光彦、歩美、元太がそれぞれ1匹ずつの犬のリードを持って、犬に引っ張られるようにして道を歩いている。その後ろでコナンと灰原が、これまた1匹ずつ犬を、こちらは横に共に歩く形で引き連れていた。そして最後尾で正太郎が、子犬を一歩出たかというレベルの幼犬を3匹その手に抱えて歩く。
これは
「ひー、こいつらデカくてカッコイイから俺が受け持ったけど、ぐいぐい引っ張られてたまんねーぜ」
「そ、そうですねー。僕も同じですよ。ちょっと手に余ります……」
「こ、この子見た目可愛い子だったのに、ちょっとやんちゃすぎるよぉ」
元太、光彦、歩美は既に疲労
「残り物には福があるっつーけどよ。こいつらは
「そうね。保護犬だから一頭ごとに訓練の質や度合、逆を言うならば
「虐待の度合が酷い犬たちは、依頼主の
そしてコナンは顔を元太に向け、そして言葉は3人の子供たち全員に掛ける。
「1週間犬の散歩手伝えば、ハント探偵がうな重奢ってくれるって話だったじゃないか。まあ鰻屋『銀八』や老舗の『うな○るてい』みたいな高い店は無理だけど、最近右肩上がりのリーズナブルな『鰻マスタ○ズ』で。光彦と歩美ちゃんは、うな重が重かったら同予算で別メニューでもいいって」
「そ、そうだったな! 頑張るぜい!!」
「うん、わかった!」
「僕はうな重より、ひつまぶしでお茶漬けで食べたいですね」
「通だな光彦……。まああと3日だ、頑張れ」
ここで歩美が小首を
「ところでハントさんは、どうして来ないの?」
「ああそれは……」
これに答えたのは正太郎だ。
「義父さんは今日は別会社の株主総会。決して大株主じゃないけど、いちおう株式持ってるから出席して来るんだ」
「「……東」君」
当の
「ああ、株主総会なのは嘘じゃない。小口の株主ってのは嘘で、大株主だけどさ。なんかちょっと面白くない事になりそうだったから、先日
博士には今の経営陣がやってる不正の証拠資料とか山の様に持たせてやったから、株主総会大荒れになるよ。博士は楽しそうにしてたなあ」
「……地球には来ないとか言って無かったか」
「地球に来ないとは言ってないわ。わたしたちの手伝いは後ろ向きに検討するとは言ってたけれど」
「まあその手伝いってのも、今回の件じゃなくて『黒ずくめの組織』とやり合う事だけどね。正直、ああいう組織とかち合うのは飽きたって言ってたよ。僕たちでどうにもならなくなったら手を貸してくれるとは思うけれど、僕たちでオーバーキルだって思ってるらしい」
彼らが楽し気にそんな話をしているとき、正太郎が抱きかかえている3匹の幼犬がビクリと身体を
更にはコナンと灰原が
「お、おい! どこ行くんだよ!」
「ちょ、と、止まってぇ!?」
「うひゃあ! 止まってください!」
元太、歩美、光彦は必死でリードを引っ張るが、ずるずると引き
正太郎たちは思念を
(エドガー、灰原サンも。気付いてるよね?)
(ああ。
(この子たちは感受性高目だから、恐怖しちゃって凍り付いてるわね。あっちの3匹はなんかゾワっと来て、それから逃げようとしてるだけで済んでるけど)
(とりあえず散歩は中断して、探偵事務所に戻ってケージに犬たち入れて落ち着かせよう)
少年少女たちは、犬たちの挙動に閉口しながら、どうにか
*
「とりあえずエイトマン・ネクスト形態で街を高速転移で走り回り、
「なるほど。米花町の高級住宅街を中心に、北を地図の上に置いて逆五芒星が出来上がりつつあるな。5つの頂点のうち、4つまで」
「逆五芒星ってことは、キリスト教圏で迫害された類の術者かしら。それとも、技術だけ手に入れた人物? あるいは五芒星関連ってことで陰陽術系?」
3人は意見を出し合う。ちなみにこれが呪殺の準備である事は、まず間違いないと3人の見解は一致していた。
「おそらく動機は恨みだな。
「どうする? 今回はエドガー好みの推理物では無さそうだが」
「いや、
「そうね、いくらなんでもまずいわ」
ハント探偵は少々考え込むと、近場にある端末前まで歩き、そのキーボードをカタカタと高速で打った。
「とりあえず
「ところで、今準備が済んでる4つの
「いや灰原。それやると、犯人に気付かれて別な方法を取られる可能性がある。今のところは犯人に順調に事が進んでいるって思わせておいて、急襲するべきだと俺は思うね」
「とにかく犯人の居所を掴む事と、その背景を調査する事が最優先だな。万が一調査完了前に逆五芒星が完成しそうになったら、自然現象を装って完成を妨害しよう」
3人は色々と話し合う。メイ姉さんが、コーヒーのお替りを用意していた。
*
とあるボロアパートの1室で、1人の女がその口から呪詛を
「何故よ……。何故魔法陣の最後の一角が完成しないの……? あと少し、あと少しで仇が討てるのに。絶対に、絶対に許さない。あの男、今ものうのうと生きているあの男。絶対に、絶対に無様に殺してやる」
そのとき、アパートの玄関が開く音がする。女はビクッと身を震わせた。
「だ、誰!?」
『……』
「誰!? 誰なの!?」
『わたしはエイトマン・ネクスト。大河原壮介の自宅を含む一帯に、呪殺用の逆五芒星魔法陣を仕掛けているのは君だな』
「!!」
女は泡を食って立ち上がり、裏口へと逃走する。だが裏口にも、待っている者が居た。高校生ぐらいの背丈の男女2人組だ。その顔面には、精密な彫刻が施された仮面がはまっている。
「な! あんたら誰よ!」
「……名乗るほどの者でもない、そこらに無数にいる十把一絡げの探偵だよ」
「とりあえず暫定的に、その連れよ」
無論のこと、コナンと灰原の2人である。彼らは暫定的に作った解毒剤、というか復元剤を服用し、成長した姿でこの場に現れている。なお魂に『記憶』されていた姿は一応元の姿と大差無かった模様で、コナンは安堵したものだ。
そしてコナンは、言い諭す。
「正直な話、現在の法整備から言って、お前さんの行為を
「く……」
女はその場にへたり込んだ。
魔法的事件にぶつかりました。原作にはない、しかも大規模な無差別テロ的な大量殺人です。ハント探偵がこの世界に出現した事によるバタフライ効果にて、発生した模様。でも本気でバタフライ効果なので、責任は無いです。
あと、多頭飼育崩壊とか無責任な犬猫の遺棄とかダメ、ぜったい。金魚やミシシッピアカミミガメを河川や池、沼に放すのも絶対ダメ。