瑞星が家を出て行った。
家出ってやつだ。
……ちょっと違うかな。
でも気分としては部分的に正解である。
その朝、僕はいつも通り朝6時に起床した。本日は大変月曜日でさあ大変。瑞星が登校する事情を含めれば更に大変で、とにかく大変が大変で大変だった。
だからこそ普段よりも一時間も早く、パチリと目覚ましも無しに目が覚めたのかもしれない。
僕は簡単に着替えると朝食を作った。本当は瑞星が作る予定だったけども、早起きしてしまった以上何か腹に物を入れたかったのだ。まさか瑞星が起きてくるまで口をパクパクして餌を待つ雛みたいになる訳にもいけないし。
そうして焼いたパンを適当に貪って、ダラダラして、洗面所にて歯磨きと洗顔をして、朝7時50分。
そろそろ家を出ない瑞星にも関わらず未だに起きてこない瑞星に、「しょうがねえな。こうなったら間抜けな寝顔を拝みついでにスマホで撮って待ち受けにしてやる」とか意気揚々と瑞星が使う母親の部屋にノックもせず侵入。そしてもぬけの殻だったという訳だ。
「夜逃げなんてな……」
夜逃げも違うか。居候だし。
思わず後ろ髪をポリポリと掻いてしまう。
しかし本当に大変なことになってしまった。
いつ家から出ていったのかも気付かなかったな。
一応家内を隈無く探してみる。やはりいない。気付けば午前9時を回り、一時限目が始まってしまっている。
……しゃーなし、探しに行くか。
そう僕が考えたのは他でもない、僕自身のためだった。
拾ってしまった以上、事情に立ち入りしてしまった以上、このまま知らぬ存ぜぬお好きにどうぞなんてほっぽり投げれば夢見が悪くなりそうだったし、それと同じくらい瑞星が心配だった。
昨晩の発言を踏まえて僕は色々と考えた。のだけども。
瑞星と僕は多分、本当の意味で、幼馴染だったのだろうと思った。
勿論推測でしかない。
推測でしかないが───そう考えると納得がいく部分が多々あるのもまた事実。
瑞星の口調が軽かったというのもそうだし、名前呼びもそうだ。そういや僕の家を見て懐かしいとか言っていた。あれもこれも伏線という訳か。読み解けなかった僕は恥ずかしい奴だな。これで瑞星を見捨てた日には自分で自分をタコ殴りにしたくなりそうだ。
そんなこんながあり、学校をサボることに決めた僕は自転車を引きずり出して総員一名の瑞星捜索隊を結成すると、チリンチリンと車道を漕ぎ進める。かなり久々に出したなこの自転車も。数年前までは遠出のたびに使っていたのに、インドア趣味をすっかり覚えた今じゃ無用の長物と化してしまった。あまり整備をしてこなかったことで不服を訴えかけるようにハンドルがガタガタと左右に怖い感じの揺れ方をしている。ネジが緩んでいるのだろう。ちょっと怖いので速度は落としておく。
さて、どこを探したものかねえ……。
制服姿で考えなしに飛び出したものの、瑞星の行く先なんて僕が予想できる訳もなく、まず最初に一昨日瑞星がいた近所の小さい公園に行った。誰もいなかった。何となく分かってたけどさ。
これで僕の思い付く瑞星の行きそうな場所は品切れだ。早くない? とか言われてもそこに無いものは無いのである。瑞星のお気に入りの場所とか一つも知らねえし。
少なくとも言えるのは、実家と学校はないはずだ。前者は当然として、学校の教師やクラスメイトだって瑞星のことを忘れてしまっているんだ。今の瑞星は寧ろ、誰もいない場所に行きたいと考えているに違いない。
違いない、と言うのは言い過ぎたけど。
根が臆病で、全人類の記憶からいなくなった瑞星が、人との繋がりを求めるのは考えにくいと思う。
誰もいない場所か……。
候補が多すぎるな……。
でもそうか。
瑞星は一昨日、学校をサボった後にカラオケにいたがお金が無くなったから公園で黄昏ていたと言っていた。
要するに瑞星の所持金はほぼ無いに等しい。昨日だって全て姉の古い服を着ていたわけだし(下着類とかは流石にお金を貸して買ってもらったが。僕の精神衛生上に悪いので)。
徒歩で行ける距離となると捜索範囲はかなり絞られてくる。幾ら朝早くに家を出たからと言って、県境を何個も越えられるわけでもなければ、そこまで遠くに行っていないだろうという予測もある。
その上で瑞星の行きそうな場所。
周辺だとそうだな、市内で一番大きな公園がこの近くにある。
だけどなあ……瑞星がそこに行くか? 平日朝とはいえ、人気がないわけじゃないだろう。
でも繰り返すようだけど僕に当ては無いしな……行くだけ行ってみるか。
僕は壊れかけの自転車のハンドルを右に振った。
公園には10分ほどで到着して、外周を一周して瑞星の姿が見えないことを確認した後、僕は自転車を駐輪場に停めた。
広い公園内をくまなく練り歩く。
しかし公園内を幾ら探しても見当たらない。茂みの中にも瑞星の影は見えない。
ゴミ箱の中には……いないな。流石に。
あとは確認していないのは女子トイレくらいなもんだけども、流石に瑞星探しの大義名分で立ち入るには僕の身柄が危ない。
となると、完全に振り出しか。
広い町内を当てもなく駆け巡るしかなくなってしまった。
……。
あーもうこうなりゃ我武者羅に探してやんよ!
駐輪場に戻ると再びハンドルに手を置き、やけくそ気味に自転車を漕ぐ。
熾烈に漕ぐ。
漕いで漕いで漕ぎまくる。
瑞星。
お前はどこに行っちまったんだよ。
誰の記憶からも消えちまって、今度は世界からも消えようとしているのか?
消える。
それは……。
それは、違うだろ。
根暗で臆病だろうが、人間不信だろうが、瑞星には勇気があった。
僕を助けるために───たったそれだけの理由でクラスの人気者になった。
イジメを容認しないクラス環境を築いた。
どれだけ大変なことだっただろうか。
どれだけ僕は瑞星に助けられたのだろうか。
……そうだ、僕は瑞星に助けられたんだ。
僕の記憶にはない、中学二年生の記憶。
イジメも何も無かった平穏無事な期間。
知らぬ存ぜぬで貫き通せたとして。
でも、瑞星が嘘を吐いているとは思えなかった。実際、僕を虐める奴の心当たりはあったし、1年間ちょっかいを何も掛けられなかったのは思え返すと妙な話だ。
だからこそ僕にとって───瑞星は恩人だ。
例えそれが記憶になくとも。
瑞星は。
願うだけでなく、努力までして。
僕を助けた。
今度は僕が助ける番なんて、小恥かしいことを言う気はあまりないけども。
覚悟しやがれ。
瑞星を説き伏せて無理矢理にでも連れ帰ってやるくらいには、僕はお前に恩義を感じてるんだぜ。
町内を探し回り、探しに探し回って、気付いたら放課後の時間になっていた。
学生服姿の男女が疎らに列になって下校を始めていて、傍からすれば僕もその一員に見えるだろう。
予想以上に時間が無いな……町が広いことに恨み辛みを抱いたのは人生で初めてだぞ、畜生め。
タイムリミットは夜だ。
視界が悪くなって捜索が難しくなるという理由もあるが、それ以上に、今宵は晴天。
夜になれば瑞星はまた流れ星に願う可能性がある。
それは記憶に関する願い───ではなく。
忘却に関する願い───記憶消去の願い。
両親だけでなく、最後の砦だった幼馴染である僕にも裏切られた瑞星が何を願うのか。
その答え。
多分、それはとんでもなくマズい願いな気がした。
瑞星は完全な善人じゃないし、かといって悪人でもない。見た目が良くて頭が良いだけの人間関係に悩みを持った、僕と同じような中庸な女子高生でしかない。
一度好意的な偏見を取り払えば、瑞星が八方破れな願い───例えば世界中の人間を記憶喪失にさせるみたいな、そういう真似だってやりかねない。
そこまではやらないにせよ、だ。
それくらいのことが出来る───今の瑞星瀬亜であれば。
「左藤さん、左藤さん」
名前を呼ばれた気がして僕は自転車の速度を緩める。
自宅付近の細道まで来たところだった。
呼びかけられた方向を向けば銀髪少女のエリーがトパーズ色に輝いた瞳で僕を見ていた。
昨日と同じような体勢で、電柱に凭れ掛かりながら体育座りをしていたエリーを見て僕は待ち伏せされていたことを悟る。
……待ち伏せつっても僕は適当に町内を走り回っていたんだからそれは到底不可能に思えるけども、やけにミステリアスな雰囲気を醸し出すエリーを見るとそうなんじゃないかと思ってしまう。まあミステリアスさの欠片も無いんだけどな。
今日は学校帰りなのか中学の制服姿を着ていた。ブレーザー姿が少し違和感。和風美少女にゴスロリドレスを着させたような、或いは金髪碧眼美少女に和服を着せたような……上手く言えないけどそんな感じである。
「エリーじゃねえか。なんでこんなところに……いや、悪いな。今は1分1秒が時間が惜しいところなんだ。用件なら後日聞くから今日のところは勘弁な」
「水色のショートカットの方なら、双子山にいますよ」
「……おいおいエリー、なんで知ってるんだよ? 僕が瑞星を探しているってこともそうだけども、瑞星の居場所なんてお前も知らないはずだろうに」
僕は思わず漕ごうとしてペタルを踏み締めた足を地面に下ろす。
エリーは妖精か、はたまた宇宙人みたいな、年齢不相応に無感情な顔で言う。
「ティンと来たんです」
「己はアイドル事務所の社長か……じゃなくて。申し訳ないが僕は今、和気藹々としたギャグパート会話劇に突入できるほど暇じゃないんだっての」
「キンキンキンキンと来たんです」
「なろう小説の剣戟の効果音みたいに言うな!」
「暇じゃないのにツッコミはするんですね」
しまった。つい癖が。
てか、今時の女子中学生にしてはボケが平成のオタク過ぎやしないだろうか。
「真剣な話をしているんですよ左藤さん」
「お前に言われたくねーよ!」
「ともかく左藤さんの疑問ですが」
やれやれと肩を竦めながら真面目ぶって言う。
「エリーが知ろうが知らまいが、そんなの重要じゃないことです。エリー言いましたよね、彼女から目を離さないでくださいと」
「あ、ああ。そういえば言われたな」
「尻を追いかけてくださいと」
「それは言われた記憶ねえなあ!!」
ホントなんなんだよもう。
もっとおしとやかにしていれば、西洋貴族の家系に生まれた深窓の令嬢って感じなのに。瑞星といい姉といい、僕の周囲は会話を楽しむ愉快人が多すぎる!
「なのでエリーを信じて行っちゃってください。あ、意味深な部分の答え合わせは全部章末でしますので少々お待ちを」
「メタすぎるわ! そんなことを言われたら逆に興味無くなるわ!」
「そうですか? 400ページの大長編になる予定だったのですが……」
「長げぇぇよ! 章末どころかミステリー小説なら世紀の大事件が2個は解決する厚さじゃねえか」
「フォントサイズ22なので大丈夫ですよ。お年寄りに優しいユニバーサルデザイン仕様なんです」
「それはそれでページ数詐欺じゃん。老眼用にしても読みにくいわそんなデカ文字」
「双眼鏡で読むしかないですね」
「ドヤって満足そうなところ悪いけども全然上手いこと韻踏めてないぞ」
「創刊号980円」
「お、ちょっと上手くなったな」
「超アンコウ特集、1/1プラモデル付き」
「また下手になったな! せめて深海魚特集とかにしてくれよ、アンコウだけで内容絞られても「おっアンコウ特集じゃん、しかも等身大アンコウ付きとか買うしかねえな!」とはならねえから!」
「創刊号はアンコウの肝が付録されてきます」
「それっぽいけどさ、誰も見やしない内臓から組み立てるとか完成まで何年掛かるんだよ」
「ところでまだ行かれないんですか? 左藤さんは道草食らいのフードファイターですね」
「お前が永遠にボケ続けるから行くに行けないんだよ!」
クスクスとエリーはおもちゃで遊ぶみたいに、楽しそうに嘲け笑う。
こいつ……!
………。
まあいい。僕は本当に忙しいんだ。
別に本心からツッコミをしてるわけじゃないし?
もし僕がボケに触れなかったらあまりにもエリーが哀れになるから、慈悲慈愛の心で仕方なくツッコんでやっているだけだし?
寧ろ僕に感謝してほしい。
僕を崇め奉ってほしい。
それは冗談だけども。
「兎にも角にも、瑞星は双子山にいるんだな?」
「ええそうです左藤さん。あの方を助けられるのは左藤さんしかいませんので」
「まあそうだな」
なんでそのことをエリーが知っているかは甚だ疑問ではあるけども。
「分かった。信じてやんよ」
「信じられちゃいました。ではご武運を」
「ああ、ありがとうな」
エリーは僕に頭を軽く下げた。
これから僕が何をしに行くかも完全に理解した物言いには何も言うまい。
僕は軽く言葉を投げかけて、再び自転車で走り出した。
双子山は市内北西に存在する、連なった二つの小山だ。
昔は秋の行楽シーズンに多少賑わっていたらしいけど、数年前にハイキングコースが土砂崩れで通行止めになってからは未だに修復工事も行われず、時間の流れに浚われ、あまり聞かなくなってしまった場所でもある。一応ハイキングコース以外にも道幅が狭く整備もあまりされていない山道があるから登れないことは無いのだが、ハイキングというよりかは最早冒険感のある道程のため、ついぞ地元民すら行かない場所になってしまった。
僕はすっかり寂れてしまった麓の駐車場の一角に止めると、山登りを開始した。
6月の山中とあって、虫が鬱陶しいな……。
こうなると分かっていたんなら虫除けスプレーとか諸々持ってきたのに。
しかしまあ、こういう場所だからこそ一人になるには最適であるのは確かだ。
どうやってエリーが知り得たのかは全く超然として理解不能ながら、今の瑞星にはとても適したところではある。
苦節30分。登山道を上り終えると、開けた場所に出た。
もう頂上である。本当に小さい山だった。
ただ双子山と言う名の通り、山は隣にもう一つあるからなあ……ここにいなかったらもう一方も探さねばなるまい。
僕は目の動きだけで辺りを探索してみる。
中央には申し訳程度に木組みの展望台が建っていて、その上に人影。背中姿。
青空に溶けるようなショートカットがふわりと空を舞っている。
僕は無言で階段を上る。風雨に晒され、すっかり古びた木造の階段は踏みしめるたびに軋む音が響く。
階段を上り終えても、瑞星は相変わらず背を向けたまま空を見ている。
「瑞星、探したぜ。全く、勝手に出ていきやがって……せめて一声掛けろよ」
「よくここが分かったね」
瑞星はゆっくりと振り向いた。
僕の目に現れたのは、梅雨の最中、束の間の晴天のような、しめやかな水分を含んだ笑みで。
……なんて表情してやがる。
寸前、吐きそうになったため息を堪えて、食道の奥に押し込んでいる間にも、瑞星の目が僕の服装へと注がれる。
「恰好的に学校帰りかな。私、何かここに来るような証拠でも残したっけ?」
「バカ言え。授業サボって朝からチャリぶん回して、町中色々と探し倒して、漸く辿り着いたのがここだっつーの。迷惑かけやがって」
その間に女子中学生の助言が挟まったことは伏せておく。
ロリコン扱いを受けて僕の名誉と共に話の軸が太平洋沖まで脱線したら面倒なので入念に伏せておく。
「そこまでして……なんで? 私なんて放っておけばいいじゃん、赤の他人だよ?」
「知り合った年数だけなら幼馴染だ」
「詭弁じゃん。私との思い出、なんも無いんでしょ」
淋しげに目を細めた。
しかしすぐに瑞星は顔を振る。
「……いや、それも私の悪徳によるものだったね」
「悪徳?」
「だって……栄太の中にあった、瑞星瀬亜との幼馴染の記憶が無くなるように願ったのも、私だもん」
まあ薄々気付いてはいた。
僕の中にあったであろう瑞星との幼馴染としての記憶。それを瑞星が思い出させようと星に願うのなら、その記憶を奪ったのもまた瑞星の願いだ。
その可能性にここへ来る前から思い至っていたからか、自分でも意外なほどに僕は冷静だった。
「なんでそんなことをしたんだ?」
「……見てられなかったんだよ、イジメが」
瑞星は贖罪するかの如く、ぽつりぽつりと言葉を区切りながら言う。
「中学二年までの私は内気で、人間不信で、栄太以外と話すことはなかった。いいや、中学に上がった頃から栄太からも避けられてた。男女の性差を意識しだす頃合いだからしょうがないよねって、私もそっとクラスの隅っこに身を引いていたんだけど。中学二年に上がって栄太がイジメのターゲットになって……栄太がね、私を見るの。助けて。苦しい。どうにかしてって。そういう目だと当時私は怯えてた。怖かった。何で栄太も私もこんな目にって震えてた」
───だから私はその時初めて流れ星に願いをかけたんだ。
栄太の中から、私と親しかった……幼馴染としての記憶を消して、と。
後悔で濡れた眼で語る。
「罪と罰なんだよ。しかも、あろうことか私は冷静で、事の次第を理解した次には栄太の家族からも私の記憶を消したんだ。そりゃあ笑えるよね。神にでもなった気か、思い上がってんじゃねえぞってさ。なにひとつ代償行為もなく、乱りに人の記憶を消しておいて何も無しじゃおかしいよね。こうなるのも当然だ。私の存在一つで済むなら安いもんだよ」
「それで……お前、それでどうするつもりだったんだよ」
「消えようかなって。消えてなくなりたいなって」
すぐに気付いたように追加で口を開く。
「あ、自殺とかじゃないからね! ただ世界を放浪するのもいいんじゃないかなーと、折角誰も私を知らない世界になったんだから活かさない手はない瑞星瀬亜は思ったわけです」
前髪を撫でながら、そんな風に控えめに笑われてもなあ。
僕には無理して笑っているようにしか見ねえよ、馬鹿。
何が自殺だ。何が放浪だ。
現状を受けとめる形でポジティブシンキングに強引に持っていきやがって。
ああ、クソ、イライラしてきた。
そんなに僕が信頼できねえかのかよ。
僕には確かに記憶は無いし、幼馴染でもないのかもしれない。
でもお前が見てきた僕はどうなんだ。
お前の中に生きていた僕は、そんなに頼りないもんなのかよ。
中学以降は付き合いが薄くても、幼稚園から小学生を終えるまでの数年間、お前の話だと僕は確かに幼馴染だったんだよな?
勿論そんなことを言うのはナンセンスだから言わないけどな。
ただ……それを除いても何故かムカつくんだよな。
わかんねー。
本当にわかんねーけど!
「あのな瑞星、この際だから言っておくぞ!」
「え?」
僕は呆気に取られる瑞星に指を差した。
「なっんか分かんねえけどすげぇムカつくんだよ! お前その言い方! だから僕はお前が何処に行こうが連れ戻すことに今決めた! 絶対だ! ロンドンだろうがダブリンだろうが、火星だろうがハレー彗星だろうが、どこに行こうが今日から僕はお前のストーカーになってやるから覚悟しやがれ!」
と。
我ながらストーカー宣言とかマジで何を言ってるんだろうとか、海外はともかく宇宙までストーキングしてやる発言はかなりキショイなとか。
色々と思うことはあれど、言ってしまえば胸が少しスッとした。
そして分かった。
コイツ、めっちゃ身勝手なんだ。
自分がいなくなっても世界が何も変わらないとか、きっとそういう考え方をしてるんだろう。
自虐的で自罰的。
裏返せば独善的で。
そんな自己軽視に、僕は大層ムカついていた。
「お前がいなくなって世界で唯一困るのは僕なんだよ! こんなもやもやした気持ちにさせたままどっか行くんじゃねえ! 僕がすぱっと解決してやる!」
無責任に、無根拠に言い切ってやった。
どうにかしてやると。
だからどこにも行くんじゃねえぞと。
瑞星もそんな暴言にも似た言葉に暫く唖然とした面で僕を見据えて、漸く言う。
「勝手だね」
「お前に言われたくねえよ」
「うん、反論の言葉も無いよ。確かに私は栄太に迷惑を掛け過ぎた。ストーカーする権利を認めざるを得ないくらいに」
ストーキング対象からストーカー容認発言出ちゃったよ。
別に本気でストーキングするつもりはないけども。
また黙って消えたら追いかけるつもりはあるけども。
全く、僕って奴はこんな他人に尽力するような情熱キャラじゃなかったはずなんだけどな。孤独を是として、他者から身を引き、最低限の人間関係だけを維持するだけが僕の生活信条だったのに。ほとんどキャラ崩壊だっつうの。
つまり、何を言いたいかと言えば、きっと無意識下で僕は瑞星に何か情を抱いているのだ。
そうに違いない。
でないと、ここまで肩入れする理由に説明がつかない。
「なあ、教えてくれ。お前はいつ、何回、流れ星に願ったんだ?」
うーんと言いながら思い返すように瑞星は語る。
一回目は僕へのイジメ発生当初のこと。罪悪感に苛まれた瑞星はある夜、僕の記憶から瑞星との思い出を消した。そこで初めて流れ星に願ったら記憶を消せることを知ったと瑞星は言う。もっともそれ以外の願いは叶わなかったそうだけども。
二回目も同時期。僕の家族からも瑞星にまつわる記憶を消した。整合性を保つためだったそうだ。
三回目からは複数回、僕がイジメられていることに関する記憶が消した。
そして暫く期間は空き、一昨日。
瑞星は一回目に忘れさせた僕の瑞星に関する記憶が思い出されるように流れ星に願った。忘却の反対だ。
「……それで、今に至ってる感じ僕は記憶は思い出さず、それどころか世界中が瑞星に関する」
「つまり、大まかに4種類の願いをしたってことか」
「そうだね」
僕の記憶の削除。
僕の家族の記憶の削除。
クラスメイトや教師の記憶の削除。
僕の記憶の───復活。
「なあ、4つ目。僕の記憶を復活させようってしたやつ。その動機は一旦置いておくとして、その結果として僕を除いた全人類から忘れられたってことなんだよな?」
全くの真逆だ。
思い出させようとして───忘れた。
僕───ではなく僕以外の人類が。
「私の願いを叶えてくれている神様だか妖精さんが怒ったのかもね。なんてこいつは欲に塗れた厚顔無恥な女なんだって」
「……そういうもんかね」
「だって私は自己都合で世界を歪めた。認知を歪めた。そのくらいの跳ねっ返りがあっても不思議じゃないよ」
瑞星は相変わらず空気に溶けそうな程、儚く、消え入りそうな笑みを作った。
随分と信仰論的な話だけど、それは致し方ないことなのかもしれない。
跳ねっ返り。
神罰。
妖精の気まぐれ
勘弁してほしいほどにスピリチュアルである。こうなると分かっていたならば、月刊ムーでもサブスクでしておけば良かったと後悔しそうなくらいに非現実的である。
まあ……流れ星に願ったら記憶を忘れさせる、なんて事象を引き起こす方がよっぽど非現実だろうけども。
なにせ、この世の秩序も動乱も瑞星の思うままだ。
その気になれば宗教問題や国同士の諍いなんかを解決させることも、逆に引き起こすことだって難しくない。考えれば考えるほどにとんでもねえよ。超能力染みている。それも少年漫画なら悪役が使うような力だ。握っていたのが独裁国家の大統領とかじゃなく、ただの女子高生である瑞星で良かったかもしれない。
でも解せないな。
跳ねっ返りなんて、そんなことが起こるのだろうか。
それを言えば今更だとはいえ、中学2年から何度も願いごとをしている瑞星に対して、神様妖精様とやらかいたとして、そんな藪から棒に酷い仕打ちをしてくるものだろうか。
僕は理系科目が疎いように、スピリチュアルな概念には殊更疎いんだけども、大抵そういうものは原因と結果のワンセットな気もする。呪いのビデオを再生したら貞子がブラウン管テレビから這い出てきたり、祠を壊したら因習村に囚われてしまったり、古今東西の四方山話の殆どが主体的な行動の直接的な結果として禍福が生じるわけで。
それで言うと瑞星は何もしていない。
これまでと同じく願っただけだ。
となると、やっぱり、問題は願いの中身になるんじゃなかろうか。
思い出す……思い出すねえ。
「跳ね返りじゃなくて、忘却に関する願い事しかできないって可能性は無いか? 思い出してほしいと願っても忘れる願いになっちまうみたいなさ」
「だとしたら、栄太以外に対象が拡大するのは変じゃない?」
「そうだな……ん?」
何かが思考の歯車の間で引っ掛かった。
そういえばこの前までは姉は瑞星のことを覚えていたんだよな……僕が幼稚園の頃の話だけだけども。
それって変じゃないか。
姉はあの時点で瑞星に関する記憶を全て失っていなければ辻褄が合わないだろう。
瑞星は星に願っているのだから。
中学生二年の瑞星は僕の家族から自分の記憶を消し去っているのだから。
「確認だけども、僕の姉貴の記憶も忘れるように願ったんだよな?」
「え……うん」
瑞星が答えにくそうに頷くのを僕は敢えて無視して、続けて疑問点を論う。
「僕の姉貴は中学二年以降も瑞星のことを覚えていたぞ。幼稚園の頃は僕と仲のいい幼馴染だったって。本当に全てを忘れるよう願ったのか?」
「それはおかしいよ。私は確かに栄太の家族全員の記憶から居なくなるよう願ったし、実際その通りだった」
「じゃあその時は消えたんじゃないか?」
「どういう意味……?」
「一回消えて、その後の何処かのタイミングで思い出したとか思い出させられたとか、そういう風には考えられないかって意味」
瑞星を信じるならば、忘却の能力は絶対だ。
不発を疑うよりも、正常に願いを叶った後に何かが起きたと考えてみるのも一案だと思ったけども。
「……私、そう言えば願ったかもしれない。中学2年のある日に栄太のお姉さんと偶然出会って、でも無視されたんだ。まあ当たり前だよね、私のことを忘れてるんだもん。頭ではわかっていたのに、でも実際に見ると他人のフリをされることが途轍も無く悲しいことなんだなって分かってさ。贅沢言わないからせめて幼少期の記憶があれば話せるのになぁ、なんて、思ったかもしれないや」
「それは願いか?」
「ううん、願いというよりは独り言だったような……でも口に出したら願いと変わらないか」
「まるで言霊だな」
言えばその通りになる。
言葉の魂と読んで言霊。
「でも昼の願いが叶うなんて、そんなの一度だってなかったはずなのに」
「一応言っておくが姉貴は嘘は言ってなかったと思うぞ。あれでも僕の家族だからな」
「そっか……信頼してるんだね、お姉ちゃんのこと」
「そんな綺麗なもんじゃないぞ」
僕は姉による過去の悪逆非道を思い出す。
「なにせ、姉貴が噓を吐くときは基本的に自己利益が発生するときだけだからな」
「本当に信頼してなかった……!」
信頼もしているぞ?
ただ暴君ってだけで。
世の中の姉弟、大概そういうもんじゃないだろうか。
───そんな話は今はどうでもよくてだな。
「姉貴の話題は一旦置いておいて。今この場で試しに何か願ってみてくれよ、それで何か起こるかもしれない」
「え、絶対に無理だと思うけど……」
「可能性を虱潰しにするのが今できる弥縫策だと僕は思うんだ。思いついたまま何でもいいからさ」
最善手ではないけれど話を前に進めるのは重要だ。情報が無いなら仮説検証を繰り返す他ないのである。
一先ずの仮説として───瑞星瀬亜が単純に超能力の可能性。
夜も昼も流れ星も関係なく、願えば叶う、そんな神の如く都合のいい能力を持っている可能性。
確かめてみても時間の無駄にはならないはずだ。
瑞星は少し悩んで唇を震わす。
「じゃあ……お願いします。この世から二酸化炭素を無くしてください」
「それはマズイだろ!?」
「ええ? 願いが叶えば地球温暖化を根本から解決する抜本的な一手だと思ったんだけどな」
そうだった、こいつ天然だった!
いや、天然っていうかド文系っていうか思慮足らずって感じもするけど!
だって植物の光合成に二酸化炭素は不可欠なのに、二酸化炭素を消したら酸素も生まれなくなっちゃうだろうが! 地球が凍土になるわ! 二酸化炭素の一側面だけ見てとんでもない発言をしやがって!
僕は咄嗟に辺りを見回す。
特に変化は……無いよな?
無色透明の気体ゆえに目に見える変化はないし、息苦しさも感じない。
……よし、何も無かった。
何も無かったことにしよう。
考えれば考えるほど恐ろしい。
「世界中に影響を与えるようなもんはナシだナシ。もっと目に見える変化の願いにしてくれ」
「じゃあ……栄太が着てる服を制服から逆バニーに変えてください」
「あの瑞星さん?」
「なに?」
「それは僕への嫌がらせなのか? それとも僕が滑稽な格好をしているところを見たいという興味本位による願望なのか? なあ?」
しかもバニーじゃなくて逆バニーなところが惨い。あれは服と言うには防御力が著しく低い。順バニーですら肌色比率が高いと言うのに大事な部分を全て曝け出すという思想の元作られた衣装だから、男に着せるものとしてより残酷無比な代物にも思える。
それにしても、あれを服として瑞星は認識しているんだな。
瑞星が着用する分には途方もないほど似合うだろうし、その着用姿はさながら黄金の国ジパングの象徴とも言えるだろう。一方で僕が着てみたらどうだ。招くのは惨劇、陥るのは狂気。罰ゲームだとしてもレベルが高すぎるだろ。
僕は自分の服を見下ろすが、少し経っても変化していないことに安堵の息を漏らす。
ああ……こんな馬鹿な願いが叶うことが無くて心底ほっとした。
連鎖的に世界から二酸化炭素が消えていない証明にもなるので非常にほっとした。
世界滅亡の原因として後ろ指を指されて生きる未来はこれで消失、一般的男子高校生の日常継続!
ひたすら安堵の僕とは打って代わり、瑞星は僅かに目を背けながら不満そうに口を尖らせた。
「なんだ、残念だなあ」
「お前さ……まあいいや。結果的にこれで何でも叶う訳じゃないってことは立証されたわけだし。この検証結果を以て溜飲を下げてやる。お前の歪んだ嗜好にはもはや何も言うまい」
「歪んでないよ? 純愛だと思うよ?」
何が純愛だ。
純愛なめんな。
「私が叶う願いは結局、記憶を消すことだけだよ。でもさっきの話に戻すけどさ、変だよ。流れ星のある夜じゃなくて、こんな真っ昼間に私の願いが叶うはずなんてないのに」
「夜じゃなくて昼に……」
ハッとした。
僕は西日が眩しい晴天を見上げる。
燦燦と太陽が輝き、頭上で瞬く星々の煌めきを塗りつぶすかのように、圧倒的光量で世界を照らし上げる。
───そうだ。
星は昼に無いと思っていたが、昼にだって変わらず浮かんでいる。
目に見えないだけで。
光に遮られてしまっているだけで。
これは流れ星にも同じことが言える。
流れ星っていうのは大気圏に突入した小石程度の物体が燃えて、それが地表からは一筋の光に見える現象でしかない。
昼夜関係無い事象だ。
「昼の流れ星に願うと……夜とは反対の願望が叶うってことか?」
しかし。
今回の一件。
引いては世界の存亡すらかもしたら握ってしまうような話を、単純な論理で説明を付けてしまっていいのだろうか。
……まあ、世界はそういうものなのかもしれない。
複雑だと思っていた物事が、紐解けば複数の簡単な単体が結びついてそう見えるなんて、生きていれば往々にしてあることだ。
「昼に流れ星ねえ」
「試す価値はあると思うぜ」
「うん……じゃあ実験材料は、栄太が忘れた私との幼馴染の記憶で良いかな」
「ああ、そうだな。それが手っ取り早く分かりやすい」
それなら成否は明白だ。
僕が思い出せれば良し、思い出せなければ悪し。
それで成功するならば、次は全人類が瑞星を思い出すようにと、そう願いをかければ良い。
些か範囲が広いがするけども、一旦のハッピーエンドだ。
「……でも、そうなると」
ぽつりと、危惧を形にするように小さく瑞星の口が戦慄く。
「栄太の思い出したくない記憶も思い出しちゃうかも。この前は気付かなかった……ううん、気付いていて見ないふりをしたんだけど、思い出す範囲は多分私のことだけじゃない気がする」
って言うと、イジメられていたっていう僕の中学二年生時代の話か。
僕からすればその時期は平穏に過ごした記憶しかないけども、それも後々記憶喪失となった僕が空白を埋めるべく自動的に補完した記憶なのだろう。
イジメられていた、か。
僕は経験が無いから分からんけどどのくらい辛いものなのか。
時間が経ってもなお怯懦を覚えるものなのか。
「ま、別に構わないぜ」
「で、でもさ」
「でももデーモン閣下もねえよ。瑞星を元の境遇に戻す為なら悩む余地もないな、サクッと願っちまえよ」
恰好付けて言ってしまった。
ま、実際元に戻るだけだしな。
僕が本来持っていなきゃ道理に合わない記憶を取り戻すだけだ。
なんてことはない。
「でも、昼に流れ星って見えるのかな?」
「あ」
天を眺望して言う瑞星に、我ながら握りしめられたカエルのような声が出た。
いやどんな声だよ。
流石にそこまで死の寸前みたいな声は出してねえよ。
ゲロゲロ。
「あれとかそうかな」
「……多分飛行機じゃないか?」
あまりに間抜けな発言をしてしまって傷付いた精神を、なんとか無から捻り出したジョークで誤魔化してメンタルケアを図っている間にも瑞星は橙色に染まる天井を目で追いかけている。今瑞星が指で示したのは恐らく飛行機の航行灯だった。飛行機雲を排出しながら、ゆっくりと空の果てへと移動していく。
「飛行機に願ったら叶うとか?」
「それは無いだろ……多分としか言えないけども。祈祷対象があまりにも人工物過ぎる」
「ボーイング機様、私の髪の毛もボーイング色に染めてください!」
「ボーイング色ってなんだよ」
白と青なのか?
いや機体ラベルは航空会社によって変わるから実際は真っ白なのか?
どちにせよこの願いを聞いているボーイング機様とやらも困惑してるに違いない。
当然瑞星の髪色は変化せず、飛行機はただ空を南方へ航行し続ける。
昼間の流れ星は肉眼観測が難しい、というのは考えるまでもなく当たり前の話だった。
流れ星が人間の目で見て取れる時間は、夜を前提として良くて数秒。大抵は1秒程度。それを昼間に観測して、況してや願いを述べるのはそう簡単なことじゃない。
───となると瑞星が姉から自分の記憶を消した時は、偶々頭上に流れ星が流れていたから願いが受理されたってことになるが。
そんなことあるか?
偶然、偶々、稀な出来事が重なった結果。
一つの偶発的事象も、二つ重なれば必然に、三つ重ねれば運命だ。
昼とか夜とか流れ星とか、切り離して考えるべきなんじゃないかとすら思ってしまう。
だってこれじゃ瑞星は───。
一生思い出されることもなく───。
忘れさせる一方で───。
僕は解決策を模索しようと、何かヒントがないかと周囲に視線を配りながら思考を続ける。
解決策。
あるのかそんなものが。
ハッピーエンド主義の幻想じゃないか?
牽強付会な思考回路じゃないか?
そう、腹の底では僕は理解していた。
何か秘めたる素晴らしい解決策があって、それによって今の状況は全てまるっと万事解決するに違いない、なんていうのは創作の中の話だ。
二つ重なれば必然───と思いたいだけで。
発生しない確率は───ゼロではない。
「流れ星見えないね」
軽やかな言葉と裏腹に、雰囲気は鉛のように重い。
僕が不用意に希望を与えてしまったせいでもあり、昼間の流れ星を観測できるのはそれこそ奇跡としか言えない以上、今後も瑞星は昼空を眺め続けるのだろう。
以前の生活は星光が歩んだ距離よりも遠大で。
僕を除いて、全人類は瑞星瀬亜の16年間を忘却したまま。
それでも社会は支障なく運営され続け、地球は自転し続ける。
斯くして瑞星の双眸は流れ星に囚われた。
双眸だけじゃない。
心も、過去も、将来も。
流れ星のように儚く燃え尽きる命運を待つかのような泡沫の表情を浮かべたまま。
瑞星瀬亜はこの世界で生き続けていくのである。
───と、趣味じゃないバッドエンド一直線なモノローグはこのくらいにして。
もういいだろう。
不安を煽ってどんでん返しを際立たせる谷間の展開も、皆そろそろ飽きてきた頃合いだよな。
僕だってこんな結末望んじゃいない。
この程度で投げ出すようなら、初めから瑞星に話しかけなかった。
家に招き入れなかった。
学校をサボってまで町内を捜索しなかった。
記憶も無いのに瑞星瀬亜を───幼馴染として扱わなかった。
ここからは解決編だ。
瑞星瀬亜を救う。
中途半端じゃなくて、完全な形で。
言い訳する必要もないまでに完膚なきまでに。
貼り付いたような笑顔じゃなく、心の奥から湧き出す笑顔で顔が千切れてしまうくらいのハッピーエンドを与えてやる。
あえて大上段から宣言しよう。
以前勝手に助けられただろう僕が、今度は勝手にお前を救ってやる。