人類滅亡まであと365日…   作:ムジカ

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第12話 進め!第六駆逐隊

 

 "英雄艦ヤマト大破"という噂は瞬く間に広まった。

マスコミがあることないこと勝手に言いふらしたからである。

試作兵器の実戦運用失敗…実態がどうであれそれは大本営にとって都合の悪い情報であった。

前線のエースを蔑ろにする首脳部は無能だという世論には流石の大本営も抗えず実戦でのデータ収集は中止、ヤマトは宇宙戦艦としての戦闘力を取り戻した。

 

 

 

 

『冬凪や哨戒任務つまらない……

どう…今の私たちらしい俳句だと思わない?』

 

『鈴谷、つまらないとはなんだ!これも大事な仕事なんだぞ!』

 

『とは言ってもねぇ、最近日本近海には深海棲艦少ないし…寒いし…何もないのもそれはそれで辛いじゃん?』

 

『わかるで…その気持ち、うちの艦載機たちも飛びたくてうずうずしとるわ!』

 

『そうね…でも私たちの仕事はみんなを守ることなのだし、こんな時があるっていうのは喜ばしいことなんじゃない?』

 

『そうそう、矢矧はよくわかっているな』

 

 呉艦隊が帰ってくるまで後わずか…ヤマト艦隊は最後の哨戒任務をこなしていた。

 再び得た宇宙戦艦ヤマトという力により破竹の勢いで深海棲艦を沈めてきたヤマト艦隊、それを恐れた深海棲艦は日本近海を離れていた。

凪いだ水面の下の、見えざる艦隊を除いて。

 

 

 

 

 

 

『ヤツラ…数多ノ同胞ヲシズメタ…イムベキフネ…』

 

『カナラズシズメテ…テイトクニショウリヲササゲルノダ』

 

『センボウキョウシンドへフジョウ…ゼンカンギョライセンヨウイ…ザコニハメヲクレルナ!』

 

 その艦隊は音もなく浮上し魚雷を放つと再び深海へと消えた。

迫り来る危機に気付かず…ヤマト艦隊は呑気に水上を監視していた。

 

『いやぁ、それにしても本当に静かだねぇ』

 

『ちと沈め過ぎたんかな?』

 

『そうね…こんなに凪いだ海は初めてだわ』

 

 その伏兵はあまりにも唐突に…彼女たちを襲う。

 

 大きな水柱が4本、気づいた時には遅かった。

 

 ヤマトと駆逐艦を残し残りの艦は軒並み大破…魚雷の威力は絶大だ。

 

『これは、潜水艦か!』

ヤマトのセンサーが敵艦を捉える。

 

『潜水艦?鈴谷のソナーには何も見当たらないけど…それに深海棲艦には水上艦しかいなかったはずじゃん?』

 

『とてもかすかな音だが俺の耳は確かに水中の艦隊を捉えた』

しかし鈴谷、矢矧、龍驤が大破か…どうしたものかとヤマトは思考を巡らせる。

『雷跡複数確認!』

 

『早いな…もう撃ってきたか、全艦回避行動!』

 

大破していても回避行動を完璧にこなすあたり3人の練度の高さがうかがえる。

しかし右へ左へと隊列が乱れる。

 

『避けても避けてもキリがないじゃん!』

 

『まずいで…戻ろうにもいやらしいところに魚雷がくるんじゃなぁ…敵さんも性格悪いで』

 

 

ヤマト艦隊は魚雷の檻に閉じ込められた。

敵の魚雷は無尽蔵に発射される。

このままではジリ貧だ。

そしてそれはその場にいた全員がわかっていた。

 

 

『ねぇ、ヤマトのセンサーは敵艦を正確に捉えてるのよね?』

 

『あぁ、どこにいるか手に取るようにわかる』

 

『それじゃあヤマトがそいつらを撃てばいいのよ!』

 

『しかし、俺の武装は威力が強すぎる…下手に撃てば大破した3人を水中衝撃波で沈めかねない』

 

『それじゃあ敵の場所を教えてくれるかい?爆雷で沈めるから…』

 

『わかった…やってみよう、第六駆逐隊は全艦散開、サメどもに餌をくれてやれ!』

 

『了解(なのです)!』

第六駆逐隊は扇形に展開すると司令官の指示を待つ。

『暁は右20度変針、距離80m深度60に敵艦影あり』

 

『了解、爆雷投下するわ!』

 

 

『響はそのまま前進………今だ!投下ぁ!』

 

『ypaaaaaaaaaa!!!』

 

2回の、それも別方向から聞こえた圧壊音は敵潜水艦の沈黙を意味した。

 

『暁は左変針60度、響は右変針30度、次の目標へ向かえ!』

 

『了解したわ!』

 

『はらしょー!!』

 

『ピンポイントデコウゲキシテキタ…コチラノウゴキハツツヌケダトカンガエタホウガイイカ…』

 

『エエイ!マダコチラニハ4隻ノコッテイル…センボウキョウシンドへフジョウ…ガキドモヲカクジツニシトメル!』

 

『浮上する艦影複数あり!狙いはおそらく暁と響だ!電と雷は右舷方向の潜望鏡を見つけ次第砲撃せよ!』

 

『了解!(なのです)』

 

『さてさて…どこにいるのかな?』

 

『あ!いま何かがキラっと光ったのです』

 

『本当だ!よーし、撃つわよ!』

 

だかしかし、二人が撃つ前に全ては終わっていた。

 

『後方から…』

 

『鈴谷さんの砲撃なのです!』

 

 

『ふぅ…大破しててもこれくらいはできるってね』

 

『すごい!こんな距離から目視で、しかも潜望鏡しか見えないのに…』

矢矧は改めて鈴谷の練度の高さに驚嘆する。

 

『魚雷の第二射や!』

 

『すでに撃たれていたか…電と雷は爆雷投下の後回避行動!』

 

『了解(なのです)!』

 

二人によって広範囲に撒かれた爆雷が一斉に起爆すると海面が揺れる。

その衝撃波に呑まれ、サメは姿を消した。

 

『反応ロスト、潜水艦はおそらくすべて撃沈したか行動不能だろう…今のうちだ!全艦反転180度、微速前進、帰還する』

 

 

 

 

『今日は私たちが大活躍だったのです!』

 

『そうね!大人のレディに相応しい完璧な戦いだったわ!』

 

『ご褒美…ほしいなぁ?』

 

『ハラショ?』

 

ヤマトは四人に囲まれる。

 

『全く、上目遣いは反則だろ…わかったから、今日は俺の奢りで間宮でいいか?』

 

『やったー!』

 

『そうこなくっちゃね!』

 

『雷は何頼むのです?』

 

『やっぱりパフェかなぁ…二人で分け合いっこしよ?』

 

『スイーツは世界を救うよね…』

艦娘史上初の対潜戦を終えたヤマト艦隊は急ぎ帰路についた。

 

 

 

 

 

『ヤマト君、潜水艦とは…これまた難儀だね』

 

『通常の電探やソナーでは深海棲艦は捉えられない、艦娘…彼女たちだけがその存在を感じ取ることができる…それは君とて同じだろう?』

 

『あぁ…しかし俺以外の艦娘は誰も敵艦を捉えられていなかった…潜望鏡深度まで浮上するとそうでもなかったが…』

 

『となると厄介なのは通商破壊か…鈍重で被弾面積も大きい輸送艦は絶好のカモだろうし…』

 

現在進行中の南二号作戦の要は輸送である。

資源地帯を手中に収めたとしてもそれを本土に送れなければ意味がないのだ。さもなければ先の大戦と同じ轍を踏むことになる。

 

『対潜戦を行えなければ、この戦…負けるか』

 

提督の考えが、杞憂で終わればいいが…

 

 

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『アノバケモノ…ヤマトトカイッタカ?ヤツニミツカッタラオシマイダ…』

 

『そうか、虎の子の君たちでもやつの相手は厳しいか…』

 

『ワタシシカイキノコレナカッタ…ヤツサエイナケレバ…ミンナ!』

 

『これは戦争なんだ…仕方がない、敵の力量を見誤った俺の判断ミスだ』

 

落ち延びた潜水棲姫は彼女たちの"テイトク"にヤマトについての情報を伝えた。

 

悪魔の艦への憎悪を膨らませながら。

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