人類滅亡まであと365日…   作:ムジカ

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第3話 艦隊の帰還

  執務室にて提督は霧島と再開した。

そこにいたのは大破した霧島の姿だった。

 

『霧島!どうしてこんな…あれほど危険は犯すなと…』

 

『しかし、比叡や阿武隈が沈められ、あれしか方法がないと思い…』

 霧島は弱々しく言った。

『っ!すまない霧島。君の気持ちも考えずにきつく当たりすぎた…』

 

『いいんです、提督。それより生き残ったみんなも軒並み大破しています。入渠してくるのでここで待っていて下さい。』

 

『わかった…ゆっくり休んでくれ…』

 

 

 

 

 

悔しい。提督はそう思った。

自分では何もできない現状。彼女たちに頼らざるを得ない現実。

そして彼…『ヤマト』に縋りたくなる情けない自分。

 

その全てが提督の心に刺さる。

 

『はぁ…酒でもあれば…こんなものすぐにでも忘れられるのに…』

 

しかし無情にも世界情勢はそれを許してはくれない。

趣向品を作る、そんな余裕もはやないのだと自らに言い聞かせ1人何もせずただぼうっとしていた。

 

 

 

 

 

『そんな思い詰めた顔して、どうしたんだ?』 

 

 

そこにいたのは鎮守府では珍しい同性の軍人(仮)『ヤマト』だった。

そんな彼に提督は質問を投げかけた。

 

『君は自分の無力さに、打ちひしがれたことはあるかい?』

 

『もちろん』

 

意外な答えに、提督は変な顔をしてしまった。

 

『意外だ。そんな力を持ちながら…敵なんていないだろうに…。』

 

『確かに俺の武装は強力だ。だがたとえ個の力で上回っていても、どうしようもないことだって星の数ほどあった。』

 

『しかし私は弱い』

提督は弱音を吐いた。

 

『提督、あなたは強い人間だと俺は思う』

 

『何故そう思う?』

 

 

『この鎮守府の誰もから信頼されているのは鈴谷から聞いた話しだけでもよくわかる。』

 

『みんなあなたのために…と死力を尽くしている…それはきっとあなただから…きっとあなたならいい作戦を考えてくれると思うから…だからこそ敵の情報だけでも彼女たちは伝えようとしたのでは?その"縁の力"こそ本当の強さだと俺は思うが…』

 

『そうかな、そうであるならどれだけ嬉しいか…』

 

『きっとそうだ…あなたのような人は銀河中を探してもなかなかいない。』

 

『ふふっ、宇宙を旅してきた君がいうのだから本当にそうなんだろうね』

 

『どうして笑うんだ?なにかおかしいことでも言ったか?』

 

『いや、君と話しているとなぜだかさっきまでの悩んでいた自分がとてもおかしく思えてね』

 

『ありがとう、いい気分転換になったよ。君とはいい友人になれそうだ…そう言えば自己紹介がまだだったね』

 

『私は渚…渚ハジメ少将だ。ヤマト君、改めてよろしく』

 

『渚提督、こちらこそ』

 

『そうだ、君は我々の艦隊に組み込まれることになると思うが構わないかい?』

 

『構わない、というかその方が嬉しい』

 

『わかった。便宜を図っておこう。』

 

『提督、そう言えば部屋はどこを使えば…』

 

『部屋ならたくさん空いている。何せ常に戦力不足だからね。好きなところを使うといい。』

提督は自嘲気味に言った。

 

『それとここでの暮らしについては鈴谷に聞くといい。なっ!鈴谷』

すると扉影から鈴谷がひょこっと出てきた。

『げっ、いつから気づいてたの?』

 

『扉の向こうから物音がしていたし、他のみんなが入渠してる今執務室に来るとしたらヤマト君以外には君しかいないからね』

 

『怖っ、提督の勘を見くびりすぎたかな…』

 

『怖っとは心外な、私はただ状況を正しく判断しただけだよ』

 

『まぁいいや、とにかくついてきて!案内するよ』

そう言うと鈴谷はヤマトの手をひき連れて行った。

 

 

 

 

『ここが食堂、間宮さんのご飯は絶品だよ』

 

『給糧艦間宮…か』

 

『知ってるの?』

 

『俺は昔、帝国海軍の戦艦、大和でもあったからな』

 

『ここにいるみんなのことも、覚えてはいる。顔を見てわかるわけではないが』

 

『今開発中の大和型の艤装、ヤマトなら使えたりして』

 

『それはわからないが、そうだったら面白そうだな』

 

ぐぅ〜

するとヤマトの腹の虫が大きな音を立てる。

 

『お腹すいたし、何か頼むか』

 

『たしかに、帰ってきてから何も食べてないしね』

 

『私のおすすめはカレーだよ、やっぱ海軍に来たらカレーは食べなきゃじゃん?』

 

『それじゃあカレーにしようかな』

 

少し待つと2つ、カレーが出てきた。

 

"いただきます"

 

恐る恐る一口目をほおばると、

 

『なんだこれ!無茶苦茶美味い!海運が寸断されて、米はともかく食料もあまりなかったんじゃ…』

ヤマトが感動していると鈴谷は疑問に答えた。

 

『確かに海運はボロボロだけど、私たち艦娘が護衛することでなんとか最低限の食料品は確保できてる』

『それでも基本配給制で、苦しい状況に変わりはないみたいだけど。』

 

カレーを食べながら、改めてこの世界の危うさを実感する。

 

"ご馳走様です"

そして食器を片付けると2人はドック、お風呂へ向かった。 

 

『私はこっちだけど、ヤマトはどうするの?』

 

『俺は提督用のものを貸してもらえるみたいだからここでお別れかな』

 

『そっか、名残惜しいけどまた明日』

 

『またな』

鈴谷を見送ると、ヤマトも入渠するために風呂へと向かった。

 

 

『なかなか広いところだな』

ヤマトは初めての風呂に胸を躍らせた。

『入り方はわかるが、果たしてどんな物なんだろう』

 

『はぁあぁ…』

 

ヤマトはいい湯だなぁと心から思った。

 

『"ヤマト"にわざわざ浴槽があったのはこういうことだったのか』

 

これはやめられないなとも心からおもったのだった。

 

 

『渚提督に鈴谷…ここにいる人はいい人ばかりだ』

 

なのに何故か怖い…

 

『この気持ちはなんなのだろう…』

 

"個の力だけではどうしようもないこと"

さっきの言葉が脳裏をよぎる。

 

 

 

『失うのが…怖いのかな…』

 

 

 

風呂から出ると新しくもらった部屋へと向かう

 

『寂しい部屋だな』

 

そう思いつつ布団をしいた。

疲れていたのか横になるといつのまにか眠りについていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

ラッパの音と共に皆の目が覚める。

鎮守府の朝は早い。

 

朝の支度を済ませると、朝食をとりに食堂へと向かった。

 

『あなたがヤマト?』

 

『!ヤマトです』

何故か敬語がでた。

『私は霧島、第二艦隊の旗艦兼この鎮守府の秘書艦を勤めています』

 

『艦隊を指揮するものとして、挨拶をしておこうかと。』

 

『昨日は鈴谷を助けてくれてありがとう』

そういうと霧島は深々とお辞儀をした。

 

『頭を上げてくれないか、俺は当然のことをしたまでで…』

 

『昨日着任した娘が今日沈む…そんなことだって起こるのが今の私たちの

現状です…だからこそあなたには頭が上がらない…』

 

『霧島、ヤマト、おはよ!』

 

『たく何してんの霧島、ヤマト困ってんじゃん』

ヤマトが困っていると鈴谷が助け舟を出してくれた。

 

『こういう時にきちんとお礼ができない人は嫌われますよ』

 

『そーゆーことじゃないんだよなぁ』

 

『なにやら喧嘩しているようだが、何かあったのか?』

 

『提督!おはようございます。』

 

『おはよう、霧島』

 

『昨日は比叡と阿武隈を失ってしまった…作戦責任者である私の落ち度だ、改めてすまなかった。』

 

『昨日のこと、そんなに気になさらないでください…提督は最善を尽くされていたと思います…誰も提督が悪いなんて思っていませんよ』

 

『大事な仲間が…特に比叡はお前の姉妹艦だ…無理に気を使わなくてもいいんだぞ』

 

『…大丈夫、私にはまだ提督がいる……だから大丈夫…』

霧島はボソッと言った。みんなには聞こえていないようだ。

 

『本当に大丈夫か、すごく暗い顔をしているが…やっぱり無理してるんじゃないか?』

 

霧島は表情を取り繕うと秘書艦モードに切り替わる。

『そんなことは…ところで、ヤマトさんのことですが"本日付で正式に配属"とありますが一体どういうことですか?まだ書類も出していないでしょう!』

 

『んな、書類は昨日のうちに書いといたんだからいいだろう?』

 

『はぁ、今日は横須賀との合同演習もあるのに…これから大変ですよ…』

 

提督は悪い顔をし答える

 

『その合同演習、元帥閣下もいらっしゃる…』

 

『まさか…』

 

『そこで直々に許可をと思ってね』

 

『そんなに上手く行くでしょうか…』

 

 

 

 

鎮守府の新たな1日が、幕を開けた。

 

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