竜として異世界に転ず 作:暁悠
〝水竜様〟なんて呼ばれ、持て囃される忌々しい
『まずは
と、未来の姿を夢想する
しかし、今はどうだろうか?
(聞いてないッ! 聞いてない聞いてない聞いてない──ッ!! なんやこの強さはッ!? これやったら、ホンマモンのバケモンやないか!!)
現状の
確かに、強化された
対して、シルティオスは竜。元からの
それを見誤る辺り、
「チィッ! 仙術〝
仙術:
作り出した数多の
せっかく撃ち出したそれも、全てシルティオスが作り出した光の壁に阻まれて霧散してしまった。
「クソがッ! どうなってんねんッ!!」
悪態をつく
(それよりもアイツや!! あの、小僧!! なんやねんアイツ、アイツもアイツでえげつないやんけ!! 全ッ然、計画とちゃう!!)
前は軽く圧倒出来たので、今回も同じだと思っていた。流石に前通り上手く行くとも思っていなかったが、これも想定外過ぎるのだ。
(なんやねん、
これに関しては、主犯はシルティオスである。
アヴラージュにはルディアもついているが、アヴラージュに関しては
しかしながら、シルティオスが前だと霞むだけで
現に、彼らが名乗り種族名ともしている〝仙人〟とは、魔人とは別のアプローチで進化した人間の事を指すのだ。
魔人が魔物化により進化した人間ならば、仙人は純人間。体内の魔子及び魔力を完全に支配し、上手くコントロールする事で不老にすらなっている超人。
しかも、今回はそれに加えて
──しかし悲しきかな、格が違いすぎる。
方や、ヴァルネリ共和国建国当時から国を、時には天変地異からすらも護る竜。
方や、凄まじいスピードで今現在も成長を続けている転生竜。
少し強くなっただけの人類では、遠く及ばない。
しかも──
「単調な攻撃だな」
「何余裕かましとんねんッ!!」
拳に魔力を纏わせ、怒涛の連続攻撃を行う
しかしそれは、全てが受け流されて無力となってしまう。
おわかりだろうか。シルティオスが司るのは〝夢〟で、彼が最も得意とする権能こそ──
「……少し哀れだな。慈悲として、一つ教えてやろう」
「はァ? 何やねん、イラつく事ばっか言いおって」
「私が最も得意とする権能は、『
その説明は、
なぜなら、シルティオスは──
「よって、お前の攻撃は効かん。効かんし、当たりもせん。諦めろ」
──そう、
(何やと? 何やって? 未来予知? そんなん、そんなもん──)
「クソ卑怯やろが──グェッ」
怒号を上げながらシルティオスに全力で襲いかかった
「死ね──
指向性を与えられた破壊の光が、
同刻、隣の戦場ではアヴラージュが
加えて、決着をつけたリーベやシュトルツも合流している。もはや、シルティオス達の作戦は完全に成功──と思われた、その時だった。
◆◆◆
「なっ、なんだ……!?」
「揺れてる!?」
クッソ、次から次に──と、内心で悪態をつく俺。それもそのはずである。シルティオスも
あとは息の根を止めるだけ……本当にあと一歩だったのに、急にこの部屋が揺れ始めたのだ。
──いや、違う。多分、震源は次の部屋……つまり、シルティオスの言う〝キカイ〟だと思われた。
しかし、どうして?
キカイの起動と発動には合計で二十四時間かかるはず……現在経過時間は、遅くとも数時間……二桁も経っていないハズだが……。
「クッ……ククククク……クハハハハッ!! アンタら、強いけど阿呆やなぁ!」
「はぁ?」
何やら、
「なんや、まだ制限時間が二十四時間やと思っとるん? ホンマ阿呆やなぁ」
──それは、シルティオスが目を背けていた問題だったらしい。何やらうわ言のように、小さく言葉を繰り返している。
『……そういう事ね』
どういう事よ?
俺、まだ理解出来てないんだけど?
『つまり、制限時間の〝二十四時間〟は、通常時の制限時間なわけ』
うーん、つまり?
『普通ならシルティオス、またはシルティアスが、自らの意思で操縦するだろ?』
そうだな。
『彼らが自らの意思で使う……つまり、規定通りの使用方法ってわけだね。それに比べて、今回はどうかな?』
シルティアスが連れ去られて、恐らくは強制的にキカイの核にされている。
『強制的……そうだね。だから、安全性を度外視した使用方法も出来るってわけだ。起動と発動にかかる合計時間の〝二十四時間〟というのは、通常で……安全性を度外視すれば、かなりの短時間で起動と発動が可能だろう。かかる〝二十四時間〟という時間は、シルティオス達とキカイの精神接続に必要な時間でもあるんだ。それをなくしているんだから、そりゃ早いよね』
ちょっと長い説明だったが、そういう事ね。
……それ、かなりヤバくね?
「先にっ、キカイ止める──」
「させへんよ!!」
俺の前に現れる、
クソ、邪魔だな……。
しゃーなし。やむを得ない場合はキカイの破壊も許可されているし、ここは
「──邪魔だ」
俺が『変化』しようとした矢先、そんな声が聞こえた。
とても、冷たい声。
俺の背後から聞こえた、シルティオスの声である。
「サ──」
次の瞬間、目の前の
……何が〝権能自体は微妙なモノ〟だよ、めちゃくちゃ強いじゃねーか。
「……早く次の部屋に進むぞ」
「…………おう」
やはり、俺が思っている以上に事態は深刻さを増しているようだった。