駐車場に案内され白いバンの前で止まる。

 どうやら社用車のようで専属の運転手もいる。

 

「こちらは運転手クヤキ・ナガニさんです」

「どうも」

 

 運転手は人相の良いおじさんだった。

 恰幅は良く、健康そのものな見た目をしている。

 俺たちは車に乗り込み、シートベルトをかける。

 

「クヤキさん、出してください」

 

 揺られること30分。

 俺たちはそのままアイドルの撮影が予定されているビルに着いた。

 そのままアイドルが使う予定の更衣室に移動する。

 

「では、お願いします」

「わかりました」

 

 そうして、アイドルのシノヤさんとアオベさんを同伴して更衣室に結界を張る。

 今回張るのはエストマに似た効果をもつ十字教会式の結界、手順としては結界の陣を描いて上に聖水を撒くだけだ。

 俺が張ればレベル65未満の悪魔は侵入できない。術者のレベルに依存するため、使い手を選ぶのが難点だが、効果の持続性は高く、一週間は持ってくれる。

 

「サクラ張れてるか?」

「なんか入るだけでチリチリするし、張れてると思う」

 

 そのほかにもサクラたちを使って壁の中までカメラを探したり、盗聴器の類いを探したりして部屋の安全を確認した。

 いくらかの点検の後、確認を取り更衣室から出る。

 

「貼り終わりました」

「了解です、お疲れ様でした」

 

 そのままアイドルの護衛もこなして帰路についた。

 結界は万全で、アイドルの仕事場に怪しい影はなかった。

 仕事は達成されたはずだった。

 ──しかし、この数日後、アイドルの盗撮画像はインターネットにアップされた。

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