現代版宿儺みたいな清楚系天才美少女呪術師が、バタフライエフェクト的により良いハッピーエンドを連れてくる   作:五条を救いたい

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日間一位ですか。
おお……もう……なるほどな(謎)

たくさんの人に見ていただけるのは嬉しいですが、同時に怖くもあり。

とにかく、ありがとうございます!
この感謝だけはみなさんにはっきりと伝えたかった。



ということで、バタフライエフェクトその2。

行け!!!!!


玉折…………れねぇ!!!!!

「あ、夏油君」

 

 休憩室で休んでいる夏油の耳にふと、知っている声が聞こえてきた。

 顔を上げるとそこにいたのは、夏油にとって尊敬する先輩である廿楽藍花――と、その後ろを歩く金髪の男だった。

 

「廿楽さん。東京高専(こっち)に来てたんですか」

 

「京都校の学長からの頼みで、ちょっと危険な呪物を東京校へと護送する任務で先ほど。すぐ帰る予定だったのですが、夏油君の姿が見えましたので」

 

「連絡いただけたら出迎えましたよ」

 

「ふふ、それには及びませんよ。夏油君も、特級術師になったからにはとても忙しいでしょう? この夏は、とくに例年より呪霊も多いですから」

 

「いくら忙しくても、廿楽さんから連絡があればそっちを優先しますけど」

 

「まあ」

 

 夏油が言うと、廿楽はくすりと笑った。

 

「へえ。傑君ってロリコンなん――ゲファッ?!?」

 

 廿楽の後ろにいた金髪の男が口を開く。

 

 しかし、その言葉が最後まで吐かれるよりも早く、廿楽の拳がその男の鳩尾にめり込んだ。

 恐ろしく早い拳だった。

 特級術師である夏油でなければ、見逃してしまう。

 

 一瞬の一撃であった。

 

「ぐ、ぐうぅ…………し、死ぬで…………あっち側、ちらっと見えたんやけど」

 

「生きてるじゃないですか」

 

「あ、藍花ちゃんのおかげで、こちとら特殊な訓練を積んどるからな。打たれ強うなってきたわ」

 

「よかったですね」

 

「ひ、人の心とかないんか…………?」

 

「夏油君に変なレッテルを貼らないでください。そもそも、そういうのじゃないです。夏油君はあなたと違って真面目で礼儀正しい後輩ですから。わたしとしても聞き捨てなりませんし。というか良い加減学習したらどうですか。それか、もしかしてわざとやってます?」

 

 廿楽はむすっとした顔で告げると、腹の痛みに悶絶して床にうずくまる金髪の男を放置して夏油の隣に座る。

 

 夏油は戸惑いつつ、隣の少女へと尋ねた。

 

「あの、彼は?」

 

「禪院直哉。京都校の二年生です。ただ、少々……かなり人間性に問題がありまして。すごくがんばって指導してるのですが、なかなか。これでも見違えるくらいにはマシになったんですけどね」

 

「指導て…………モノは言いようやね。サンドバッグの間違いやろ」

 

「ん。直哉、何か言いましたか?」

 

「ナニモイッテナイデ」

 

 夏油は、直哉へと同情的な視線を向ける。

 

「そいつ、女子(おんなこ)どもを平気で殴るような男だったんです。禪院家の、呪術界の悪習とか特権意識とかの集大成みたいな。端的に言ってクズですよ」

 

 夏油は、直哉へと厳しい視線を向けた。

 

「それよりも夏油君。なんだか、疲れてますか? もし悩みとかあったら聞きますよ。先輩ですから」

 

 夏油の顔を見上げて、隣に座った廿楽が心配そうな表情をしながら言った。

 

「顔に出てました?」

 

「なんとなく、ですけどね」

 

 廿楽は、しっしっと直哉に向けて手を払う仕草をする。

 それを受けて彼は、意地の悪そうなにやにやとした顔をしながら休憩室を出ていった。

 

 気遣われてしまっている。

 夏油は失敗してしまったなと自嘲しつつも、尊敬する廿楽にならと素直に胸の内を吐露した。

 

「悩み、というほどではないですね。最近は任務が多くて、疲れてるのはあります。言語化するのは恥ずかしいですが少々、孤独感というか」

 

「孤独感、ですか?」

 

「はい。特級になってからは、基本的に一人での任務になりました。悟や硝子と会う時間も減ってしまって。今までの高校生活が楽しかったものですから。それで余計に」

 

 夏油はそう言って、殺風景な天井を見上げる。

 

 この休憩室でもよく五条や硝子と過ごしたものだ。友たちと語らい、たくさんの馬鹿をやった。

 そんな、青春。

 だけどこの場に二人はいない。

 賑やかな思い出がここにあっただけに、静かな今の現実がなおさらに寂寥感を刺激する。

 

 夏油は強くなった。

 五条も強くなり、硝子は呪霊が増えた最近はひっきりなしに現れる患者にとても忙しくしている。

 成長したんだ、みんな。

 少しずつ大人になるのが近づいている。

 過ぎ去った青い春が、思い出の中で他の何よりも輝いているから余計に寂しく思うのだ。

 

「なるほど」

 

 廿楽は、難しい顔で考え込む。

 

 きっと、先輩として後輩を元気づける何かを言ってやらねばとでも考えているのだろう。

 そんな彼女の様子に、夏油は苦笑する。

 

「大丈夫です。道理ではわかってますし。ただ、少しセンチメンタルな気分になってるだけですから」

 

「あ、えと、すみません。先輩なのに。悩みを聞くなんて言ったくせに」

 

「いえ、十分です。こんなことは恥ずかしくて、悟や硝子には言えません。家族や先生にもちょっと。適度に距離のある他校の先輩で、頼りになる廿楽さんだから言えたんです。吐き出すだけでも楽になりました」

 

「そういうものですか?」

 

 夏油は少し笑って、うなずいた。

 

 言った言葉は本心だ。

 抱え込むものを吐き出して、それを誰かが聞いてくれるだけで心は少し軽くなる。

 問題は、それを吐き出せる相手がいるかどうか。

 

 幸いにも、夏油にはその相手がいた。

 

「廿楽さん。よかったらまた、聞いてもらえますか?」

 

「もちろん! ふふ、わたしでよければ」

 

 ほっとしたように笑う廿楽。

 

「あ、それともう一つ」

 

「?」

 

 ふと、これも言ってみようかなと夏油は思い立つ。

 

 これこそ本当に、言ってもどうしようもないことだし廿楽を困らせてしまうかもしれないが。

 やっぱり誰かに聞いて、知ってもらいたかったのだ。

 

 首をかしげる廿楽に、夏油は口を開く。

 

「廿楽さん。呪霊の味って、想像つきますか?」

 

「いえ」

 

「吐瀉物を処理した後の、雑巾を丸呑みするような味がするんです」

 

 想像してしまったのだろう。

 廿楽は苦い顔をして口元を抑えた。

 

「夏油君、ここ1ヶ月でどのくらい取り込みました?」

 

「200ほど」

 

「…………あの、無理しちゃダメですよ?」

 

「アッハハ! 無理はしてないですよ!」

 

 気遣わしげに背中を撫でてくる廿楽の様子に、おかしくなって夏油は大声で笑った。

 

 ――うん、元気出た。

 こうやって弱音を吐き出せて、笑い飛ばせるうちはまだまだ余裕ってことだ。

 

 と、そこに。

 これまたよく知っている声が聞こえてきた。

 

「あ、夏油さん! …………と、ええと」

 

「灰原。この人は京都校の四年生、廿楽さんだ」

 

「どうも、初めまして! 東京校二年、灰原雄です! お疲れ様です!!」

 

「初めまして、おじゃまさせてもらってます」

 

 休憩室に入ってきたのは灰原だった。

 

 夏油の一学年下で、よく慕ってくれる後輩だ。

 

「灰原、何か飲むか?」

 

「えぇ!? 悪いですよ、コーラで!」

 

「廿楽さんもよかったら」

 

「え、でも。わたし先輩」

 

「日頃、お世話になってますから。今日のことも」

 

「あ…………じゃあ、お茶を」

 

 夏油は自販機でコーラとお茶を購入し、灰原と廿楽にそれぞれ渡す。

 灰原は元気よく。

 廿楽は少し、遠慮しがちに。

 

 ありがとう、と言って受け取ってくれた。

 

「そういえば、廿楽さんってもしかしてあの?」

 

「あの、とは?」

 

「任務達成率100パーセント! 呪霊祓除件数二年連続一位! 対五条さんに圧倒的勝ち越しの呪術の寵児! 西の守護者! 特級術師の廿楽藍花さん!」

 

「それだね」

 

「やっぱり! お噂はかねがね、お会いできて光栄です!」

 

「あはは…………」

 

 まくしたてるような灰原の勢いに、どこか居心地が悪そうにそわそわとする廿楽。

 面と向かって賞賛されて恥ずかしいらしい。

 

 夏油としてはもっと誇っても良いくらいのことだと思うが、廿楽は自らを誇るような性格ではない。

 温厚で優しい人だ。

 礼儀に厳しかったり、たまに嗜虐的な面を見せたり、彼女の身体的特徴について言及するとかなり苛烈に怒ったりするが。

 まぁ、良い人だ。とても。

 

 呪術師の中にはクセの強い人や、一般の出である夏油にとっては理解できない俗世からズレた人も多い。

 そんな中、間違いなく廿楽はまとも寄り。

 

 ゆえに夏油は彼女を尊敬し頼りにしているのだ。

 

 ここは話を変えようか。

 と、夏油は灰原へと何か話を振ることにした。

 

「灰原…………あー、明日の任務はどうだ? たしか七海と合同だったか」

 

「二級呪霊の討伐任務で、けっこう遠出なんですよ。あ、お土産買ってきますね! 甘いのとしょっぱいのどっちがいいですか?」

 

「悟も食べるかもしれないから甘いのかな」

 

「廿楽さんはどんなお土産がいいですか?」

 

「え、わたしですか」

 

「はい!」

 

「ふふ、それではお気持ちだけ。わたしは明日には京都に帰ってますから。…………っと、そうです。灰原君。お土産代わりに、ひとつお願いをしてもいいですか?」

 

 閃いたように、廿楽は言う。

 

「お願いですか?」

 

「京都校の、わたしの後輩が今東京にいまして。そいつは明日オフですので、お邪魔でなければ灰原君たちの任務に連れていってあげてくれませんか」

 

「もしかしてさっきの、禪院のことですか」

 

 夏油の確認に廿楽はうなずいた。

 

「直哉も二年生ですから。せっかくの機会ですし、他校とはいえ同学年の呪術師と仲良くなれたらなって。生意気で、人間性に難がある後輩なんですけどね。わたしが指導するだけでなく、外からの刺激も受けた方がより良い方向に矯正――じゃなくて成長してくれると思いますし」

 

「廿楽さん、大丈夫なんですか?」

 

「人間性は良くないですけど、やってはいけないことの線引きはわたしが徹底的に教えました。実力に関しては保証します。それに直哉、友達がいなくて」

 

「友達が」

 

「いない」

 

 その場に沈黙が降りる。

 

 しかし、灰原の元気な声が沈黙を破った。

 

「わかりました! その、直哉って人と一緒に任務行ってみます!」

 

「ありがとうございます、灰原君! ただ、本当にちょっと心がアレなやつなので。少しでもよくないなって思ったら遠慮なくクーリングオフしてくださいね。責任もって、わたしの方で回収しますから!」

 

 さっきからすごい言いぐさである。

 

 夏油は少し心配になるが、まあ灰原ならよほどのことがなければ大丈夫かと後輩を信じることにした。

 それに、廿楽の申し出だ。

 直哉の人間性が本当に、どうしようもないほどにダメなら彼女はこんな提案をするわけがない。

 夏油と同じく。

 廿楽もまた、後輩のことを信じているのだろう。

 

 と、そんな話をしていると。

 またしても誰かの声が。それも、廿楽や灰原とは違って夏油の知らない声が聞こえてきた。

 

「――君が夏油君?」

 

 金髪の、背の高い女だった。

 突然知り合いでもない人物に名を呼ばれた夏油は、少し警戒しそうになる。

 しかし、隣に座る廿楽はとくに警戒せず、珍しいものを見たと言わんばかりの顔をしていた。

 

 どうやら、彼女の知ってる人らしい。

 夏油は警戒を解いた。

 

「どんな女が好み(タイプ)かな?」

 

「え?」

 

「由基さん、お久しぶりです。相変わらずぷらぷらしてるみたいですけど、いつの間に日本に帰ってたんですね。帰ってたなら、ちゃんと仕事したらどうですか?」

 

「…………藍花ちゃん、私のこと嫌い?」

 

「ふふ、特級術師の中では2番目に好きですよ」

 

「藍花ちゃんに好きって言われた〜」

 

 にこにこと笑う女。

 それはどうなのか、とは夏油は言わなかった。

 

「夏油君、灰原君。この人は九十九由基さんです。特級のくせにろくに仕事しない、海外でぷらぷらしてるだけのちゃらんぽらんですよ」

 

「やっぱ私のこと嫌いでしょ!」

 

 夏油は驚いた。

 

 まさか、この人が噂に聞く九十九由基だとは。思ったよりも親しみやすそうな人だ。

 ただ、仕事はしろと夏油も思う。

 

 ちゃらんぽらんのろくでなし。

 同じ特級でも、廿楽とは違って尊敬できるタイプの人ではなさそうだ。

 性格はともかく、特級呪術師としてしっかりと役目を果たしてる分五条の方がまだマシである。

 

「なんだか、すごいところに居合わせちゃいましたね!」

 

 灰原が言った。

 たしかに、現在認定されている特級術師4人のうち3人がこの場に集まっている。

 なかなか、見れるものではなさそうだ。

 

「それじゃあ、僕はそろそろ失礼させてもらいます! 直哉って人とも早く話をしてみたいですし!」

 

「灰原君、ありがとうございます。直哉はまだ近くにいると思います。わたしの名前を出して、わたしの指示で一緒に任務に行くように言ってたって伝えてください。そうすれば、()()()断ることはないので」

 

「わかりました!」

 

 灰原が休憩室を出ていく。

 

 残ったのは夏油、廿楽、九十九の3人。

 九十九は灰原の座っていた場所にどかっと腰を下ろす。

 

「由基さん、研究の方は何か進展はありました?」

 

「研究?」

 

「私は原因療法をしたいんだ。君たちがやってることって対症療法でしょ。あ、呪霊のことね。残念ながら進展もほとんどないかなあ」

 

 呪霊の原因療法。

 夏油は、その言葉に疑問を浮かべる。

 

「呪霊を狩るのは対症療法。でもそれってさ、根本的な解決にはならないでしょ。だから私は、そもそも呪霊が生まれない世界を作れないかってね」

 

「そんなこと、できるんですか」

 

「理論的にはね。夏油君、少し授業をしようか。そもそも呪霊とは何かな?」

 

「人間から漏出した呪力が澱のように積み重なり、形を成したモノです」

 

「その通り。すると、呪霊の生まれない世界の作り方は2つ」

 

 九十九は指を2つ立てる。

 

「1つは、全人類から呪力をなくす。2つめは、全人類に呪力コントロールを可能にさせる」

 

 その言葉を聞き、夏油の頭の中には一人の人物の姿が浮かび上がった。

 

「心当たりあるでしょ。モデルケースは禪院甚爾。彼は、完全に呪力から脱却したフィジカルギフテッド。天与呪縛で呪力が一般人並になるケースはいくつか見たけど、完全に呪力がゼロになったのは彼だけだ」

 

「呪力を持たなければ、漏出する呪力がそもそも存在せず。呪霊は生まれない」

 

「そういうこと。全人類が彼と同じ体質になれば、この世界から呪霊が消え去るってわけ。夏油君、君の方から私の研究に力を貸してくれるように禪院甚爾に言ってくれないかな。彼の体を調べれば何かわかるかもしれない。以前、フラれてしまってね」

 

「今は伏黒です。あと、悟に言ってください」

 

「それもそうだ」

 

 九十九は肩をすくめた。

 

 というか普通に知ってるのか。

 伏黒甚爾が現在、五条に私兵として雇われているということを。

 夏油は少し驚いた。

 

「次に2つめの方法だね。夏油君、知ってる? 術師から呪霊は生まれないんだよ。もちろん、術師本人が死後呪いに転ずるのを除いてね」

 

 九十九は言う。

 術師は呪力の漏出が非術師に比べて極端に少なく、その呪力は漏出せず術師本人の中を回る、と。

 

「大雑把に言ってしまうと、全人類が術師になれば呪いは生まれない」

 

「実現性がなさそうですが」

 

 全人類が呪力から脱却するのと、果たしてどっちの方が実現可能性があるのだろうか。

 

 しかし、九十九は首を横に振った。

 

「そうでもない」

 

「?」

 

「とても簡単な方法があるんだ。夏油君、少し考えてみればすぐにわかるよ。要するに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「っ、まさか!」

 

「そう。非術師を皆殺しにすれば――」

 

「――そこまでです」

 

 九十九の言葉を廿楽が遮る。

 廿楽は不機嫌そうな顔で、その赤い目で九十九をじとりと睨め付けた。

 

「わたしの後輩に、そんな異常極まる思想を勝手に吹き込まないでください」

 

「はは、こわいこわい。もちろん冗談だよ。さすがの私もそこまでイカれてないって」

 

 九十九は両手をあげて降参のポーズを取る。

 

「本当ですか?」

 

「あんまり疑われるといくら私でも傷つくよ。それに、そんな安易で簡単な手段を取るつもりなら、世界を飛び回って研究なんてしないさ。すでに答えが出てるんだから」

 

「…………そうですね。疑ってすみませんでした」

 

「いいって。藍花ちゃんは優しいね。夏油君も真に受けちゃダメだよ。そもそも呪術師は、呪霊を倒して非術師を守るのが仕事なんだからさ」

 

「その仕事をしていないアナタが言いますか」

 

「て、手厳しいね、夏油君も」

 

 九十九は夏油の辛辣な言葉にがっくりと肩を落とす。

 

「まあ、ともかく。私はそんな、原因療法を目指すための研究をしてるんだ。決して遊び回ってるわけじゃない。君たちがやっていることも大切だと思うが、私はもっと先。未来を見据えているんだよ」

 

 そう言って、九十九は締めくくった。

 

「藍花ちゃん、夏油君。君たちはどうかな。なにか、思いついたことや私に聞きたいことでもあるかい?」

 

「…………由基さんの言う、対症療法でも他にできることはあるのではないでしょうか」

 

 少し考えて、廿楽が口を開く。

 

「言ってみて」

 

「例えばですけど、発生する呪霊が弱くなるようにするとか。効率よく祓えるようにするとか」

 

「なるほど。どうすればそうなる?」

 

「えっと…………結界術を応用したり、呪霊の発生プロセスに干渉して誘導するとかでしょうか。わたしは研修者ではないので詳しく手段を提示できませんが、由基さんなら何か思いついたりしませんか」

 

「面白い発想だね。結界術に関しては、天元の協力とさらに複数人の優れた結界術の使い手が必要かな。日本全土に張られた天元の結界に細工をして、負のエネルギーの流れを導いて呪霊が発生するエリアを限定する。呪霊の強さもある程度コントロールすることができるかもね。実現性は、たしかにあるかもしれない」

 

「呪霊の発生プロセスへの干渉はどうでしょう」

 

「呪霊というのは、人の感情や意思を根源として生まれるものだ。だから例えば、日本中の非術師のほとんどが『この場所にだけ呪霊が生まれる』と統一された意思で信じ込めば、自ずとそうなるかもしれない。だが、こちらの案は結界の方と比べると難しいかな」

 

「呪術規定ですね」

 

「非術師たちは呪術も呪霊も知らないんだ。そしてそれを周知することを上層部は許さない。さすがの私も、これに関しては覆そうとは思わないかな」

 

「では、可能性があるのは結界の方ですか」

 

 話を聞いていた夏油が九十九に尋ねる。

 

「そうなるね」

 

「でも、提案したわたしが言うのもなんですが、あくまでも対症療法の範疇です。根本的な解決ではありません。由基さんの理想とは違います」

 

「いや、良い考えだよ。少し研究してみようかな。私の理想とは違うけど、繋ぎとしては悪くない。やっぱり、優秀な術師の意見は聞いてみるものだね。私は少し、原因療法に目が行きすぎて思考が狭まっていたかも」

 

「お力になれたなら光栄です」

 

「よしよし。藍花ちゃんはさすがだね」

 

 九十九は立ち上がって、ニコニコにと機嫌良さそうな顔で廿楽の頭を撫でた。

 撫でられた廿楽はむすっとして九十九を睨んだ。

 

「じゃあ、私はもう行こうかな」

 

「わたしもそろそろ。由基さん、あなたの研究が未来のためになることはわかってます。ですが、少しは呪術師として自覚を持って働いてくださいね」

 

「アハハ、考えおく」

 

 目を逸らして答える九十九に、じとっとした目を向ける廿楽であった。

 夏油も立ち上がり、2人に声をかける。

 

「見送りますよ」

 

 高専の外へと出る。

 

「これからは特級同士、4人仲良くしよう」

 

「夏油君。あんまり無理しちゃダメですよ」

 

 それぞれ、そう言って。

 2人は夏油に手を振ってから立ち去っていく。

 

「…………今日は賑やかだったな」

 

 夏油は、フッと笑って見送るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「傑、その少女たちは?」

 

「任務先で、訳あって引き取りました。呪力も術式も持ってます。高専で先生に育ててもらおうかと」

 

「高専は託児所じゃないぞ」

 

「見捨てるんですか?」

 

「人聞きの悪いことを言うな!」

 

「どうか清く正しく、育ててあげてください。この子たちには安心できる居場所と親が必要ですから」

 

「はぁ…………勝手なやつだ」

 

「フフッ、先生を信頼してるんですよ」

 

 

 

 

 

 




◾️夏油傑(光の姿)
 闇堕ち回避!!!!!!!!!!

 単独の任務が増え、忙しく、呪霊も相変わらずゲロマズなので少しセンチメンタルになったりしていた。
 どこか影のある塩顔のイケメン。
 青春の終わりを感じて、寂しさを覚えてる。

 ロリによるセラピーで少し改善。
 弱音を吐き出せる相手がいてよかったね。

「じゃあ、非術師を皆殺しにすればいいじゃないですか」
 なんて物騒なことは言わない。
 思ってもない。
 逆に口走ろうとした九十九に若干ヒいた。

 灰原も死んでないのでノーダメージ。

 例の任務も受けた。
 さすがに嫌悪感を抱いたが、まぁ呪術師も非術師も良いやつ悪いやついるしなと冷静に思う。
 ミミナナを引き取って夜蛾にパスした。

 特級術師になってる。
 ロリコンではない。

 ・闇堕ちゲージ
 ◼︎◼︎◼︎◼︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎
 相変わらずのスリップダメージと、環境の変化にかなりすり減ってきた。
 でも闇堕ちとかには程遠い。
 ひとまず、闇堕ちは回避されたので少し影のある光の夏油としてこれからも頑張ってほしい。


◾️五条悟
 最近メキメキと強くなってる。
 領域はまだ使えない。

 藍花との喧嘩でも良い線まで行けるようになってきた。多分そろそろ、勝ったり負けたりの互角になってくる段階に移行すると思われる。
 なお、藍花が領域使わない前提。

 去年の姉妹校交流会でリベンジを誓って挑んだが、まさかの雨天。
 どうしようもなく蹂躙された。
 藍花は4年。
 つまり交流会勝ち逃げである。五条はキレた。


◾️九十九由基
 仕事しないでぷらぷらしてる人。

 原作では不幸にも夏油闇堕ちの要因の1つになってしまった気がするが、どうせあの状態の夏油は遅かれ早かれ闇堕ちしてただろうから仕方ない。
 正直、個人的にもっと活躍してほしかった人。

 藍花のことは同じ特級、女同士ということでかなり気に入っている。
 しかし、もしかして藍花に嫌われてるんじゃないかと少し気にしている。
 嫌われたくなければちゃんと働けば良いと思うよ。


◾️灰原雄
 バタフライエフェクト的に生き残った。

 特級3人が会したとんでもねえ場面に、たまたま居合わせてしまった人。
 そそくさと立ち去った。

 二級呪霊の討伐依頼かと思いきや、一級案件。
 上層部ホンマさぁ…………
 しかしなぜか、任務の同行者としてドブカスがいたのでなんとかなった。
 ドブカスと藍花に感謝してる。

 ドブカスのことは、やっぱり人格的にドブカスだなと思いつつも友達になろうと意気込んでる。
 灰原は光の人間。
 きっと、ドブの人間であるドブカスのカスな心を少しは良い方向へともっていくことだろう。


◾️七海建人
 ドブカスに感謝してる。
 それはそれとしてドブカスのことはあまり好きではない。当然の話である。

 とはいえ感謝してるし、灰原が友達になろうとしてるので七海もある程度歩み寄る気持ちは多少ある。

 まだ社会の闇を知らないのでくたびれてないし、時間外労働にさほどシビアではない。


◾️ミミナナ
 バタフライエフェクト的に多分生き残る。

 夏油に拾われ、夜蛾にパスされた。


◾️夜蛾正道
 パスされた。
 託児所扱いされて憤慨。

 でも夜蛾先生は神的に良い人だから、ミミナナは真っ当に育ってくれるでしょう。


◾️ドブカス(マイルド仕様)
 京都高専、2年。
 灰原たちと同じ学年だが年齢は1つ上。

 まだ完全に漂白されていないので、ドブカス度半減くらいになっている状態。
 女や子どもを殴るのは、ブラブラ武器持ったりするよりも遥かにダサいことをわからされた。

 相変わらず藍花に身長イジりとかするが、その度にボロ雑巾にされる。
 でもやめない。
 藍花になんで学習しないのと呆れられてるが、わざとやってるんじゃないか説が浮上し始めている。
 ロリコンかもしれない。
 殴られすぎておかしくなったんかお前…………

 いきなりオフを潰されてキレるが、藍花の指示なので文句を言いつつ従順に従った。
 なんか一級呪霊が出てきた。
「そらあかんわ。雑魚どもは俺の三歩後ろを歩けばええ。前におったら守れんやろ」
 とか言いながらほぼ一人でぶっ飛ばした。

 藍花の指導もあって、すでに原作禪院家壊滅時くらいの実力を得ている。
 普通にめちゃくちゃ強い。
 原作ではこいつ、戦う相手が悪すぎるねん。

 あっち側に立つため今日も明日も殴られてる。

 あと、友達がいない。
 いやまぁ、原作でどうだったのから知らないけど。どうせいないでしょ。いるわけねえよ。
 灰原や七海が友達になると良いね。

 こんなドブカスだが呪術師としての仕事はちゃんとやっている。
 その点、九十九より遥かにえらい。


◾️廿楽藍花
 京都高専、4年。
 今年で卒業し、来年は1年間のモラトリアムなので海外旅行とかしようかなって考えてる。

 夏油のことは心配だが、後輩から頼りにしてもらえてすごく嬉しいし先輩としてちょっと背伸び。
 先輩風をびゅんびゅん吹かしてる。

 九十九のことは好きか嫌いか、ひとまず判断を保留とさせていただいている。
 仕事をしないのは嫌い。
 子ども扱いされてる感じも嫌い。
 だけど目先のことにしか対応できない自分とは違って、未来のことを考えて行動してるのは尊敬。
 複雑な乙女心であった。
 とりあえず、五条よりは余裕で好き。

 九十九との会話で、偶然にも未来の呪術界を言い当てるようなことをした。
 さすがに宇宙人が来るなんて思ってはいない。

 直哉をサンドバッグみたいにしてるが、ちゃんと先輩として後輩の将来を考えている。
 その一環として友達作りを提案した。

 今年の健康診断で身長が1ミリ伸びて、最近はとても機嫌が良かったりする。
 バンザイ体操の効果を確信。
 毎晩牛乳を飲んで、バンザイ体操に励んでいる。
 ちなみに普通に計器の誤差。
 豆乳はうえってなったのでやめた。牛乳は好き。
 クセのある味が苦手らしい。


◾️宇佐美
 書いてる人がモジュロで一番好きなキャラ。
 次点で宮國。
 なお、この二次創作には一切関係ありません。
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