学マス世界にTS転生した一般人のアイドル奮闘記 作:おすとろもふ
「昨日のビラ配りはお疲れ様でした。どうでしたか?」
「……勉強になった」
「それはよかったです。……それに、イベントも想定以上の盛り上がりを見せたので、こちらとしても得るものが大変多かったですよ」
「へぇ〜暗躍してるね。プロデューサー」
「人聞きの悪いこと言わないでください」
昨日の放課後、プロデューサーに課題と称して渡されたのは、都内のショッピングモールで行われるアイドルイベントのビラ配りだった。
……しかし、その課題は色々な人達の助けを受けて無事クリア。むしろ、大好評といった結果に終わったのだった。これにはプロデューサーも結構驚いたらしい。
そんな訳で次の日なのだが、学園に登校した俺は今まで感じたことのない数の視線を受けたのだ。まるで、絶世の美少女が学校に登校してきた!みたいな温度感である。
そして俺は、緊張のあまりお腹を壊した。
「……知っていますか?莉種さん。あなたは今SNSで『ビラ配りの天使』と呼ばれているそうですよ。皆さんにも莉種さんの良さが広まり始めたようで、大変喜ばしいですね」
「ごめんビラ配りの天使って呼ばれ方で喜べない……!」
「そうですか」
……もしかしてプロデューサー、俺のことを揶揄っている?だとしたら非常に許せないのだが、プロデューサーの無表情を見ていると分からん。どっちだ……?
それにしても、あんなに難しい課題をクリアして得たものが小っ恥ずかしい二つ名って。ちょっと泣きたい気分なんだけど。
咲季ねえはいつも通りだったし、わりと俺の周りの友達は平常運転だ。むしろ、周りの人達を牽制していたようにも思う。
このような出来事があり、俺の平和だった初星学園ライフは早々に崩れ去った。
入学して間もない頃は話し掛けられすらしなかったのに、今や注目の的(遠巻きに)だよ。それ相応の活躍をしてたなら分かるけど、まだライブもしたことのないようなやつが目立ってどうすんねんって話だ。
……正直、この謎の期待感の中で学園生活を続けるのが辛い。
「プロデューサー……私この先どう振る舞ったらいいの?」
「何も変える必要はありませんよ。そのままの莉種さんで生活してください」
「でも、もし失敗したら失望される……」
「……そんなことは100%あり得ませんが、強いて言うなら失敗を恐れて挑戦しない方が失望されますよ」
ぐぬぬ……正論マンめ。
でも確かにプロデューサーの言っている通りだと思う。周りに気を遣って、自分の可能性を狭めるというのはあり得ない。
……結局、プロデューサーが言いたいのはこの空気感にも慣れろってことかな。
「……それよりも莉種さん。この間の仕事を見事クリアした莉種さんに、新しい課題を渡します」
「おっけー。どんとこい」
「それでは……莉種さんの新たな課題は、『アイドルとしての明確な目標を定める』です」
「……?んー?私って目標なかったっけ?」
「一度も明確な目標を話されたことがありませんね。……あと、なんで本人が一番疑問符を浮かべているんですか……」
プロデューサーが、こちらに呆れたような視線を向けてくる。
……そんな目をされても困るんだけど。
実際、これまでの目標は初星学園に入りたい!とか、アイドルになっていくみんなの姿を近くで見たい!とか、そういった目標しかなかった。
しかし、この初星学園に入ってから自分の中で何かが確実に変わっていっている感じがしている。だけど、何を目標にしているのかは自分でも分かっていないのだ。
それをいきなり明確にしてきてくださいって、できるかーい!って話ではある。そもそも何をすれば見つかるんだろうか……。
「それで、これからの具体的な行動とかないの……?」
「ありませんね。いつも通りに過ごしていただいて、その中で自分で見つけられたならそれが一番です。……ですが、中間試験までと期間は設けさせてもらいます」
「……中間試験。てことは、あと1ヶ月後まで……」
「そうですね。早めに見つけてもらえなかった場合は、何かテコ入れはする予定ですが」
「ほうほう。……あれ?1ヶ月後って中間試験もあるよね?」
「もちろん並行して頑張ってください。というか、何か一つの教科で咲季さんに勝ってもらいたいです」
「……んぇ?」
突然だが、咲季ねえは初星学園の入試で首席だ。もちろん、広ちゃんがテストでは一位なのだろうが、総合の成績で言えば咲季ねえは間違いなくトップだ。
それに、咲季ねえは努力を怠らない。ただですら優秀なのに、さらに弛まぬ努力をしていればどうなる?A.化物になる。
……いや、そんな姉に勝つなんて無理ゲーにも程があるだろっ!
「……むり」
「無理じゃありません」
「私の中学のテスト、5教科で380点。対する咲季ねえは毎回470以上。むりげー」
「……総合点で争う必要はないんですが」
「一つの教科でも、だよ」」
今もうだうだ言っている俺に、呆れた様子のプロデューサーには申し訳ないが、俺には咲季ねえに勝つイメージがない。少なくとも、俺には突出した運動能力も学力もないのだ。
例えば、佑芽ねえみたいな大器晩成型なら話は変わってくるだろう。まあその代わりに、学力の成長はないようだが……。
……とにかく、咲季ねえに学力で勝つなんて、ヒヨコが空を飛ぶくらい無理な話なのだ。
「……早くもテコ入れが必要そうな案件ですが、生憎ここから数日はRe;IRISの方が忙しいので、莉種さんには独自で頑張ってもらうしかありません。一応パフォーマンスを強化するための課題はありますが、"意識"も備えておいてください」
「りょーかい……」
⭐︎
プロデューサーから課題を出されて数日。
特に取っ掛かりもなく、いつものように日々を過ごしている。朝は4時に起きてランニング。そこから咲季ねえから渡された朝食を食べて、授業とレッスン。そして、夜はいつも通り過ごしてまた次の日。
こんな日々を続けているせいで、時間の流れがいやに早い。そして、そういう事情もあってか今の俺は少し焦っている。
……なんとなく、前世の俺が経験した物事の停滞感に似ているのだ。だからこそ、余計に心臓がストレスを訴えるように不快感を示してくる、
「はぁ……」
俺は、屋上にあるベンチに座りながら空を見て溜息を吐く。何をすればいいのか分からないが、漠然とこのままではいけないことは分かっている。
これではまるで、心を鎖で縛り付けられている感覚だ。気持ちが悪い。
「いっそ、学校休んで旅行したい……」
ストレスで疲れた脳では、正常な思考はできない。しかし、今の環境では気付きが少ないことも事実。
だったらもう、学校をズル休みしてでもこの負のループから抜け出したい。
「……それは駄目じゃネー?」
俺が空を見て考えていると、いつの間にか隣にいたことねが呆れた顔をしていた。一体いつから居たのかは分からないが、膝の上に弁当箱を広げている。……当然、広げているのは咲季ねえの手作りお弁当だが、いつもの如く無機質な様相をしている。
……というか、最近気付いたら隣にことねがいることが多い。そろそろ俺を狙った暗殺者の可能性が湧いてくるな。
そんなことを考えていると、ことねが咲季ねえ特製の野菜ペーストを咀嚼した後に、いつも通りの軽い調子で話し始める。
「……まあさ、あたし達ってアイドル見習いじゃん?だから、悩んで挫けて迷走することってあると思う。でも、そういうの友達のあたしに相談してくれないのは悲しいナ〜?まっ、要は人に頼るのもいいんじゃね?ってコト」
「……」
「無理に言わなくてもいいけどナー。……だけど、今の莉種ちゃんはなんか危ういんだよ」
外から見た俺は、かなり危うい雰囲気をしていたらしい。そんな自覚は無かったが、人をよく見ていることねが言うのだからそうなのだろう。
……それに、友達のことねがここまで言ってくれたのだ。だったら、俺もそれに応えないと友達として失礼だろう。
俺は一息吐くと、ことねの方を見ながら心を開く。
「……プロデューサーから咲季ねえにテストで勝てって言われた」
「…………無理じゃネー?」
「あと、なんか目標作れって」
「エッ!?今まで目標無かったの!?」
「……あったにはあったけど、最近無くなった」
「どういうコト〜……」
それから、ことねに相談に乗ってもらうこと10分。
「……ヨシッ!気分転換しに行こうぜー!!」
「どんなテンション……?」
「いいかー?莉種ちゃんは今言っちゃえばスランプみたいなモンなんだよ。だったら一回その分野から離れてみて、忘れた方がいい時もある!ってわけで今からデート行こーナ!!」
「ちょっ……ちからつよっ」
ここすき機能を始めて知りました……!
沢山のここすきが送られてきてて、ニマニマしちゃいましたよ。
皆さんは誰の曲が好きですか!?
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藤田ことね
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はつみちゃん