朝食を済ませるとヤマトは工廠へと向かった。提督曰く、『特注で48cm模擬弾を作ってもらった』そうなので、演習に向けてそれを受領しにいく。
『あなたがヤマトさんですか?』
工廠へ向かう途中に声をかけられる。
『工作艦の明石です!』
ヤマトはすごくキラキラした目で見られていた…
『提督から聞きましたよ!ヤマトさん、宇宙戦艦なんですよね、宇宙船…sfでしか見たことのない存在…とてもワクワクしますっ!』
ヤマトは困った。
『あの…工廠に行きたいのだが…』
『演習用模擬弾の受領ですよね、作っておいたのでついてきてください』
『そうなのか、わかった』
そうして明石についていくと工廠が見えてきた。
『模擬弾はこちらです』
すると大量の模擬弾がすでに出来上がっていた。
『いやぁ、たいへんでしたよ〜なんせ、別規格のものを0から作っていく必要がありましたからねぇ』
明石は誇らしげに語った。
『なるほど…これはすごい』
『この砲弾、データをとってもいいか?』
『いいけど、何かに使うの?』
『まあな』
するとヤマトは技術班妖精とアナライザーを呼び出し、砲弾を解析してもらった。
『すごい…妖精の中にロボットが…』
明石は感動していた。
『よし!ところで模擬弾の材料はどこに…』
『そこの机の上にあるけど…』
『するとヤマトは工作機械を展開した。』
『何このハイテク工作機械!!』
またも明石は感動していた。
『ここをこうして…できた!』
ヤマトはその工作機械を使うと模擬弾を完成させた。
『んなっ、なんたるインチキなっ!』
ゼロから作ったものをこうもすぐに、しかも完璧に作られると流石の明石にも思うところがあったらしい…
『あのぉ…ヤマトさん…手が空いてる時でいいから、工廠の仕事手伝ってもらえたりとか……』
その顔はとても必死だった。
そして周りが見えていなかった。
『別に構わないが、昨日まで部外者だった俺が手伝うのは流石に問題があるんじゃ…』
『ヤマトさんもこの鎮守府の現状は知ってますよね、私、建造されて以来ずっとワンマンで…ほんっとにブラックなんですよ…』
『損傷艦の手当てだけじゃなく…新装備の開発から雑事まで…』
『あのっ』
ヤマトの声は聞こえていないようだ…
『提督は私のことなんだと思ってるんですか!』
『あの!』
ヤマトの声は聞こえていないようだ…
『だから私のこと少しくらい手伝うくらい問題ないですよ!』
『明石さん!』
『ふぁい!』
『提督、そこにいるが…』
『えっ』
恐る恐る振り返ると、提督がいた…
『ブラックですまんな』
『いえっそんなことは…ぜっ全然ないですよぉ…あはは』
『いや、以前から君の業務内容については問題があると思っていたんだがね、まさかここまで追い詰められているとは…少し引いた…』
『そんなに引かないでくださいよぉ、誰のせいだと思ってるんですかぁ』
『そうだな…ヤマト君、手伝えるなら手伝ってやって欲しいが…』
そしてヤマトの方へ目線を送る。
『わかった、やるよ』
『何から何まですまんな』
『"常に人手不足"なんだろ?ここにおいてもらってるんだし、これくらいどうってことないさ』
『ところで、提督も何か用事があってここにきたのでは?』
『そうだった!実は大和型の艤装を開発を大本営から頼まれていてね、君も"ヤマト"だし何か意見があれば言ってくれると助かる』
すると、提督は大和型の艤装の設計図を見せた。
『なるほど、まずは…』
ヤマトは250年前の記憶を頼りに設計の相違点を洗い出していった。
作業に没頭していたからか気づけばもう11時を過ぎていた。
『もう11時か…』
『1230には出航だし、そろそろ昼食を取った方がいいかな…君も一緒にどうだい?』
『よろこんで』
そしてヤマトと提督は食堂へと向かう
『しかしカツ丼とは、提督も分かりやすい』
『そうかね、君こそカツカレーではないか』
カツという験担ぎからは演習だろうと負けないという強い意志を感じる。
『今回の演習、国民に艦娘の威容を示す意味もあるらしい』
『まさか、本土から見える位置で行うのか?』
『そうだ…君の艤装にも偽装を施すことになると思うが、かまわないかい?』
『それは構わないが…沿岸での演習とは…ちと危険ではないか?』
ヤマトは苦言を呈する。
『それはそうなのだが、上層部の意向には逆らえない』
『それに何かあっても君がいる…頼りにしてるよ、ヤマト君』
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1230出撃ドックにて
『提督は俺を買い被りすぎだ』
ヤマトは昼食でのやりとりを思い出しつつも出撃の準備を進めた
艤装を展開すると大和型そっくりの偽装を艤装に施した。
『偽装…こんなものまで作らされていたとは…ブラック呼ばわりも仕方がないか』
明石に少しだけ同情するとヤマトはエンジンを動かし始めた。
『補助エンジン始動5秒前』
『4』
『3』
『2』
『1』
『補助エンジン始動!』
補助エンジンが轟音と共に火をふく。
『補助エンジン出力安定』
『現在艦首波動砲及びショックカノンはエネルギーが不足!』
妖精が報告をした。
『今回は問題ない、演習でショックカノンは使えないからな』
霧島に続き鈴谷が出航していくとヤマトもそれに続く。
『ガントリーロック解除、ヤマト発進!』
補助エンジンがうなりを上げるとヤマトは蒼き海へと漕ぎ出した。
1300に横須賀艦隊と合流すると隣にはフリゲートもいた。
『そこに見えるフリゲートには私や横須賀の鳴海提督、元帥閣下や政府の要人もいるから気をつけるように』
『言わずもがなだろうが、沿岸では多くの人々が君たちの勇姿を見守っている!恥じることなく、堂々と演習をおこなってくれ!』
提督からの通信が響く。
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フリゲート艦上にて
『久しいな、渚に鳴海…士官学校以来かな?』
2人の提督が敬礼する。
その先にいたのは沖田十三…海軍元帥だった。
『沖田元帥閣下こそ、お元気そうで何よりです』
鳴海提督は挨拶を済ませる。
『ありがとう、鳴海』
『君たちの子らがどんな活躍をするのか、楽しみにしておくよ…』
『ところで呉艦隊に"ヤマト"とあるが一体どういうことだ?大和型の艤装は開発が始まったばかりではなかったのか?』
沖田が疑問を投げかける。
『ヤマトは昨日現れた謎の艦息でして…敵意が無さそうなので、戦力にしようと思い…』
渚提督は苦し紛れの言い訳をする。
『まあいい…許可しよう…今は猫の手も借りたい時だからな…』
『ただし、こういったことはきちんと事前に報告するようにしなさい』
『はっ』
1330予定通り軍楽隊の演奏と共に、演習が開始された。
艦隊が反航戦の位置をとると、砲撃戦が始まった。
ヤマトと霧島が砲撃を行う中、吹雪、綾波、響の3隻は鈴谷に続き前へ出る。
ちなみに廃艦所要弾数数を超えた艦は撃沈判定となる。
そのため許容被弾数の少ない駆逐艦が真っ先に撃沈判定となるので、
そうなる前に魚雷を投下するとそのすぐ後に撃沈判定となった。
『鈴谷さん!』
『あとは頼みます!』
『鈴谷が最後の希望だね』
『おっけーみんな!任された!』
鈴谷の被弾も少なくなかったが、攻撃を熊野に集中すると相討ちに持ち込む。
『流石鈴谷ですね…』
『熊野こそ、やるじゃん』
残るは戦艦金剛、榛名に空母赤城に加賀だ。
『数では負けているが』
『戦術ではどうでしょう?』
霧島とヤマトは回避運動に専念する。
『なんで撃ってこないデース』
『何かを待っているのでしょうか?』
金剛と榛名は違和感を感じていた。
すると駆逐艦たちの放った魚雷が赤城と加賀に直撃、撃沈判定となる。
『流石霧島…やるネー』
『はなから空母狙いですかっ!でも!』
同航戦に持ち込むとヤマトに金剛と榛名の主砲が向く。
『まずいっ!タダでやられてたまるか!』
攻撃を集中されたヤマトは撃沈判定になるも、金剛を相討ちに持ち込む。
『金剛姉さん!』
『流石大和型…やられたネー、榛名、あとは頼んだヨ!』
霧島と榛名…因縁の深い2隻が死闘を繰り広げる。
命中弾を互いに稼ぎ合い、残りのライフは互いに1となっていた。
"先に撃った方が勝つ"
2人は直感で理解した、
先に撃ったのは、榛名だった。
『やられました…流石榛名ね!』
映画のような決着に沿岸が歓声に包まれる。
しかしその歓声はすぐに悲鳴へと変わる。
一筋の閃光がヤマトに直撃すると、偽装が剥がれ落ちる。
"なんだ…あの艤装は…" "なぜここに深海棲艦が…"と艦橋内にざわめきが広がる。
『狼狽えるな!』
沖田がその場をなだめる。
『あれは…こないだの…』
『姫級じゃん!』
そういうと霧島と鈴谷は戦闘体制に入ると、他の艦娘もそれに続く。
『みんな!模擬弾でもなんでもいい、とにかく撃ってくれ!』
提督の指示通り攻撃するも、やはり効果はない。
『ダメだ!やはり模擬弾では深海棲艦に勝てない』
『ではどうすれば』
2人の提督も思考をめぐらせるも光明が見えない。
『提督、ショックカノンの使用を許可されたし』
『ショック…なんだそれは!』
提督にはショックカノンの意味がわからなかったようだ。
『構わん!わしが許可する!ここで艦隊を失うわけにはいかん!』
すると沖田が許可を出す。
『わかるんですか?彼…"ヤマト"のことが…』
渚提督が質問する
『あぁ、通信を変わってくれないか?』
『わかりました』
そして渚提督は沖田元帥にマイクを渡す…
『ヤマトよ、メインエンジンが動いていないようだが、撃てるのか?』
『今始動させている…その声、沖田艦長ですか!』
『そうだ!時間はなんとかこっちで稼いでみせる、敵艦隊を撃ち倒してくれ!』
『沖田艦長、ありがとうございます』
波動エンジンへのエネルギー回路開け!
エネルギー注入50…70…100…
『くっ!まだなの!もう保たないじゃん!』
『エネルギー充填120%!波動エンジン始動!両側前進全速!』
『撃てぇ!』
敵艦隊をショックカノンの一斉射が襲うと10隻を超える敵艦隊が瞬く間に消滅する。
『敵艦隊…沈黙しました!』
その時、そこにいた誰もが理解した…『彼こそ人類の希望だ』と。
注釈
この世界では深海棲艦の登場により色々ごたごたがあり、日本も軍を持つことができています。