西暦1952年
深海棲艦が現れてから一年ほど経つ。
海上輸送は寸断され、あらゆる場所で深刻な物資不足が発生した。
深海棲艦に占領された国も少なくなく、すでに人類は総人口の30%を失った。人類滅亡まであと1年。そんな言葉がまことしやかに囁かれている。
『偵察機が艦隊を発見!戦艦2巡洋艦3、駆逐艦2 、近づいてきます!なお戦艦のうち一隻は未知、新型の可能性大とのこと。』
『っ!偵察機が新型の発砲を確認!』
『なんて長い射程…後手に回りましたね…。』
『気合い入れていきましょ!』
『全艦戦闘配置』
霧島、比叡の怒号が響く。
『全艦砲撃準備整ッタ、打ち方用意ヨシ。』
『敵艦を捉え次第、順次射撃開始!』
轟音と閃光が戦場を支配する。
戦闘が始まったのだ。
霧島と比叡の主砲が敵のレ級に次々と命中するとレ級は大破し、沈み始めた。
阿賀野と特型の3隻は先行し魚雷を発射、巡洋艦と駆逐艦を1隻づつ撃沈した。
しかし未だ健在な新型を中心に陣形を立て直されると、砲撃が前線に出ていた阿武隈と駆逐艦たちに命中、阿武隈は魚雷が誘爆し航行不能に…。
『阿武隈!』
鈴谷の叫びも虚しく砲撃が集中した阿賀野は、轟沈した。前線の指揮をしていた阿武隈が沈んだことで残された駆逐艦たちに混乱が生じる。その隙を敵艦隊は見逃さなかった。
『今ダ!敵水雷戦隊ニ攻撃ヲ集中スルノダ!』
響、綾波が大破し、吹雪も中波した。
しかし駆逐艦に気を取られているうちに比叡と霧島は丁字の位置をとると、新型へ砲撃を続けた。
すると新型はニヤリと不敵に笑った。
『なぜ笑うの?丁字をとった今、こちらが有利なはず…』
次の瞬間、先行する比叡が巨大な水柱に呑まれると霧島は状況を理解し回避行動をとった。魚雷の網を張られていたのだ。
『まずいっ、舵が動かないっ!』
比叡の舵に魚雷が命中、舵が面舵のまま固定されてしまった。
『今ダ!魚雷発射!』
『ダメだ、避けられない…』
敵の新型が号令を発すると回避行動のとれない比叡に魚雷の第2射を発射し、そのうちの一発が比叡の弾薬庫に誘爆した。
『比叡!沈んでは…』
『ごめ…ん、きり…しま、もうダメみたい…』
『提督に…今までありがとうって…………』
『比叡、比叡!!』
『いやっ!いゃぁぁぁあああ』
霧島にも迫る魚雷
『ダメだ、避けきれない』
だが霧島に魚雷が当たることはなかった。
『吹雪!』
吹雪が盾になったのだ。
『どうしてこんな…』
『あなたが沈んだら、誰がヤツを沈めるんですか…比叡さんの犠牲を無駄にしないためにも…あとは…頼みます』
『っ!わかりました!』
苦虫を噛み潰したような顔をしつつも目線を吹雪から敵艦へ移し、敵艦の方向を向く。
鈴谷もそれに続かんと横に並んだ。
『霧島、私も突撃する!』
『ダメよ!鈴谷、あなたは逃げて、時間稼ぎくらいならできるから』
『いやっ!私もここで…』
『だめよ鈴谷!そんなこと軽々しく言わないで…あなたは鎮守府に残って提督に新型の情報を伝えなきゃいけない、あなたにしかできないの。敵艦隊を振り切るだけの速力を持つあなたじゃなきゃ!』
霧島の説得にハッとした鈴谷は、すぐさま踵を返すと、鎮守府へと向かった。
『追エ!一匹モ逃スナ!』
生き残っていた他の3隻は鈴谷を追い始めた。
『大破しているとはいえ、吹雪を除く駆逐艦はまだ航行可能だし、やりようはあるかも…』死中に活を見出すのだ!という元帥の言葉を思い出し、霧島は敵艦へと向かった。
無限に広がる大宇宙…その中にいて単なる水の塊すら断ち切る手段を持っていなかった、我々人類はあまりにも無力だったのです。
たった一つの可能性、人類の希望『ヤマト』に縋らざるを得ないほどに。
そしてそれが指し示すのは『ヤマトを自沈させる』というあまりにも残酷な現実でした。
クルーからの反感も多かったですが、それ以外に道はなかったのです。そしてヤマトの象徴とも言える艦首波動砲口は塞がれ、トリチウムを満載にし、地球を背にして自沈しました。
そう、地球人類はまたもヤマトに救われたのです。その光は地球からも見えたと言います。
その後の当該宙域での時空間異常は有名ですが、原因はわかっていません。しかし私はアクエリアスの意思を持った水、それが起こした現象だと確信しています。
しかし裏付けとなる詳細な観測データは破棄され、今ではそれを証明する方法はなくなりました。
大いなる和、ヤマト。その生涯はあまりにも英雄的だったのです…。後の人類史を狂わせるほどに…。
真田志郎著『ヤマトという時代』より抜粋
俺の名前はヤマト、宇宙戦艦ヤマトだ。幾度となく地球を救い、最後には惑星アクエリアスの水柱を断つために自沈したはずだ。
なのに、
『なんで海にいるんだ?』
気づいた時には海の上にいて人の形をしていて背中には見慣れた艤装、48cm三連装陽電子衝撃砲、20cm三連連装陽電子衝撃砲
煙突ミサイルに、魚雷発射管そして艦首には200cm次元波動爆縮放射器。
そしてそれらを扱う妖精たち。
『レーダーの調子が悪いな、何も映らない。』
一体どうなっているんだ?
そもそも海の上に立っているという状況が意味不明すぎる。
まじでわけわからん。
『とりあえず、この星がどこかもわからないし大気と海水の成分分析をしたいが、何か方法はないだろうか』
妖精たちに聞いてみた。
『オマカセクダサイ!』
『アっ、アナライザー!?』
『ソウデス、アナライザーデス!ヨウセイニナッテモワタシハテンサイ!ソンナノオチャノコサイサイ!』
かつての戦友との再会に少し安堵した。どうやら彼は妖精になってもあまり変わってないらしい。少し待つと、彼は慣れた手つきで分析結果を伝えてくれた。
結果は地球そのもので海水の成分は太平洋のものと一致したらしい。
とりあえずここが地球のどこなのか知りたいので偵察機を出してみた。
小さな島が見え、沖ノ鳥島であることが確認できたのでここが日本近海であることがわかった。
ちなみに妖精さんによると俺は艦息と呼ばれるものになったらしい。艦の魂を持ったヒトだという。
『レーダーニ感アリ!巡洋艦一隻!被弾シテイル模様!』
『メインスクリーンに映せ!』
『了解シマシタ!』
女の子?いやこの場合は…
『艦娘か?』
補給を受けられるかもわからない今、とにかく母港が欲しい。そのためにもこの世界の住人とのファーストコンタクトは失敗してはならない。
彼女が友好的かはわからないけど、今は賭けてみるしかないか。
そしてヤマトはその"巡洋艦"を追った。
初投稿で至らぬところも多々ありますが温かい目で見守ってもらえるとありがたいです。