人類滅亡まであと365日…   作:ムジカ

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第13話 テイトク

 潜水艦の登場は人類側に大きな衝撃を与えた。

艦娘のおかげでなんとか保っていたシーレーンを再び脅かされかねないからだ。それに対処できるだけの余裕を持った国は日本くらいだろう。

ヤマト艦隊の初出撃時にヤマトの持ち帰ったエレメント…その数は膨大で、徐々にではあるが前線基地へ艦娘を送り出せるようになってきていたことがその証拠である。

 

 

 "艦娘艦隊、東亜の解放へ駒を進めつつあり!"

 

今日の新聞の見出しは南二号作戦の進展についてでかでかと載っていた。

戦線の拡大は我々の勝利を高々と伝えた。

そしてそれに終止符を打たんとヤマト艦隊は出撃する。

 

"先の大戦の轍は踏みたくない…か"

    "大本営は大東亜戦争をやり直すつもりだ…"

提督の言葉が頭をよぎる。

 

『俺たちはどこへ向かえばいいのだろう…君ならどうする…古代進?』

 

かつての戦友に思いを馳せながら…ヤマトは錨を上げた。

 

『抜錨!第一独立遊撃艦隊、出撃!』

 

その艦隊は再び前線へと赴く。

東亜の解放という大義をなすために。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その頃目的地のポートモレスビーにて

 

『敵襲!敵襲!嬢ちゃんたち、いつも通り頼むよ』

 

『おうよ!オレの性能は世界水準超えてるしな!大船に乗ったつもりで待っててくれ!』

天龍と龍田はゲリラたちの期待を背に出撃する。

かつての日本軍が踏めなかった土…その上にいる人々を守るため彼女たちは往く。

 

天龍と龍田はなれた手つきで敵艦へと砲撃を命中させる。

『しっかしこいつらも懲りないな、数だけじゃオレたちを押し切れないことなんてわかってるはずなのに』

 

『天龍ちゃん、それでも脅威に変わりはないのよ?』

 

そう…万が一にも奴らの上陸を許したらどうなるかは目に見えていた。

 

一度は世界から見捨てられたこの地を…また見捨てたくはない。

だから奴らを撃つ…討たねばならないのだ。

 

 

そんな彼女たちの奮闘を一人の男が冷静に分析していた。

 

あっという間に半数もの駆逐艦との通信が途切れる。

『やはり旧式とはいえ艦娘…侮れんか』

 

『テイトク、イクノカ?』

 

『あぁ、あの"悪魔の艦"はまだいないようだし今のうちだ』

 

『ソウカ…キヲツケルンダゾ』

 

『わかってる、君の手を借りるまでもないさ…ワープ5秒前…4…3…2…1…』

 

『エンジン点火!ワープ!』

 

その男は深海から跳んだ。

 

『なんの音?』

 

『わからない……天龍ちゃん、上!』

 

天龍は降り注ぐ緑色の光線を紙一重のところで躱した。

 

『これを躱すか…だが』

 

『掠っただけでこの威力かよっ…クソがっ』

 

『言い残すことはあるか?』

その男は天龍に主砲を突きつけ語りかける。

 

『もう一人来るぜ…』

 

『なぜそう思う?』

 

『オレの勘だ…結構当たるんだぜ?』

"テイトク"が主砲の引き金を引こうとしたその刹那…思考にノイズが走る。

 

『重力振、ワープアウト反応だと…!』

まだ恒星間航行に耐えうる深海棲艦は俺だけ…となるとそれの正体は…

 

『悪魔の艦が来るか…命拾いしたな!』

テイトクは捨て台詞を吐くと海面から飛び立った。

 

『火焔直撃砲…発射準備』

蛮族の炎は、異なる世界で再びその姿を現す。

 

『目標、宇宙戦艦ヤマト…』

 

ヤマトがワープアウトした瞬間を狙い撃つ。

 

 

『この反応は!』

火焔直撃砲は回避行動を行なったヤマトの隣を掠め過ぎ去ると、海を割る。

 

『第一、第二主砲塔沈黙!』

 

『ちっ、掠めたか…』

 

 

ワープ直後のエネルギーを消耗した状態では流石のヤマトといえども動きが鈍るのだ。

 

『重力振を観測…次が来る』

ヤマトは回復し切らないままのエネルギー出力の全てをを推進器に集中すると回避を成功させる。

 

『あの艤装はやはりメダルーサ級…残ったのは三番主砲塔と副砲か…』

エネルギーの余裕がないヤマトに悩んでいる時間はなかった。

 

『艦首空間魚雷、撃てぇ!』

 

しかしガトランティスの輪胴砲塔は対空戦闘に向いた速射性の高いものだ。苦し紛れのミサイル程度ではやられない。

 

『噴進弾程度でこのメダルーサ級がやられるか…火焔直撃砲…撃てぇ!』

 

しかしヤマトはまたしても避ける。

 

『ちっ、火焔直撃砲は当てにならないか…ならば!』

テイトクは距離を詰めると艦首5連装砲塔の照準をヤマトに向ける。

 

『撃てぇ!』

 

緑色の光線はヤマトへと一直線に向かう。

しかしヤマトは動かない。

 

『何故だ…何故避けない?』

直後、テイトクの砲撃は完璧に命中した。

 

しかしヤマトは健在だった。

 

『我に波動防壁あり!』

 

徐々にエネルギーを回復させていたヤマトは波動防壁を使い攻撃を無力化した。

『火焔直撃砲を捨てた時点でお前の負けだ!』

 

するといまだに健在だった前部副砲に三式弾を装填する。

 

『撃てぇ!』

怒号と共に砲声が響く。

 

砲弾はメダルーサの艤装を貫き爆発した。

されども副砲…威力不足だったのか、撃沈には至らしめなかった。

 

『ヤマト…今日のところはこれで勘弁してやる…

次に会った時が貴様の最期だ!』

 

 痛み分けの末、テイトクは逃亡した。

しかしそれを追う余裕はヤマトにもなかった。

ひとまず脅威は去ったのだ。

 

『ったく…さっきの極太光線のせいでびしょ濡れだぜ…』

 

『本当ね〜、あの深海棲艦何者なのかしら…あなたもよ?』

 

そういう彼女からはいくら助けてくれたとはいえ自己紹介もなしとは…とでも言わんばかりの圧を感じる。

 

『第一独立遊撃艦隊旗艦、ヤマトだ…』

 

『私は龍田よ〜、よろしくね♪』

 

『オレは天龍、軽巡洋艦だ…フフフ、怖いか?』

 

『てか第一独立遊撃艦隊って…噂のトップエース艦隊か?』

 

『是号作戦の成功の立役者にして日本近海の守護者…とはよく言ったものよね〜』

通りであの化け物を退けられるわけだと、二人は納得する。

 

『てかさ…お前といいさっきのあいつといいどうやってここまで来たんだ?急に現れたからびっくりしたぜ』

 

 

『それはだな…ワープしてきたんだ』

 

『ワープ?』

 

『簡単に言うとだな、4次元的に曲がっているとされる我々の暮らす3次元宇宙…そうだな、要は3次元空間が紙だとしてその上をなぞるよりも曲げてそこに穴を開けて通り抜ける方が曲げた空間の分近くなるだろ?だから…』

 

『だめだ…オレの頭じゃ少しも理解できないや』

 

ヤマトの説明が難しすぎた…というかまず話に集合できなかった…なぜなら…

 

 

『あのさ…すごく言いづらいいんだけど、さっきからずっと通信機が鳴りっぱなしだぜ?』

 

通信の発信源は…鈴谷だった。

ヤマト慌てて通信機を手に取る。

『どうした、何か問題でも…』

ヤマトが言い切る前に鈴谷は捲し立てる。

 

『出るのおそいし!どうしたもこうしたもないし!今どこにいるの?急に消えないでよ!』

 

『しかし…ワープアウト反応を感知してな…』

 

『大体さぁ、ワープて何って話じゃん?先に何か一言くらい言ってよ!』

 

『…そうだな、すまん』

 

『それで…今どこにいるの?』

 

『珊瑚海だ…』

 

『私たちまだ沖縄にもついてないんだけど…どーすんの?』

 

『……すまん…』

 

『もういい!そっち行くから待ってて!』

すると通信が途切れる。

 

『はぁ…やってしまった…』

何度こちらからかけても応答がない…マジで怒らせたみたいだ。

 

『とりあえず行くしかないか…艤装を直す暇はなさそうだ』

 

ヤマトは針路を北にとると瞬く間に沖縄上空に到着、そのソニックブームは雲ごとスコールを消し飛ばした。

 

そこから鈴谷たちを捜索した。見つけるのに大して時間はかからなかった。

 

ヤマト艦隊を見つけるとすぐさま急行し、スライディング土下座着水を決めたのは言うまでもない。

 

それは世間で英雄艦として名を馳せている艦息とは思えないほどにプライドをかけらも感じさせない、見事な土下座だった。

 

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