真・女神転生 縛りプレイサマナー   作:キノコの森

7 / 7
偶像盗撮Ⅲ

 土砂降りの日曜日、俺たちはクヤキさんの運転で黒いバンに乗り移動していた。

 車内にはアイドルのシノヤさんとプロデューサーのアオベさんが乗っている。

 雨粒が車体に当たる音だけが響き、なんとも暗い雰囲気が漂っていた。

 

「つきました」

 

 ビルから少し離れた駐車場に車を停め、速足でビルの中に入る。

 受付でもろもろの手続きを済ませ上の階に移動する。

 

「では、私は着替えてきます」

「気を付けて」

 

 用意した衣装を渡し、二手に分かれる。

 そのままカーペットが敷かれている廊下に出て、とある部屋に向かう。

 

「大丈夫ですかね」

「大丈夫です、問題はありません」

 

 尾行されてないことを確認した後、部屋に入る。

 そこには事前に備え付けていたディスプレイが置いてある。

 全員が部屋に入ると同時に扉を閉める。

 パイプ椅子に腰を落ち着け、ディスプレイを見る。

 

「上手くかかってくれるでしょうか」

「それは分かりません、成功を願うばかりです」

 

 ディスプレイが映すのは更衣室にある扉だ。

 その前には真新しいカーペットが敷かれている以外におかしな点はない。

 

「勘付かれたか?」

 

 シノヤさんが着替え終わり部屋から出てきた。

 カーペットが敷かれた廊下を歩き撮影室に向かう。

 後ろにピッタリと付き添う足跡とともに。

 

「でたな!」

 

 おそらく、更衣室に先んじて隠れてシノヤさんを待ち伏せしてたんだ。

 入る時に扉を開けて気が付かれないために。

 早く捕まえなければという焦る気持ちを抑えつつ、シノヤさんの通路と交差する場所に向かう。

 

「いた!」

 

 合流ののち足元を見ればまだピッタリとくっつく足跡がある。

 手に持っている魔反鏡を砕き、即座にシノヤさんを魔法反射状態にする。

 

「ツバキ」

「了解」

 

《マハブフ》*1

 

 取り決め通り、廊下に向けて放つ。

 ツバキの手のひらから出た小さな氷は空気の流れに乗り直進する。

 シノヤさんに当たる前に結界がつぶてをずらす。だが、流れの中に不自然に氷の粒が途切れている場所がある。

 その場所は徐々に後ろに下がり、突然一人の男が現れた。

 その男の顔はひどい凍傷で腫れていた。

 

「キョウコ、こっちに」

「はい」

 

 アオベさんがキョウコさんを引き寄せ、自分の後ろに隠す。

 

「アオベさんは離れていてください」

 

 男は中肉中背、装備は石化解放リング*2にダークステルス*3、痺れと石化だけ対策してる感じか。

 とりあえず装備を剥ぐ。

 

「持ち物は携帯と財布くらいかな」

 

 特に何かやばそうな物はなし。

 確認を終えたらもう一度ダークステルスを着させる。

 

「ツバキ、凍らせて」

「了解」

 

 男の全身を厚い氷が覆ったのを確認後近くの部屋に転がす。

 覚醒者なら1時間くらいこんなになっても生きているはずだ。

 

「ユウキさん、犯人を捕まえてくれてありがとうございます」

「その助かりました、ありがとうございます」

「いえいえ、仕事ですのでお気になさらず」

 

 アオベさんは心労が取れたせいか、それともシノヤさんの安全が確認できたからか、険がとれた顔つきをしている。

 シノヤさんも安心した顔をして、アオベさんをささえている。

 この二人を助けられてよかった。

 ……さて、もうひと踏ん張りだ。

 

「アオベさん」

「はい、なんでしょうか」

「今から私は地下駐車場に行きます、そこでおそらく戦闘が起きます」

「え?なぜでしょうか」

「今は説明している時間が惜しいので説明しません」

「戦闘になると危ないので私が許可するまで絶対に地下に来ないでください」

「わ、分かりました」

 

 

 

 地下駐車場に降りると挙動不審そうにちらちらと辺りを見回す男がいる。

 

「どうしたんですか?クヤキさん」

「え!?あ」

 

 あからさまに目を見開き、パクパクと口を遊ばせている。

 まぁ、それもしょうがないよな共犯者が捕まったんだから。

 

「犯人なら捕まえましたよ」

「そ、そ、そうなんですか」

 

 一転して顔が真っ青になる。

 うーん、せめてもっとうまく演技したらいいのに。

 見ていられないのでさっさと締めるか。

 

「ところで聞きたいんですけど、なんで犯人の共犯者になったんですか?」

「え、いや、なんのこと」

「誤魔化さなくていいですよ、あなたなんでしょアイドルのスケジュールを密告したの」

 

 目の色が変わった。

 まるで角へ追い詰められたネズミのような、卑屈さと先が読めない不安定さをはらむ目に。

 

「私はこの事件を受けた時、どこからアイドルのスケジュールがばれたのか気になっていろいろアタリをつけたんですよ」

「初めは車を目印についてきているからと思いました」

「でも、先日は白いバンで今日は黒いバン、乗った車が違うので車になにか細工されているわけじゃない」

 

 車が一台しかないならそれを目印していると思った。しかし、会社は複数台の車を所持しているのでこの方法は使えない。

 もちろん盗聴器の可能性を考えそれようの検査もした。結果は一つもついていなかった。

 このことから車に仕掛けはないと分かる。

 

「次に疑ったのは情報漏洩、スケジュール帳なりなんなりが盗まれてるからだと考えた」

「でもこれも違う、なぜなら盗撮の頻度に不自然な空きがあるからだ」

 

 盗撮写真はほぼすべての日程を抑えていた。

 そう、ほぼなのだ。つまり、撮られなかった日付がある。

 そして、この日付に法則性はない。なので、この空きはどこでやるかが掴めなかったから盗撮写真が上がらなかったと予測する。

 この点から盗撮犯は一元化された情報、スケジュール帳やデータではないものから情報を得ているのだ。

 データでないなら人づてに情報を得ているのだろうと思いスパイがいると考えた。

 

「スケジュールを完璧に把握できるプロデューサーや会社の上層部は容疑者から外される」

 

 完璧なデータはないが、完璧に近いデータが取れる。

 ただし、スケジュール帳などのデータには触れない。

 ここから導き出されるに、共犯者はアイドルと行動を共にする人物。

 

「メイクさんやカメラさんは毎回同じ現場にいるわけじゃない」

「だからそういう人たちを外していくと」

「もうあなたしかいないんですよ、シノヤさんの運転手クヤキさん」

 

 

「──素晴らしい推理やな、探偵さん」

 

 カツンカツンとなる靴底の音。

 柱の奥、黒い車からスーツ姿の男たちが出てきた。

 その威圧感からは一般人ではだせない、火薬くささが染み出ている。

 

「ヤクザか」

「おうとも、無頼組のヤミモトてんだ」

 

 白昼堂々腰にぶら下げているのは日本刀か、頭イかれてるのか。

 イかれてなきゃヤクザなんかやらないか。

 

「黒幕はお前らか」

「だったら?」

「今すぐ自首するなら罪を償うだけで済むぞ」

「こちとら償える数はもう超えてんだよ、一つ加わっても変わんねーくらいにな!!」

 

 即座にみんなを呼び出す。

 鍔が抜き去られ、生身の鋼が牙を出す。

 

「いくぞ」

「いてこましたれや!!!」

*1
真・女神転生Ⅲ出典 敵全体に氷結属性で小ダメージ 低確率で氷結状態になる

*2
真・女神転生DSJ出典 石化を無効化するアクセサリー

*3
真・女神転生Ⅳ出典 氷結弱点、電撃無効、疾風耐性の防具




 共犯が予測できた人がいたらコメントで教えてね!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。