とりあえずハントは社用車のマツ○゛・ファミ○アを運転して、人目に触れない
裏通りを流して回る。後席に灰原哀と並んで座っているコナンは、怪訝な顔で尋ねた。
「なあ、さっきも同じ場所通ったけど、なんでグルグル同じところを回ってるんだよハントさん」
「ん? ああ、万が一に尾行されていると嫌だから、それをチェックしてたんだ。『黒ずくめの組織』の奴らをメイ姉さんのところに連れて行くわけには、ぜったいにいけないからな」
「ねえ……」
「ん? どうしたんだい灰原サン」
おずおずと話し掛けて来た灰原だったが、その瞳は隠しきれない恐怖と彼女の内側から膨れ上がりはちきれそうな期待に
「その『メイ姉さん』って、もしかして……」
「何が言いたいかはよくわかるが、正直俺も君が彼女が求めている人物で、彼女が君が気にしている人物だって確証はまだ無い。正解である確率は異様に高いとは思っているが」
「……」
「だから彼女の本名はまだ明かさない。『黒ずくめの組織』相手だと、幾重にも注意を重ねてもまだ足りないんだ。もし万が一の場合、君が本当は『組織』を裏切っておらず、メイ姉さんみたいな脱走者や、俺やエドガーみたいな潜在的な『組織』に対する敵対者を吊り上げるルアーだって危険性すらある。そのときは、俺は君を自己判断で消すよ。生物学的な意味で」
「ハントさん!」
「……いえ、江戸川君ありがとう。ハントさんの懸念はもっともだし、対処法も完全に正しいわ」
「灰原……」
その後ハントは黙って運転を続けた。コナンは
やがて周囲に車も歩行者の影も見えなくなる。ハントはハンドルを切りながら呟く様に言った。
「うん、まあ後を
「どこ行くんだよ、ハントさん」
「北海道の山奥」
「「え!?」」
その瞬間、コナンと灰原は強烈なめまいを感じる。同時に自動車を含めた自分たちの身体が一瞬まばゆく輝いた。コナンと灰原は、呆然とする。何故なら、車窓から見える外の景色が一瞬にして変化していたからだ。
「な、なんだよこれ。今まで人っ気はまったく無かった倉庫街の裏道を走ってたよな!」
「うそ……。なんでこんな山奥……。曲がりくねった未舗装の山道をいつの間に走ってるのよ」
「テレポートだよ」
「「うそ……」」
ハントはちょっとした広場になっている、車を切り返してUターンするための場所に○ツダ・ファ○リアを駐車させる。彼は
「俺がかなり前に居た
「「うそ……」」
ちなみにハントは、『かなり前に居た世界』と言う意味で言ったが、言葉に出したのは『かなり前に居たところ』と表現したので、コナンと灰原はその事に気付いていない。つまりハント=エイトマン・ネクスト=東正太郎は並行異世界からやって来た、という事になるのだが。
「そんでもって俺は、超人ロックを再現した幾多の作例の中で、もっとも成功に近づいた一例、かな。俺のやり方は、超能力の『理論』そのものを解き明かし、それを機械的な手段で再現するってやり方だ」
「う、うそだろ。なんかのトリックじゃ」
「どうしてそう思うんだ?」
「だって、そんな非科学的な」
「現実に起こった事を受け入れない方が、非科学的だと思うが。なあ工藤新一君」
「あ、え。えっ……。な、何で!?」
ハントに自分の秘した本当の名を呼ばれた事で、コナンは硬直する。もう一人、灰原哀もまた目を丸くして驚愕していた。
「俺はここんところ
そして、そこでブカブカの大人サイズの服を着用して、現場に来た警官たちに『俺は高校二年生だ』と
「……そうだよ。俺が新一だ。あのジンとウォッカって男に捕まって殴られて、新開発の、毒の痕跡が残らない毒薬ってのを飲まされて……。けど、薬の相性か何なのか死ななくて、でも副作用で身体が6歳児ぐらいに縮んじまったんだ」
「……!!」
コナンの言葉を聞いて、灰原は目を
「……組織に命じられてその毒薬を作ったのは、わたし。その毒薬は、
「な、てめ……」
「本来の役割は、その効果から言って若返りか不老不死かなんかのための薬かな」
「ご想像に任せるわ。で、わたしとわたしのお姉ちゃん、宮野志保と宮野明美は元々両親が『組織』の人間で。お姉ちゃんはわたしを『組織』から足抜けさせるために組織のために10億円盗んでね……。でも『組織』がそんな甘いわけないのよ」
灰原は天を仰ぐ。
「お姉ちゃんとは連絡がまったく取れなくなった。だからもしかしたら殺されちゃったんじゃないかって……。それで上に反抗したら、軟禁されてね。コードネーム貰うぐらいに特別扱いされてたって、一回反抗したら終わり。殺されるのを待つだけ」
「でも諦めなかった、か?」
「ええ。
死ぬなら死ぬで、奴らの手になんか掛かってやるつもりは無かった。そして賭けに勝ったわたしは、幼児化した身体で普通なら出られない小さな窓から逃げ出して……」
そこまで聞くと、ハントは通話がつながったままの携帯電話を取り出す。
「メイ姉さん。いや
『ガチガチガチ……い、今行くわ。ガチガチガチ。さ、さむい。だけど、志保が、志保が』
「アンタ!! 俺言ったよな!? 防寒着きちんと用意しろって!!」
『ガチガチガチ……。し、したわよ。セーターとコート……』
「アホかあああぁぁぁ!! 高空舐めんな! ンな程度で耐えられっか!! あ!?」
「お姉ちゃん!お姉ちゃんなの!?」
『し、志保……。ガチガチガチ……。ま、まって、て。今行く、から。……あ。……ガシャッ! ブツン! ツー、ツー、ツー』
「お姉ちゃん!? お姉ちゃん!?」
突然切れた電話に、灰原は半狂乱になる。ハントはそれを
「ああ、大丈夫だ。たぶんあまりの寒さに手がかじかんで、携帯を空の上から落っことしたんだろ。いくら特別製の頑丈なのだって言っても、高空から地面に落とせばな。だいじょうぶ、お姉さんは落っこちてない。しっかり掴まってるから」
「ほんと!? ほんとなの!?」
「うん」
どうにか落ち着いた灰原だったが、コナンが苛立たし気に頭を掻く。彼はぼやいた。
「くっそ、腹立つ。俺の身体を小さくした張本人が目の前にいるっつーのに。あの姉を心配する様子とか
「俺が
「ぐ、はっ!!」
痛い所を突かれて、コナンは吐血した。
*
30分ばかり時間が経過しただろうか。ゴオオオォォォー!! っと、ジェットの噴射音が大空の彼方から聞こえて来た。一同は、空の上を見遣る。今は夜なので、よく見えないが、噴射炎だけははっきり見えていた。
「……
「そんなもんだ。垂直に離着陸はするからな」
「ふうん……。って、え、あれ、あ、う、嘘だ、ろ!?」
「うん、こんな事もあろうかと用意していた、俺の探偵七つ道具256番目。リモコン操作大型ロボット、『鉄人29号
「俺の、俺の常識が、音を立てて壊れて行く。ジェットの噴射音を立てて壊れて行く」
「ああ、ちなみに大気圏内だとジェットだけど、宇宙だとロケットに切り替わるジェット/ロケット両用型エンジンだ」
「ンなこた、どーでもいいよ!!」
そして目の前に、黒鉄の巨人がひざまずく。そしてその鋼鉄の掌から、やせ型の女性が地面に降り立った。灰原哀は、その女性に駆け寄る。
「お姉ちゃん! お姉ちゃん!!」
「し、志保……。ガチガチガチ……。かわいらしくなっちゃって……。ガチガチガチ。ブルブルブル」
「きゃーーー!? お姉ちゃん凍ってる!?」
「だだだだいじょうぶ、この、このぐらい、志保に、会えた、んだもの」
宮野明美は、凍り付いた身体から氷の細片を振り落としつつ、灰原を抱きしめた。灰原の側も、一瞬だけその冷たさに目を丸くするが、それでもしっかりと姉の背中に手を回す。それを見つめつつ、コナンは疲れた目をしつつ愚痴る。
「やれやれ……。超能力に巨大ロボ……。俺の常識が、爆音を立てて壊れて行く。あと七つ道具の256番目ってなんだよ。いくつあるんだ七つ道具。いや、あるものはあるって認めないと、逆に非科学的だってわかるけどさ。
あ、だけどハントさん。なんで超能力普段は使わねーの?」
「ライオット・アレクセイっつーこれも超人的なエスパーが言ってた事なんだが。『歩くよりテレポートの方が楽だとお思いでしたら、間違い、です』だそうな。うん、そういう事」
「なるほど。わざわざ使ったのは北海道の山奥とかに一瞬で来るには、他に手段が無かったから、か」
「他の手段もあるはあるが、そっちもシぬほど疲れたりとか色々問題あるんで」
コナンは目を見開く。
「他に何があんだよ!?」
「魔法とか? あ、ちょうど無粋なの来たから、使ってみせるよ。必殺の技だから、人間相手には滅多に使えない奴。『
「えっ……」
そしてコナンとハントを後ろから襲おうとしていたヒグマの胴体が消し飛び消滅。ぎりぎり分解されず残ったヒグマの頭が、コナンの眼前に転がって来る。コナンはその場にへたり込んだ。
「俺の、俺の常識が」
*
そしてその翌日。メイ姉さんと灰原、つまりは宮野姉妹だが、仲良く風邪をひいてしまい、灰原は学校を、メイ姉さんは探偵事務所をお休みすることになった。
主人公、
そして鉄人29号DXですが、基本構造は鉄人28号のコピー。ですがブラックオックスの、自分の操縦機以外の電波を妨害する機能とかAIとかも搭載してるので、29号DXです。
そして主人公は機械ですが、人間の脳機能とかを