「ダメだ……閣下は死んでいる……レミィ!! 早く検察も呼んでくれ。刻は一刻を争う……!!」
梶谷の鋭い指示に、レミリアは表情を変えず即座に端末を取り出しました。
「分かったわ……」
その横で、コナンは倒れたウートレッド卿の遺体に顔を近づけ、その口元を凝視します。
「叔父さん……この人からアーモンド臭の独特な匂いがするよ……?」
「うむ……間違いない。死因は青酸カリだろう。だが、一つ解せないのは、ここにいる全員が同じデキャンタのワインを飲んでいたということだ。小五郎君も、安室君も、私もな……」
梶谷は自分のグラスを横目に、苦渋に満ちた表情で語ります。同じワインを飲みながら、なぜベルグリーズ長官だけが絶命したのか。物理的な矛盾が、名探偵たちの前に立ちはだかります。
「検察もすぐ来るみたい……。今回は年代物のワインを使っていたから、鑑定には時間がかかるかもしれないけれど」
レミリアが電話を終えて戻ってくると、梶谷はコナンと灰原に視線を送りました。
「うむ……。コナン君、哀ちゃん。君たちは子供の身軽さを活かして、使用されたワイングラスをすべて回収してくれないか? 鑑識が来る前に、証拠が散逸するのを防ぎたい」
「うん!! 叔父さん、分かった!!」
コナンは灰原と目配せをし、すぐさま各テーブルのグラスを回収し始めました。
コナンはグラスを一つずつ慎重に扱いながら、ある違和感に気づきます。
(……全員が同じワインを飲んだ。もしデキャンタに毒が入っていたなら、俺たちも今頃死んでいるはずだ。だとすれば、毒が仕込まれていたのは『グラス』か、あるいは『飲む直前の動作』に何かがあったのか……?)
その時、グラスを回収するコナンの視界の端で、安室透が音もなくウートレッドの遺体に近づき、その上着の内ポケットに手を伸ばすのが見えました。
(安室さん……! 狙いはやっぱり、長官が持っていたあの『リスト』か……!?)
緊迫する会場の裏で、それぞれの思惑が交錯します。一方で、グラスを回収していた灰原は、ウートレッドが使っていたグラスの縁に、微かな「透明な膜」のような付着物を見つけ、顔を強張らせました。
「江戸川君……これを見て」
二人が物理トリックの正体に近づこうとしたその瞬間、建物の外から地響きのような爆鳴音が響き渡りました。
「な、なんだ!? 今のは!!」
小五郎が叫びます。
「アルタイル州のホテルの方だ……。毛利先生、皆さんが泊まっている宿泊先が……!!」
安室が窓の外を指さします。夜空が赤く染まっていました。
「テロっていうレベルじゃねえな……」
窓の外、アルタイル州の空を焦がす爆炎を見つめ、梶谷が低く唸りました。
「ええ……。皇帝陛下には申し訳ないけれど、今回の叙勲式は中止ね」
レミリアが冷徹に告げると、蘭が当惑したように声を上げます。
「叙勲式……?」
「ああ。実は今回の式典、私の異母兄である工藤優作氏が推挙人だったのだよ。アドラステアの平和に貢献した者たちを称えるためにね」
「えっ……!? 新一のお父さんの……ご兄弟なんですか……!?」
蘭の驚きは当然でした。長年家族同然に付き合ってきた工藤家に、これほど近い親族、それもアドラステアの公安警察に身を置く人物がいたなど、一度も聞いたことがなかったからです。
「ああ、新一は私の影響を受けてサッカーを始めたからな」
「でも、新一は探偵として体を鍛えるためだって……!!」
蘭が必死に記憶を辿るように言うと、梶谷は薄く笑みを浮かべました。
「それも私が言ったことだ。私が現役時代、LFW(レフトフォワード)にこだわったのは、常にフィールド全体を俯瞰し、敵の隙を突く『知能と戦略』が最も鍛えられるポジションだからだ。探偵にも通じるものがあると、幼い彼に教えたのは確かだ」
その言葉を聞いた瞬間、コナンの脳裏に鮮やかな記憶が蘇りました。
(そうだ……思い出した……。俺がサッカーを始めたのって、親父に勧められたからじゃねぇ。まだ小さかった頃、アドラステアから帰ってきた叔父さんの華麗なステップと、あのアドバイスに憧れて始めたんだ……!)
ずっと忘れていた記憶。なぜ「工藤新一」がこれほどまでにサッカーに執着し、それを探偵としての武器にまで高めたのか。そのミッシングリンクが、今、目の前の眼帯の男によって繋がりました。
しかし、その感動に浸る時間は一瞬でした。
「おっちゃん達のホテルが燃えてるんだ! 叔父さん、すぐに行かないと!」
コナンの叫びで、全員が現実へと引き戻されます。
「……ああ。蘭君、君たちは危ないからレミリアのマンションへ避難していなさい。安室君、毛利先生を頼みます」
「承知しました」
安室が深く頷きます。しかしその瞳は、炎上するホテルに眠る「スパイリスト」のことしか考えていないように見えまし
た。
そして蘭もまた、「避難して」という言葉に素直に頷きながら、心の中では別の「トレース」を開始していました。
(新一の叔父……。ふふ、面白いわね。組織を脅かす血脈なら、まとめて絶やしてあげるわ……)
蘭の瞳が、一瞬だけ冷徹な光を放ちました
「(……今日の蘭の様子、やっぱりおかしい。あの大臣が死んだ時も、爆発が起きた時も……まるで感情が凍りついたような、冷たい眼をしていた……)」
コナンはソファの端で、拭いきれない違和感に身を震わせていました。
「ふむ……申し訳ないが、ひとまずはここで手詰まりか。ホテルの爆破現場にはアドラステア軍が展開している。警察といえど、今は迂闊に近づけん」
梶谷が苦渋の表情で窓の外を見つめる中、コナンは喉の渇きを覚え、キッチンのカウンターへと歩み寄りました。そこには、封を開けたばかりの一本のボトルと、鮮やかな青色の液体が残るグラスが置かれていました。
「叔父さん、このお酒って……?」
「ああ、それはブルー・ラグーン。カクテル酒の一種だ。……もっとも、ウォッカをベースとした非常に度数の高い酒だがね。レミリアが好んで作っているんだ」
その瞬間、コナンと灰原の全身に、雷が落ちたような衝撃が走りました。二人は磁石に引き寄せられるように顔を見合わせ、その瞳にはかつてない戦慄が走ります。
(ブルー・ラグーン……!!)
(ウォッカ・ベース……!!)
「(……まさか!)」
「(……黒の組織の、新たなコードネーム!?)」
二人の警戒心は瞬時にMAXへと跳ね上がりました。ジン、ウォッカ、ベルモット、バーボン……。その系譜に連なる、新たな「酒」の名前。それがよりによって、自分たちが今身を寄せているこの部屋に置かれている。
灰原は青ざめた顔でキッチンを見渡し、レミリアの姿を探しました。
「……レミリアさんは?」
「彼女なら、さっき急ぎの電話が入ったと言って、地下の駐車場へ向かったが……」
梶谷の言葉が終わるか終わらないかのうちに、コナンは窓の外を見下ろしました。マンションの入り口から、一台の黒いスポーツカーが猛スピードで夜の闇へと消えていくのが見えました。
(……待てよ。レミリアさんは検察官だ。でも、もし彼女が『組織』の人間だとしたら……。いや、さっきの蘭のあの冷たい眼……。まさか、あの酒の名を冠しているのは……!)
「江戸川君、ここも安全じゃないわ……。あの女、あるいはこの場所そのものが、組織の仕掛けた『罠』かもしれない!」
灰原がコナンの袖を強く掴みます。
外務省での毒殺、ホテルの爆破、そして目の前のカクテル。すべての点が一つの不吉な線――**「ブルー・ラグーン」**という名の下に繋がり始めていました。
「……ありえるな。名字の『毛利』。それはかつての戦国時代、稀代の謀略家として知られた毛利元就の名字だ。その末裔を名乗る(あるいは擬態する)者が、裏で糸を引いていても不思議ではない」
梶谷は眼帯の下の眼を細め、静かに、しかし断定的に告げました。
「それに……君が守ろうとしていたその名、『蘭』。蘭科の花には、優雅な外見とは裏腹に、不吉な伝説や凄惨な伝承が数多く存在する。獲物を誘い込み、二度と出さない死の罠……。彼女の存在そのものが、工藤新一という探偵を捕らえておくための『檻』だったとしたらどうだ?」
「え……!? じゃあ……」
コナンの背筋に、氷を押し当てられたような戦慄が走りました。これまでの17年間、自分が守り、愛してきた「毛利蘭」という存在の土台が、音を立てて崩れていく。
「間違いないわ、江戸川君……。彼女が、ジンの右腕……コードネーム『ブルー・ラグーン』よ!!」
灰原の悲痛な叫びが、広いリビングに響き渡りました。
その時、玄関のドアが静かに開き、地下から戻ってきたレミリアが部屋に入ってきました。その表情は完璧に整えられており、一切の感情を読み取らせません。
「……悪いがレミィ、車を頼む。アルタイル州の現場へ向かうぞ。……全てに決着をつける時が来たようだ」
梶谷の指示に、レミリアは何も言わず、ただ静かに頷きました。その手には、先ほどまで持っていなかった「赤茶色のワルサーP99」が握られていました。
「(……叔父さんも、レミリアさんも、最初からこうなることを予期していたのか!?)」
コナンは、キッチンのカウンターに置かれた青いカクテルを見つめました。
今やその色は、美しい南国の海の色ではなく、冷徹な死神の瞳の色に見えていました。
「行こう、江戸川君。……これが、私たちの最後の事件になるわ」
灰原は覚悟を決めた眼差しでコナンを促します。
一行は、レミリアが運転する車に乗り込み、爆炎の上がるアルタイル州――「ブルー・ラグーン」が待ち受ける最終決戦の地へと向かいます。
アルタイルシティセンタービル、地上200メートルの屋上。
吹き荒れる突風が、炎の粉を巻き上げていた。
コナン、灰原、梶谷、そしてレミリアが屋上の扉を蹴り開けると、そこには無惨に打ちのめされ、意識を失った降谷零(安室透)が転がっていた。
「……お前が、烏丸蓮耶の野郎の組織の幹部……!! ブルー・ラグーンか……!!」
梶谷が怒りに震える声で叫ぶ。
その視線の先。月光を背に、青と黒のコントラストが美しいトレンチコートをなびかせて立っていたのは、紛れもない毛利蘭だった。
彼女の右手には、27年前の惨劇を象徴する銀色のワルサーP99が握られ、冷たく光っている。
「ええ……。27年前は先代のブルー・ラグーンが起こした事件だったけれど……。まさかこんな風に、工藤家の生き残りと対峙することになるとはね」
蘭の声に、かつての慈愛は一切なかった。絶対的な強者の、冷徹な響き。
コナンは言葉を失い、灰原は恐怖で身体を強張らせる。信じたくなかった。信じていた日常が、漆黒のコートを着た死神に塗り替えられていく。
「新一、それからシェリー。……ジンから命令を受けているわ。シェリーを抹殺しろ、とね。それから……真実に近づきすぎた探偵(あなた)も一緒に」
ブルー・ラグーン(蘭)が銃口をゆっくりと灰原へと向ける。その瞬間、彼女の額にあるあの「ツノ」が、異様な音を立てて硬質に、鋭く隆起し始めた。
「なっ……何だ、あれは……!?」
梶谷が絶句する。
「これが、先代から受け継いだ『ブルー・ラグーン』の力……ビルドアップよ。さあ、始めましょうか。アドラステアの空を、あなたたちの血で染めてあげる」
蘭の瞳が青く燃え上がり、彼女の周囲に凄まじい殺気の渦が巻き起こる。それはまさに、戦場に狂い咲く一輪の『狂華』そのものだった。
コナンは、震える手で梶谷から託された黒色のワルサーP99を握りしめた。
「……蘭。いや、ブルー・ラグーン!! お前がそのつもりなら、俺は……!!」
「無駄よ、梶谷朝陽。あなたの動き、筋肉の弛緩から視線の誘導まで、すべて『トレース』済みだわ」
ブルー・ラグーン(蘭)が冷酷に告げる。彼女の身体能力は「ビルドアップ」によって限界を超え、その動きはもはや残像に近かった。銀色のワルサーP99が夜闇を切り裂き、咆哮を上げる。
「危ない!!」
レミリアが叫び、灰原を突き飛ばして庇った。直後、レミリアの肩を銀色の弾丸が掠め、鮮血が舞う。
「……まさか、私の弱点である右肩の古傷を知っているとはね……」
レミリアが苦悶に表情を歪める。蘭は嘲笑うように銃口を向け直した。
「当然よ。組織(わたしたち)の情報網を舐めないことね。……コナン君が新一だったことも、哀ちゃんがシェリーだったことも、最初からすべて筒抜けだったのよ。あなたがたが踊らされていた『平和な日常』という舞台装置の上でね!」
蘭の銃口が今度は梶谷を狙う。死線を超えてきた梶谷は、紙一重の差で弾丸を回避し、一気に間合いを詰めた。
「ブルー・ラグーン……!! 貴様ら『黒の組織』、この国で何を企んでいる……!!」
「目的? 単純よ。このアドラステア帝国に進出するための強固な足掛かり。組織にはまだこの国に拠点が足りないの。だから、軍務省の老害(ベルグリーズ)を排除し、内側から乗っ取らせてもらうわ」
「抜かせッ!!」
梶谷が吠える。彼はアドラステア公安が誇る近接格闘術GVG(グローバル・バイオレンス・ガード)と、洗練されたCQC(近接格闘術)を組み合わせ、蘭の懐へ潜り込んだ。
しかし、蘭は驚異的な反射速度でそれに応戦する。かつての空手の動きに、組織が開発した暗殺術を組み込んだ「殺人空手」。
「シッ!!」
蘭の鋭い回し蹴りが梶谷のガードを叩き割る。重い衝撃音が屋上に響き渡った。
梶谷は腕の骨がきしむ音を聞きながら、必死に彼女の攻撃を受け流す。
「叔父さん!!」
コナンの叫び。
その時、蘭の隆起したツノが、さらに赤黒い光を帯びて膨張していく。ビルドアップがさらに加速しているのだ。
「無駄よ。私のトレースは、相手の絶望さえも再現する……! 終わらせてあげるわ、新一」
銀色のワルサーが、今度はコナンの眉間に向けられた。
絶体絶命。だがその瞬間、背後で倒れていた降谷零(安室透)の手が、微かに動いたのを灰原だけが見逃さなかった。
「……はぁ、はぁ……。まさか、蘭さん……あなたが、あのブルー・ラグーンだったとはね」
意識を取り戻した降谷零が、ふらつきながらも立ち上がった。その瞳には、公安警察としての鋭利な光が戻っている。
「組織内での噂で薄々感じていたよ。ただの女子高校生にしては、空手の技が洗練されすぎていた。年齢も17歳前後の女性と聞いていたから……。もしかしたらと思って、毛利探偵の弟子として張り込んでいたが……最悪の予中(よちゅう)が当たってしまったようだ」
「察しがいいのね……バーボン!!」
蘭が冷酷に言い放ち、銃口を降谷に向ける。ビルドアップされた彼女の身体から放たれる威圧感に、屋上の空気が凍りつく。
その時、梶谷と負傷したレミリアが、震える手でコナンと灰原の前に立った。
「新一君、これを受け取れ……!」
「志保嬢……あなたにはこれを」
梶谷は漆黒の、レミリアは鈍く光る赤茶色のワルサーP99を、それぞれ二人の子供(探偵)の手へと託した。
「叔父さん、これは……!」
コナンの手の中で、本物の銃の重みがずっしりと沈み込む。
「これ以上、この狂い咲いた華に、アドラステアの市民を……そして君たちの未来を傷つけさせるわけにはいかない」
梶谷は、眼帯のない右眼に決意を宿し、愛する甥の目を見つめた。
「おまえたちの手で……終わらせるのだ。それが、この悲劇の連鎖を断ち切る唯一の手段だ」
「……わかってるわ。江戸川君」
灰原が赤茶色の銃を構えた。その指先は震えていたが、瞳には「シェリー」としての冷徹さと、コナンと共に地獄へ堕ちる覚悟が宿っていた。
「……ああ。探偵(俺たち)の仕事は、真実を暴くことだ。……たとえその真実が、血の味しかしねぇとしてもな!!」
コナンは黒色のワルサーP99を両手でしっかりと握り、フロントサイト越しに、かつての太陽――毛利蘭を見据えた。
隆起した蘭のツノが、月光を浴びて禍々しく光る。
銀色のワルサーを構える蘭と、対峙する黒と赤茶の二挺。
「さよなら、新一。……地獄で待ってるわ」
蘭が引き金に指をかけた瞬間、コナンと灰原の二つの銃口が、同時に火を噴いた。
屋上に乾いた銃声が重なって響き渡った。
コナンの放った弾丸は蘭の胸を、灰原の放った弾丸は彼女の下腹部を、それぞれ容赦なく貫いた。
「ゲホッ……!!」
鮮血がトレンチコートを汚し、蘭は糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。ビルドアップされていたツノがみるみる縮み、禍々しい殺気が霧散していく。
コナンは硝煙の漂う銃口を下ろし、動かなくなった彼女の傍らへ歩み寄った。その瞳には、もはや子供のふりをした面影はない。
「蘭……。俺は工藤新一として、最後までお前の味方でいたはずだ。たとえ何があっても、お前を守り抜くつもりだった。……でも、そうじゃなかったんだな」
静かな声。それは、17年間に及ぶ幼馴染への情愛に、自ら終止符を打つ儀式だった。
「貴女は工藤新一という高校生探偵に隠れながら、組織の毒を撒き散らしていた……。ただの『影』にすぎなかったわけだわ」
灰原が冷たく言い放つ。その言葉は、かつて蘭を「天使」と呼んで自分を卑下していた過去の自分との決別でもあった。
蘭は、虚空を見つめていた瞳をゆっくりと閉じ、二度と動かなくなった。アドラステアの夜空に、一輪の狂い咲いた華が静かに散った瞬間だった。
その死寂を切り裂くように、降谷零のポケットでスマートフォンのバイブ音が鳴り響いた。
「(……組織からだ)」
降谷は顔を顰め、画面を見つめる。着信表示はない。だが、そのリズムは間違いなく緊急連絡を意味していた。
「……はい、バーボンです」
電話越しに聞こえてきたのは、冷酷なジンの声か、あるいは「あの方」の側近か。
『――ブルー・ラグーンとの接触は済んだか? アドラステアの計画を次の段階へ移行する。彼女を回収しろ』
降谷は足元に転がる、もはや「物」と化した少女の遺体を見下ろし、コナンと灰原、そして梶谷の視線を受け止めながら静かに応えた。
「……いえ。ブルー・ラグーンは『ロスト』しました。工藤新一の手によって……」
電話の向こうで息を呑む気配がした。