イナズマイレブンGO 紅蓮の翼   作:シキDX

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第五十八話 力の変化

「知らない天井——なんか前にも同じ事言ったな……」

 

 最初に視界に入ってきたのは、見覚えのない真っ白な天井だった。鼻をつくかすかな消毒液の匂いと、静かな機器の作動音。そこがどこかの病院の病室なのだと、頭がぼんやりと理解し始める。

 状況を理解しようと上体を起こそうとしたその時——

 

「よう、目を覚ましたか」

 

 突然、静寂を破って低い声が響いた。驚いて声の聞こえた方向へ視線を向けると、そこには病室の壁に不機嫌そうにもたれかかっているザナークの姿があった。

 

「げっ……ザナーク!? 何をしに来た!」

 

 俺は咄嗟に身構え、強い警戒心を剥き出しにして問い詰めた。そんな俺の様子を見て、ザナークは肩をすくめながらフッと口角を上げた。

 

「そう言うと思ったぜ。だが安心しろ。別に危害を加えるために来たわけじゃねえ」

 

「な……なんだと?」

 

 その言葉が本当なのかどうか、俺は疑わしげに目を細めた。しかし、ザナークは顎をしゃくって俺の全身を示しながら、あっけらかんと言い放った。

 

「証拠にお前の傷を治してやった」

 

「傷を……治した……?」

 

 言われて俺は自分の両手を見つめ、そっと胸や痛めていた足に触れてみた。

 

(……嘘だろ……?)

 

 足の痛みが綺麗さっぱり消えている。それどころか、ザナークの暴走に飛び込んで激しい負荷をかけた身体や、無理に化身アームドをしたことで削り取られていたはずのスタミナまで、まるで何事もなかったかのように完全に回復していた。

 

「何で……治したんだ?」

 

 あまりの困惑に、俺は言葉を漏らした。ピッチ上での傍若無人な立ち振る舞いや、圧倒的な力で敵をねじ伏せる彼の姿からは、およそ想像もつかない行動だった。

 ザナークはチッと短く舌を打つと、どこか不機嫌そうに明後日の方向を向いた。

 

「別に……借りをそのままにしておくのが癪なだけだ」

 

 借りをそのままにしておくのが癪——その言葉で俺は、気絶する直前の光景を思い出していた。暴走するザナークのに真っ向から飛び込んだあの瞬間のことだ。

 

「お前を、助けたことか?」

 

「……単刀直入に聞くぜ。何で俺を助けようとした?」

 

 ザナークの鋭い眼光が俺を射抜く。

 

「正直、理解できねえ。お前とは敵同士だ。あのまま放置していりゃ、勝手に俺が自滅して終わっていたかもしれないんだぞ」

 

「それは……」

 

 俺は少しの間、言葉を詰まらせて思考を巡らせた。そして、ゆっくりと自分の手を見つめながら口を開いた。

 

「……お前も知ってるだろ。俺には、普通の人間にはない特別な力がある」

 

「ああ、それがどうした」

 

 セカンドステージチルドレンとしての力——多分あいつ自身も秘めている、強大な力のことだ。

 

「その力を持っている俺が、お前を助けられるかもしれないのに見捨てたらきっと俺は、一生後悔する——それだけだ」

 

 自分の根底にある確信を込めてそう答えた。

 それを聞いたザナークは、呆れたように鼻で笑った。

 

「ハッ……バカみたいにお人よしな奴だ」

 

 そして、俺の甘さを嘲笑うように不敵な笑みを浮かべて言い放つ。

 

「俺なら問答無用で見捨てるぜ。他人がどうなろうが知ったことじゃねえからな」

 

 容赦のない言葉。だが、ザナークはそのまま俺の目をじっと見つめ……ふっと視線を和らげると、静かに呟いた。

 

「……変な奴だぜ、お前は」

 

 どこか毒気を抜かれたようなその言葉に、俺は肩の力を抜き、苦笑いを浮かべた。

 

「……そうだな」

 

 ザナークは一瞬だけ不機嫌そうに顔を顰め、荒っぽく舌うちをする。そして、顔を背けながら、ぶっきらぼうに言葉を吐き捨てた。

 

「……礼は言っておく。気に入らないがな」

 

 少しの間、病室の中に静かな沈黙が流れた。

 そのなんとも言えない空間を断ち切るように、ザナークがフンと鼻を鳴らして話題を変えた。

 

「で? 調子はどうなんだ」

 

「ああ、問題ないぜ。……でも、どうやって治したんだ?」

 

 俺が不思議そうに尋ねると、ザナークはニヤリと不敵な笑みを浮かべ、胸を張った。

 

「俺は未来人だぜ。やりようはいくらでもある」

 

「へえ……」

 

俺は己の身体の感覚を確かめるように、ベッドの縁に腰を掛け、ぐるぐると右腕を回してみた。引っかかりも痛みもなく、驚くほどスムーズに動く。

 ——だが、その時だった。

 

「……あ」

 

 腕を動かした視線の先、自分の右手首を見て違和感を覚えた。いつも肌身離さず身につけていた、セカンドステージチルドレンの力を抑え込むためのリストバンドがない。

 俺は焦って辺りを見回し、枕元にポンと無造作に置いてあるリストバンドを見つけた。急いでそれを手に取り、腕に装着しようとした——その瞬間、俺はさらに決定的な「違和感」に気づいて手を止めた。

 

(待てよ……何かがおかしい……)

 

 いつもなら、このリストバンドを外した瞬間、抑えきれない破壊的な力が体内から溢れ出し、『ダークフェニックス』が顕現してしまうはずだった。最悪の場合、そのまま制御を失って暴走する危険性すらあるのだ。

 それなのに、今の俺の体内は嵐が去った後のように静まり返っている。

 

 (もしかして……あの暴走の中で限界を超えてアームドしたことで、無意識のうちに力を完璧に制御できるようになったのか……?)

 

 胸の中に小さな期待が芽生える。俺は確認するようにベッドから立ち上がり、床に両足でしっかりと立った。そして、体内の奥底に眠るあの黒炎を呼び覚まそうと、息を呑んで意識を集中させた。

 

「来い……『獄炎鳥ダークフェニックス』!!」

 

 しかし、どれだけ意識を集中させても、体内のエネルギーはぴくりとも動かない。背後に現れるはずの黒炎の巨鳥は一切姿を現さなかった。

 

「出ない……」

 

 俺の手が力なく垂れ下がる。

 様子を黙って見守っていたザナークが、眉をひそめて尋ねてきた。

 

「どうした?」

 

 俺は蒼白な顔で己の手を見つめたまま、呆然と答えた。

 

「出ないんだ『ダークフェニックス』が……」

 

「なに……!?」

 

 その言葉を聞いたザナークは、驚愕に目を見開いた。あの圧倒的な力を放っていた化身が消えたという事実に、流石の彼も言葉を失ったようだった。

 だが、ザナークは腕を組み、しばらく何かを熟考するように目をつむった。そして——何も言わずに背を向け、病室のドアへと向かって歩き出した。

 

「……もう行くのか?」

 

 俺が声をかけると、ザナークは立ち止まったものの、振り返らないまま吐き捨てるように言った。

 

「当たり前だ。弱いお前に興味はないからな……さっさとあの化身を出せるようにしておけ」

 

 ザナークはそこでゆっくりと振り返ると、いつもの不敵で狂暴な笑みをその顔に浮かべた。

 

「あの化身でアームドしたお前と、本気でぶつかりたいからな」

 

 己の力を失って打ちひしがれかけていた俺の胸に、その言葉が熱い火種をくべた。俺はまっすぐにザナークの目を見返し、力強く頷いた。

 

「……ああ、分かった!」

 

「ふん……借りは返した。次に会った時は敵同士、覚悟しておけよ」

 

 ザナークは短く言い残すと、そのまま一度も振り返ることなく病室を後にした。パタンとドアが閉まり、再び静けさが戻った部屋で、俺は身に付けたリストバンドを握りしめながら、静かに己の内に秘められた熱い誓いを噛みしめていた。

 

 

 ザナークが病室を立ち去ってから、少し時間が経った頃だった。

 静まり返った部屋に、突如としてガチャリとドアが開く音が響いた。そちらへ視線を向けると、そこには目を見開いたまま固まっている紫の姿があった。

 

「紫……?」

 

 名前を呼ぶと、紫はハッとしたように小さく息を吐き出し、ゆっくりと病室の中へ入ってきた。

 

「起きてたのね……」

 

「ああ。もう身体は大丈夫みたいだ」

 

 そう答えると、紫は「そう……」と安堵したように小さく微笑んだ。

 だが——その表情は、すぐに影を落とし曇っていった。

ベッドの横まで歩いてくると、紫はしばらく何も言わずに、ただじっと俺のことを見つめていた。

 

「どうしたんだ、紫……?」

 

尋ねると、紫は声を僅かに震わせながら呟いた。

 

「私……あの時、本当に怖かった……」

 

紫の瞳に、うっすらと涙が浮かび上がる。

 

「ザナークを助けに飛び込んだ後、ボロボロになったあなたを見つけて……私、ママみたいに、あなたと2度と話せなくなっちゃうんじゃないかって思った……」

 

 その言葉を聞いた瞬間、俺の脳裏にホーリーロードの祝勝会で聞いた、紫の母親のことが脳裏をよぎった。

 自分にとって大切な人間を二度と失いたくない——紫の言葉に込められた痛烈な想いに、俺はかけるべき言葉を見つけられず、ただ黙り込むことしかできなかった。

 すると紫は、ポロポロと大きな涙を溢れさせながら首を振った。

 

「それだけじゃない……!」

 

 紫は自分の胸元にギュッと手を当て、涙声で言葉を紡ぐ。

 

「私、孔明の力をもらった時に言ったでしょう……?」

 

 その問いかけに、俺は覚えている光景を思い返した。

 あの日、孔明の力を宿した紫が、力強い眼差しで「私が守る」と宣言してくれたことを。

 

「孔明の力があれば、守れるって……そう思ってた。でも……肝心な時に、私はあなたを守れなかった……!」

 

 悲痛な紫の告白に、俺はすぐさま首を振って否定した。

 

「そんなことない!紫は十分やってくれたよ!お前がいなかったら、あの試合はもっと早く終わってた!」

 

「でもっ!何もできなかったのは事実よ!!」

 

 紫は顔を勢いよく上げ、静かな病室に声を響かせた。

 

「あなたはいつも、自分が傷つくことなんて全然考えないで誰かを助けようとする! 自分がどうなるかも考えずに……!」

 

 吐き出すように語る紫の声が、徐々に小さく、切なく窄んでいく。

 

「……もし、コウが戻ってこなかったらって思ったら……」

 

そこで言葉が途切れた。紫は唇を強く噛みしめ、しばらくの間、ぽろぽろと涙をこぼしながら黙り込んだ。

 

「……私、耐えられなかったと思う」

 

 その言葉に、俺の胸はギュッと締め付けられるような激しい痛みを覚えた。俺の無茶な行動が、どれほど深く紫の心を傷つけ、追いつめていたのかを思い知らされたのだ。

 

「ごめん……紫」

 

「謝らないで」

 

俺の言葉を遮るように、紫はすぐに返した。

 

「謝るのは、私の方だから……」

 

「なんでお前が謝るんだよ……!」

 

 俺が思わず聞き返すと、紫は少し震える手で、そっと俺の手を強く握りしめてきた。

 

「だって……あなたを守るって、誓ったもの」

 

 涙に濡れた真っ直ぐな瞳が、俺の目を正面から捉える。

 

「だから……次は、絶対守る」

 

 その強さと優しさに溢れた瞳を見て、俺の強ばっていた頬が自然と緩んでいった。

 

「……じゃあ、俺も約束するよ」

 

「約束……?」

 

首をかしげる紫に、俺は優しく笑いかけた。

 

「もう少し、自分のことを大事にするよ」

 

「本当……?」

 

「ああ」

 

「……絶対?」

 

「もちろん」

 

 紫はじっと探るように俺の目を見つめていたが、やがて呆れたように、けれど愛おしそうに小さく笑った。

 

「じゃあ……信じてあげようかな」

 

 

 あの後、ベッドの横に座る紫に「そういえばさっきザナークが来て傷を治してくれた」ということと、「ダークフェニックスが出せなくなった」という二つの衝撃的な事実をサラッと告げたのだが——案の定、紫は目を見開いて「はあ!?」と声を裏返らせ、当たり前のようにものすごく驚いていた。

 ザナークが来ていた事を聞いて、チッと低く舌打ちをしたような気がしたが……まあ、それはきっと俺の気のせいだろう。

 ザナークのおかげで傷もスタミナも完治していたため、俺はその日のうちにすぐ退院することができた。

 病院を出た俺と紫は、そのまま河川敷へと向かった。現在はサッカー禁止令が出されているため、ボールを使ってサッカーをすることはできないが、自分の身体に起きた変化を調べるだけなら問題はない。

 河川敷の広場でいろいろと試してみた結果、分かったことがいくつかあった。

 まず一つ目は、通常状態の化身である『聖焔のフェニックス』は問題なく顕現できるものの、やはりあの黒い化身『獄炎鳥ダークフェニックス』だけは、どう意識を集中させても一切出せなくなっているということ。

 そしてもう一つは、リストバンドの「着脱による影響」が以前とまるで変わってしまったことだった。

 以前の俺なら、リストバンドを外せばセカンドステージチルドレンの強大なエネルギーが溢れ出し、激しくスタミナを消費していた。だが今では、リストバンドを外しても身体への負担や消耗が一切ないどころか、純粋に身体能力だけが大幅に跳ね上がるのだ。

 

「あの化身が出ていない状態なら、負担なしで力を扱えるくらい……体内にそのパワーが馴染んできたんじゃないかしら」

 

 紫はそう分析してくれた。しかし、肝心の『ダークフェニックスが出せなくなった理由』については、紫でも全く見当がついていないようだった。

 

「まあ、ダークフェニックスの件は一旦置いておくとしてさ」

 

 俺は手首の黒い帯を見つめながら、紫に問いかけた。

 

「リストバンドを外しても負担がないなら、もうこれ、付けなくてもいいんじゃないか?」

 

「ダメよ」

 

 紫は即座に首を振った。

 

「いつまた突然ダークフェニックスが顕現するか分からないわ。安全のためにも、付けたままでいた方がいいと思う」

 

「……そっか。そうだよな」

 

 そんなやり取りをしているうちに、空はすっかり茜色に染まり、あたりには夕闇が迫っていた。川面が夕日を反射してキラキラと輝いている。

 

「……もうそろそろ帰るか。あ、そういえばザナークが助けてくれた件、みんなにも話しておいた方がいいよな?」

 

 ふと思い立って尋ねた俺に、紫は少し思案してから静かに首を横に振った。

 

「ううん……今は、話さない方がいいと思う」

 

「何でだ?」

 

「ザナークがあなたを治してくれたことは、確かに驚くべきことよ。でも、それをみんなに話したら……きっと天馬たちはザナークを警戒しながらも、余計に混乱すると思うの」

 

「……確かに」

 

 天馬たちの真っ直ぐな性格を考えれば、困惑してどう接していいか分からなくなるのは目に見えている。俺は素直に紫の言葉に納得した。

 

「それに、ザナーク自身も言っていたんでしょう? 『次に会った時は敵同士』って」

 

「ああ」

 

「だったら、今はそれでいいのよ」

 

 紫の真っ直ぐな言葉に、俺は夕空を見上げながら深く頷いた。

 

「そうだな。次にアイツと合う時……俺たちがどう決着をつけるか、それだけの話だもんな」

 

 手首のリストバンドをキュッと締め直し、俺たちは沈みゆく夕日を背に、ゆっくりと帰り道を歩き出した。

 

 *

 

 翌日、雷門サッカー部のミーティングルームにはピンと張り詰めた緊張感が漂っていた。緊急の要件で部員一同が召集されたのだ。

 全員の視線が集まる中、顧問の音無先生が胸ポケットから1枚の写真を取り出した。それは大介さんの要請を受け、豪炎寺さんが手に入れてきてくれた坂本龍馬の写真だった。

 宙にふわりと浮き上がったクロノ・ストーンの大介さんが、力強い声を響かせる。

 

「よし、全員集まったな。次の時代は幕末! そして今回のターゲットは5の力、海のように広い心で攻守をつなぐ架け橋となる、スーパートリッキーミッドフィールダー!」

 

 それを聞いた錦先輩が、身を乗り出すようにして声を上げた。

 

「確かに五の力は坂本龍馬にピッタリぜよ! そして龍馬といえばわし……これだけは譲れんぜよ!」

 

 熱意に満ちた錦先輩の言葉に、大介さんは満足そうに頷く。

 

「いいだろう。五の力、錦に委ねる!」

 

「よっしゃあ!」

 

 大喜びで拳を握りしめる錦先輩。

 

「候補はまだもう1人おるぞ!!」

 

「えっ、もう一人ですか!?」

 

 葵ちゃんが驚きの声を上げると、大介さんは堂々と宣言した。

 

「ズバリ! 天才剣士、沖田総司じゃ! 該当する力は6の力、稲妻のように素早く切り込む速さ、電光石火のスピードストライカー!」

 

「なるほど、新撰組一の剣の使い手と言われた沖田総司そのものだぜ!」

 

 水鳥先輩が声を張り上げると、途端に錦先輩の顔色が変わり、噛みつくように反発した。

 

「新撰組じゃと!? 日本を変えようとした龍馬達の敵じゃき、わしは認めんぜよ!」

 

「はあ!? 滅びゆく幕府と京の街を守ったのは新撰組! 奴らこそ本物の漢だぜ!」

 

 一歩も引かずに言い返す水鳥先輩。二人の熱い言い合いを見つめながら、音無先生が呆れたようにポツリと呟いた。

 

「二人とも、意外に歴史好きなのね……」

 

「詳しいのは龍馬だけぜよ!」

 

「私は水戸黄門と新撰組と大岡越前と……」

 

 歴史全般に詳しいわけではなく、どうやら錦先輩は坂本龍馬そのものが、水鳥先輩は時代劇や新撰組が大好きなだけなようだった。

 そんな二人のやりとりを見ていた天馬が、ふと疑問を口にする。

 

「坂本龍馬と沖田総司って、敵同士だったんですか?」

 

「二人が生きたのは、これから日本をどうしていくか、いろんな意見が激しくぶつかり合っていた時代だったからね」

 

 音無先生が優しく教えると、ワンダバが待ってましたと言わんばかりに身を乗り出した。

 

「それこそが! 血湧き肉躍る時代、幕末だ!!」

 

 熱弁する大人たちを横目に、紫が俺の隣で腕を組みながら問いかけてきた。

 

「六の力はまだ決まってないみたいだけど、誰になるのかしら?」

 

 俺は少し考えて、真っ直ぐ前を見据えながら答えた。

 

「剣使いのストライカーなら、剣城でいいだろ」

 

「ちょっと……流石に適当すぎじゃない?」

 

 紫がジト目で苦笑いを浮かべた——その瞬間だった。

 

「うむ!ならば六の力は剣城に任せよう!」

 

 大介さんが即断即決で声を張り上げた。

 

「えぇ……本当になっちゃったじゃない」

 

 そして、恒例となった時代跳躍の探索メンバーが大介さんの口から発表された。

 選ばれたのは——天馬、信助、フェイ、黄名子、剣城、錦先輩、神童先輩、霧野先輩、影山、俺、そして紫の11人。

 タイムジャンプの準備を整え、一同はTMキャラバンへと乗り込んだ。

 アーティファクトである坂本龍馬の写真がセットされ、キャラバンが眩い光を放ち始める。空間が歪み、激しい時空の渦が窓の外を駆け巡る。

 幕末の時代を目指し、TMキャラバンは勢いよくタイムジャンプを果たした。




https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=344650&uid=404295

 知り合いに頼んでいたリクエストのイラストが完成したので活動報告の方で出しています。
 これからはストーリーに直接関係ないイラストは活動報告の方に出すのでご了承ください。活動報告に出したイラストの感想も活動報告の返信欄でお願いします。
 ちなみに孔明衣装の全体像は後ほどになります。
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