イナズマイレブンGO 紅蓮の翼   作:シキDX

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記念すべき十話目にしてなんとランキング入りを果たしました。これも全て読者様のおかげです。
オリヒロインものというのもあって好みが分かれると思いますが、それでも追ってくださる方がいるのは本当に嬉しいです。
今後もマイペースに更新していきますので、よろしくお願いします。


第十話 勝利の代償

 劇的な勝利の熱狂が嘘のように、放課後の雷門グラウンドには冷たい風が吹き抜けていた。

 部室では、南沢先輩や車田先輩が苛立ちを隠そうともせずに愚痴る

 

「迷惑なんだよ神童、三国。これ以上お前達の言うサッカーを押し付けるな。ホーリーロードで指示に逆らってフィフスセクターが黙っていると思うか。お前らは廃部になってもいいのか?」

 

「確かに一回戦は久々に熱い試合だったぜ……。だがそれでサッカーができなくなるのはゴメンだ!」

 

 他のメンバーも口々に不満を漏らし、次々と部室を出て行こうとする。

 

「ちょ、ちょっと待ってください、皆さん一緒に練習しないんですか?みんなで練習した方がきっと強くなれます!」

 

「うぜえよ、お前。どけ」

 

「でも……」

 

 天馬が必死に扉の前に立ちはだかるが、それを制したのは神童先輩だった。

 

「天馬よせ。みんなの気持ちはわかる。オレたちだって少し前まで同じ考えだったんだから」

 

 神童先輩は、霧野先輩の方を見た。霧野先輩もまた、本心では「本当のサッカー」をやりたいと願っているはずだ。だが、その瞳にはまだ深い迷いの色が浮かんでおり、結局、言葉を発することなく南沢先輩たちの後を追って去っていった。

 

 結局、グラウンドに残ったのは俺たち一年生と、神童先輩、三国先輩、それにマネージャーたちだけだった。

 

「……なんだよ、これ。勝ったのに、負けた時よりバラバラじゃねぇか」

 

 俺が地面を蹴ると、隣にいた信助がふと校舎の陰に視線を向けた。

 

「ねえねえ剣城またボクたちのこと見てたよ」

 

 そこには、相変わらず鋭い目つきでこちらを観察している剣城京介の姿があった。

 信助が不思議そうに首をかしげる。

 

「いうもじーと見てるだけで気味悪くない?無理やり入部したくせに試合どころか練習にも出ないし一体何がしたいんだろ」

 

「それは……やっぱり、剣城もサッカーがしたいからじゃないかな!」

 

 天馬が真っ直ぐな答えを出すが、俺にはそう単純なこととは思えなかった。あの男の目にあるのは、サッカーへの愛というより、もっと切実で暗い「執着」のように見えたからだ。

 

「それじゃあよ天馬。今からあいつの後をつけて何を企んでるか探ってやろうぜ」

 

「えっ剣城の後をですか?」

 

 腕を組んで聞いていた水鳥が、ニヤリと不敵に笑った。

 

「剣城の野郎なんかよく商店街の方へ歩いていってるらしいんだ。それって絶対訳ありじゃん?」

 

「えっ、追いかけるって……ストーカーかよ!?」

 

 水鳥の勢いに押されるように、俺と天馬、信助、そして葵と茜も走り出した。

 

 *

 

 剣城が病院の入り口をくぐるのを見て、俺は思わず足を止めた。

 

「病院……? あいつ、もしかしてどこか体が悪いのか? だから試合にもまともに出ねぇで、あんなに不機嫌な面して……」

 

「……コウ、あなたの脳細胞は筋肉でできているの?」

 

 背後から紫の冷ややかなツッコミが飛んできた。呆れたようにため息をつく。

 

「あの剣城京介のプレイを見れば病気や怪我の兆候がないことくらい明白よ。ここへ来る理由は、本人以外にあると考えるのが論理的ね」

 

「わ、わかってるよ! 可能性の話だろ!」

 

 紫に痛いところを突かれ、俺は誤魔化すように病院の中へ足を踏み入れた。

 白く清潔な、けれど独特の消毒液の匂いが鼻をつく廊下。剣城の姿を探してキョロキョロと辺りを見回していた、その時だった。

 

「きゃっ!?」

 

 葵が、後ろを通る人物に気づかず、ぶつかってしまった。

 

「すまない君、大丈夫か?」

 

「は、はい!大丈夫です。ぶつかってごめんなさい」

 

 葵が慌てて謝ると、ぶつかった相手――車椅子に乗った一人の青年が、穏やかな笑みを浮かべている。

 

「よそ見してたら危ないぞ。それじゃあ」

 

 青年はそう言い残すと、慣れた手つきで車椅子を操作し、静かに廊下の奥へと消えていった。

 天馬が青年のいた足元に何かが落ちているのに気づいた。

 

「あれ?これなんだろ。さっきの人が落としたのかな?」

 

 天馬が拾い上げたのは、一冊のサッカー雑誌だった。

 

「サッカー雑誌……。あの人も、サッカーが好きなのか?」

 

 俺は天馬から雑誌をもらいがパラパラとページをめくる。その間にも、水鳥と茜、そして紫は剣城の姿を追って反対側の通路へと消えようとしていた。

 

「私たちは剣城を探しとくからお前ら行ってこい。そんじゃまた後でな」

 

 水鳥の声が響く。

 

「了解!!」

 

 俺はそう答え、天馬と信助も頷いた。

 

 *

 

 白く長い廊下を、俺たちは車椅子の青年を探して急いでいた。

 

「あっちかな、それとも……」

 

 信助がキョロキョロと辺りを見回している時、俺の耳に、聞き慣れた声が届いた。

 

「……だから絶対に手術代を作ってみせるから」

 

 低いけれど、どこか刺々しさが抜けた、少しだけ優しい響きの声。

 

「剣城!? 今、あいつの声がしたぞ!」

 

 俺は直感に従い、声のした病室のドアへ駆け寄った。天馬たちも後に続く。

 

「おい、お前こんなところで何して――」

 

 勢いよくドアを開けたが、そこに剣城京介の姿はなかった。

 カーテンが微かに揺れ、開いた窓から冷たい風が入り込んでいる。部屋にいたのは、先ほど廊下でぶつかった車椅子の青年――剣城優一だけだった。彼は驚いたようにこちらを見ていたが、すぐにいつもの穏やかな笑みに戻った。

 

「あ、さっきの……。どうしたんだい? そんなに慌てて」

 

「すみません、落とし物です! これ、さっき落としましたよね?」

 

 天馬が息を切らしながら、一冊のサッカー雑誌を差し出した。

 

「ああ、サッカー雑誌を落としていたのか。わざわざ届けてくれてありがとう」

 

 優一が嬉しそうに雑誌を受け取る。それを見た天馬が、目を輝かせて身を乗り出した。

 

「いいえ。あの……俺もこの本読んで特訓とかしてます!お兄さんもサッカーが好きなんですか?」

 

「ああ、好きなんだ。とても。昔は世界だって目指してたんだよ」

 

 優一の言葉には、失ったものを惜しむ悲しみよりも、純粋にサッカーを愛する熱い響きがあった。

 

「おーい!天馬ぁ!」

 

 廊下から水鳥の怒鳴り声が響いた。

「おや、友達が呼んでるみたいだな、キミ天馬くんって言うのかなこれからもサッカーの特訓頑張ってな」

 

「はい!頑張ります!」

 

 天馬が名残惜しそうに手を振り、俺たちも優一に一礼して病室を後にした。

 

「ダメだ剣城のやつ見つかんねえ?もう別のところに行っちゃったのかもな」

 

「そうですか……仕方ないですよ雷門中に戻りましょう」

 

 帰り道の商店街。夕闇が迫る中、俺は一人、紫の横を歩きながら考え込んでいた。

 

 

 翌日の放課後。グラウンドには、昨日よりもさらに深い溝が刻まれていた。

 神童先輩、天馬、信助、そして俺。いつものメンバーで練習を始めようとしたが、南沢先輩や倉間先輩たちは、別の場所で、練習しているようだった。

 

「……やっぱり、まだ一緒に練習してくれないんだね」

 

 天馬が寂しそうにポツリと呟いた。その声には、かつてない不安が混じっている。

 

「気にするな、天馬。あいつらがどうあれ、俺たちは俺たちのやるべきことをやるだけだろ」

 

 俺は強がってみせたが、足元のボールを蹴る感覚はどこか頼りなかった。

 

「不安か?」

 

 いつの間にか後ろに立っていた円堂監督が、天馬の肩に大きな手を置いた。

 

「大丈夫だ。本当のサッカーをやりたい気持ちがあれば。必ずみんなそろう日が来る」

 

「そんな日は来ませんよ」

 

 天馬がパッと顔を上げたその時、グラウンドを横切って慌ただしく走ってくる影があった。冬海校長だ。

 

「たった今理事長室にフィフスセクターの使者がいらっしゃいました。指示書を持ってきてくださったようです。円堂監督フィフスセクターに謝るチャンスですよ!まあもうキミのクビは決まっているかもしれませんがね……」

 

 その言葉に、グラウンドの空気が一気に凍りついた。

 離れていた南沢先輩たちも、動きを止めてこちらを凝視している。

 

「……心配するな。行ってみよう」

 

 監督の言葉に従い、俺たちも理事長室へと向かった。

 

 *

 

 理事長室の重苦しい空気の中、俺たちの前に立っていたのは、大人ではなく三人の同年代の少年たちだった。彼らは傲慢な笑みを浮かべ、金山理事長に一枚の紙を手渡した。

「え、えーっと……ホーリーロード二回戦、対戦相手は『万能坂中』勝敗は『1-0』で『敗退』……」

 

 一回戦の勝利があったとはいえ、指示が下ることは予想していた。神童先輩も、そして俺も、その言葉自体には驚かなかった。だが、彼らの態度は俺たちのプライドを逆なでするには十分だった。

 

「ハハッあんたらマジでフィフスセクターに見捨てられたな」

 

「……!そうかお前たちどこかで見た顔だと思ったが、万能坂中のサッカー部員だな?」

 

 三国先輩が鋭い視線を向ける。そして、倉間先輩も悪態をついた。

 

「完璧にフィフスセクターの配下ってわけか。わざわざ指示書を持ってくるなんて偵察でもするつもりか?」

 

「はあ?偵察なんかする価値ねーし。雷門なんか本気の試合でも俺たちの足元にも及ばねーっての」

 

「あァ!?そんなのやってみねえとわかんねえだろうが!」

 

 倉間先輩が拳を握りしめて詰め寄ろうとした。だが、万能坂の少年が吐き捨てた一言が、その足を止めた。

 

「なら次の試合マジでやれば?」

 

 図星を突かれたのか、倉間先輩は言葉を失い、悔しそうに顔を歪めた。自分たちが「管理」という名の下に、いかに牙を抜かれていたかを突きつけられた瞬間だった。

 

「アハハ!そうそう?聞き分けがいいのが一番だぜ。じゃあな!」

 

「そうそう円堂監督さん」

 

 去り際、一人が肩越しに振り返った。

 

「あんたのクビは無しって聖帝のご指示だぜ。命拾いしたな」

 

 皮肉を言い残し、万能坂の使者たちは部屋を去っていった。だが、円堂監督の瞳は少しも揺らいでいなかった。

 

「悔しいか?だったら次の試合も勝てばいいんだ。いったはずだ。負けていい試合なんて絶対ない!2回戦も勝利を目指すぞ!」

 

 監督の熱い喝。だが、それに呼応する声は少なかった。

 沈黙を破ったのは、南沢先輩だった。

 

「オレもう付き合いきれません。退部します」

 

「ちょっ南沢さん!?」

 

 倉間先輩が驚いて声を上げる。

 南沢先輩は一度も振り返ることなく、そのまま理事長室を出て行ってしまった。

 

「そ、そんな。待ってください、南沢さん!」

 

 天馬が必死に廊下を駆け抜け、去りゆく南沢先輩の背中にしがみつくように声をかけた。だが、南沢先輩は足を止めることさえしない。

 

 

「南沢さん!待ってください!サッカーを辞めないでください!」

 

「お前もいい加減気づけよ。これ以上フィフスセクターに逆らってもいいことねえって」

 

 そこへ、天城先輩が重い足取りで歩み寄ってきた。

 

「でも南沢……せっかくここまで一緒に頑張って来たんだド。本当に辞めちゃうんだド?」

 

 天城先輩の悲しげな問いかけに、南沢先輩はようやく足を止めた。だが、振り返ったその瞳は、凍りつくほど冷たかった。

 

「サッカーやって来たのは内申点のためだ。これ以上成績を下げたくないわ、お前たちとは価値観が違うんだよ」

 

 その一言は、天城先輩だけでなく、その場にいた全員の胸に深く突き刺さった。だがそこで円堂監督が呼び止める。

 

「……本当にサッカーを辞められるのか?」

 

「はい。それじゃあ」

 

 南沢先輩はそのまま、一度も振り返ることなく校門の向こうへと消えていった。

 静まり返った廊下に、倉間先輩の鋭い声が響いた。

 

「松風こうなったのはお前のせいじゃないのか。お前達が入部しなけりゃこんなことにはならなかったはずだ。今のサッカーシステムが変だなんてわかってたからな。それでもガマンをして来たのはサッカーをやりたかったからだ。オレたちからサッカーを奪うなよ」

 

「……!そんな奪うなんて俺は本当のサッカーを……」

 

「その結果がこれだろ。雷門サッカー部を潰そうとしてんのはフィフスセクターじゃねえお前だろ」

 

「……!!」

 

 天馬に詰め寄る倉間先輩。その怒りは、先行きの見えない恐怖の裏返しだった。天馬は何も言い返せず、ただ拳を握りしめてうつむくしかなかった。

 

「天馬……」

 

 *

 

 万能坂中学校との一戦を翌日に控えた夜。俺たちは部室に集まり、目金さんが独自に調査したデータに目を通していた。

 

「いい?みんな。万能坂には二つの大きな『秘密』があるらしいわ」

 

 紫は深刻な面持ちで資料を読み上げる。

 

「一つは、あそこには三人のシードが潜んでいるということよ」

 

「シードが三人も……!?」

 

 霧野先輩が驚きの声を上げる。天河原戦での隼総一人の猛威を思い出せば、その絶望感は計り知れない。

 

「そして、もう一つの『恐ろしい秘密』……。これはまだ調査中らしいわ」

 

「おいおい何だよそれ。恐ろしい秘密ってメチャ気になるじゃんかよ!」

 

 車田先輩の顔が青ざめる。

 シードに対抗するには、同じ「化身」の力が必要だ。だが、今の雷門で化身を扱えるのは、完全に目醒めたばかりの神童先輩だけだった。

 

「化身に対抗するにはやはり化身だ。今雷門で化身使いなのは神童と……」

 

 霧野先輩かがそう零した時だった。

 

「――剣城」

 

 部室の入り口に、影を背負うようにして剣城が立っていた。

 

「剣城!? お前、何しに来たんだよ!」

 

 俺が叫ぶと、剣城は俺たちを無視して、真っ直ぐ円堂監督を見据えた。

 

「次の試合。俺を出せ」

 

「監督!いけません!」

 

 神童先輩が声を荒げる。

 

「こいつはシードです!試合に出したら間違いなくオレたちのジャマをします!」

 

「そうです!どうせフィフスセクターの指示通りになるような試合をするに決まってます!」

 

 三国先輩も険しい表情で同意する。だが、円堂監督の反応は意外なものだった。

「……いいだろう。お前には出てもらう」

 

「あんたがどんなつもりか知らないが。オレは好きなようにやらせてもらう。話はそれだけだ」

 そう言うと剣城は部屋を出ていってしまった。

 俺たちの動揺を余所に、監督は静かに部室全体を見渡した。

「みんな、俺が雷門に戻って来た理由。それはフィフスセクターを倒す為だ」

 

 監督の言葉に、部室が静まり返る。

 

「成績や学校の評判のためにやるサッカーは本当のサッカーじゃない!フィフスセクターは間違ってる!だが相手は強大だ。だから俺は雷門に戻ってきた。一緒に戦う仲間を探しに。フィフスセクターをたおす!!みんなの力を合わせれば必ずできる!」

 

「監督……本気なんですね」

 

「ああ、だがお前たちに強制はしないこのままフィフスセクターに従うかそれとも本当のサッカーを取り戻すために戦うかは自分で決めるんだ。それぞれがどんな結論を出そうとかまわない。明日の試合グラウンドで待っている」

 

 監督はそれだけ言い残すと、部室を後にした。

 残された俺たちは、ただ沈黙するしかなかった。

 倉間先輩や浜野先輩たちは、退部した南沢先輩の言葉や、監督の宣言、そして剣城という不確定要素を前に、いまだに答えを出せずにいた。

 

 *

 

 監督の重い問いかけから数時間。部室の空気は淀んだままだったが、俺たちの足は自然といつもの河川敷へと向かっていた。

 

「先輩たちが迷っているなら、僕たちがやるしかない

よ。……絶対に、このチームを守るんだ!」

 

 天馬の言葉に、信助が力強く頷く。そこには、俺と天馬、信助、そして葵と紫の5人が集まっていた。

 

「……コウ、円堂監督が言っていた事を覚えているわね? 相手の強力なシュートを跳ね返して逆に点を入れるカウンター……。でも、これにはかなりのキック力とシュートを正確にゴールに弾き返す力が必要になる。できるようになるにはかなりの特訓が必要よ」

 

「ああ、上等だ。万能坂のシード共を黙らせるには、それくらいの『牙』が必要だろ!」

 

 それから数時間、俺はひたすらボールを蹴り続けた。天馬と信助も、自分たちの限界を突破しようと泥まみれになって走り回っている。

 やがて日が落ち、辺りが暗くなり始めた頃、天馬たちは先に帰路についたが、俺は紫のサポートのもと、特訓を続行した。

 

「……もう一度だ! まだ、しっくりこねぇ!」

 

「……ラスト一回よ」

 

 紫の冷徹なカウントダウン。渾身の力を込めた俺のシュートがネットを揺らす。

 呼吸を整え、ようやく特訓を切り上げようとしたその時だった。

 

「……あれ、天馬?」

 

 土手の上、街灯の下に天馬の姿が見えた。だが、彼の前にはもう一人、剣城京介が立っていた。

 

「剣城……!? あいつ、天馬と何を……」

 

 俺と紫が急いで土手を駆け上がったが、たどり着いた時には、剣城の背中はすでに夜の闇に消えていた。そこには、どこか複雑な表情で立ち尽くす天馬だけが残されていた。

 

「天馬! 大丈夫か? 今、剣城がいたよな」

 

「……あ、コウ。……うん。少し、話してたんだ」

 

 天馬の言葉に、俺は病院で見かけたあの車椅子の青年の姿を思い出した。あいつが抱えているものは、俺たちが想像している以上に重く、暗いのかもしれない。

 そこへ、葵と信助も走って合流した。

 

「もうみんなで帰ろう。……明日は、試合だもんね」

 

 葵の言葉に、俺たちは一斉に頷いた。

 5人で歩く帰り道。街灯に照らされた俺たちの影は、バラバラになった雷門中の中で、確かに一つに重なっていた。

 

ホーリーロード編までの設定集とか欲しいですか?

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