作戦開始から4日が経った。佐世保に展開した艦隊はまさに威風堂々と言えるほどの威容だった。
戦艦9隻、空母6隻、その他補助艦艇を含めるとその数は40隻ほどにまで増えた。
しかしその中にヤマトは含まれていなかった。
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『太平洋に、4人だけポツンと…こりゃ心細いねぇ』
鈴谷は暁に向かって言った。
『そんなことないわよ…私ももう大人なんだから!』
暁は虚勢を張る。
『よしよし、どーどー大丈夫だよ…』
響は暁を元気づけようと頑張ったが…
『響…私全然…心細くなんか…』
しかし暁の目は潤んでいた…。
『こらっ!鈴谷、暁を揶揄うんじゃない!』
するとヤマトは鈴谷を叱った。
『別に揶揄ってないし…少し寂しいなぁって言っただけだし!』
そういう鈴谷は、少しも寂しそうではなかった。
『ごめんな暁…こんな先輩しかいなくて』
そういうとヤマトは暁の頭を撫でる。
『ありがとう…って、もう子供じゃないんだから、頭を撫でるのはやめて!』
どうやら暁は元気が戻ったみたいだ。
こんな調子で本当に大丈夫なのだろうかと、一抹の不安を抱えつつヤマトは進む。
『はぁ、そろそろ敵の勢力圏内に入る…各員、警戒体制を厳となせ!』
『了解!』
提督が精鋭を集めたと言っていただけはあって、号令から行動までが恐ろしく早い。
『なるほど…これなら』
いける。ヤマトはそう思った。
『前方に敵艦を発見、あの様子は哨戒中だね…』
『よし…全艦最大船速!右舷砲撃戦用意!』
照準を済ませると海域を静寂が支配する
『撃ちぃ方ぁはじめ!』
それを破ったのはヤマトの号令と砲撃の轟音だった。
『!!敵艦隊ヲ発見!応援ヲ要請…』
報告を言い終わる前にその深海棲艦は沈んだ…。
『敵艦、轟沈!』
『流石に精鋭を集めただけはある、か』
一方その頃、レイテ島深海棲艦司令部にて
『ヤツハコノ前戦艦棲姫ヲヤッタヤツデハナイカ?』
『イマコソアイツノ無念ヲ晴ラソウ…全艦出撃!』
『空母機動部隊ハ艦載機ヲ発艦…ヤツヲ捻リ潰セ!』
『あれは…』
『レイテ島じゃん』
『よし、ここからが正念場だ!果たしてどれだけの敵艦隊が釣れるか…』
すると鈴谷が気づく。
『あれは…雲じゃないじゃん!』
『敵艦載機…とんでもない数だね…』
響も思わず声を漏らす。
『どうやら大漁みたいだ…総員対空戦闘用意、航空隊は発艦準備!』
ヤマトの艦底部ハッチが開くと弓ではなく、リボルバーが出てくる。
『航空隊、発艦!』
電磁式のリボルバーを放つと、弾丸はコスモファルコンへと変わる。
次々とコスモファルコンが出ると敵艦載機とのドッグファイトが始まった。
しかしいくらヤマト航空隊とはいえ、敵艦載機を全てカバーできるわけではない。
『ちっ!落としても落としてもキリがないじゃん!』
『まだ前進するのかい?』
響はヤマトに質問する。
『まだだ…もっと敵艦隊を引き付けなければ…この作戦の意味がない!』
戦艦級…鬼級…いや姫級を複数釣らなければ!
しかし多数の敵艦隊に阻まれヤマトの艦隊はレイテ湾に突入できずにいた。
『でもこのままじゃ埒が明かないわよ!何か策はないの?』
主砲を撃ちながら暁が声を上げる。
『くっ、仕方ない…俺が先行して敵艦隊に穴を開ける、その隙に乗じてレイテ湾に突入してくれ!』
『了解!』
ヤマトは前に出るとショックカノンで前方の敵艦隊を殲滅、後から続く鈴谷、暁、響がレイテ島に艦砲射撃を行うと、ヤマトもそれに続く。
『主砲一番二番、三式弾を装填、撃ち方始め!』
震える島…ヤマトの三式弾の威力は絶大だ。すでにレイテ島に築かれた深海棲艦の要塞は崩壊を始め、要塞内部から大量の深海棲艦が湾内に溢れ出すとヤマト艦隊を追う。
深海側、司令部にて…
『何ガ起キテイル!』
『敵艦隊ノ艦砲射撃ダ…コノ様子ダトココモ長クハ保タナイ…早ク逃ゲヨウ、イマナラマダセンリョクノタテナオシガキク…悪イガココノ同胞タチニハギセイニナッテモラウシカ無イダロウ…』
『ヤツメ…ヤマトト言ッタカ?イツカ必ズ仕留メテヤル…』
そして姫級達は艦隊の一部を伴いレイテ湾を脱出したのだが、ヤマト達はそれを知らない。
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『よし、これで作戦の第一段階は成功だ!司令部に打電、"ワレハチノスヲツツク"だ!このままレイテ湾からサマール、シブヤンと抜けていき、台湾沖で味方艦隊と合流する』
『1人も欠けることは許さん!』
『了解!』
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『ヤマトより入電、"ワレハチノスヲツツク"です!』
『やってくれたか…よし、これより是号作戦は第二段階に移行する』
『了解!佐世保の連合艦隊に出撃要請』
『旗艦長門より返信、"マカセロ"です!』
『全艦針路を南に取れ!決戦だ!皇国の荒廃この一戦にあり!各員一層奮励努力せよ!』
長門の声が佐世保にこだますると、威風堂々たる連合艦隊は出撃した。
『しかしたった4隻で敵艦隊を引っ張り出して帰還するなんて芸当本当に可能なのだろうか?』
『"できるさ…ヤマトなら"なんて元帥閣下は仰っていたが…』
長門はまだ半信半疑だった。
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一方その頃、ヤマト達はというと…カラクルム級のように沈めても沈めても湧いてくる深海棲艦隊に四苦八苦していた…。
『全艦、両舷増速!後少しで海峡を抜ける!なんとしても敵艦隊を振り切るんだ!』
『ねぇヤマト、これやばいって!敵艦多すぎじゃん!』
『一つ、二つ、三つ…』
『もー、敵艦の数数えてないで響も主砲撃ってよ!』
暁は必死に訴える。
『あっそうか…』カチャッ バン!
響も射撃を開始する。全弾しっかり命中していた。
海峡を抜けようとしたその時だった。
先頭を進んでいたヤマトと鈴谷に魚雷が命中する
『まずい…先回りされていたか…』
目の前に広がる深海艦隊…
そう、ヤマト艦隊は海峡内で包囲されてしまったのだ。
『くっ、もはやこれまでか』
このままでは俺はともかく…鈴谷、響、暁は確実に沈んでしまう。
しかしこれではどうしようもない…そう思った時だった。
空からの奇襲により目の前の敵艦が次々と沈んでいく…
『航空隊か!』
赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴による航空攻撃が敵艦隊を襲う。
『どうやら間に合ったみたい…』
『ヤマトさんが制空権を取っていてくれたので楽な仕事ですね』
赤城と加賀は弓を引くと第二次攻撃隊の発艦準備を行う。
そしてヤマトは機動部隊の応援に活路を見出す。
『この気を逃すな!単縦陣で正面の敵艦隊を食い破る!全艦砲雷撃戦用意、撃てぇ!』
ショックカノン、20.3cm砲、12.7cm砲が一斉に火を吹き、敵艦隊に穴が開くとヤマト艦隊は海峡を抜け無事に本隊と合流することができたのだった。
『よし、連合艦隊全艦に告ぐ…掃討戦だ!今こそ深海棲艦に反撃の狼煙を上げる時…今日をこのレイテの落日とするのだ!』
長門の鼓舞に士気も高まり、連合艦隊は破竹の勢いでフィリピンを南進、残存する深海棲艦を掃討して回った。
海域を全て開放すると艦隊を分割しフィリピンの防衛戦力として駐留させる。すると連合艦隊は母港へと帰っていった。
日が落ちる頃には陸軍の上陸部隊がフィリピンを占領、その頃には深海棲艦は見る影もなかったという。
深海棲艦への初の攻勢作戦はフィリピンの開放という形で幕を下ろした。
そう、日本は南方の資源地帯への足がかりを得たのである。