イナズマイレブンGO 紅蓮の翼   作:シキDX

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第五十二話 神の使者 ジャンヌ・ダルク

 ヴォークルールの城塞の一角。石造りの無骨な部屋に集められた俺たちは、完全に軟禁状態となっていた。

 出口には、フランス軍の兵士がギラついた槍を構えて立ちはだかっている。一歩でも勝手に外へ出ようとすれば、即座に容赦ない突きが飛んでくるのは明らかだった。

 

「……参ったな。ジャンヌ・ダルクに会うという第一の目的こそ果たせたが、これじゃ動くに動けないよ」

 

 フェイが窓の外の兵士を盗み見ながら、焦りを滲ませて呟く。

 

「一刻も早く隙を見計らって、ここから脱出する計画を立てよう。いつスパイとして処刑されるか分かったもんじゃない」

 

 だが、その提案に黄名子が「う〜ん……」と首をひねり、どこか懐疑的な声を上げた。

 

「でも……あのジャンヌさんとミキシマックスして本当に強くなれるのかな」

 

 黄名子の素直な疑問に、みんなの表情が陰った。

 確かに、先ほど出会ったジャンヌは眼鏡の度も合っておらず、オドオドとしてスパイ容疑の俺たちにキャンディを配るような、どこにでもいる優しい少女だった。歴史に名を残す『奇跡の聖女』としての威厳やオーラは、今のところ欠片も感じられない。

 命懸けでタイムジャンプまでしてやって来たのに、これが全部無駄足に終わってしまうのではないか——。重苦しい不安が、全員の胸にのしかかる。

 そんな重苦しい雰囲気を一瞬で吹き飛ばしたのは、天馬の明るい声だった。

 

「きっとなんとかなります!今はボールを追いかけましょう!」

 

 天馬はリュックから使い古されたサッカーボールを取り出し、ニカッと眩しい笑顔を浮かべた。

「何とかなる」という天馬の根拠のない、けれど強い前向きさは、凝り固まっていた俺たちの気持ちを不思議なほど心地よく解きほぐしていった。

 

「なんとかなる、か……」

 

「まあ、何もしないのも退屈だしな」

 

 剣城が呆れつつも口元をゆるめ、俺たちも顔を見合わせて苦笑する。俺たちはキャラバンから持ち込んでいたユニフォームに着替え、軟禁されている部屋の前にある中庭へと出た。

 各自がウォームアップを始める中、スパイクの紐を結び直していた剣城の元へ、黄名子がトコトコと歩み寄っていった。

 

「剣城、うちと勝負するやんね!」

 

「フッ……面白いな」

 

 自分の実力に絶対の自信を持つエースストライカー・剣城は、黄名子の挑発的な笑みに二つ返事で乗った。

 

「よし、勝負は1対1! 剣城がオフェンス、黄名子がディフェンスだ!」

 

 俺の合図で、勝負が始まる。

 ボールを持った剣城が、瞬時に鋭いステップを踏み込む。シザースから一気に右へ抜き去ろうとするキレのある切り返し。だが——黄名子の体躯はブレず、吸い寄せられるようにその動きへ完璧に対応してみせた。

 

「……なに!?」

 

 剣城の目が見開かれる。自信に満ちた黄名子の笑顔はハラカケではなく、確かな実力に裏打ちされたものだったのだ。

 拮抗した二人の足元から、弾かれたボールがフワリと宙へ浮いた。ルーズボールだ。

 剣城はここが決め時とばかりに素早く踏み込み、空中でボレーシュートを叩き込もうと跳躍する。

 だが、その瞬間——

 誰もが耳を疑うような風切り音とともに、剣城の『後から』跳んだはずの黄名子が、驚異的な身体能力でさらに高い打点へと跳ね上がっていた。

 

「もらったやんね!」

 

 空中での見事なインターセプト。黄名子の足先がボールを綺麗に突き出し、剣城のシュート体勢を完全に打ち砕いた。

 着地し、ボールを収めた黄名子がドヤ顔で胸を張る。

 

「はいっ!うちの勝ち〜!」

 

「やるな……」

 

 攻撃側のエースを完璧に抑え込まれ、剣城も脱帽したように苦笑いを浮かべて黄名子を称えた。

 

「すごい!本当にディフェンスもできるんだ」

 

「うん。うち、ポジション色々出来るんやんね!」

 

「すごいよ菜花さん! なんでも出来ちゃうんだね!」

 

「え〜? 天馬キャプテン、『菜花さん』なんて他人行儀やんね。なんかへん感じ〜」

 

 黄名子がくすぐったそうに笑う。タイムパラドックスによる影響なのだろう。本来の歴史、あるいは別の世界線では、黄名子は『呼び捨て』で呼ばれるほど仲の良い間柄だったはずなのだ。

 だが、その和やかな光景を、紫は険しい表情で見つめていた。俺の隣で、彼女は誰にも聞こえないほどの小さな声で呟く。

 

「……これ以上、本来の歴史と異なる歪みが生じれば、タイムラインそのものが耐えきれず崩壊を起こしかねないわ……」

 

 紫の言葉に、俺は背筋が寒くなるのを感じた。俺たちがここにいること自体が、時間軸にとっての大きなリスクなのだ。

 その時だった。

 

「……ん?何をされているんですか?」

 

 城塞の上から、身を乗り出すようにしてこちらを見下ろしている人物がいた。ジャンヌ・ダルクだ。

 天馬は屈託のない笑顔でボールを掲げ、見上げるジャンヌに向かって大声で答えた。

 

「サッカーです!」

 

「サッカー?」

 

 続いて神童先輩が一歩前に出ると、力強い声で言葉を継いだ。

 

「サッカーは俺たちにとって一番大切なもので、それを守るためにここに来たんです」

 

「時空を越えて——」と口にしかけた天馬の言葉を、神童先輩が手で制した。十五世紀の人間にとって『タイムジャンプ』や『未来』という概念は突飛すぎて、到底理解されないと判断したからだ。

 

「……とにかく、私たちの世界を守るためには、ジャンヌ、あなたの力が必要不可欠なのです!」

 

 一筋縄ではいかない訴えに、バルコニーのジャンヌは「サッ……カー……?」と首を傾げるばかり。サッカーの持つ素晴らしさや熱意が、イマイチ伝わっていないのが見て取れた。

 

(言葉じゃ伝わりきらないなら……見せるしかない!)

 

 そう直感した俺は、足元のボールをすくい上げ、リフティングを始めた。

 ポン、ポン、とリズム良く足の甲、膝、肩でボールを弾く。言葉が通じなくとも、手以外の場所を使って球体を自在に操るパフォーマンスは、見る者に強烈な感銘を与える。それは、以前織田信長の時代を訪れた際にも証明済みだった。

 

「わあ……っ!?」

 

 案の定、リフティングを始めた俺の姿を見た瞬間、ジャンヌの目がまん丸に見開かれ、身体を乗り出すようにして食いついてきた。

 俺はジャンヌの視線をボールに惹きつけたまま、チラリと横の紫に合図を送る。

 

「紫、頼む!」

 

「ええ」

 

 意図を瞬時に察した紫が、俺の浮かせたパスを胸で優しくトラップ。そのまま繊細なタッチでリフティングを繋ぎ、宙に浮かせたボールを今度は天馬へと綺麗に渡した。

 

「ナイスパス!」

 

 天馬が華麗なインステップでボールを受け止め、空中へ高く打ち上げる。そして地面に落とすことなく、空中での華麗なパスワークが描かれていく。

 

「すごい……!サッカーって、おもしろそう!」

 

 城塞の上から響くジャンヌの感嘆の声。

 固く閉ざされていた彼女の心に、サッカーという一粒の光が、確実に届き始めた瞬間だった。

 

 *

 

 サッカーというスポーツにすっかり興味を惹かれた様子のジャンヌは、中庭のベンチにちょこんと腰掛け、雷門の練習を食い入るように見つめていた。相変わらず度の合わないメガネを顔の前で上下に動かし、ピントを合わせようと必死になっている姿がどこか微笑ましい。

 

「ふぅ〜っ、ひとまず休憩にしようか!」

 

 天馬の合図で練習が一区切りつくと、ジャンヌは待っていましたとばかりに立ち上がり、革袋いっぱいに詰まったあのキャンディを俺たちに差し出してきた。

 

「いや~! 疲れた時はやっぱり甘いもんが身体に染み渡るぜよ!」

 

 錦先輩が嬉しそうにキャンディを頬張り、声を弾ませる。

 

「あんた結構気が利くじゃん!」

 

 水鳥先輩が笑い声を上げながら、豪快にジャンヌの肩をバシバシと叩いた。あまりに馴れ馴れしい態度にジャンヌは「ひゃっ!?」と思わずたじろいでしまう。

 

「ジャンヌさんの心配り、すっごくいいと思います。私たち、いい友達になれる気がしません?」

 

「友達……そうですね!」

 

 葵ちゃんが優しく微笑みながら語りかけると、ジャンヌもぱっと表情を明るくして大喜びで頷いた。

 ——そんな和気あいあいとした空気の中、虎視眈々とチャンスを狙っている奴がいた。

 

「今だ!」

 

 ワンダバだ。物陰からぬっと姿を現したワンダバは、狙いを定めてミキシマックスガンをジャンヌ、そして黄名子へと向けた。

 カチリ、と放たれた眩い光線。

 しかし——両者の直前まで届いたと思われたその光線は、まるで目に見えない膜に弾かれたかのように、あっけなく霧散して消えてしまった。

 

「あれ?」

 

 不可解な現象に首を傾げたジャンヌが「……ん?」とこちらを振り返ろうとする。

 

「まずいっ、見られる!」

 

「おいワンダバ、何やってんだ!」

 

 俺や天馬、マネージャー達は、銃を構えたまま固まっているワンダバに飛びかかり、がむしゃらに取り押さえて物陰へと引きずり込んだ。

 

「一体どういうことなんだ、大介さん!?」

 

 俺が問い詰めると、葵のポケットの中からコロコロと転がり出たクロノ・ストーン状態の大介さんが、重々しい声で説明を始めた。

 

「彼女は儂らの知るジャンヌとは違うのかもしれん。」

 

「どういう意味ですか?」

 

 天馬が尋ねる。

 

「彼女はまだ力が目覚める前のジャンヌなのだ」

 

 無いものは取りようがない。いくらミキシマックスガンを使おうと、存在しないオーラを引き出すことなど不可能なのだ。

 

「……今のジャンヌさんからは、オーラを受け取れないってことですか?」

 

 神童先輩が苦い顔で呟く。

 そんな秘密の会話など露知らず、きょとんとしていたジャンヌの足元に、コロコロと静かにサッカーボールが転がってきた。

 仕掛けたのは黄名子だった。

 

「サッカー好きになれた?」

 

 首をかしげるジャンヌに無邪気な笑顔で尋ねる。ジャンヌは照れくさそうにメガネの位置を直しながら答えた。

 

「その……まだよくわかりません」

 

黄名子は胸を張り、身振り手振りを交えて語り始めた。

 

「そうだな~言ってみれば、サッカーは戦いやんね!みんながひとつになってゴールっていう城を守ったり、相手の守りを攻め崩すの!」

 

「戦い?」

 

「そう!実際にやってみるやんね!」

 

 黄名子は優しくボールを蹴り出し、ジャンヌの足元へ届かせた。

 

「えっ、あ……!?」

 

 生まれて初めてサッカーボールを蹴るジャンヌ。おっかなびっくり、おそるおそる足を出してボールを蹴り返す。そのぎこちないパスを、黄名子は「上手い上手い!」と柔らかくトラップし、再び丁寧に打ち返した。

 ボールが行き交う。

 

「わあ……!」

 

 自分の差し出したボールを相手が受け止め、また自分に返してくれる。ただそれだけの動作なのに、ジャンヌの顔にパァッと明るい歓喜の表情が浮かんだ。彼女はパスを通じて、サッカーの持つ『誰かと繋がる面白さ』を、確実に肌で感じ取っていた。

 だが、何度目かのパスでジャンヌがトラップをミスし、ボールは少し離れた場所へ転がっていった。

 そのボールを受け止めたのは、少し離れたところで一人佇んでいた霧野先輩だった。

 足元のボールを見つめ、それからジャンヌを見つめる霧野先輩。

 

「どう?サッカーは?」

 

 ふと、呟くように尋ねた。

 ジャンヌは少し頬を赤らめながら、しかしハッキリと嬉しそうに頷いた。

 

「はい。とても楽しいです!」

 

 ボールを使った会話。言葉以上にダイレクトに互いの心を伝え合うサッカーの真髄を、ジャンヌは今、自分の体験として噛み締めていたのだ。

 

「……そう、それは良かった」

 

 ジャンヌの純粋な答えを聞いて、霧野先輩の唇からも、小さな笑みがこぼれた。

 だが——俺はその横顔を見逃さなかった。

 

(霧野先輩……)

 

「サッカーは面白いか?」と問いかけた時の霧野先輩の声は、どこか無意識で、どこか虚ろだった。

 神童先輩が信長のオーラを手に入れ、圧倒的な力を得て遠い存在になっていく焦り。ミキシマックス候補に自分ではなく黄名子が選ばれたという葛藤。悩みの底に沈んでいる今の霧野先輩自身が……誰よりも「サッカーを楽しむ心」を見失い、その答えを模索しているように見えてならなかった。

 

 *

 

「この人たちを自由にさせてあげてください」

 

 中庭の空気が一瞬で凍りついた。

 ジャンヌが毅然とした態度で兵士たちにそう告げたのだ。槍を構えていた守衛の兵士たちは目を見開き、信じられないといった様子で顔を見合わせる。

 

「いいのか?」

 

 彼女はそっと胸元に手を当て、空を見上げるようにして静かに語り始める。

 

 

「はい。彼らと交流して分かりました。それに、あの時私は空に不思議な光を見ました。そして彼らが現れた…きっと彼らは神が遣わされたんです。フランスを救うために。」

 

 兵士たちがざわめき立つ。ジャンヌの放つ独特の神聖な雰囲気に、気圧され始めているのが目に見えて分かった。

 

「はい。私は思いました。この方々こそ、苦しむ私たちを、そしてこのフランスを救うために……神様が遣わしてくださった救いの手に違いない、と」

 

 その言葉は、十五世紀のフランスを生きる兵士たちにとって、何よりも絶対的な重みを持っていた。

 そもそもジャンヌ・ダルクという少女がこのヴォークルールに立ち、兵を率いようとしている根拠そのものが『神のお告げを聞いたから』なのだ。

 彼女の言葉を否定することは、彼女の背後にいると信じて疑わない「神の意思」そのものを否定することと同義だった。神への絶対の信仰心を持つこの兵士たちに、それを覆す術など最初から存在しないのだ。

 兵士たちは無念そうに歯噛みしながらも、ゆっくりと構えていた槍を引いた。

 

「……分かった」

 

 説得は、見事に成った。

 

「やったね、天馬!」

 

「ああ! これで自由に動けるよ!」

 

 信助と天馬が顔を見合わせて喜びを爆発させる。フェイも安堵の息を漏らし、剣城は静かに腕を組んで頷いた。

 

「神のお告げ……上手く利用された気もするけれど、これでようやく自由に動けるようになったわね」

 

 紫が瞳を和らげ、隣の俺に囁く。

 

「おう。これでようやく、ジャンヌと一緒に次のステップへ進めるな」

 

 自由の身となった俺たちに、ジャンヌは心からの優しい笑顔を向けた。

 まだ英雄としての力は眠ったままだ。だが、言葉ではなくサッカーで心を通わせ、そして彼女自身の直感で俺たちを信じてくれた。その小さな一歩が、確実に歴史の歯車を動かし始めていたのだった。

 

 *

 

 夕刻

 オレンジ色の淡い斜光が、石造りの街並みを静かに包み込んでいく。

 俺たちが宿泊施設としてあてがわれた中庭の小部屋を、ジャンヌがひとりで訪ねてきた。先ほどまでの柔らかい表情とは打って変わり、その瞳にはどこか思い詰めたような陰が落ちている。

 

「実は……皆さんにお願いしたいことがあるのです」

 

 申し訳なさそうに視線を落としながら、ジャンヌは明日、イングランド軍に厳重に包囲された要衝・オルレアンを救うため、シャルル王太子へ援軍を頼みに旅立つ予定であることを明かした。

 そして、ひどく切り出しにくそうに、その道中の『護衛』として自分に同行してほしいと頼み込んできたのだ。

 

「はい。あなたたちのサッカーの戦術が敵中横断の役に立つはずです。」

 

 ……敵中を横断する。

 ジャンヌの口から出たその言葉に、部室ならぬ部屋の中に一瞬にして冷たい緊張が走った。

 昼間、俺たちが崖の上から目撃したあの生々しい戦場。本物の剣と槍が飛び交い、命が容易く散っていく過酷な世界。この行軍はただの移動ではなく、一歩間違えれば死に直結する『命懸けの任務』であることを意味していた。

 ジャンヌが同行を頼むにあたってあれほど躊躇していた理由も、まさにそこにあったのだ。

 

「敵中横断!?」

 

「危険すぎるんじゃ…」

 

 みんなから非難の声が上がる。だが、普段はおっとりとして弱気なジャンヌが、今回は決して一歩も引かなかった。

 

「援軍を連れ帰り、オルレアンが無事に解放されれば、私はあなたたちの為に力を尽くしましょう」

 

 必死に頭を下げるジャンヌ。

 あからさまな条件提示ではある。だが、俺たちがジャンヌの持つ『二の力』を必要としている以上、困っている彼女に力を貸すのは筋というものだ。

 それに何より——この死線を潜り抜け、大きな偉業を成し遂げた時こそ、彼女の中の『カリスマディフェンダー』としてのオーラが覚醒するのではないか。

 俺たちが息を呑んで顔を見合わせる中、真っ先にその提案へ賛同の声を上げたのは、意外な人物だった。

 

「……わかった」

 

 声の主は、ここまでずっと自信を失い、深い悩みの底に沈んでいた霧野先輩だった。

 先輩は一歩前に出ると、どこか切迫した、だが強い力を持つ瞳で仲間たちを見回した。

 

「俺たちはジャンヌの力を必要としている。なら、俺たちもジャンヌのために力を尽くすべきだ」

 

 いつになく強い口調で訴えかける霧野先輩の熱量に、周囲のメンバーも気圧され、そして頷いた。

 

「……霧野の言う通りだ。断る理由はないな」

 

 神童先輩が静かに肯定し、天馬も「はい! 俺たち、ジャンヌさんを手伝います!」と力強く微笑んだ。

 

「あ……ありがとうございます……! 皆さん……っ!」

 

 協力を引き受けてくれた雷門のイレブンに、ジャンヌは胸の前で手を組み、涙ぐみながら心からの感謝を捧げた。

 

「ほいじゃあ、全員で行くぜよ!」

 

 錦先輩がガハハと豪快に笑いながら拳を突き上げる。だが、ジャンヌは困ったように眉を下げて首を振った。

 

「あ、すいません。馬車に乗れるのが7人までなんです。だから私を除いて、6人になるので全員という訳にはいかないんです。私としても出来るだけ大勢のほうが頼もしいんですけど……」

 

 ——6人。

 

 その言葉により、再び現代組の間に緊張が走った。

 明日解き放たれる戦火の中へ飛び込む6人は、一体誰になるのか。

 

 

 *

 

 話し合いの末、ジャンヌに付き従って敵陣突破へ向かう護衛メンバーは、天馬、剣城、フェイ、黄名子、俺そして自分から志願した霧野先輩の『6名』に決定した。それ以外のメンバーは、ヴォークルールに居残りとなる。

 

 (よし、この6人なら攻守のバランスも良いし……)

 

 そう思いながらメンバーを見渡した俺だったが、ふと後方からの「刺すような視線」に気づいて背筋が凍りついた。

 居残り組の輪の中で、またも不機嫌そうな顔で俺をじーっと睨みつけていたのだ。

 

「どうしたんだ紫、そんな顔して」

 

「……別に。腕時計型デバイスのバッテリーチェックをしてただけよ。道中、怪我でもしたら承知しないから」

 

 ぷいっと横を向いてしまう紫。まあ、行軍の危険を心配してくれているのだろう……そういうことにしておこう。

 

 

 翌朝。出発の準備として、俺たちには兵士たちから重厚な鎧や兜、剣などの武具が与えられた。

 

「うわっ……重っ!? これ着て走るの!?」

 

「くっ……こんな重い鉄の塊を身につけてサッカーなんて出来るわけないやんね……」

 

 慣れない鉄の重みと冷たさに、天馬や黄名子は戸惑いを隠せない。

 そんな俺たちの様子を見ていたジャンヌが、手に持った剣を見つめながら、申し訳なさそうにぽつりと呟いた。

 

「えっと、実は私もうまく使いこなせてないんです」

 

「えっ……ジャンヌさんも剣が使えないの?」

 

 天馬の問いに、ジャンヌは寂しげな、けれどどこか強い覚悟を秘めた悲しい顔で頷いた。

 

「はい。それでも、必要とあれば剣を振るわなければなりません。どれだけ怖くても…」

 

 武器の使い方すら覚束ない華奢な少女が、恐怖に震えながらも、人々のために最前線に立とうとしている。

 

(すごい度胸だな……)

 

 俺は内心、ジャンヌの持つ底知れない芯の強さに深く感心していた。この強さこそが、やがて彼女を『救世主』たらしめる原動力なのだろう。

 ふと横を見ると、霧野先輩がまたしても思い詰めたような、痛切な眼差しでジャンヌの横顔を見つめていた。

 自分にはまだ何も成し遂げられていないという焦り、そして弱さを抱えながらも戦おうとするジャンヌへの複雑な感情——

 

「あ……」

 

 ジャンヌは霧野先輩の視線に気づき、ずっしりと重い金属の篭手を両手で抱えたまま、トトトッと歩み寄ってきた。

 

「あなたが……一緒に来てくださるのですね。ええっと……」

 

 名前を聞きそびれていたジャンヌが言葉を選んでいると、霧野先輩はハッと素に戻り、少し緊張した面持ちで名乗りを上げた。

 

「……霧野蘭丸」

 

「蘭丸ですね!よろしくお願いします!」

 

 ジャンヌは眼鏡の奥の瞳をパッと輝かせ、花が咲くような温かい笑顔で深く頭を下げた。

「蘭丸」——その名を呼ぶ小さな声と、差し出された言葉。過酷な戦場へ踏み出そうとする二人の間に、静かだが確かな絆の芽生えを感じさせる、どこか誇らしく温かな空気が流れていた。

 

 *

 

 翌日の早朝。朝日が地平線を赤く染める頃、俺たち一行を乗せた馬車は静かにヴォークルールを出発した。

 今回同行する6人のメンバーの中で、最年長の上級生は霧野先輩ただ一人。自ずと暫定リーダーとなった霧野先輩は、真剣な表情で馬車の中の5人へ向けて声を張った。

 

「みんな、ジャンヌを守るんだ。いつもの試合のように気を引き締めていこう!」

 

「「はいっ!」」

 

 天馬や黄名子たちの返事が馬車内に響く。だが、その意気込みも——旅が進むにつれて重く苦しい沈黙へと変わっていった。

 馬車の窓から見える景色は、あまりにも惨状を極めていた。

 焼き払われた村々、黒焦げになった家屋の無残な跡、乾いた土の上に打ち捨てられた生活の道具……。戦火がもたらした生々しい破壊の爪痕に、天馬たちは言葉を失い、ただ目を見張るしかなかった。

 平和な現代日本に生まれ育った俺たちにとって、中世の戦争の惨酷さは想像をはるかに絶するものだったのだ。

 そんな荒廃した風景を前にしても、ジャンヌは静かに目を伏せるだけで、感情を大きく表に出そうとはしなかった。

 無理もない。この『百年戦争』はジャンヌが生まれるよりずっと以前から続いており、1427年現在のいま、実に『90年』もの間、人々を苦しめ続けているのだから(紫談)。彼女にとってこの凄惨な日常は、生まれ落ちた時から当たり前に存在していた現実なのだ。

 

(90年……俺たちの感覚じゃ考えられない長さだ。そりゃあ、誰かが終止符を打たなきゃいけないって思い詰めるのも当然だよな……)

 

 ジャンヌはこの終わりの見えない泥沼の戦いに終止符を打つべく、神から授かった『啓示』を信じて立ち上がった。

 だが、これから援助を頼み込むシャルル王太子が、弱冠十五歳の田舎娘が語る「神のお告げ」などという怪しげな話を素直に信じてくれるだろうか?

 

「歴史の記述通りなら、この会見は成功してジャンヌは軍の指揮権を得るはずなんだ……でも」

 

 フェイが神妙な面持ちで低い声を出す。

 

「いまのこの時代は、エルドラドの介入によって歴史の連続性がひどく不安定になっている。史実通りに話が進むとは限らないよ」

 

「そんな……!」

 

 フェイの言葉に、当事者であるジャンヌの顔から一気に血の気が引いていく。不安と重圧に押し潰されそうになり、握りしめた小さな手が細かく震え始めた。

 その時——震える彼女の肩へ、温かい手がそっと差し伸べられた。

 

「大丈夫、ジャンヌ」

 

 霧野先輩だった。先輩は自分の焦りや不安を必死に押し殺し、穏やかで強い眼差しをジャンヌに向けた。

 

「俺たちがついてる。俺たちを……自分を信じてくれ!」

 

 理屈や根拠じゃない。自分を全面的に承認し、堂々と「大丈夫だ」と言い切ってくれる存在。それだけで、人は暗闇の中から立ち上がる勇気を得られるのだ。

 ジャンヌは一瞬目を見開いたあと、か細かった呼吸を整え、心の底からの笑顔を咲かせた。

 

「……はい! ありがとうございます、蘭丸!」

 

 二人の間に通い合う強い確信と信頼。その光景を見つめながら、俺は胸を撫で下ろしていた。

 やがて、馬車の前方に巨大な岩山と、その上に聳え立つ巨大な要塞の影が見えてきた。

 フランス王太子の居城——『シノン城』だ。

 

「着いたね……」

 

 天馬が固唾をのんで見上げる。

 この会見を何としてでも成功させ、フランスを、そして人々を救うのだと誓うように——ジャンヌは胸に下げた小さな十字架を両手でギュッと握りしめ、静かに、そして深く神への祈りを捧げるのだった。

 

 *

 

 扉の向こうには、フランス王太子シャルルが待っている。

 彼がジャンヌと会うかどうかも、オルレアンへの援軍を出してくれるかどうかも、すべてはシャルルの胸三寸にかかっていた。ここでオルレアンが落ちれば、いくらジャンヌが救世主であろうと巻き返しは不可能……その使命の重さに、ジャンヌは再び身を縮こまらせてしまう。

 

「当たって砕けろやんね!」

 

 すかさず背中をポンと叩いたのは、同性の黄名子だった。その天真爛漫な明るさに救われ、ジャンヌは少しだけ緊張をほぐして頷いた。

 城の中に足を踏み入れると、俺たちは大勢のフランス兵に取り囲まれた広い中庭へと通された。やがて使いの者が現れ、ようやくシャルルからの呼び出しがあったことを告げる。

 天馬が当たり前のようにジャンヌの後をついていこうとしたが、使いの男が冷たく制した。

 

「お前達はここで待っていろ」

 

「えっ……!?」

 

 不安そうにこちらを振り向くジャンヌ。その心細げな瞳を見た瞬間、一番に動いたのは霧野先輩だった。

 

「俺も従者として同行します!」

 

 鬼気迫る真剣な眼差しで言い切る霧野先輩。その気圧されるほどの迫力に、使いの者も「まあ、1人だけなら良かろう……」と折れざるを得なかった。

 黄名子の「頑張ってくるやんねー!」という声援を背に受け、ジャンヌと霧野先輩の二人は重々しい扉の向こうへと消えていった。

 

 

「大丈夫かな、ジャンヌ……」

 

 中庭に残された俺たちは、祈るような気持ちで待機していた。

 浮かない顔の天馬に、剣城が静かな声でこの時代の背景を語り始める。

 

「シャルル王太子は、同胞であるフランス貴族の中にも敵が多く、常に命を狙われている。だから猜疑心が強く、簡単には人を信じないんだ」

 

「へえ……剣城って意外と物知りなんだな」

 

 俺が感心して呟くと、剣城はフッと呆れたように息を漏らした。

 

「……真面目に勉強していれば分かることだ、コウ」

 

「うぐっ……すんません」

 

 気まずさを誤魔化すように苦笑いしていると、天馬が持ってきていた袋からサッカーボールを取り出した。

 

「みんな!待ってる間、サッカーしようよ!俺たちがめげてたらジャンヌだって頑張れない」

 

「お、いいね!身体動かそうぜ!」

 

 重い鎧を身につけたままのサッカーは勝手が違ったが、むしろいい筋トレになる。

 楽しそうにボールを操っていた黄名子が、回廊のアーチをゴールにして、ミニ試合をやろうと提案してきた。だが、いま中庭に残っているのは天馬、フェイ、剣城、黄名子、そして俺の5人だけ。3対3で分けるには一人足りない。

 

「だったら、一人足せばいいやんね!」

 

 そう言うや否や、黄名子は近くを通りかかった一人の男に「ち〜っす!」と軽いノリで声をかけた。

 立派な服を着たその男は、黄名子に「このお城の人?」と尋ねられると、どこか不自然に胸を張った。

 

「む……?うむ!余は一介の兵士である!」

 

(いや『余』って言っちゃってるし、めちゃくちゃ偉そうだなこの人……)

 

 ツッコミを堪える俺をよそに、黄名子は「ね、サッカーやろう!」と強引に誘う。

 

「さっかあ……暇だからやってやってもよいぞ」

 

 本音では誘われて嬉しそうなのが丸わかりな態度で、男はしぶしぶ試合に混ざることになった。

 ルールを教えてスタートしたミニ試合。初心者である男を気遣い、黄名子が「後ろで様子を見ていてほしいやんね」と声をかけるが、男は「不服! 騎士たるもの、城攻めに遅れをとってはならん!」と頑固に前衛へ飛び出していった。

 やむなく男を前衛に配した【剣城・黄名子・変な男チーム】対【天馬・フェイ・コウチーム】の対戦が幕を開ける。

 だが、サッカーを知らない男は、ボールをもらうなり自陣近くからいきなりシュートを放つという愚策に出た!

 

「甘い!」

 

 もちろん俺が余裕でクリアし、ボールを回収。

 

「いきなりシュートしても入らないぞ!」

 

「む、そういうものなのか?」

 

 剣城にガッツリ注意される男。

 攻守が変わって俺たちの攻撃。天馬からのパスを空中で受けようとしたフェイに対し、なんと剣城が飛びついてインターセプト! 今日の剣城はフェイ相手にキレキレだ。

 剣城は奪ったボールを黄名子へ。黄名子はマークを剥がしながら、ゴール前へ駆け上がる男へ絶妙なパスを通す。

 

「余に任せろ!!」

 

 男の気迫のこもったヘディングシュート! ……だったが、これは俺が間一髪でブロック!

 

「惜しい! 今のプレー、すごく良かったやんね!」

 

 黄名子に褒められ、男は「ふふん、当然である!」とすっかりその気になっている。

 

「おい、そこの者! 早く余にボールを渡すのだ!」

 

「誰が敵に渡すかよ! 命令すんな!」

 

 思わずツッコんでしまったが、この男、普段は誰もが自分の命令に従う高貴な身分なのだろう。だが、自分の思い通りにならないサッカーというスポーツと、対等にぶつかり合ってくる俺たちの存在に、どこか新鮮な楽しさを感じているようだった。

 現に、普段なら絶対に命令される立場ではないはずなのに、剣城からの「下がれ!」という指示には素直に従っている。

 試合は佳境へ。フェイに渡ったボールを、再び剣城が激しいスライディングで奪い取る!

 そのこぼれ球が、自陣深くの男の足元へと転がった。

 

「シュートは無理だって!」

 

 黄名子の制止も聞かず、男は不敵に不敵に口元を歪めた。

 

「余に不可能などない!」

 

 男が力任せに蹴り飛ばしたボールは——案の定、あさっての方向へ飛んでいく。

 全員が脱力した、その瞬間だった!

 あさってへ飛んだボールが、傍で見学していたフランス兵の頭を直撃!

 バコンッ!とけたたましい音を立てて跳ね返ったボールは、回廊の石柱、壁へと次々にバウンドし——まるで緻密に計算されたビリヤードの球のように鋭い軌道を描いて、俺たちの守るゴールへと吸い込まれたのだった

 

「「「ええええええっ!??!?」」」

 

「えっへん!!これが余の実力!」

 

 腰に手を当て、大威張りで自画自賛する男。絶対ただのアクシデントだろ!……と言いたいところだったが、本人が心の底からサッカーを楽しんで大はしゃぎしている姿を見て、俺たちも思わず吹き出してしまった。

 

「面白い、面白いぞ!これがサッカーか!」

 

 一介の兵士を名乗る謎の男のゴールにより、重苦しかったシノン城の中庭は、ひとときの温かい笑顔と歓声に包まれたのだった。

 

 *

 

 ミニ試合を終え、上機嫌になった謎の男の引率で、俺たちは城の奥へと進んでいた。

 

「勝手に出歩いて良いのか?」

 

 俺は周囲を警戒するが、男は「余が許す」と鼻で笑う。

 

「一介の兵士と言う割には、態度が大きいね……」

 

 後ろを歩くフェイが、怪しむような鋭い視線を男の背中に向けていた。

 やがて男は、先ほどジャンヌと霧野先輩が入って行った重厚な扉へと一直線に向かっていく。

 

「そっちはまずいよ!」

 

「怒られちゃう!」

 

「気にするな」

 

 焦った天馬と黄名子が止めようとするが、男は気にする素振りも見せず、豪快に扉を押し開けてしまった。

 ギィィ……と重い音を立てて開いた部屋の中。

 そこには、面会すら叶わず、肩を落とすジャンヌと、困惑したように立ち尽くす霧野先輩の姿があった。

 だが、天馬たちを引き連れて入ってきた男の姿を見た瞬間、ジャンヌの表情が一変した。

 

「あっ……!」

 

 ジャンヌは弾かれたように駆け寄ると、男の前でドレスの裾を広げ、静かに膝をついたのだ。

 

「……お、お目にかかれて光栄です!シャルル様!」

 

「「「えええええっ!?!?!?」」」

 

 俺たちの叫び声が部屋中に響き渡る。

 そう、さっきまで俺たちと一緒に泥臭くサッカーボールを追いかけ、ドヤ顔でアクシデントゴールを決めていたあの変な男こそ、本物のシャルル王太子その人だったのだ!

 

「長旅ご苦労であったジャンヌ・ダルク」

 

 シャルルは少し驚いたように目を細めたが、すぐに王太子の威厳を取り戻すと、改めてジャンヌと対峙した。

 

「……良いだろう面会を許す。して、そなたは余に何と言うつもりだ?」

 

「はい。この戦争に勝利した暁には……シャルル様、あなた様こそが正統なるフランス国王として即位されるべきお方です」

 

 ジャンヌの言葉に、シャルルはフッと自嘲気味な笑みを浮かべ問いかける。

 

「ふむ……余を即位させると。……だが、今我らはイングランド軍の前に手も足も出ない状態だ。この状況を、どう打開するというのだ?」

 

「それは……っ」

 

 問い詰められ、急に自信を失ったように言葉を詰まらせてしまうジャンヌ。

 大勢の大人や貴族たちの視線が集中し、彼女の身体が恐怖で細かく震え始める。

 その時だった。寄り添うように立っていた霧野先輩が、ジャンヌの背中にそっと手を当て、力強く囁いた。

 

「ジャンヌ、自分の思ってることを言うんだ」

 

「蘭丸……うん」

 

 霧野先輩から注がれたまっすぐな勇気を受け取り、ジャンヌは深く息を吸い込んだ。そして、まっすぐにシャルルの目を見つめ返し、毅然とした声で己の考えを紡ぎ始めた。

 

「敵は今、本体とオルレアンで兵力が分断されています。そこで援軍を含めた兵力をオルレアンに集めれば必ずオルレアンを奪還できます。そうすればこの戦争にも勝てるはずです!」

 

 一気呵成に言い切ったジャンヌ。

 部屋の中に、静寂が訪れる。

 シャルルは爪を噛みながら、深く考え込んだ。

 猜疑心が強く、誰も信用してこなかった若き王太子。だが、目の前で必死に訴えかける田舎の少女と、その後ろで真剣な眼差しを向ける俺たち6人の姿に、彼の心が大きく揺れ動いていた。

やがて——シャルルは噛んでいた爪を離し、静かに口を開いた。

 

「……ラ・イール!ジル・ド・レ!」

 

「「はっ!」」

 

 控えていた二人の騎士が前に出る。

 

「手勢を率いてオルレアンへ迎え!」

 

「仰せのままに」

 

 それは、シャルルがジャンヌの言葉を全面的に受け入れた瞬間だった。

 

「シャルル様……!」

 

「ジャンヌ、そなたのフランスへの想い受け取ったぞ」

 

「ありがとうございます……!」

 

 涙をこぼすジャンヌ。

 歴史を動かす第一歩——オルレアン救出という途方もない大任務の半分を、彼女は自らの言葉と、霧野先輩の支えによって見事に成し遂げたのだった。

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